ソロ冒険者のぶらり旅~悠々自適とは無縁な日々~

にくなまず

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ヴァリエンテ領・大規模氾濫掃討戦編~街(前哨基地)建設~

ご飯

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『『『ジュゥウウウッ!』』』(こんがり焼かれる『ハタケガレイ』。)

スッスッスイッ。ブスッ。(切り分け&棒にブッ刺す。)

「はーい焼き上がりましたよ~。(【料理】1)」
「配膳よろしく~。(【料理】2)」
「600人以上居るからどんどん焼いちゃって~。
魚は鮮度が命。最高の状態で焼くのよ~。(【料理】3)」


土属性魔法によって即席で作られた調理台の上にズデンと置かれた巨大な魚『ハタケガレイ』。

文字通り畑の様な大きさな為一気に焼けず、徐々に徐々に焼いていき、焼き上がった所から順々に配膳されていった。

純白の白身を丁寧に焼き、龍宮城産の岩塩を軽く振っただけの非常にシンプルな物だが、一口食べれば皆無言で貪る代物であった。


(おっかしいな…『ハタケガレイ』は今秋獣人国に卸そうと思っていて何処にも提供していないハズ…
何でノア君がそんな食材を持っているんだろう…(リヴァイア))


″鮮魚と言えば龍宮城″と言われる程市場を独占しつつある龍宮城。
その長であるリヴァイアは今後のスケジュール立てを担っているのだが、まだ市場に出していないハズの魚が何故ノアが既に手にしているか疑問に思っていた。




(まぁノア君なら良いか。
『ハグ』うん、身が締まっていて中々に美味だ。(リヴァイア))


リヴァイアはあまり深く考えない様にした。



モシャモシャモシャモシャモシャモシャ…

〈ハフ、ホフ、にゃほ、ふほ、だわさ。〉

「見た目は完全に猫だね。」

《以前もこんな感じで人里で飼い慣らされていて、3ヶ月音沙汰無かった事もある。》

「まぁ喜んでくれたならそれに越した事は無いけど…」


『ハタケガレイ』の背鰭部の骨、と言っても普通に人間の腕位の大きさがあるのだが、その部位の柔らかな可食部に一心不乱にかぶり付くステラ。

ケット・シーという種族ではあるらしいが、見た目は猫そのものである。(というか今の今までずっと猫のままではあるが。)


「というか本当に食べていかなくて良いのか?
まだ大分『ハタケガレイ』残ってるぞ?」

《あれはお主がこの者達の為に振る舞ったものだろう?
それを私が頂く訳にはいかん、何なら私は魔力があれば食事は不要だしな。
少ししたら私は山に戻り『涼虫(スズムシ)』を見付け、後に仲間に持ってこさせるとしよう。》

「律儀だねぇ。」


四季龍インヴェルノも一緒に食事を、と思ったがやんわりと断った上で直ぐに山に戻るとの事。
夏の暑い日差しを考慮し、先程話した『涼虫(スズムシ)』を提供する為だとか。




「ノアさーん、『ハタケガレイ』焼き上がったみたいなので持ってきましたよ~。(アマエ)」

「あ、どうも。」


サキュバス3人組の1人、アマエが配膳の手伝いでノアの下にやって来た。


「お仕事(吸精)がまだだから、何か手伝える事は無~い?って聞いたら配膳頼まれたんだ~。(アマエ)」

「ほー。『ムグムグ…』
ちなみに皆さんお仕事(吸精)しなくても大丈夫なんですか?
サキュバス族の吸精って、人間で言う食事みたいなモノですし。」

「よくぞ聞いてくれたねノアさん!(アマエ)」

「え?あ、はい。」


サキュバス3人組は元々、お仕事(行為に及ばない吸精行為・性処理)の為にミダレを通じてこの地にやって来ているが、今の所そういった事は受けていないらしい。

だがサキュバスの吸精行為は食事と同義である為、その辺大丈夫かどうかを聞いているのである。

そんな風にアマエに質問してみると、待ってましたとばかりにこう答えた。


「実はさっき君の気配に当たったら欲しくなっちゃって~、君が良かったら私にご飯くれないかな~?(アマエ)」

「思ったんだけど、そういうのってこちらの亜龍さんでもどうにかなるもの?」

《待て、何の話だ。》

「い、いや、亜龍の方は精気うんぬんじゃなくて威圧?威厳?の方が強くて吸精行為とかとはまた別と言うか…(アマエ)」

「ふむ、中々難しいモノだね。」


サキュバスが吸精を行う種族なら亜龍はどうだ?と思ったのだが、精気とはまた違ったモノらしい。

なのでサキュバス族は人間や獣人等の種族の精気を頂く必要があるのだとか。


「でもミダレさんから聞いたかも知れないけど、僕のはちょっと強いらしいからほんのちょっとだけね?
前に手で触れただけで急性精気中毒になっちゃった位だから。」

「ふふん♪子供の僕がお姉さんの心配しなくて良いのよ~?
ほら、ちょっとだけ、先っぽだけで良いから早く早く♪(アマエ)」

(…何か一々意味深だなぁ…)

(『おい主、この際″分からせちまえば″良いんじゃねぇか?』)

(何それ?
訳の分からない事言ってないで力を部分的に解除するからね。)

(『へいへい。』)

「じゃあ取り敢えず手を出して、軽く握手する様な感じで。」

「ん♪(アマエ)」スッ…


中に居る『鬼神』が訳の分からない事を言っているが、気にせずノアはアマエと握手をする事に。

いきなり全身の力を解除してしまうと急性精気中毒になってしまうので、一先ず握手を交わした手の部分に限定して解除する事にした。


「あ、お手手柔らかいね~、ホントに15才なんだね~。(アマエ)」

「手の感想言わんで良い。
ほら、しっかり踏ん張ってて、崩れ落ちても知らないよ?」

「ふ、ふ、ふ~♪
私はミダレちゃんと違って吸精慣れしてるからね、ちょっとやそっとの精『ズァッ!』気、ヒィン…ッ…ンッ!?(アマエ)」


年齢的にはノアより歳上だからか、お姉さん的ポジションに立ちたいアマエが甘煽りをする中、ノアは手首から先だけ力を解除する。

するとまるで静電気が流れたかの様に体をビクつかせて身動きが取れなくなってしまった。


「…ッア…ハッ…ア…(アマエ)」ビクビク…

「お、確かに大丈夫そうだね。
ミダレさんだったら前まで急性精気中毒になってたのに。」

『『『ダダダダダダダダダッ!ズザーッ!』』』

「あああノア君待った待ったーっ!
アマエちゃんから手ぇ離してっちゃーっ!(ミダレ)」

「あ、うん。」

「アマエェエ!お前無謀な事して!
あの距離でああだったんだからこの距離ならどうなるか分かるだろー!(ラハラメ)」

「ノアさん!アマエちゃんが粗相してしまってごめんなさい!(ミダラ)」

「粗相?」


何故かミダレ含めたサキュバス3人が雪崩れ込んできて、ノアからアマエを引き剥がす。
良く見ればアマエの身体は少し火照っていたので、暑さにやられたのかも知れない。


「だってさ。」

《ふむ、ではやはり『涼虫(スズムシ)』を捕って来るとしよう。また来るぞ。》 バフッ!


ノアを介してアマエの状態を伝えられた四季龍インヴェルノは、一時的に山の方へと帰っていった。





~その後~ 


「「そ、それでどうだった…?(ラハラメ、ミダラ)」」

「シュ…シュゴイ…シュゴイ…(アマエ)」
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