ソロ冒険者のぶらり旅~悠々自適とは無縁な日々~

にくなまず

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ヴァリエンテ領・大規模氾濫掃討戦編~街(前哨基地)建設~

夜営地到着。しかし

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ヒュカッ!(荒鬼神ノ化身を振り抜く。)

カッ、カカ『サンッ!』カカッ…(『サモン・スケルトン』の鳴き声) 

『『『シュボァアッ!』』』(断ち斬られた『サモン・スケルトン』炎上。)


「一先ず落ち着いた様ですな。(クリストフ)」

バリンボリン、ゴリン。(『マンダ・スケルトン』咀嚼中。)

《この蛇歯応え良かったのにもう食べ終わってしまいましたわ。》モシャモシャ。 

キン。(納刀。)

「クリストフ、グリードありがとう。
皆さんの方は大丈夫ですか?」

「えぇ全く…
こっちが動くよりも早くノア君の方で対処してくれたから被害は0よ。
…にしてもおかしいわね…数日前にここを通った時はここまでじゃなかったのに…(ライリ)」


ノアの素早い行動のお陰でスケルトン関連の一件が終わり、状況確認中の一行。

ライリの話では、スケルトンやゾンビ等のアンデットモンスターが出てくる事はあっても、これ程までの襲撃は無かったとの事。


「…もしや何処かを起点として、アンデットモンスターが湧いてるのではないですか?(クリストフ)」

《アンテイカーと似たパターンという事?》

「あー、そのパターンは大いにありそう…
だとしたら非常にマズイ。
下手したらこの地域一帯がダンジョン化する事態だぞ…?」

「え?ちょ…アンテイカー?ダンジョン化?
一体何の話を…?
一先ず落ち着いて下さい、話が飛躍しすぎですって。ダンジョンはそんな簡単に発生しませんよ。(ライリ)」


【勇者】軍関連の騒動や【魔王】の動向、【勇者】の安否等に埋もれてこの場に居るライリ含めた王都の者達は、アンテイカーでの悪霊騒動に関する情報は持ち合わせていなかった為、安易な選択を取る事になる。

後に彼等はこの時の事を後悔する事になる。

アンテイカーでの一件を経験したノア達の考えは殆ど当たっており、周辺に点在している被害の全容がはっきりしていない5つの村々を起点として″周辺地域のダンジョン化″が進行していた。

【勇者】軍が実際に襲撃し、被害を受けた村は2つなのだが、放置された死体に低級の霊や悪霊が取り憑き、ゾンビとなって周辺の村々を襲っていった。

ちなみに現在ノア達が居る場所から林の方に1分程行くと、<気配感知>のギリギリ範囲内に村の生存者1名を感知出来るのだが、この場に居る者達は知る由も無かった。

彼等が″周辺地域のダンジョン化″に気付くのは約1ヶ月後。

ダンジョンコアが形成され、それを守護する為、全身から恐怖を振り撒くモンスター『スプレッダードラゴン・スケルトン』の出現によりこの事が明るみになる。

アンテイカーやアルバラスト、王都から上級冒険者が派遣されて事態の終息に向けて取り組んだのだが、そうも言ってられなくなってしまった。

【魔王】が本格的に行動を開始したから?いや違う。

″元【勇者】パーティが人類に対して反旗を翻したから″である。





「一先ず原因は【魔王】監視の傍ら私達の方で行いますので、今は先を急ぎましょう。
私達の最優先事項は【魔王】。ノア君はヴァリエンテ領なのですからね。(ライリ)」

「確かに、ライリ殿の言う通りかも知れませぬな。
ノア殿の事を考えれば、任せられる者に後を託し、寄り道をせずにいればいつものパターン(色んな物事に首を突っ込む事)に陥らずに済むやも…(クリストフ)」

「う…確かに…分かった、先を急ごう…」


ノアの癖(?)と言える、色んな物事に首を突っ込む事を未然に防ぐ事にも繋がった今回の件だが、この時ばかりは突っ込んでいた方が良かったのではと誰しもが思う事になるのだった。





その後は特にアンデット系モンスターと遭遇する事無く、夕方頃には『ドラガオ』近郊にすんなりと到着するのだった。

本来であれば一晩ここらで夜営をし、翌朝から再び行動開始。

と言った流れになるハズだったが、そんな事も言ってられなくなった。

何せ



~『ドラガオ』近郊・『ドラーヴァ』~


『『『『『アアアアアア…』』』』』(ゾンビの鳴き声)

「「「「キャァアアアッ!」」」」
「「「「うわぁあああっ!」」」」

「入れ!早く街の中に入るのだ!」
「門を閉じろ!1体たりとも入れるでないぞ!」

「各人に通達!女、子供、老人を優先して退避させろ!」
「騎士隊前へ!ゾンビは足を潰せばどうにでもなる!優先的に攻撃を仕掛けよ!」

「「「「ハッ!」」」」


『ドラガオ』近郊小国『ドラーヴァ』に差し掛かった際、何処からともなく悲鳴が聞こえてきた。

悲鳴が聞こえた方角を見ると、薄暗い林の奥から幾人もの一般市民が血相を変え『ドラーヴァ』の門へと駆け込み、代わりに慌てた様子の騎士が外へ駆け出していった。

林の奥からはヨロヨロと覚束無い足取りで彷徨うゾンビが約50体程出現。

どうやらライリが以前ここを訪れた時はこういった事態が発生しなかった為か、この光景を見て固まっていた。


「…嘘でしょ…
ここでもこんな事になってるなんて…(ライリ)」

「すみませぬ騎士殿。
これは如何なされたのですかな?(クリストフ)」

「ぅおわっ!?な、何だアンタ!?(騎士1)」

「僕らはクラン『きじん』です。必要とあらば加勢しますが。」

「『きじ…え?(騎士1)」

「確認は後だ!
その腰に下げてる4本剣が飾りで無いのなら加勢の方を頼みたい。
…そこの白いのも仲間なのだよな…?(騎士団長)」


先程は介入しなかったが、状況を鑑みれば首を突っ込まない訳にはいかず、ノアとクリストフの2人は加勢する事にした。


「クリストフ!俺が奴等の動きを止めるから騎士さん達と共にゾンビの足を潰せ!」

「畏まり!(クリストフ)」


ノアはクリストフに指示を出しつつ腰のアイテムボックスからマナポーションを2本取り出して一気に呷る。


『『ガババ。』』

「っぷぅ…
本物の<浄化>と比べたら消費量は少ないとはいえ、何度も連発するのはキツいな‥
だがそうも言ってられないしな…
悪霊以外で使った事無いけど効果の程は如何かな‥
【鬼哭死重奏・穢払ノ鐔鳴】!』

『『『『スラッ!』』』』(荒鬼神ノ化身を抜き、目の前で交差。)

「「な、何だその姿は!?(騎士逹)」」


『ドラーヴァ』の騎士逹が初対面のノアの変貌に驚いているのを尻目に、ノアは交差させた荒鬼神ノ化身を走らせて【鬼哭死重奏・穢払ノ鐔鳴】を発生させる。


『『『『ギャリィイインッ!』』』』

「何をした?(騎士2)」
「″鐔鳴り″‥?‥にしては澄み切った音色だが…(騎士3)」
「これが何だと…?(騎士4)」


やはりと言うべきか、普通の人逹には【鬼哭死重奏・穢払ノ鐔鳴】の音を聞いても何ら変化は無い。
寧ろ心地良く聞こえている様であった。

だがゾンビはと言うと


『『『ジュゥウウウッ…!』』』(周囲のゾンビから白煙が上がる。)

『『『『『ア″ア″ア″ア″ア″ア″ッ!!』』』』』

  
「あっ!おい見てみろ!明らかにゾンビが苦しんでいるぞ!(騎士団長)」
「…まるで耳が沸騰しているかの様に…あの音色の効果か…!(騎士3)」
「動きが止まった!?叩くなら今か!(騎士2)」


【鬼哭死重奏・穢払ノ鐔鳴】の音色を聞いたゾンビは漏れなく苦しみ、絶叫してその場に踞る。

よく見れば耳の辺りから白煙が上がりかなりの熱を発している事から、アンデット系モンスターにもこの音は有効であると言えた。

 
『さぁ今です!
始末は僕の方で行うので、どんどん集めてきて下さい。』 

「「「お、おぅ…」」」
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