ソロ冒険者のぶらり旅~悠々自適とは無縁な日々~

にくなまず

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獣人国編~国交式典・解放・擬似的大氾濫~

あーあっ!僕にも大技が欲しいなぁっ!

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『『『ギュゥゥウ…』』』

(『げっ!プラズマレーザーの溜めが長い…!?
しかも手からもプラズマレーザーを撃つつもりか!?
やべっ避な『『『バシュゥウウウウウウウウウウウウッ!』』』

『『『『『『『ズドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドッ!』』』』』』』

ゴァアアッ!

ズシャッ!『へぶっ!』


自身の口と両手、合計3ヶ所からのプラズマレーザーを一斉発射したグリード。

寸での所で避難したノアだが、爆風に煽られて強かに顔面を打ち付けた。


『いてて…凄い威力だな…
この時ばかりはありがたい事『グォオオンッ!』くそっ!休む暇も無いな!』


起き上がったノアに、大口を開けて襲い掛かるギガンティック・ダックス憤怒、エグリゴリラ、石声鸚哥等々。


パァアア…

『【召喚獣:一刀】出て来い『貪欲(グリーディ)』!
『バッ!』眉間に向けてぶっ放せっ!』

キュルルルッ!

『『『『『バシュッ!』』』』』

バスッ!ガゥ…
バジュッ!ゴァ…
ドジュッ!ガァッ…
バシュッ!ギッ…
ドシュッ!ギィッ…

『『『『『ズズンッ!』』』』』


ガラス玉サイズとはいえ流石のプラズマレーザー。ノアの指示通り迫り来るモンスター共の眉間に次々と直撃し貫通。
短い悲鳴と共に地面に崩れ落ちていった。


『……。』

(『どうした?疲れたか?』)


モンスター共を瞬殺した後も地面に寝っ転がった状態のノアは、少しムスっとした様子で愚痴り出す。


『あーあっ!僕にも大技が欲しいなぁっ!』 

(『…何を急に…
いや、中に居るから言いたい事は分かるが…』)

『なーんか僕いっつもこーいう場面に出会すんだけど、こーいう時に範囲攻撃があったら非常に、ひじょーに助かるんだけどなぁー!』

(『良いじゃねぇか、剣の能力で火の龍(龍神邪火の事)を召喚すりゃ。』)

『出来れば定常的に使いたい!
母さんみたいに魔力ででっかい剣ブワーッて出してズバーッてやったり、父さんみたいに山1つ分の範囲に矢の雨降らすみたいな大技が欲しい!』


何故かノアは一対多の戦闘に身を置く状況に陥る事が多々あるが、範囲攻撃等の大技は1つも無い。

荒鬼神ノ化身の能力で広域殲滅型の『龍神邪火』が居るが、4本ある内の3本の刀身に魔力が溜まっている事が前提条件であり、その魔力を贄にして召喚している。

先程から刀身1本分の魔力で召喚出来る【召喚獣:一刀】『貪欲(グリーディ)』を多用しており、刀身の魔力はすっからかんである。

一応魔力を補充する手段はあるが、今回の場合広域殲滅型の『龍神邪火』は最後の最後にとっておきとして利用したい為、その手段を講じる事はほぼ無いだろう。

広範囲攻撃では無いが、飛び道具として弓を持ってはいるがこの場に居る強固体のモンスター群には有効打とは言えないだろう。

必然的にノアは、お得意の高火力・高機動・超接近戦で1体1体屠っていくしか手は無いのである。

別に各々数えていた訳では無いが、現段階でノアは約180体、グリードは約520体のモンスターを撃破してしいる。

防衛戦では如何に早く殲滅し、防衛側に損害を出さないかが重要となる為、こういう場面では広範囲攻撃等の大技を持っていた方が良いだろう。

ノアの場合は特に、である。


(『うーん…今後の更新情報的にも広範囲攻撃とかは覚えるこた無ぇし…
今まで通り<転移>の連続使用で広範囲をカバーするしか無いだろうな。』)

むくっ…

『…まぁ無いと思ってたから気にしないでよ、ただの愚痴さ…』

(『嘘こけ。
家事手伝いした後に駄賃をねだる子供位の期待感は持ってたろ…って、お?
主、アレ、アレ。』)

『ん?』


鼻をフンと鳴らしたノアは起き上がり、腰の荒鬼神ノ化身に手を掛けて再び戦闘に赴こうとしていた。

だがノアは気付いていなかったが、視界の中に″妙な物″があった事に気が付き、ノアを呼び止めた。





~獣人国騎士団・貴族ワン・リバーン専属部隊『武装嬢隊・竜妃』・貴族我矛修羅(ガムシュラ)側近『王鬼(オーガ)』・クラン『灰塵』併合レイドパーティ~


当初、進行してくるモンスターに対し各々前線を張って撃破し続けていた各パーティであったが、現在はつかえるキノコのクリストフが設置したバックラッシュルームの防壁前まで全パーティが後退。

次第に各パーティが寄り集まって、総勢100人以上の大規模なレイドパーティが形成されている状況であった。

それでも


「うぐぁあっ!?」ズシャッ!

「負傷者が出たぞ!【盾】兵前に出て援護せよ!(ハナ)」

「「おおっ!」」ガシャガシャ!

「誰か回復に回って!
負傷者が多過ぎる!このままじゃ前線が維持出来ない!(サクラ)」

シュパッ!シュパッ!『『メキメキッ!』』

「クリストフ!アンタが回復に回って!
モンスターは私が抑えておくから!(エスメラルダ)」

「承った!
誰か彼女を援護してはくれぬか!(クリストフ)」

「任せろ!(ゴフゥ)」
「やるぞゴフゥ!(ゴファン)」


また新たにバックラッシュルームの防壁に怪我人が運び込まれていく。

軽傷17名、意識不明・重症が38名である。
当初は貴族ワン・リバーン専属部隊の『武装嬢隊・竜妃』が回復に回り、貴族我矛修羅(ガムシュラ)側近『王鬼(オーガ)』、獣人国騎士団、クラン『灰塵』メンバーが援護・前線の維持を行っていたが、怪我人とモンスターの多さにその流れが瓦解。


ブシュッ!…ゴォ…

「…はぁ…
くそっ…いつまで続くんだ…(ルルイエ)」


エグリゴリラの喉元に突き刺していた剣を引き抜きつつ、途方もなく押し寄せてくるモンスター群に思わず弱音を吐くヴァリエンテ・ルルイエ。

分かりきっていた事だが、現在『廃都』方面の滅びの森に生息していたモンスター全てがここに押し寄せてきているのだ。
終わりが見えなくて当然である。

それを考慮しても募ってくれた各有志達の間にも士気の低下が現れてきた。


「くっ…『王鬼』達も手酷くやられる者も出て来たか…
このままでは撤退も視野に入れねばな…(我矛修羅(ガムシュラ))」


当初は闘争を求めて有志として参加した鬼人族の貴族我矛修羅であったが、流石に領主として全滅覚悟で、最後の1人になってでも戦うと言う采配をする訳には行かず、撤退を視野に入れ始めていた。


ドガッ!

「はぁ…はぁ…こりゃ、フリアダビアの再来…
いや、それ以上じゃな…(バド)」

「儂ゃ、坊によって救われたこの老いた命、今ここで散らしても良い思っとるんじゃが…(ルド)」

「なぁんじゃ、皆同じ事考えちょったか。
…まぁこれ程の大戦じゃ、そう考えるのも無理無いわな。(ロイ)」

『『ガガンッ!』』『ゴガガガガガガッ!』

「何笑えない冗談言ってるんですか!
ノア君は諦めずに最前線で頑張ってるんですよ!(ラインハード)」

「行きなさいゴリラ!(ヴァンディット)」

ゴァアアッ!ドガガッ!

「そうです!諦めないで下さい!ノア様が悲しみます!(ヴァンディット)」


全身に負傷を負い、返り血等で全身血塗れとなり、妙に満足した目をするドワーフ達を援護しにやって来たラインハードとヴァンディット。

そんな彼等の視界に


『『ドゴァッ!』』

「「「「「!?」」」」」

『『『『ドガァッ!』』』』

「な、何ですか!?モンスターが舞って…(ヴァンディット)」
「…大型モンスターでも来おったか…?(バド)」
「何にしてもヤベェ奴が来た事に変わりは無いのぅ…(ロイ)」


猛威を振るうエグリゴリラがくの字で宙を舞い、ギガンティック・ダックス憤怒の頭部が一撃で砕ける音が響く。

群れの奥からまた新たなモンスターがやって来たモノだと思い身構えていると


ジャラジャラジャラ…

『ふんっ!』

ゴォッ!『『『ゴシャッ!』』』

「「「「「はぁ?」」」」」


鉄の塊が高速で視界の前を通り過ぎたかと思うと、目の前に居たモンスター群が吹き飛ばされて視界がクリアになった。

するとそこにはゴツい鎖が付いた鉄球を両手に持ったノアが立っていた。


ジャラジャラジャラ…

(『イェーイ!お手頃な広範囲攻撃手段が手に入ったじゃーん!』)

『思ってたモノと違ぁうっ!』
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