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獣人国編~国交式典・解放・擬似的大氾濫~

後続が到達

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グォオオォオオンッ!ズァアッ!

『うわっ!デケェ!』

ボヒュッ!ドゴォオオオッ!


石声鸚哥(セキセイインコ)を突破したノアの前には、通常個体の2倍以上もある体躯のダックス憤怒『ギガンティック・ダックス憤怒』が立ち塞がり、岩石の様に巨大な前脚を振り上げて地面に叩きつけた。


ゴチチチチチッ!

『チッ!まるで弾丸だな!』


地面が捲り上がる程の威力で叩き付けられた前脚を中心として土や石の礫が発射。
それをノアは荒鬼神ノ化身を盾として防いだ。


ダガガッ!グォンッ!

ズザザッ!グァアンッ!

(『追加がやって来たぞ!手数を少なく、一撃に重きを置いて手早く捌け!』)

『合点!』


類は友を呼ぶと言うが、この時ばかりは堪ったものではない。
同種のギガンティック・ダックス憤怒が追加で2頭やって来た。

その後方からは砂埃で姿は見えないが、轟音と地響きによって多数のモンスターが接近して来ている事が感じられた。

つまり1体1体に時間を割けないのである。


グォオオォッ!ブンッ!

(『<躱身(カワシミ)>!』)

スッ…『ゾリッ!』

ゥバァアアアアアッ!!?


そんなノアにギガンティック・ダックス憤怒は、再び前脚を振り上げて踏み潰そうとして来た為、当たる寸前ギリギリに<躱身>を発動。

攻撃力を上乗せした斬撃を放つと、頑強な皮膚と高密度な筋肉を突破し、金属の様な硬質の音を響かせながらも両断する事に成功した。


ゥガゥッ!『『ガギッ!』ぬぐっ!』


片前脚を失ったギガンティック・ダックス憤怒がバランスを崩す中、別個体がノアの側面から食らい付いて来た。

あまりにも素早い食らい付きであったが、右腕と左足でつっかえ棒の様にする事で巨大な口を閉ざす事を防いだ。


『くそっ!デカい図体の割にすばしっこい犬だな!『貪欲(グリーディ)』!撃て!』

キュルルルッ!バシュッ!


先程召喚した『貪欲(グリーディ)』は1度の召喚で最大5発までガラス玉サイズのプラズマレーザーを放つ事が出来る。

先程石声鸚哥(セキセイインコ)に4発のプラズマレーザーを放ち、後1回分の余力を残し、ノアの肩に掴まって待機していた。

そこでノアはギガンティック・ダックス憤怒の口内から″脳″を指差し、そこにプラズマレーザーを放つ様に指示を出した。


『ジュ『ジュンッ!』』

グォッ…ォォン…ズズンッ!


プラズマレーザーが一瞬で数層を突破した音が響いた直後、ギガンティック・ダックス憤怒は弱々しく呻き、その巨体がゆっくりと崩れ落ちたのであった。


ゴロッ…

『危…『グォゥッ!『ガヂィンッ!』っぶねぇっ!』

ゴォオオオッ!ギギギギ…


倒れ伏したギガンティック・ダックス憤怒の口内から転がり出たノアに、間髪入れずに別個体が食らい付いてきた。

またもや手足をつっかえ棒にして呑み込まれない様にするが、恐ろしい程の口咬力で噛み砕こうとしてくる。




ビュオンッ!

『!』ババッ!

『『『ゴシャッ!』』』ッブァアッ!?


ノアの後方から大木の様な物体が迫る反応があったので、瞬間的に力を籠めて無理矢理口を抉じ開け、その場から離脱。

直後に漆黒の龍鱗を纏ったグリードの尻尾がギガンティック・ダックス憤怒の顔面に叩き込まれて上顎が粉砕。
数本の牙を砕いていた。


ガギッ!グワォッ!ガァアアッ!


克ち上げられたギガンティック・ダックス憤怒の首を物凄い早さで掴むグリード。
顔面を潰されながらも反撃を仕掛けようとするが


ガァア『グジュッ!』アッ…

ズズンッ…


手そのものが口の役割を果たすグリードによって首を咬み千切られたギガンティック・ダックス憤怒は、一瞬で絶命し地面に崩れ落ちたのだった。


《大丈夫ですか主様?》

『力やスピードはどうって事無いけどやっぱりサイズ差はどうしようも無いな…
グリード、殲滅力重視であの強化版ダックス憤怒位のサイズはお願いしたいんだが良いかな?』

《勿論ですわ。》ビョルルンッ!


ノアからの指示を受けたグリードは直ぐ様行動を開始。その姿を見送りつつ後方の女性陣の方に目をやった。


『さて、あちらの方は…』





~ラインハード・ヴァンディット側~


ガァアアッ!ゴァアアッ!

『ダンッ!』『ゴガガンッ!』『ガガガガゴンッ!』『ガガンッ!』

ギャウッ!ゥガァアッ!ガァアアッ!


魔装鉄甲を装備したラインハードの下に迫る中型サイズのモンスター『エグリゴリラ』。

分厚い筋肉を搭載し、俊敏な機動力を駆使して迫るが、的確に顎や側頭部等の急所に魔力弾が次々に命中していく。


ガギンッ!ガァアアッ!ギギッ!ガギギッ!

『ガションッ!』『ゴンッ!』ギッ!『ゴンッ!』ガァッ!『ゴチュッ!』ゥガァアッ!


鉄甲に食らい付いて来たエグリゴリラに対し、手首を捻る事で弾種を貫通魔力弾へと変更。
2発目までは貫通に至らず、3発目で頑強な頭蓋を突破、大きく上体がぐらついた。

そこに


ガァゥウッ!『ガブッ!』ゴァアアッ…

グゥ…『ギギギ…』ガァ『ゴギンッ!』


ヴァンディットの『魅惑の魔眼』で魅了されたダックス憤怒が食らい付いて来て捻りを加える。

僅かに抵抗するが、貫通魔力弾で致命傷を負ったエグリゴリラにはそれを回避する術は無く、一気に首をへし折られていた。


「ハーちゃん(ラインハードの愛称)腕大丈夫?(ヴァンディット)」

「チッチッチ、この程度じゃ傷1つ付かないよヴァンちゃん(ヴァンディットの愛称)。
それよりもダックス憤怒との連携上手くいってるね。(ラインハード)」


即席でパーティを編成し、初戦闘終えた2人は、軽口を叩ける分には平然としていた。

それは前線でノアとグリードが大暴れしてヘイトを稼いでいるからであり、乱戦となった場合はこの余裕がいつまで続くかは分からない。

何せ討伐数よりも向かってくるモンスターの数の方が圧倒的だからである。




『『『パシュンッ!』』』

「え?(ラインハード)」
「え?(ヴァンディット)」

ドカカカッ!『『『ギュルルルッ!』』』

ギャァウッ!グォッ!アギャッ!

「ちょっとちょっと!
2人まで戦線に出て来てるの!?(エスメラルダ)」

「ほだらばちゃーんと周りを見とらんと襲われてしまうど。(バド)」

「「み、皆さん!」」


2人の間を3本の矢が通過。
すると新たにやって来た『プレッシャーパンダ』とエグリゴリラ2頭に突き立つと、急速に蔓が延びてがんじ絡めになってしまった。

これは【薬学弓士(ネイチャー)】のエスメラルダが放った物で、拘束技の1つであった。
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