ソロ冒険者のぶらり旅~悠々自適とは無縁な日々~

にくなまず

文字の大きさ
上 下
716 / 1,171
獣人国編~御前試合の代表決め~

大切な事はしっかりと報せましょう

しおりを挟む
~大体1時間後~


バリッ!ボリッ!ボリボリッ!

ゲフッ。…ゴッツァン…


謎多きモンスターはっけよいのこったがランペイジ・スカル・クロコダイルの1/3を食べ進めていた頃、諜報員のナサケから相談された人手不足解消の案をノアから伝えられ、この場から発った所であった。

ノアが提示したのは、″とある人物″なら元奴隷であるバンデイラの要望に応えられるのではないか、と言うものである。

だがその″とある人物″は元々ノアの所有物であったが、現在はある人物の付き人として活動しているので、念の為伺いを立ててから協力して貰う事となった。

何ならこの滅びの森南端周辺で訓練する名目となった滅びの森周辺エリアの森林伐採は、度重なる戦闘により僅か1日で達成されているので、ノア自身が直接赴けば良いのだが、はっけよいのこったがランペイジ・スカル・クロコダイルの死骸の前でどっかりと腰を据えて食事を始めてしまい、動けなくなってしまったのだ。

謎多きモンスター故、下手に追い返してしまえば、逆に襲い掛かってしまうかも知れないので、暫し静観する事となったのである。

ただ待っているのも何だったので、滅びの森に生息するモンスターを狩り、遅めの昼食を摂る事となった。





ジジジ…パチパチ…

「でね、水とクサミトリクサを継ぎ足しつつ三日三晩煮立たせて、時折フォークみたいに先が尖った物で表面をつついて」

『うん。』パチパチ

「色が出なくなってきたら湯から出して水でシメる。その後絞りに絞って極限まで水を抜いたらボコボコ叩いて軟らかくして、陰干しするのね。」

『うん。』ズヌッ。パチパチ…

「そこまでしっかり処理すれば、″皮鎧″ですら食べれるのよ?」

『…え?試したの…』パチパチ…

「戦場だと食べる物無かったからねぇ、レドと2人で「あ、イケる。」って言いながらよく食べたりしたものよ。」

『しかもイケるんだ…』

「まぁお陰で2人揃って「人食ってる」って変な噂が戦場で流れたものよ。」

『うわぁ…あ、肉焼けたよ。』

「あらあら、ありがとう。」

ガブジュッ!ブチブチブチッ!


ノアから受け取った肉の塊を、まるで大型モンスターの様な音を立てて食い千切るアミスティア。


「あら、味付け変えたのね。
前はちょっと薄目だったのに。」

『え?
あぁ、これはクロラさんが好きって言ってくれた味付けなんだ。』

「なる程、これが女をオトした味なのね?」

『言い方。』


息子の手料理を味いつつ、アミスティアはここ3ヶ月の事を聞いてみる事に。


「それよりもどう?
家を出て冒険者生活始めて3ヶ月位だけど?」

『最初の1ヶ月が大分濃かったけど、概ね全うにやれてると思うよ。』

「冒険者を始める前とは状況が大分違うけどね。
最初は″のんびり気ままに″、″【ソロ】だからひっそりと″何て言ってたのにねぇ。」ムグムグ。

『う…まぁ、自分としても狙ってやった訳じゃないからね…?』

「知ってるわよ。
でも村を出て10日目辺りからノアちゃんの事がラビッツの所の新聞記事に載り始めたもんだから、村では「次は何をやらかすかな?」ってビンゴ大会が始まったんだから。」ムシャムシャ。

『え?なに人の動向でビンゴ大会なんか開催しちゃってんのさ。』

「ちなみに私はあと″しれっと子供作って村に戻ってくる″1つで4ライン揃って『しっかり楽しんでるね!なかなか揃わないよ?4ラインって!』レドから魔剣1本買って貰える事になってるから、そこの所…ね?」

『″ね?″じゃないよ″ね?″じゃ。
そもそも僕がそんなに節操無い様に思う!?』

「え?多分あともう少し彼女さん達の押しが強かったらノアちゃんもう耐えら『耐えられるよ!2人の訓練のお陰で精神力はかなり鍛えられてるからね!』

(『え?端から見たら薄皮1枚って(うっさい!))


女性問題に関して言えば、ノアを擁護する者は一切いないのである。


『も、もう!いいからどんどん食べちゃって!
折角焼いたのに焦げちゃうよ!』


これ以上余計な事を言われると襤褸が出そうだったので、焼き終わった肉をアミスティアに押し付けていく。


「『ガブッ!』まぁまぁ、そんなに怒らないの。
私やレドは嬉しかったのよ?ノアちゃんに可愛らしい彼女さんが2人も出来たんだもの。
思わず小躍りしちゃったもの。」

『…母さん…』

「私は″歳上彼女″が空いたし、レドは「″彼女2人以上″で2ライン揃ったぜ!」って言ってたもの。」

『ビンゴ大会の話かいっ!』


一悶着あったが、その後アミスティアは大人しく肉を2口3口と食べ進める。

少し離れた場所で食事を進めているはっけよいのこったは、残す所あと尻尾のみとなっていた。
と言うか何処にそんな量が入るのだろう。

と、終わりが見えてきたので、ノアは火の始末を開始した時だった。


「ねぇノアちゃん?」

『うんー?』

「彼女さん達には寿命の事話したの?」

『うんー、と言うかバレちゃったからねー…』ガサガサ…

「そぅ…」

『……。』ガサガサ…

「……。」

『……。』ガサガサ…

「寿命の事、レドや私から話したっけ?」

ガサガ…『あ。』


何の気なしに聞かれた為、ノアも何の気なしに答えてしまった。

確かにレドリックやアミスティアからノアに対して直接的に伝えた事は無く、ノアは病気が完治した後、村の【薬師】のお婆ちゃんとアミスティアとの会話を盗み聞きして知ったのである。


「…【薬師】の婆ちゃんの所から帰ってから妙に訓練に打ち込む様に言ってきてたけど、やっぱり聞かれてたのね…
妙に物分かりが良いとは思ってたけど…」

『…あの時は唯一<聞き耳>スキルだけは持ってたからね…』

「それで、彼女さん達は何て?」

『今すぐどうこうって訳じゃない、と伝えて取り敢えず納得はしてくれたよ。
…表面上は、だけどね。』

「表に出さずにノアちゃんの言葉を受け入れてくれるなんて良い娘達じゃない。
今後少しの間離れ離れになっちゃうんだから、あまり心配させちゃダメよ?」

『うん…善処『ジュッ。』熱っ!?』「″善処″じゃ駄目でしょ!″善処″じゃ!
″やる″って言いなさい″やる″って!それ位の意思表示を示さないと彼女さん達に顔向け出来ないでしょう!」

『わ、分かったから焼き立てホヤホヤの肉を押し付けないでよっ!?』

ズズズ…

「あ、あの、ノア様…寿命って何の事ですか…?(ヴァンディット)」
「ねぇノア君…?寿命って…何…?(ラインハード)」

「え?…まさかノアちゃん、この娘達に何も話してなかったの…?(アミスティア)」

『え、いや、あの、その…』


ノアの寿命の事を聞いて居ても立ってもいられなくなったヴァンディットとラインハードがノアの影の中から飛び出してきた。

アミスティアは2人に報せていなかった事を知り、目がマジになっていた。 
取り敢えずノアは2人に伝えていなかった事を謝り、何とか飲み込んでくれた。

その後アミスティアによるお話(?)と言う名の教育が3時間程行われた。
 
ちなみに食事を摂っていたはっけよいのこったは、いつの間にかしれっといなくなっていた。
しおりを挟む
感想 1,251

あなたにおすすめの小説

子爵家の長男ですが魔法適性が皆無だったので孤児院に預けられました。変化魔法があれば魔法適性なんて無くても無問題!

八神
ファンタジー
主人公『リデック・ゼルハイト』は子爵家の長男として産まれたが、検査によって『魔法適性が一切無い』と判明したため父親である当主の判断で孤児院に預けられた。 『魔法適性』とは読んで字のごとく魔法を扱う適性である。 魔力を持つ人間には差はあれど基本的にみんな生まれつき様々な属性の魔法適性が備わっている。 しかし例外というのはどの世界にも存在し、魔力を持つ人間の中にもごく稀に魔法適性が全くない状態で産まれてくる人も… そんな主人公、リデックが5歳になったある日…ふと前世の記憶を思い出し、魔法適性に関係の無い変化魔法に目をつける。 しかしその魔法は『魔物に変身する』というもので人々からはあまり好意的に思われていない魔法だった。 …はたして主人公の運命やいかに…

こちらの異世界で頑張ります

kotaro
ファンタジー
原 雪は、初出勤で事故にあい死亡する。神様に第二の人生を授かり幼女の姿で 魔の森に降り立つ 其処で獣魔となるフェンリルと出合い後の保護者となる冒険者と出合う。 様々の事が起こり解決していく

黄金の魔導書使い  -でも、騒動は来ないで欲しいー

志位斗 茂家波
ファンタジー
‥‥‥魔導書(グリモワール)。それは、不思議な儀式によって、人はその書物を手に入れ、そして体の中に取り込むのである。 そんな魔導書の中に、とんでもない力を持つものが、ある時出現し、そしてある少年の手に渡った。 ‥‥うん、出来ればさ、まだまともなのが欲しかった。けれども強すぎる力故に、狙ってくる奴とかが出てきて本当に大変なんだけど!?責任者出てこぉぉぉぃ!! これは、その魔導書を手に入れたが故に、のんびりしたいのに何かしらの騒動に巻き込まれる、ある意味哀れな最強の少年の物語である。 「小説家になろう」様でも投稿しています。作者名は同じです。基本的にストーリー重視ですが、誤字指摘などがあるなら受け付けます。

うっかり『野良犬』を手懐けてしまった底辺男の逆転人生

野良 乃人
ファンタジー
辺境の田舎街に住むエリオは落ちこぼれの底辺冒険者。 普段から無能だの底辺だのと馬鹿にされ、薬草拾いと揶揄されている。 そんなエリオだが、ふとした事がきっかけで『野良犬』を手懐けてしまう。 そこから始まる底辺落ちこぼれエリオの成り上がりストーリー。 そしてこの世界に存在する宝玉がエリオに力を与えてくれる。 うっかり野良犬を手懐けた底辺男。冒険者という枠を超え乱世での逆転人生が始まります。 いずれは王となるのも夢ではないかも!? ◇世界観的に命の価値は軽いです◇ カクヨムでも同タイトルで掲載しています。

魔境育ちの全能冒険者は異世界で好き勝手生きる‼︎ 追い出したクセに戻ってこいだと?そんなの知るか‼︎

アノマロカリス
ファンタジー
15歳になり成人を迎えたリュカは、念願の冒険者ギルドに登録して冒険者になった。 そこで、そこそこ名の知れた冒険者Dランクのチームの【烈火の羽ばたき】に誘われる。 そこでの生活は主に雑用ばかりで、冒険に行く時でも荷物持ちと管理しかさせて貰えなかった。 それに雑用だけならと給料も安く、何度申請しても値段が上がる事はなかった。 ある時、お前より役に立つ奴が加入すると言われて、チームを追い出される事になった。 散々こき使われたにも関わらず、退職金さえ貰えなかった。 そしてリュカは、ギルドの依頼をこなして行き… 【烈火の羽ばたき】より早くランクを上げる事になるのだが…? このリュカという少年は、チームで戦わせてもらえなかったけど… 魔女の祖母から魔法を習っていて、全属性の魔法が使え… 剣聖の祖父から剣術を習い、同時に鍛治を学んで武具が作れ… 研究者の父親から錬金術を学び、薬学や回復薬など自作出来て… 元料理人の母親から、全ての料理のレシピを叩き込まれ… 更に、母方の祖父がトレジャーハンターでダンジョンの知識を習い… 母方の祖母が魔道具製作者で魔道具製作を伝授された。 努力の先に掴んだチート能力… リュカは自らのに能力を駆使して冒険に旅立つ! リュカの活躍を乞うご期待! HOTランキングで1位になりました! 更に【ファンタジー・SF】でも1位です! 皆様の応援のお陰です! 本当にありがとうございます! HOTランキングに入った作品は幾つか有りましたが、いつも2桁で1桁は今回初です。 しかも…1位になれるなんて…夢じゃ無いかな?…と信じられない気持ちでいっぱいです。

俺しか使えない『アイテムボックス』がバグってる

十本スイ
ファンタジー
俗にいう神様転生とやらを経験することになった主人公――札月沖長。ただしよくあるような最強でチートな能力をもらい、異世界ではしゃぐつもりなど到底なかった沖長は、丈夫な身体と便利なアイテムボックスだけを望んだ。しかしこの二つ、神がどういう解釈をしていたのか、特にアイテムボックスについてはバグっているのではと思うほどの能力を有していた。これはこれで便利に使えばいいかと思っていたが、どうも自分だけが転生者ではなく、一緒に同世界へ転生した者たちがいるようで……。しかもそいつらは自分が主人公で、沖長をイレギュラーだの踏み台だなどと言ってくる。これは異世界ではなく現代ファンタジーの世界に転生することになった男が、その世界の真実を知りながらもマイペースに生きる物語である。

劣悪だと言われたハズレ加護の『空間魔法』を、便利だと思っているのは僕だけなのだろうか?

はらくろ
ファンタジー
海と交易で栄えた国を支える貴族家のひとつに、 強くて聡明な父と、優しくて活動的な母の間に生まれ育った少年がいた。 母親似に育った賢く可愛らしい少年は優秀で、将来が楽しみだと言われていたが、 その少年に、突然の困難が立ちはだかる。 理由は、貴族の跡取りとしては公言できないほどの、劣悪な加護を洗礼で授かってしまったから。 一生外へ出られないかもしれない幽閉のような生活を続けるよりも、少年は屋敷を出て行く選択をする。 それでも持ち前の強く非常識なほどの魔力の多さと、負けず嫌いな性格でその困難を乗り越えていく。 そんな少年の物語。

凡人がおまけ召喚されてしまった件

根鳥 泰造
ファンタジー
 勇者召喚に巻き込まれて、異世界にきてしまった祐介。最初は勇者の様に大切に扱われていたが、ごく普通の才能しかないので、冷遇されるようになり、ついには王宮から追い出される。  仕方なく冒険者登録することにしたが、この世界では希少なヒーラー適正を持っていた。一年掛けて治癒魔法を習得し、治癒剣士となると、引く手あまたに。しかも、彼は『強欲』という大罪スキルを持っていて、倒した敵のスキルを自分のものにできるのだ。  それらのお蔭で、才能は凡人でも、数多のスキルで能力を補い、熟練度は飛びぬけ、高難度クエストも熟せる有名冒険者となる。そして、裏では気配消去や不可視化スキルを活かして、暗殺という裏の仕事も始めた。  異世界に来て八年後、その暗殺依頼で、召喚勇者の暗殺を受けたのだが、それは祐介を捕まえるための罠だった。祐介が暗殺者になっていると知った勇者が、改心させよう企てたもので、その後は勇者一行に加わり、魔王討伐の旅に同行することに。  最初は脅され渋々同行していた祐介も、勇者や仲間の思いをしり、どんどん勇者が好きになり、勇者から告白までされる。  だが、魔王を討伐を成し遂げるも、魔王戦で勇者は祐介を庇い、障害者になる。  祐介は、勇者の嘘で、病院を作り、医師の道を歩みだすのだった。

処理中です...