ソロ冒険者のぶらり旅~悠々自適とは無縁な日々~

にくなまず

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獣人国編~御前試合の代表決め~

デ・○ゴスティーニ

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~1日前・ゴーマン男爵邸~

「ではゴーマン男爵…いや、ゴーマン君、1週間以内に身辺整理を済ませておけ。
貴様の事業は私が引き継ぐが、危険な物品は私の方で破棄させて頂く。
特に獣人国で使用された試作品や、それに関連する物全てな。」

「ネルヴァ殿、それはあんまりだ!
あれらは私が心血を注いで来た物なのだぞ…!(ゴーマン)」


前日、ゴーマン男爵邸に獣人国から暗部の者達が続々と訪れた。
ゴーマンが事業として行っていた兵器製造の試作品が獣人国で使用されたとの事だ。

しかもゴーマン指示の下だと言う事が送り込まれた私兵達が自供した為、この度情状酌量の余地など一切無く爵位取り消しが決定した。

尚、兵器製造の殆どは対人間、要は戦争で使用される物が殆どであったが、対モンスターとして考えれば有益なものもあった為、一部を残して事業は継続となった。

その後任となったのが、現在ゴーマン″元″男爵に身辺整理を言い渡しているネルヴァ男爵であった。


「何が″心血を注いで″だ。
バルディック・ロスト殿に金魚の糞の様に付きまとい、各地に存在していた遺跡や書物の内容を対人間用に、危険な物に作り替えていっただけでは無いか。
せめて貴様が成し得なかった″人の為″となる様な物にしてやる故、安心して罪を償うが良い!(ネルヴァ)」

バタン!


ゴーマンに吐き付ける様に伝えたネルヴァ男爵は、邸宅の私室を出ていった。


ダンッ!

「糞っ!使えん私兵共め!
たかだか中級冒険者のガキ1人にヤられおって!(ゴーマン)」

キィ…

「…相手は″野盗200人殺し″、二つ名【鬼神】の小さき猛者で御座います。
最初から勝負にならないモノと思われます。(執事)」

「あんなモノ、商人連中の作り出した与太話であろう!
そんな馬鹿げた戦績を出すガキが居て堪るか!(ゴーマン)」

「信じぬのであればそれで結構。
私は身辺整理が御座いますので、失礼致します。(執事)」ペコッ。


ゴーマンの執事が頭を下げて部屋を出ようとすると


「待て!(ゴーマン)」

「…どうされましたゴーマン殿?(執事)」

「私は後1週間は″ゴーマン男爵″だ!
ならば男爵として最後の命令をお前に下す!
金さえ出せば容易に動く傭兵共や荒くれ共を召集、″【鬼神】殺害依頼を出せ!″(ゴーマン)」

「…自分が何を言っているかお分かりですか…?(執事)」

「私にはもう失うモノは何も無い!
最後に憎き【鬼神】が死すれば、腸が煮え滾る想いも晴れよう!(ゴーマン)」

(…せめて最後位は、と思ったが…もうダメだな、この方は…(執事))

「…では私の方で依頼を出させて貰います。
ですが前回の様に街に被害を出すとなると、死ぬよりも重い咎を下されるでしょう。
ですので対象を″【鬼神】のみ″に限定させて頂きますが宜しいでしょうか?(執事)」

「やり方はお前に任せる!
兎に角集められるだけ集めろ!金は幾ら掛かっても構わん!(ゴーマン)」

「それでは、″さようなら″。(執事)」

バタン!


それだけ言い終えると、執事は部屋から出ていった。





~現在・獣人国~

″『【鬼神】【殲滅剣士】【神出弓士】訪問中。
それでも侵入してくるなら自領の闇を世に晒します。』※顔写真入り″

「お、これ立て看板じゃなくて顔写真入りの記事になったんだな。(兵士1)」

「侵入者対策だとさ。(兵士2)」

「【殲滅剣士】と【神出弓士】は首から上見切れてるけど良いのか?(兵士3)」

「馬鹿お前、【鬼神】が写ってるだけで効果覿面だろ?
それに【殲滅剣士】は特徴的な″10本剣″が写ってるんだから直ぐに本物って分かるさ。(兵士4)」





~街ん中~

プルプル…

(早速記事にされてる…!)

(『おー、あの一瞬で良く撮ったなぁ。
しかも顔出しは主だけで2人は上手く見切れてるし。』)


獣人国の各門に貼られた記事を一部ラビッツから貰い、思わず身震いするノア。
よくこう言った情報モノは早さが命、とは言うがここまで早く記事にされるとは思ってもみなかった。

ちなみに現在【記者】のラビッツはと言うと


「はい、お2人さんもう少しくっ付いてくっ付いて。(ラビッツ)」

「あ、あの、これは一体何ですか…?(ヴァモス)」
「み、皆に見られてちょっと恥ずかしいのにゃ…(ベレーザ)」

「はーい、もう直ぐ終わりますからねー。
『パシャ。』はい、もう大丈夫ですよ。(ラビッツ)」


ラビッツからの指示で、ベレーザの背後から優しく抱き締めるヴァモス、と言うシチュエーションの撮影を行っていた。


「…お次は何の撮影で?」

「ウチでは新聞以外に雑誌なんかも取り扱ってまして、それ用の記事を。
美男美女の記事は女性層からのウケが良いですし、お2人は過去の悲劇を乗り越えて来られていますから関心を引かれるのは間違いありません。(ラビッツ)」

「は、はぁ…」

「それに現在国としての機能を停止しているヒュマノからの生還者としての側面をお持ちのお2人でもあるので、出来れば当時のお話なんかも聞ければ…
勿論辛い事ですので、お話したくなければ記事にはしませんがね。(ラビッツ)」

(生還者…?
あ、そうか。ヒュマノに囚われていた子供の奴隷は全員行方不明扱いにしたんだったな。)

「であれば聞くのは避けて貰えると有り難いです。まだ日も浅いので…
2人を助けた経緯なんかは可能な限りお知らせしますので。」

「えぇ、分かりました。(ラビッツ)」


【記者】としては記事にしたい所だろうが、本人達の気持ちを考慮してくれる辺り有り難いモノである。





「それでラビッツさん。
母さんから言われて同行して貰ってますけど、そんなネタになる様な事は起きないと思いますので、その辺ご了承下さいね?」

「お気になさらず。
そうなったらノアさんが過去に関わった事案を記事にしますので。(ラビッツ)」

「あの、そうなったら1度僕の目を通して貰って良いですかね?」

グッ。d( ̄   ̄  )


また再びしれっと写真を撮られ、知らない間に掲載されては少し気恥ずかしいので、その辺りは断りを入れる。

と、そんな話をしていると


スッ…

「ノア君、ちょっと良いかな?(ナサケ)」

「どうしました?」

「ややや!?暗部の方ですか!?
秘匿項目に触れたつもりはありませんよ!?(ラビッツ)」


黒装束姿の諜報員ナサケが突然姿を現し、ノアに声を掛けてきた。
全く気付けなかったラビッツは思わず身構える。


「あ、『文襲砲』のラビッツさん。
私王都諜報部局長のナサケと言います。
『全565巻″商人用荷馬車を作ろう″』毎週楽しみにしてます。(ナサケ)」

「わぁ、講読者さんですか。
いつもご贔屓にありがとうございます。(ラビッツ)」

「客と販売元。」

(『気の長い趣味してんなぁ、あの諜報員。』)


その後客視点の感想等の話が行われ、待ちぼうけを食らったノアに気付くのは、5分程経ってからであった。





「…と、済まない。
ノア君に面会を求めたいと言う者が来たのだが、少し時間良いかな?(ナサケ)」

「時間は大丈夫ですが、何やら熱く語ってたのにもう良いんですか?」ぷんすこ。

「済まんて。(ナサケ)」
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