ソロ冒険者のぶらり旅~悠々自適とは無縁な日々~

にくなまず

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獣人国編~御前試合の代表決め~

関係者大体揃う

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~冒険者ギルド~ 

「次の方どうぞ。」

「預けてある装備を取りに来たのだけど。(アミスティア)」パチッ。

「右に同じく。(レドリック)」パチッ。

「か、畏まりました、少々お待ち下さい。」


受付嬢に冒険者カードを提示したアミスティアとレドリックの2人は、カウンターから離れて壁際へと移動する。

そこには壁の方を向いて待機する少女が居た。


「そんな風にしてたら却って怪しまれるわよミユミユ。(アミスティア)」

「そうそう、逆に堂々としていた方が良いぞミユミユ。(レドリック)」 

「そんな事言ったって…(美幸)」


本人にそのつもりはないが、一応美幸はヒュマノの人間であり、獣人からすれば憎き敵国に現れた怨敵である。

と、美幸の中では思っているが


(別にこっちに来てから恨まれる様な事はまだしていないからそこまで気にする事無いと思うけどなぁ…(レドリック))

(寧ろ今のヒュマノの状況的に、″勝手に連れて来られて勝手に自滅した国の、哀れな異世界人″ってのが今の皆の認識だと思うけどなぁ…(アミスティア))

((まぁ今まで世間の声が聞こえない、閉ざされた場所に居たから仕方無いと言えば仕方無いか。(レドリックとアミスティア)))


この手の人には周りからやいやい言ってもあまり響かない事が多い。
変に2人が言うよりも、自身の耳に入って来た情報を基に納得して貰った方が良いだろう、との事で2人は心の内に留める事にした。





トテテテ…

「お待たせしましたにゃ~。(受付嬢1)」

「お、早かったね。(レドリック)」

「丁度2、3日前に整備が完了した所だったのにゃ~。(受付嬢2)」

ヨタヨタ…

「お、重いですわん…(受付嬢3)」

「あらあら、長剣を纏めて10本も持ってきたのね、それは重いハズよ。(アミスティア)」


受付嬢が3人掛かりで2人が預けていた防具と長剣を持ってきた。
防具はまだしも長剣10本という多さに、周りに居た冒険者から視線が飛ぶ。

が、2人は気にする事無く受付嬢達から装備を受け取ると


「「″装着″。(レドリックとアミスティア)」」
 
『『シュバッ!』』


2人がそう言うと、瞬く間に防具が装着された。

レドリックは全体的に軽装で、太腿や脇腹等の部分に僅かばかりのプレートが入っているのみで、他は全て皮鎧となっていた。

アミスティアはレドリック以上に軽装である。
何せズボンに膝当て程度で、上半身に至っては体にピタリと張り付く程の薄手の半袖インナーである。

防御を全く考えていないのか?と思わざるを得ない防具であった。

そして更に気になったのが、鞘を収める部品が腰とインナーの背中側の至る所に取り付けられていた。


「剣ありがとうね。(アミスティア)」

チャキッ!スッ!スッ!シュッ!ズッ!ギュッ!キュッ!ズッ!『『ジャキッ!』』


腰の両サイドに2本ずつ、腰の裏で交差する様に2本ずつ、最後に背中で交差する様に長剣を1本ずつ差して装着を終えた。


「「「「おおぅ…(周囲の冒険者達)」」」」


見るからに動き辛そうな装備に、周囲から困惑の声が上がる。


「たはは…5年振りに着たから少しブカついているな…(レドリック)」

「ノアちゃんに訓練してたから逆に締まったんだと思うわ。(アミスティア)」

「そう言うアミも少しダブついて無いか?(レドリック)」

「うーん、少しね…後で調整しに行くわ。(アミスティア)」


最近までノアの訓練を行っていたからか、数年振りの装着でも、逆にお互い締まっていた様で苦笑いを上げた。


「…何か2人共凄いですが、アミスティアさんなんか特に…
剣を10本なんて立ち回り辛くないですか?(美幸)」

「普通に考えればそうだけど、私としてはこの方が良いの。
まぁ後で肩慣らしに何か依頼を受けに行こうと思うから、その時にでも披露するわ。(アミスティア)」

「そうですか…
…ってあれ?そう言えばレドリックさん、武器はどうしたんですか?
弓を手にしていないみたいですけど…(美幸)」

「あぁ気にしないでくれ、まだまだ″ストック″はあるから弓が無くても何とかなる。(レドリック)」

「は、はぁ…(美幸)」

「まぁ装備も手に入った事だし、適当に依頼受けて次にミユミユの装備を見繕って来よう。(レドリック)」

「そうね、いつまでもそんな防具じゃ心許ないしね。(アミスティア)」


2人の発言に気になる所はあるが、美幸は2人に促されるまま冒険者ギルドを出、一路防具屋を目指す。

美幸は動きやすさを考え、2人程では無いが、軽装の皮鎧を選定した。

因みにレドリックが受注した依頼は、″魔蛸″の討伐である。





~西門~

「次の方どうぞ。(兵士1)」

ガラガラ…

「パルディック・ロスト伯爵と護衛の者です。(クレハ)」ペラッ。

「おぉっ、これは紛れもなく獣人国からの招待状。いつもご贔屓にありがとうございます。
しかし式典までまだ日がありますが、大丈夫にございますか?(兵士2)」

ひょこっ。

「えぇ、構いません。
獣人国でのんびりと過ごさせて頂きます故。(ロスト)」

「左様ですか。
もし用事等で出国される場合は申し付けて頂ければ幸いです。(兵士1)」

「分かりました。(ロスト)」

「それでは獣人国への入国を許可します。
どうぞお通り下さい。(兵士2)」

「どうもー。(クレハ)」

ガラガラ…


パルディック・ロストを乗せた馬車は門を通り、獣人国内へ入国した。


ガラガラ…

「ふんふんふふ~ん。(アカバ)」

「楽しそうですねアカバは。(ロスト)」

「だって獣人国には諜報活動や裏の仕事とかでしか来た事が無かったんだもん。
本当はダンジョンに行ったりのんびりしたかったんだ~。
クレハだって私と同じ気持ちだと思うよ?(アカバ)」

「はは、いつも仕事させて申し訳無いですねぇ。
ですが、今日からは日頃の仕事など忘れてゆっくりと羽を伸ばして下さい。(ロスト)」

「は~い。(アカバ)」





~パルディック・ロスト入国の数分後~

「はい次の方~。(兵士1)」


兵士が待機列の方に声を掛けると、ローブを身に纏い、僅かに甘い香りを漂わせた女性が前に進み出てきた。

胸元には魔石で形作られた花のブローチが付けけられており、その美しさに思わず見とれてしまう程であった。


「…おぉ…
あ!も、申し訳無い。この国へは観光で訪れたのですか?(兵士2)」

「それもあるっちゃけど、獣人さんって猛ってる人が多いって聞いたっち、すこーし精気を貰いに来たっちゃよ。
はいこれ、身分証。(ミダレ)」

「あ、サキュバスの方でしたか。
…もし仕事をお探しであれば冒険者ギルドの方に行って頂ければ幾つか斡旋出来ると思います。(兵士2)」

「んー、もし危うかったら利用させて貰うっちゃね。(ミダレ)」

「それでは獣人国をお楽しみ下さい。(兵士2)」


テスタで講習を終えた【娼婦】でサキュバスのミダレも獣人国に訪れた様子であった。
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