ソロ冒険者のぶらり旅~悠々自適とは無縁な日々~

にくなまず

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獣人国編~御前試合の代表決め~

大捕物

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「っ!(ゼラ)」ダッ!

バッ!チャキッ…

カツッ!


それを見たゼラがその場から駆け出していくので、ノアは逃がすまいと、矢を番える。

だがその前に地面に何かが落下した。


『『『『『『『『『『『ズギュルッ!』』』』』』』』』』』

ガクッ!「!?」

「がががっ!?(一味3)」ドサッ!
「か、かはぁっ!(一味50)」ズシャ!
「か、かふっ!(一味42)」ドシャッ!


突如全身から力が抜ける感覚と眩暈が発生し、ふらつくノア。
その場に残された集団の一味達はその場で崩れ落ちていた。


(…何だ今のは…今の一瞬で3日間母さんと戦ったかの様な疲労感が襲ったぞ…?)


ノアも思わず立ち尽くしてしまった。
その間『宵闇』のゼラだけが防壁に向かっていた。


(凄まじい威力だな、″収奪煙幕″と言う物は…
だが仲間が全員動けなくなったと言うのに奴は膝すら付かんとは…化物め…!(ゼラ))



収奪煙幕…ゴーマン男爵指示の下開発中の兵器。
効果範囲は狭いものの、範囲内に居る存在の体力を半分にし、魔力を0にする為、対象の動きを止める事が可能。

だが効果範囲を見誤ると自爆の恐れがある為、使用には注意が必要。



(だが僅かでも動きを止めた今が好機!
逃してなるものか!(ゼラ))

「参集せよ【軍団(レギオン)】!
俺を街まで護衛せよっ!(ゼラ)」

『『『『『『『『『『『ブゥンッ!』』』』』』』』』』』

ズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズ…

ガシャッ!ガシャガシャ、ガシャンッ!


ゼラを中心として半径100メルの範囲内に魔法陣が次々と展開し、槍を装備した白い重鎧の兵士約50体が出現。
ゼラを守る様に展開した。





~防壁~

「な、何だあの集団は…(若手)」
「数が減ったと思ったらまた増えたぞ…(若手)」
「ノア様は何か攻撃を受けた様で動きが無い…
俺らでどうにかするしかない…か?(兵士)」

「皆臆するな!迎撃態勢を『ズズンッ!』整…な、何だ!?(リーダー)」


ゼラが出現させた【軍団(レギオン)】に対し、迎撃態勢を取らせようとした『影狼』リーダー含めた一同だが、突如一帯を揺れが襲った。


ボゴッ!ボゴゴゴッ!ズボォアッ!

グォオオオオオオオオッ…


ゼラと【軍団(レギオン)】、防壁との間の地面がうねったかと思うと、長大な存在であるノアの契約獣グリードが姿を現す。


「獣人国は何つーモノを飼っていやがんだ…(ゼラ)」

「ノア殿は何と言うモノを飼っておられるのだ…(リーダー)」


ビョルルンッ!

「【密集陣形(ファランク『ゴシャァアッ!』


胴径3メルを越えるグリードの尻尾が迫った事で、ゼラが召喚した【軍団(レギオン)】による最上級防御形態【密集陣形(ファランクス)】を形成するも、何の抵抗も無く蹴散らされた。

何なら【密集陣形(ファランクス)】の中心に居たゼラは、重鎧の兵士の塊ごと吹き飛ばされた為、左半身十数ヶ所の骨折の重傷を負う事となった。





「…ヒュー…ヒュー…(ゼラ)」

ザリッ…「まだやりますか?」

ズズズ…グルルルル…

「も、もう…ヒュー…指一本すら動かせん…
ヒュー…す、好きにしろ…(ゼラ)」


左半身がグシャグシャに潰れ、呼吸するのがやっとの状態のゼラは、流石に観念した様子であった。

すると


「あー良かった、これで駄目ならどうしようかと思いましたよ。
グリードもお疲れ様。」

『ブゥンッ!』ストッ。

《主様に人殺しは禁じられているから手加減に苦慮しましたのよ?》

「…き、【鬼神】!?
と言う事はこの契約獣は…!!?
お、俺は…何と言う…(ゼラ)」ガクッ!


ここで初めてノアの顔を見たゼラは目を見開いて驚きの表情をした。
そして何かを言い掛けた所で意識を失ったのであった。


「あ!?これマズイんじゃない!?」

《て、手加減は致しましたよ!?》

ズズズ…

「2人共落ち着いて下さい、気を失っただけです。
今直ぐ治療しますのでお任せを!(ヴァンディット)」


気絶したゼラに慌てるノアとグリード。
それを落ち着かせる様に言い聞かすヴァンディットであったが、あるモノを発見してノアに報告をする。


「あ、あの、ノア様?これ…(ヴァンディット)」

「ん?どうしましたヴァンディットさ…
っ!?離れて!『ブチッ!『ヒュンッ!』『バァアンッ!』


ヴァンディットは、ゼラの腰の辺りに筒状の物体が赤熱しつつ火花が出ているのを発見。

これはゴーマンから支給された試作品の1つで、先程の衝撃で破損した為、不安定な状態であった。

直ぐ様ノアはゼラの腰からベルトごと引き剥がし、自身を盾とした直後、破裂音と共に爆発した。


ボフォッ…プシッ…

「くそ…
大丈夫ですか、ヴァンディットさん!?」


煙の中から両腕と頬の一部に破片が突き刺さったノアが姿を現す。
自身が盾となった為、大丈夫だとは思うが後方のヴァンディットに確認を取る。


バサッ…

「まぁ僕が駄目でも″にゃんこさん″が来たから大丈夫だと思いますがね…」


ノアが後ろを振り返ると、大柄な黒装束の人物がヴァンディットを抱き抱えていた。

″にゃんこさん″とは、王都の諜報部員である獣人の愛称である。が、ヴァンディットのみそう呼ぶ事を許されている。


「にゃんこさん言うな。
何やら騒がしいと思って来てみれば、ヴァンディット嬢が危うい目に遭い掛けていたのだ。助けにも入るさ。」

「あ、ありがとうございます…(照れヴァンディット)」

「あぁ、済まないヴァンディット嬢!
つい力が入ってしまって…」

「い、いえいえこちらこそ…(照れヴァンディット)」

(なーんかこの2人仲良いんだよなぁ。)


ペコペコと謝りあう2人を他所に、ノアに近付く人物がもう2人。


「やぁノア君久し振り。
突然″『人の存在の消し方を教えて下さい。』″(タイトル:『誤解』の件)なんて物騒な手紙が来たから慌ててやって来たよ。(ナサケ)」

「本当は″調″達も来る予定だったけど別の任務に就いてるから今日は私と局長、それとそこの″動″の3人で来た訳。
そしたら爆音に轟音、妙な気配を察知してやって来たの。
そしたらそこの…ぶっ…″にゃんこさん″が…くくっ…飛び出して…(探)」

「ええい忘れろ忘れろ!
それよりもここへ来た目的を思い出すん、だっ!(動)」


ヴァンディットと話していた時とは違う、語気強めな口調で仲間の諜報部員である女性(″探(サグリ)″)に言い放つにゃんこさん。

黒装束で隠れているが、その下の表情は想像に難くない。


「まぁ″動″の言う通り、当初の目的について話すとしましょう。
ですがその前にこの場を収める所からでしょうね。(ナサケ)」


そう言って諜報部の局長であるナサケは″動″や″探″らと共にゼラや、その他メンバーの捕縛を開始。

少しして獣人国から『影狼』達や兵士達がやって来て共に捕縛や治療を行う。
『影狼』と諜報部員達は、先の子供獣人救出作戦で顔を合わせていた為、特に滞りなく作業は進んだ。

こうして、獣人国内の誰にも気付かれる事無く大捕物は行われたのであった。

ちなみに戦闘で出来た穴や破壊の痕はグリードによって整地された。

夜中の12時頃には大捕物の事柄は完了し、諜報部員とノアとの話は朝方まで続いたとさ。
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