ソロ冒険者のぶらり旅~悠々自適とは無縁な日々~

にくなまず

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獣人国編~御前試合の代表決め~

試合の相手は海底山脈

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「そ、そもそも獣人国代表て、それは獣人さん達が納得しないのでは!?」

「それに関しては一案ある。
君、王都でヴァモスとベレーザを保護し、今現在も一応彼らの保護者と言う立場でいるであろう?(ローグ)」

「…えぇ。
でも最近漸くこの国に馴染んできたみたいですからそろそろ僕の役目は終わりかな、と思ってますがね。」

「最初は2人に″嫁に″、″旦那に″とお誘いが絶えなかったであろう?(ローグ)」

「えぇ、でもお誘いがあれば僕の下まで来る様、最初に伝えていたお陰か、最近はそう言った申し出が無くなって来たので良い傾向と言えるでしょう。」


別に作者が忘れていたとかそんな事は無く、本当にめっきりとそう言った申し出が減っていた。

恐らく悉く挑戦者がボコられていったせいか、諦めが付いたのだと思っていた。




「いや、その都度少年に挑戦するのも何だから、と言う理由で水面下では挑戦者や元々腕っぷしに自信のある者同士が集まり、トーナメント戦が行われていたぞ。
何ならベレーザはノリノリでラウンドガールまで務めていたみたいだからな。(ローグ)」

「何やってんの、ベレーザ…」


要するに、ベレーザを嫁にとノアに申し出る為の権利を得る為、挑戦者同士水面下で凌ぎを削っていたとの事。
何とも回りくどい話である。


「全く…そんな事しなくても言ってくれれば良かったのに…」

「いやなんでも少年があまりにも忙しそうだったから、と皆口々に言っておったぞ。(ローグ)」

「あぁ…そういえばそっか…」


~ノアが獣人国に来てからの出来事~

『ダンジョン『宝物庫』正規ルート攻略』
『子供獣人大規模奪還作戦』
『森の番人レント・レアナ討伐』
『魔蛸乱獲』
『フラグブレイカーとしてのお仕事』
『【勇者】パーティの精神力強化』
『【勇者】アークの改心&ダンジョン『時の迷宮』4層攻略』
『獣人国南部にある村からの依頼&中級冒険者試験の為遠出』



「それでそのトーナメント戦で勝ち上がった獣人さんと対戦して、勝った上で獣人国代表にしてしまおうと言う訳ですね?」

「そういう事だ。
実質この国で1番の強者である事になるからな。(ローグ)」

「…それで龍宮城からは誰が出る事になるんですか?」

「クラーケン(成体)だよ。
ほら、ノア君が初めてウチに来た時にボコったクラーケンの親御さん。(リヴァイア)」

「ぶふっ!?」

「「?(ローグとジョー)」」


サラッと言った割にトンでもない名前が飛び出し、思わず吹き出してしまうノアであった。
ちなみにではあるが、獣人国国王のローグとジョーはクラーケンの実物を見た事が無いからか、見るからに反応が薄かった。


「ちょ、ちょっと、冗談は止して下さい!
あんな遠目から見て山脈と見間違う程の巨体とどう戦えって言うんですか!?
ただ歩いただけで街の半分吹き飛びますよっ!」

「まぁまぁ、それを見越して試合場は私の方で用意するし、<人化>の術も教えたよ。
まぁそれでも50メル位までしか小さくなれないけど、安全は保証するよ。(リヴァイア)」

「そ、そうまでして戦わないとダメですか…?」


別に御前試合をしたくない訳では無い。
何なら1度王都でもやっている事なので今更と言う気持ちである。

リヴァイアがこう頼んできているのだから、やはり先程言っていた張り切っている長老達から圧力を掛けられているのだろうか、と少し思案したが少し違っている様だ。


「実を言うとね、海洋種の長老達は外の現世界を見定めようとしているんだ。(リヴァイア)」

「え?」

「ほら、私達ってノア君が訪れるまでその存在すら知られてなかったじゃない?
存在を示唆するモノはお伽噺とかで語られてるけど、その程度だし。
でも大昔に何度か姿を現して交流を図ろうとしてたんだけど、昔は今より殺伐としてたから討伐対象か信仰の対象にしかされなかったの。
だから深ーい海の底でひっそりと暮らしてたんだけど、それが良くなかったんだ。(リヴァイア)」

「と言うと?」

「その時代を生きた長老達は″外の世界は危険″と言う凝り固まった認識のままになっちゃったんだ。
勿論どの世界でも安全安心だ、何て胸を張って言える保証は無いんだけどね。
でだ、そんな認識のままだから他種族と交流を図ろうとする者が居ても中々進展せず。
何なら″我ら海洋最強種、他者と手を取り合う必要は無い″とまで言い出す者も居たよ。(リヴァイア)」


過去の認識に囚われ、それ以外の情報が一切入ってこなければそうなるのも仕方の無い事だろう。
今まで何もして来なかった訳では無い様で、それらを思い出してかリヴァイアは苦笑いして答えていた。


「そんなある日、ノア君が龍宮城にやって来た、と言うか落ちて来たんだけど、最初は皆驚いたもんだ、″外の世界が攻めてきたぞ″なんて焚き付ける者も居たよ。
だが″我が息子が居る″と長老達の纏め役であるクラーケンが落ち着かせてその場は落ち着いたけど、まさか半死半生の状態でその息子さんを脅かしたんだ、色々と衝撃を受けたよ。(リヴァイア)」

「あ、あの時は仕方無く…」

「あぁ、分かってる。
だけどもっと衝撃的だったのは君と一緒に居た存在だ。(リヴァイア)」

「グリードの事ですか?」

「あぁ。
長老達やそれに連なる者達は″海洋最強種″を謳っているが、私含めた″龍種″には遠く及ばない。
そんな存在が、″外の世界″の者と手を取って共に戦い挑んでいたんだ、王都での一連の騒ぎが終わった後、長老達の考えに変化があったよ。
″我等が外の世界の者達と長い事関係を絶っている間に、我等より上位の存在が既に外の世界の者と共に手を取り合い、肩を並べて日々を送っている。昔ではあり得ない事だ。
もう我等の知る世界では無くなったのやも知れんな″ってね。(リヴァイア)」

「え、じゃああの場にグリードが居なかったら国交の話自体出てなかったかも知れないって事ですか?」

「多分ね。
寧ろノア君が1人でクラーケンを脅かしていたら、″外の世界は思っていた以上に危ない。小さき者1人1人が最強種を脅かす程の力を持っておる。″とか何とか言って更に表には出ようとしなかっただろうね。(リヴァイア)」


ノアとグリードが出会ったのも偶然に偶然が重なった結果であるのだが、今回そこに更に偶然が重なった結果と言えよう。


「とは言え、それでも全員が全員納得している訳では無い。
未だに外の世界は危ない、と頑なに交流を図ろうとしない者も居る、が、私は今回の式典にてそう言った種族の名を、存在を明かす。
その上で交流を図ろうとしないのであればそれでも良いと思っている。
だがその者達に″選択肢″を与えたいのだ。
昔の認識に囚われ表舞台に出る事無くこのまま悠久の時を過ごすか、世界の広さを知るか、とね。(リヴァイア)」

「…それで御前試合ですか…?」

「あぁ。
先にも言った、″今こそ我等の力を見せる時″と言った者達は、何も現世界で暴れてやろとかそう言った意味合いで言ったのではなくて、力を見せ付けて″畏怖の念を持たせ、不干渉を決め込もう″としてる様なんだ。
その前に考えを改めてみて欲しくて長老達の代表であるクラーケン(成体)と君に試合って欲しいんだ。(リヴァイア)」

(不干渉か…【ソロ】の自分も最初はそのつもりで行動してきたけど、何だかんだ関わり合いを持って今に至る…
つまり不干渉を貫くと言う、その長老達に外の世界の存在を間接的に見せ、考えを改める一助の助けになれば、と言う訳か…)

「どうかなノア君、この話受けて貰えないだろうか。(リヴァイア)」

「…分かりました。
良い結果に繋がるかどうか定かではありませんが、この話お受け致します。
僕も何だかんだリヴァイアさんには色々とお世話になってますからね。」
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