572 / 1,171
獣人国編~中級冒険者試験~
気配を殺す
しおりを挟む
「……握手?」
「そ、握手。友好の現れよ。(リーパー)」
「ふむ…」
手を差し出されたノアは顎に手を当てて少しの間考え込む。
「ま、いっか。」キュッ…
と、一言呟き差し出された手を握ると
バシュゥッ!モワァッ…
リーパーの手首から紫色のモヤが噴出し、一瞬の内に全身を包まれる。
「何かしら仕掛けてくるだろうと予想してたみたいだけど、これは予想「イービルバイパーの毒特有の甘い芳香、差し出した手は義手。
中に刃物か棒状の物を仕込んでますね?」
「っ…(毒が効いてない…?断続的な激痛が走るハズ…というか義手を外せない…!?)」
ミシミシミシミシ…ビキンッ!ビキッ!
噴出された毒のモヤを物ともせず、ノアはリーパーの義手を中に仕込んだ刃物ごと握り潰している為、リーパーは逃げ出す事が出来ずにいた。
「今の行動は開戦の合図と捉えて良いんですよね?」
紫のモヤから覗いたノアの表情は普段通りだが、所々が紫色に変色していた。
だがそれも直ぐ様元の肌色に戻っていく。
と、ここでリーパーの近くで待機していた夫のジャックが一瞬の内に間合いを詰めて来る。
ザッ!
「ブッ!」
ビチャッ!「ぬっ!? 『ジュッ…』ぐぉっ!?」
ジャックが動き出したと同時にノアが口内に含んでいた″ある物″をジャックの顔面に吐き出す。
それは紫に変色した塊であった。
「チッ!(リーパー)」シュバッ!
ボギンッ!ギュルッ!ズンッ!ズズンッ!
「かふっ!?(リーパー)」
逃げ出せないと判断したリーパーは、空いてる手に仕込んでいたナイフを振り、ノアに斬り掛かるも、<刃断ち>を発動してリーパーの義手と中に仕込んでいた刃物ごと破壊するノア。
リーパーの斬り掛かりを回転しつつ回避すると、脇の下、脇腹に肘鉄を合計3発打ち込み、呼吸困難に追い込む。
ヒュドッ!「がっ!?(ジャック)」
ボッ!ドゴッ!「ぶっ!(ジャック)」
その流れでノアは、吐き出された塊に怯んだジャックの目に軽く手刀を打ち込んで一時的に視力を潰しつつ、先程破壊したリーパーの義手を<投擲術>を発動してジャックの腹部にぶつけ、更に怯ませたのであった。
その後
シャキン!ジャキッ!
「【暗殺】相手に何の準備も無しに挑む訳無いでしょう?
取り敢えず勝ちましたがまだやりますか?」
怯んで体勢を崩した2人に、ノアは荒鬼神ノ化身を抜き、2人の喉元に突き付けた。
この間、僅か10秒の出来事であった。
「げほっ…
あはっ、【鬼神】のノア…君はやはり最高だわ!(リーパー)」
「あぁ、最高だ!
今の一連の流れなんて理想的だな!(ジャック)」
「…何でボコられて喜んでるんです…?」
リーパーは脇腹を、ジャックはノアに紫に変色した塊を当てられ、少し爛れた顔を押さえているが、2人共嬉々とした表情であった。
ちなみに先程ノアがジャックに吐き出した紫に変色した塊というのは、顎に手をやった際に口に含んでいた毒消しである。
毒のモヤが体内に吸収される前に毒消しに吸着した物を吐きつけたのであった。
「【暗殺】と言う適正は、多種多様なスキルや技術を身に付ければ必要があるけど、全てを出し切れずにその生涯を終えると言われているわ。(リーパー)」
「【暗殺】とは言え、基本的には闇討ち、奇襲等の小狡い手を用いたモノが殆ど。
計画も練りに練るモノだから最小限の動きで最大限の結果を出す。
今の様に真正面から、しかも事前計画も一切無しの状態から殺り合う事は普通では有り得ないのだよ。(ジャック)」
「今この場は、私達の全てを出し切れる唯一無二の場とも言えるのよ!
こんな機会はそう簡単に得られるモノじゃ無い!嬉しくって痛みなんか感じない位よ!(リーパー)」
「そ、そうですか…」チラッ…
嬉々として話す2人の反応に、ノアは『暗殺対象』と書かれた札を下げ、近くの椅子に座る職員のミゼラに目線を送る。
するとそれに気付いたミゼラがノアの意図を察して返答する。
「今お聞きした様に、【暗殺】のジャックとリーパー夫妻はこの街で3本の指に入る程の戦闘狂です。
熱中するあまり、腕や足の骨1本折れた位じゃ止まらないので見ているこっちはヒヤヒヤモノですよ。
良いですか2人共!あくまで試験ですからね!やり過ぎない様にして下さいね!(ミゼラ)」
「「分かってるって!(ジャック、リーパー)」」
『『ジャキッ!』』
ジャックは両の手にナイフを2本ずつ、リーパーは新たな義手を装着して再びノアへ向けて走り出した。
「…いたぶる趣味は無いんだけど…仕方無いか…」
相手が戦闘狂、しかも多少のダメージ位では怯まないと知ったノアは、やれやれといった様子で構え出した。
(…姿も気配も無い…
今の今まで誰も居なかったかの様な静けさだ…)
構えたノアだったが、意気揚々と駆け出した2人の姿が忽然と消え去った。
この場に居るのはノアと、少し離れた場所に座る職員のミゼラだけであった。
スパッ!ツゥ…
「……。」
ノアの頬に僅かな斬り傷が出来、そこから血が垂れる。
だがノアは動かない。
ドッ!ブシュッ!
「……。」
今度は肩の防具の隙間を縫う様に指の第2関節分の刃物が突き刺さり、鮮血が噴き出す。
だがそれでもノアは動かなかった。
サッサササッ。
(…ねぇどうしたの?急に動かなくなっちゃったけど…?(リーパー))
ササッ。サッサッ。
(…分からん、探りを入れてる様だが俺達は今″気配を殺している。″
幾ら彼でも俺達を探り当てられんだろう。
だがこの状況を彼がどう打破するか見物ではあるがな…(ジャック))
と、お互い息を止め、手話で会話をするジャック、リーパー夫妻。
これは【暗殺】が持つ固有スキル【黒子(クロコ)】と言うスキルである。
【黒子】…【暗殺】の固有スキル。
息を止めている間、自身の姿、気配、体臭から体温まで全てを遮断するものである。
サササッ。
(卑怯にも程があるかもしれんが、彼に対抗出来る唯一の方法とも言える。
もう2、3撃入れたら解除し、時折挟んで彼を翻弄しよう。(ジャック))
サッ。
(了解。(リーパー))
と、伝えた後ジャックはゆっくりとノアへ近付き、ナイフを首目掛けて振り下ろした。
ガッ!ミキッ!ボキッ!ガコッ!ガゴッ!
「おぶぇっ!?(ジャック)」
シュゥウ…
「なっ!?(リーパー)」
不可視のナイフを掴み取ったノアは、続けざまに手首と腕をへし折り、ジャックの顎に掌底を2発打ち込んだ。
その一連の攻撃でジャックは戦闘不能に陥った。
あまりの衝撃に息をしてしまい、ジャックと共にリーパーも姿を現してしまった。
「初めの2発で致命傷与えとけば良かったのに…
たかだか姿と気配と体臭と体温消した位で油断したらダメでしょ。」
「そ、握手。友好の現れよ。(リーパー)」
「ふむ…」
手を差し出されたノアは顎に手を当てて少しの間考え込む。
「ま、いっか。」キュッ…
と、一言呟き差し出された手を握ると
バシュゥッ!モワァッ…
リーパーの手首から紫色のモヤが噴出し、一瞬の内に全身を包まれる。
「何かしら仕掛けてくるだろうと予想してたみたいだけど、これは予想「イービルバイパーの毒特有の甘い芳香、差し出した手は義手。
中に刃物か棒状の物を仕込んでますね?」
「っ…(毒が効いてない…?断続的な激痛が走るハズ…というか義手を外せない…!?)」
ミシミシミシミシ…ビキンッ!ビキッ!
噴出された毒のモヤを物ともせず、ノアはリーパーの義手を中に仕込んだ刃物ごと握り潰している為、リーパーは逃げ出す事が出来ずにいた。
「今の行動は開戦の合図と捉えて良いんですよね?」
紫のモヤから覗いたノアの表情は普段通りだが、所々が紫色に変色していた。
だがそれも直ぐ様元の肌色に戻っていく。
と、ここでリーパーの近くで待機していた夫のジャックが一瞬の内に間合いを詰めて来る。
ザッ!
「ブッ!」
ビチャッ!「ぬっ!? 『ジュッ…』ぐぉっ!?」
ジャックが動き出したと同時にノアが口内に含んでいた″ある物″をジャックの顔面に吐き出す。
それは紫に変色した塊であった。
「チッ!(リーパー)」シュバッ!
ボギンッ!ギュルッ!ズンッ!ズズンッ!
「かふっ!?(リーパー)」
逃げ出せないと判断したリーパーは、空いてる手に仕込んでいたナイフを振り、ノアに斬り掛かるも、<刃断ち>を発動してリーパーの義手と中に仕込んでいた刃物ごと破壊するノア。
リーパーの斬り掛かりを回転しつつ回避すると、脇の下、脇腹に肘鉄を合計3発打ち込み、呼吸困難に追い込む。
ヒュドッ!「がっ!?(ジャック)」
ボッ!ドゴッ!「ぶっ!(ジャック)」
その流れでノアは、吐き出された塊に怯んだジャックの目に軽く手刀を打ち込んで一時的に視力を潰しつつ、先程破壊したリーパーの義手を<投擲術>を発動してジャックの腹部にぶつけ、更に怯ませたのであった。
その後
シャキン!ジャキッ!
「【暗殺】相手に何の準備も無しに挑む訳無いでしょう?
取り敢えず勝ちましたがまだやりますか?」
怯んで体勢を崩した2人に、ノアは荒鬼神ノ化身を抜き、2人の喉元に突き付けた。
この間、僅か10秒の出来事であった。
「げほっ…
あはっ、【鬼神】のノア…君はやはり最高だわ!(リーパー)」
「あぁ、最高だ!
今の一連の流れなんて理想的だな!(ジャック)」
「…何でボコられて喜んでるんです…?」
リーパーは脇腹を、ジャックはノアに紫に変色した塊を当てられ、少し爛れた顔を押さえているが、2人共嬉々とした表情であった。
ちなみに先程ノアがジャックに吐き出した紫に変色した塊というのは、顎に手をやった際に口に含んでいた毒消しである。
毒のモヤが体内に吸収される前に毒消しに吸着した物を吐きつけたのであった。
「【暗殺】と言う適正は、多種多様なスキルや技術を身に付ければ必要があるけど、全てを出し切れずにその生涯を終えると言われているわ。(リーパー)」
「【暗殺】とは言え、基本的には闇討ち、奇襲等の小狡い手を用いたモノが殆ど。
計画も練りに練るモノだから最小限の動きで最大限の結果を出す。
今の様に真正面から、しかも事前計画も一切無しの状態から殺り合う事は普通では有り得ないのだよ。(ジャック)」
「今この場は、私達の全てを出し切れる唯一無二の場とも言えるのよ!
こんな機会はそう簡単に得られるモノじゃ無い!嬉しくって痛みなんか感じない位よ!(リーパー)」
「そ、そうですか…」チラッ…
嬉々として話す2人の反応に、ノアは『暗殺対象』と書かれた札を下げ、近くの椅子に座る職員のミゼラに目線を送る。
するとそれに気付いたミゼラがノアの意図を察して返答する。
「今お聞きした様に、【暗殺】のジャックとリーパー夫妻はこの街で3本の指に入る程の戦闘狂です。
熱中するあまり、腕や足の骨1本折れた位じゃ止まらないので見ているこっちはヒヤヒヤモノですよ。
良いですか2人共!あくまで試験ですからね!やり過ぎない様にして下さいね!(ミゼラ)」
「「分かってるって!(ジャック、リーパー)」」
『『ジャキッ!』』
ジャックは両の手にナイフを2本ずつ、リーパーは新たな義手を装着して再びノアへ向けて走り出した。
「…いたぶる趣味は無いんだけど…仕方無いか…」
相手が戦闘狂、しかも多少のダメージ位では怯まないと知ったノアは、やれやれといった様子で構え出した。
(…姿も気配も無い…
今の今まで誰も居なかったかの様な静けさだ…)
構えたノアだったが、意気揚々と駆け出した2人の姿が忽然と消え去った。
この場に居るのはノアと、少し離れた場所に座る職員のミゼラだけであった。
スパッ!ツゥ…
「……。」
ノアの頬に僅かな斬り傷が出来、そこから血が垂れる。
だがノアは動かない。
ドッ!ブシュッ!
「……。」
今度は肩の防具の隙間を縫う様に指の第2関節分の刃物が突き刺さり、鮮血が噴き出す。
だがそれでもノアは動かなかった。
サッサササッ。
(…ねぇどうしたの?急に動かなくなっちゃったけど…?(リーパー))
ササッ。サッサッ。
(…分からん、探りを入れてる様だが俺達は今″気配を殺している。″
幾ら彼でも俺達を探り当てられんだろう。
だがこの状況を彼がどう打破するか見物ではあるがな…(ジャック))
と、お互い息を止め、手話で会話をするジャック、リーパー夫妻。
これは【暗殺】が持つ固有スキル【黒子(クロコ)】と言うスキルである。
【黒子】…【暗殺】の固有スキル。
息を止めている間、自身の姿、気配、体臭から体温まで全てを遮断するものである。
サササッ。
(卑怯にも程があるかもしれんが、彼に対抗出来る唯一の方法とも言える。
もう2、3撃入れたら解除し、時折挟んで彼を翻弄しよう。(ジャック))
サッ。
(了解。(リーパー))
と、伝えた後ジャックはゆっくりとノアへ近付き、ナイフを首目掛けて振り下ろした。
ガッ!ミキッ!ボキッ!ガコッ!ガゴッ!
「おぶぇっ!?(ジャック)」
シュゥウ…
「なっ!?(リーパー)」
不可視のナイフを掴み取ったノアは、続けざまに手首と腕をへし折り、ジャックの顎に掌底を2発打ち込んだ。
その一連の攻撃でジャックは戦闘不能に陥った。
あまりの衝撃に息をしてしまい、ジャックと共にリーパーも姿を現してしまった。
「初めの2発で致命傷与えとけば良かったのに…
たかだか姿と気配と体臭と体温消した位で油断したらダメでしょ。」
59
お気に入りに追加
1,967
あなたにおすすめの小説

子爵家の長男ですが魔法適性が皆無だったので孤児院に預けられました。変化魔法があれば魔法適性なんて無くても無問題!
八神
ファンタジー
主人公『リデック・ゼルハイト』は子爵家の長男として産まれたが、検査によって『魔法適性が一切無い』と判明したため父親である当主の判断で孤児院に預けられた。
『魔法適性』とは読んで字のごとく魔法を扱う適性である。
魔力を持つ人間には差はあれど基本的にみんな生まれつき様々な属性の魔法適性が備わっている。
しかし例外というのはどの世界にも存在し、魔力を持つ人間の中にもごく稀に魔法適性が全くない状態で産まれてくる人も…
そんな主人公、リデックが5歳になったある日…ふと前世の記憶を思い出し、魔法適性に関係の無い変化魔法に目をつける。
しかしその魔法は『魔物に変身する』というもので人々からはあまり好意的に思われていない魔法だった。
…はたして主人公の運命やいかに…

こちらの異世界で頑張ります
kotaro
ファンタジー
原 雪は、初出勤で事故にあい死亡する。神様に第二の人生を授かり幼女の姿で
魔の森に降り立つ 其処で獣魔となるフェンリルと出合い後の保護者となる冒険者と出合う。
様々の事が起こり解決していく

うっかり『野良犬』を手懐けてしまった底辺男の逆転人生
野良 乃人
ファンタジー
辺境の田舎街に住むエリオは落ちこぼれの底辺冒険者。
普段から無能だの底辺だのと馬鹿にされ、薬草拾いと揶揄されている。
そんなエリオだが、ふとした事がきっかけで『野良犬』を手懐けてしまう。
そこから始まる底辺落ちこぼれエリオの成り上がりストーリー。
そしてこの世界に存在する宝玉がエリオに力を与えてくれる。
うっかり野良犬を手懐けた底辺男。冒険者という枠を超え乱世での逆転人生が始まります。
いずれは王となるのも夢ではないかも!?
◇世界観的に命の価値は軽いです◇
カクヨムでも同タイトルで掲載しています。
魔境育ちの全能冒険者は異世界で好き勝手生きる‼︎ 追い出したクセに戻ってこいだと?そんなの知るか‼︎
アノマロカリス
ファンタジー
15歳になり成人を迎えたリュカは、念願の冒険者ギルドに登録して冒険者になった。
そこで、そこそこ名の知れた冒険者Dランクのチームの【烈火の羽ばたき】に誘われる。
そこでの生活は主に雑用ばかりで、冒険に行く時でも荷物持ちと管理しかさせて貰えなかった。
それに雑用だけならと給料も安く、何度申請しても値段が上がる事はなかった。
ある時、お前より役に立つ奴が加入すると言われて、チームを追い出される事になった。
散々こき使われたにも関わらず、退職金さえ貰えなかった。
そしてリュカは、ギルドの依頼をこなして行き…
【烈火の羽ばたき】より早くランクを上げる事になるのだが…?
このリュカという少年は、チームで戦わせてもらえなかったけど…
魔女の祖母から魔法を習っていて、全属性の魔法が使え…
剣聖の祖父から剣術を習い、同時に鍛治を学んで武具が作れ…
研究者の父親から錬金術を学び、薬学や回復薬など自作出来て…
元料理人の母親から、全ての料理のレシピを叩き込まれ…
更に、母方の祖父がトレジャーハンターでダンジョンの知識を習い…
母方の祖母が魔道具製作者で魔道具製作を伝授された。
努力の先に掴んだチート能力…
リュカは自らのに能力を駆使して冒険に旅立つ!
リュカの活躍を乞うご期待!
HOTランキングで1位になりました!
更に【ファンタジー・SF】でも1位です!
皆様の応援のお陰です!
本当にありがとうございます!
HOTランキングに入った作品は幾つか有りましたが、いつも2桁で1桁は今回初です。
しかも…1位になれるなんて…夢じゃ無いかな?…と信じられない気持ちでいっぱいです。

俺しか使えない『アイテムボックス』がバグってる
十本スイ
ファンタジー
俗にいう神様転生とやらを経験することになった主人公――札月沖長。ただしよくあるような最強でチートな能力をもらい、異世界ではしゃぐつもりなど到底なかった沖長は、丈夫な身体と便利なアイテムボックスだけを望んだ。しかしこの二つ、神がどういう解釈をしていたのか、特にアイテムボックスについてはバグっているのではと思うほどの能力を有していた。これはこれで便利に使えばいいかと思っていたが、どうも自分だけが転生者ではなく、一緒に同世界へ転生した者たちがいるようで……。しかもそいつらは自分が主人公で、沖長をイレギュラーだの踏み台だなどと言ってくる。これは異世界ではなく現代ファンタジーの世界に転生することになった男が、その世界の真実を知りながらもマイペースに生きる物語である。

劣悪だと言われたハズレ加護の『空間魔法』を、便利だと思っているのは僕だけなのだろうか?
はらくろ
ファンタジー
海と交易で栄えた国を支える貴族家のひとつに、
強くて聡明な父と、優しくて活動的な母の間に生まれ育った少年がいた。
母親似に育った賢く可愛らしい少年は優秀で、将来が楽しみだと言われていたが、
その少年に、突然の困難が立ちはだかる。
理由は、貴族の跡取りとしては公言できないほどの、劣悪な加護を洗礼で授かってしまったから。
一生外へ出られないかもしれない幽閉のような生活を続けるよりも、少年は屋敷を出て行く選択をする。
それでも持ち前の強く非常識なほどの魔力の多さと、負けず嫌いな性格でその困難を乗り越えていく。
そんな少年の物語。

【完結】平民聖女の愛と夢
ここ
ファンタジー
ソフィは小さな村で暮らしていた。特技は治癒魔法。ところが、村人のマークの命を救えなかったことにより、村全体から、無視されるようになった。食料もない、お金もない、ソフィは仕方なく旅立った。冒険の旅に。

文字変換の勇者 ~ステータス改竄して生き残ります~
カタナヅキ
ファンタジー
高校の受験を間近に迫った少年「霧崎レア」彼は学校の帰宅の最中、車の衝突事故に巻き込まれそうになる。そんな彼を救い出そうと通りがかった4人の高校生が駆けつけるが、唐突に彼等の足元に「魔法陣」が誕生し、謎の光に飲み込まれてしまう。
気付いたときには5人は見知らぬ中世風の城の中に存在し、彼等の目の前には老人の集団が居た。老人達の話によると現在の彼等が存在する場所は「異世界」であり、元の世界に戻るためには自分達に協力し、世界征服を狙う「魔人族」と呼ばれる存在を倒すように協力を願われる。
だが、世界を救う勇者として召喚されたはずの人間には特別な能力が授かっているはずなのだが、伝承では勇者の人数は「4人」のはずであり、1人だけ他の人間と比べると能力が低かったレアは召喚に巻き込まれた一般人だと判断されて城から追放されてしまう――
――しかし、追い出されたレアの持っていた能力こそが彼等を上回る性能を誇り、彼は自分の力を利用してステータスを改竄し、名前を変化させる事で物体を変化させ、空想上の武器や物語のキャラクターを作り出せる事に気付く。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる