ソロ冒険者のぶらり旅~悠々自適とは無縁な日々~

にくなまず

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獣人国編~【勇者】アーク・ダンジョン『時の迷宮』~

つーかやらせろ。

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ブゥンッ!

「はぁ…はぁ…はぁ…
んだ最後の『ナマケモノ』とか言うモンスターは!
全然怠けてねぇじゃねぇかっ!」


『時の迷宮』から帰還(本日6回目:実質10日)したアークは早速愚痴を言い放つ。


「名前と見た目だけで雑魚と勘違いしてあなたが墓穴掘っただけじゃないですか。
ハウンドが助けなかったら叩き潰されてましたよ!」

「団長、甘やかし過ぎでは?
蘇生薬を1人5本渡されてるのですから1、2回命を落とさせて身の程を弁えさせてみては如何でしょう?」

「い、いや…流石に…」


5回目と6回目に同行しているのは、『犬姫』団長のハナと部下のハウンド。

相変わらずのアークの態度に苛立ちを隠せないハウンドがそう提案するも、ある程度は目を瞑るつもりのハナではあるが、流石においそれと不用意な事を言えない為、難しい表情をしている。




「あ、アーク!
あなた姿が見えないと思ったらこんな所に居たのですね!?」

「あっ!?お前ら!
俺が酷い目に遭ってると言うのに今まで何をしてやがった!」


通路の奥からミミシラ、アックスレイ、ヴォルフスティの3人が姿を現す。
するとアークは、3人の姿を見るや開口一番に文句を言う始末である。


ザッザッザッ…

「彼は罪を重ね過ぎたのでこのダンジョン『時の迷宮』で強制労働を課されているのですよ。」


3人の後方からノアが歩み出てきてアークの前に立つ。


「あ?んだ、てめぇは?」

「面と向かって会うのは初めてでしたね。
『カポッ。』これでどうです?思い出せますか?」


ノアは『ブレイカー』の仮面を被り、アークに見せ付ける。


「あっ!?お前あの時のっ!?」

「思い出しましたか?
30人程の冒険者を操ったにも関わらず、一方的にあなたを捕縛した新人冒険者のノアと言います。」ひらひら


手を振って露骨に煽るノア。
アークはぐうの音も出なかったが、絞り出す様に問い掛けてきた。


「くっ…き、貴様が何でここに…」

「それはですね、昨日今日と彼女達に特訓を行ってましてね。
その成果を見に来たのですよ。
と言う訳でハナさん、彼の手足に着けてるスキル封じの枷を外して貰えませんでしょうか?」

「「「「「え?」」」」」


ハナにハウンド、元【勇者】パーティの3人が驚きの声を上げる。


「ちょ、ノア君何を!?(ミミシラ)」
「い、いやよ!もう<洗脳>は受けたく無いわ!(アックスレイ)」
「き、昨日今日訓練した位じゃ流石に無理じゃない…?(ヴォルフスティ)」

「ノア…君とやら…それは流石に危険では…?(ハウンド)」


と、ハナ以外の4人はアークの枷を外す事への忌避感を覚えるが


「大丈夫ですよ。
僕の見立てではコイツの精神干渉に耐えられるだけの精神力はもう備わっているハズですし、例え掛かったとしても僕が直ぐに助け出しますよ。
ハナさんは念の為、忠義の聖剣を準備しておいて下さい。」

「分かったわ。」

「ちょ、ちょっと団長…」


ノアの提案に、ハナは既に賛同している様子。


「ノア君が考え無しにこんな事言う事はあり得ません。
何か策がある様ですから信じてみましょう。」

「…団長がそう言うなら…」カチャカチャ…


渋々と言った様子ではあるが、ハナを信じ、アークの枷を外すハウンド。


「へへ、良いのか?外しちまって。
何かやってた様だが1日2日で俺の<洗脳>をどうにか出来ると思うなよ?
おいミミシラ、アックスレイ、ヴォルフスティ。
コイツに"攻撃を仕掛けろ"。」


枷を外され、力を取り戻したアークが金色に輝かせた目で3人を見やる。
3人はその目で見詰められた後









「…え?何かしました?」

「は?え?」

「アックスレイはどうですか?」

「私も別に…」

「私はちょっと危なかったかも。
<胆力>発動したらどうにかなったけど…」

「まぁヴォルフスティさんはスキル取得も後の方でしたのでその差ですかね。
ハナさんやハウンドさんも問題ありませんね?」

「ええ。」

「団長の忠義の聖剣とやらで特に問題は無い。
が、この程度なら無くても自前の精神力で耐えられる。」


アークがドヤ顔で放った<洗脳>は、ノアによる精神力強化を果たした3人には最早効かなくなった様だ。


「ぬっ!?ぐぬっ…!」


それでもアークは3人に<洗脳>を掛けようと必死になっている。
だが全くと言って良い程反応は無い。

すると、そんなアークを見ていたノアが一言


「変わんないねぇ…」

「あ?んだとガキ?」

「変わんないっつったんだよ。
彼女達は彼女達自身の頑張りで、2日と言う短い時間で<洗脳>が掛からなくなったってのに、アンタはその間に何してた?
本当に中で働いてたんですか?」

「うっせぇガキが!お前に何が分かる!」


ノアの言葉に激昂するアーク。
だがノアは気にせず隣に立つハナに向き直り


「ハナさん。
強制労働のノルマとかあったと思いますが、達成出来てますか?」

「い、いえ…
このままだと未達で明日に持ち越しです…」

「ちょっと中での指導方法とか聞いても良いですか?」

「え、えぇ…」


態度は一切変わらず、改心する気配も無い。
強制労働だと言うのに達成出来る見込みも無いので、ノアはハナから中での行動を聞き出す事に。






「温。」

「え?」

「温いですよ、そのやり方。
ハナさん、一応これポンコツ【勇者】に対する"処罰"の代わりなんですよ?」

「誰がポンコツ【勇者】だコラ!」


ハナからアークに対する対応を聞いたノアはしかめっ面になった。


「"ポンコツ【勇者】の手に負えなくなったモンスターを代わりに討伐?"
んなもん最後までポンコツに面倒見させないと駄目ですよ!
"最後は手助けしてくれる"って考えになるから真剣に取り組まなくなるんですよ。
何の為に蘇生薬があるんですか、1回2回死なせて身の程弁えさせりゃ良いんですよ。」

「えぇ…」

「ほらぁ~。(ハウンド)」


冒頭のハウンドと同じ事を言うノア。


「まぁハナさんは『犬姫』の団長って立場だから、迂闊な事を部下の方に言ったり行動を起こす事が出来ないのでしょう?」

「うっ…まぁ、はい…」

「そんなハナさんに妙案があるのですが如何でしょう。」

「?何ですか?その妙案と言うのは?」

「次の突入時、僕のメニューでやってみるのはどうでしょう。」




短いですが今回はこの辺で
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