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獣人国編~森の番人~
やめたほうがいいわよ?
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〔かみなりねぇ…やめたほうがいいわよ?〕
「<刀技…な、何…!?」
〔まぁあなたのすきにするといいわ。
ただし、いまよりもじょうきょうがわるくなるだけよ。〕
レアナに攻撃を仕掛けようとしたラーベだが、本人から注意を受けて立ち止まる。
「姉さん!聞いては駄目!こちらを撹乱させようとしてるだけよ!」
「そ、そうよね。」
〔あなたたちがいいならいいわよ。
すきになさい。〕
「どうぞご自由に」とでも言わんばかりに手をヒラヒラさせて攻撃を促すレアナに、嫌な予感を感じつつもラーベは攻撃を開始した。
「おぉお!<刀技・雷鳴剣>!」
ビシャァアアアアアッ!
紫電を纏わせた剣を振るうと、レアナの直上から稲妻が落ちてくる。
レアナの頭部に直撃すると、辺りは閃光に包まれ、轟音と地揺れに襲われる。
プスプス…
〔いい"しげき"だったわ、おつかれさま。〕
「くっ…やはりこの程度では駄目か!?」
頭の一部が僅かに炭化した程度で、当の本人にダメージは殆ど無い様だ。
「姉さん、次は私が行くわ!」
〔つぎはかたわれ『ボコッ』がくるのね?
いいわ『ボコッ』あいてしてあげる。
だけど"このこたち"『ボコッ』をしりぞけたらね。〕
「「!?」」
突如レアナの肩や腹部、脚の辺りが隆起し、何やら白い物体が発生し、ドンドン大きくなっていく。
ボドッ、ボトッ、ドサッ!
謎の白い物体は、レアナの体から脱落して地面に落ちると、モゾモゾと動き出した。
ギィイイイイッ!
キィャァアアアッ!
ギャギギッ!
おぞましい悲鳴を上げながら形状をキノコの様に、まるで"つかえるキノコ"同様の姿に変貌させていく。
「う、嘘だろ…ありゃあ『ドーピングマッシュルーム』じゃねぇか!?」
「あ、あれが…!?」
「危険度(高)のモンスターじゃない…
しかもそんなのが3体も…」
レアナの体から飛び出したのは、当初『灰塵』が討伐目標にしていた『ドーピングマッシュルーム』であった。
レント・レアナの出現で依頼を中止せざるを得ない状況だった為、本来ならお目当てのモンスターが出て喜ぶ所なのだが、今は状況が悪過ぎる。
危険度(超)のモンスター2体に手も足も出ない状況にも関わらず、格下とは言え危険度(高)のモンスターが3体も出現したのである。
今更ながらレアナの忠告を聞けば良かった、と悔いるラーベであったが
〔あらあら、げんきなこたちだこと。
ちょうどあそこにてごろなざこがいることだし、てきとうにあそんできなさい。〕
『『『ギシャァアアアアッ!』』』ズドンッ!
『『『ボコボコボコッ』』』
ラーベやラベルタ、『高起動兵団』や『侍衆』の残り目掛けて一目散に駆け出す『ドーピングマッシュルーム』達。
徐々に腕や脚がボコボコと盛り上がっていき、急速に筋肥大していく。
「<刀技・水閃>!」バシュッ!
ラベルタが向かってくる3体へ向けて高速の水の刃を発射。
『ドーピングマッシュルーム』達は臆する事無く向かっていき
ザシュッ!ゾバッ!ブシュッ!
「よし!攻撃が通る!」
ラベルタが放った水の刃は、『ドーピングマッシュルーム』の胴体や首にあたる箇所に被弾した。
両断とまではいかないまでも、深傷を与える事には成功した。
が
ヒョォオオオオッ! シュゥウウウ…
ヒャハハハハハッ!ジュゥウウ…
ギャキキキッ!シュゥウ…
速力を落とす事無く駆けて来るだけでなく、ものの数秒で与えた深手が塞がっていく。
アハハッ…ヒュオッ。
「…え?『ドゴッ!』うっ!?げぇ…」
内1体の姿が掻き消えた直後、ラベルタの腹部に強烈な衝撃が走る。
あっという間に距離を詰めていた『ドーピングマッシュルーム』の図太い腕が、ラベルタの腹部にめり込んでいた。
メキメキボキ…「ぐ…ぎぃ…」
アヒャハァッ!ブォンッ!
ドザザッ!「…っ!…げふっ!」
『ドーピングマッシュルーム』は、嗤い声の様な奇声を上げつつも殴り付けた拳を振り抜き、くの字に折れた状態のラベルタを遥か後方、ギュラドスカルの従者や、『犬姫』達が待機している場所まで吹き飛ばされた。
着込んでいた軽鎧は防御の意味を成さず、寧ろ体の内側にひしゃげ、被害をより酷い物にしていた。
「ラベル『ガクッ!』…なっ!?」
妹の元へ向かおうとしたラーベだが、足元から木の根が絡み付いている事に気付いていなかった。
「しまっ『ガヂョッ!』 ブチブチッ!
ガッ!ゴガッ!ドサッ!
気付いた時には既に遅く、もう1体の『ドーピングマッシュルーム』がラーベの顔面を殴り付けた。
その威力は凄まじく、顔半分はぐしゃぐしゃに潰れ、足に絡み付いていた木の根を引き千切る程であった。
ラーベは地面を数回跳ね転がった後、ピクリとも動かなくなった。
ギヒャヒャヒャヒャッ!
ガガンッ!ゴガガガッ!ガガギガガガゴガッ!
「くそっ!あっちの姉妹がやられちまった!」
「助けに行こう…にも、攻撃が激し過ぎて1歩も動けない!」
『ドーピングマッシュルーム』1体の猛攻を、『侍衆』のミツルギと『高起動兵団』のミリリカ2人で何とか凌いでいると言った状況である。
他の者達は、致命傷こそ受けていないものの、皆戦闘不能に追いやられた。
2組のパーティで残っているのは最早この2人だけであった。
1発1発が巨大なハンマーの一撃の如き威力を誇っており、少しでも気を抜けないのである。
2人共、持ち合わせの技術やスキル<受け流し>等を駆使して何とか耐えていたが、武器の方が先に限界を迎えてしまった。
ガゴゴッ!ビキッ!「ま、まずい…」
ゴガガガッ!パキッ!「も、もうもたない…」
ゴッ!ベギンッ!「うぶぅっ!?」
ガガッ!ビキンッ!「ご…お…」
ズシャッ!ドサッ!
武器が砕け、各々顔面と腹部に拳を受け、そのまま意識を手離した。
ギキャキャキャッ!
〔ふふ、おそとであそべてうれしそうね。
それにしてもあなたたち、ほんとうにきたいはずれね。
かずだけそろえたきゅうごしらえ、ってところかしら…たったひとりでだんなのあいてをしているあのこをみならってほしいわ。
…さて、あとはあそこにいるものたちでも…〕
レアナは地面に転がる冒険者達を見下ろした後、後方で震え上がり、動けずにいる従者や『犬姫』達を見やる。
〔"なえだま"にするにはすこしやくぶそくだけど、"ひとかたまり"にすればいいかしらね。〕
「サセルカァッ!」ズォアッ!
淡々と恐ろしい事を話すレアナを制する為、【狂戦士状態】になったギュラドスカルが巨大な斧を手にして襲い掛かる。
だが
〔ああ、そういえばいましたね、あなた。〕
ボッ!ボッボッ!ボッ!ボッ!ヒュボッ!ドボボボボッ!ボボッ!ボッ!
まるで忘れていたかの様な発言をしつつ、地中から次々と木の根をギュラドスカルへと放つ。
ドスッ!ブスッ!ドドスッ!ズブッ!ドチュッ!ドッ!ドブッ!
「ウグッ、ゴオッ!ガッ!グアッ!?」
〔あなた、さっきのこうげきにはんのうできなかったでしょ?
あのこがけとばしてくれたおかげでいきながらえたのだから、こんなむだなことせずににげてればよかったのに。〕
ギュラドスカルがアルバラストでノアと戦った時も、反応速度に劣っているという点を突かれて一方的に攻撃を加えられたが、レアナは初撃でそれを看破した結果、ギュラドスカルに対して"興味が無くなった"のであった。
案の定レアナからの攻撃を一方的に食らい、2歩接近する間に10本以上の木の根がギュラドスカルを貫いた。
「オ、ゴゥ…」ズシャッ…
〔れんと、こっちおわった。
そっちはど…あら、たのしそうね。〕
地面に倒れたギュラドスカルを一瞥する事も無く、後方で未だノアと戦っているレントの方を見やる。
レアナ側では一方的な戦いであったにも関わらず、レント側では激戦が繰り広げられていた。
「<刀技…な、何…!?」
〔まぁあなたのすきにするといいわ。
ただし、いまよりもじょうきょうがわるくなるだけよ。〕
レアナに攻撃を仕掛けようとしたラーベだが、本人から注意を受けて立ち止まる。
「姉さん!聞いては駄目!こちらを撹乱させようとしてるだけよ!」
「そ、そうよね。」
〔あなたたちがいいならいいわよ。
すきになさい。〕
「どうぞご自由に」とでも言わんばかりに手をヒラヒラさせて攻撃を促すレアナに、嫌な予感を感じつつもラーベは攻撃を開始した。
「おぉお!<刀技・雷鳴剣>!」
ビシャァアアアアアッ!
紫電を纏わせた剣を振るうと、レアナの直上から稲妻が落ちてくる。
レアナの頭部に直撃すると、辺りは閃光に包まれ、轟音と地揺れに襲われる。
プスプス…
〔いい"しげき"だったわ、おつかれさま。〕
「くっ…やはりこの程度では駄目か!?」
頭の一部が僅かに炭化した程度で、当の本人にダメージは殆ど無い様だ。
「姉さん、次は私が行くわ!」
〔つぎはかたわれ『ボコッ』がくるのね?
いいわ『ボコッ』あいてしてあげる。
だけど"このこたち"『ボコッ』をしりぞけたらね。〕
「「!?」」
突如レアナの肩や腹部、脚の辺りが隆起し、何やら白い物体が発生し、ドンドン大きくなっていく。
ボドッ、ボトッ、ドサッ!
謎の白い物体は、レアナの体から脱落して地面に落ちると、モゾモゾと動き出した。
ギィイイイイッ!
キィャァアアアッ!
ギャギギッ!
おぞましい悲鳴を上げながら形状をキノコの様に、まるで"つかえるキノコ"同様の姿に変貌させていく。
「う、嘘だろ…ありゃあ『ドーピングマッシュルーム』じゃねぇか!?」
「あ、あれが…!?」
「危険度(高)のモンスターじゃない…
しかもそんなのが3体も…」
レアナの体から飛び出したのは、当初『灰塵』が討伐目標にしていた『ドーピングマッシュルーム』であった。
レント・レアナの出現で依頼を中止せざるを得ない状況だった為、本来ならお目当てのモンスターが出て喜ぶ所なのだが、今は状況が悪過ぎる。
危険度(超)のモンスター2体に手も足も出ない状況にも関わらず、格下とは言え危険度(高)のモンスターが3体も出現したのである。
今更ながらレアナの忠告を聞けば良かった、と悔いるラーベであったが
〔あらあら、げんきなこたちだこと。
ちょうどあそこにてごろなざこがいることだし、てきとうにあそんできなさい。〕
『『『ギシャァアアアアッ!』』』ズドンッ!
『『『ボコボコボコッ』』』
ラーベやラベルタ、『高起動兵団』や『侍衆』の残り目掛けて一目散に駆け出す『ドーピングマッシュルーム』達。
徐々に腕や脚がボコボコと盛り上がっていき、急速に筋肥大していく。
「<刀技・水閃>!」バシュッ!
ラベルタが向かってくる3体へ向けて高速の水の刃を発射。
『ドーピングマッシュルーム』達は臆する事無く向かっていき
ザシュッ!ゾバッ!ブシュッ!
「よし!攻撃が通る!」
ラベルタが放った水の刃は、『ドーピングマッシュルーム』の胴体や首にあたる箇所に被弾した。
両断とまではいかないまでも、深傷を与える事には成功した。
が
ヒョォオオオオッ! シュゥウウウ…
ヒャハハハハハッ!ジュゥウウ…
ギャキキキッ!シュゥウ…
速力を落とす事無く駆けて来るだけでなく、ものの数秒で与えた深手が塞がっていく。
アハハッ…ヒュオッ。
「…え?『ドゴッ!』うっ!?げぇ…」
内1体の姿が掻き消えた直後、ラベルタの腹部に強烈な衝撃が走る。
あっという間に距離を詰めていた『ドーピングマッシュルーム』の図太い腕が、ラベルタの腹部にめり込んでいた。
メキメキボキ…「ぐ…ぎぃ…」
アヒャハァッ!ブォンッ!
ドザザッ!「…っ!…げふっ!」
『ドーピングマッシュルーム』は、嗤い声の様な奇声を上げつつも殴り付けた拳を振り抜き、くの字に折れた状態のラベルタを遥か後方、ギュラドスカルの従者や、『犬姫』達が待機している場所まで吹き飛ばされた。
着込んでいた軽鎧は防御の意味を成さず、寧ろ体の内側にひしゃげ、被害をより酷い物にしていた。
「ラベル『ガクッ!』…なっ!?」
妹の元へ向かおうとしたラーベだが、足元から木の根が絡み付いている事に気付いていなかった。
「しまっ『ガヂョッ!』 ブチブチッ!
ガッ!ゴガッ!ドサッ!
気付いた時には既に遅く、もう1体の『ドーピングマッシュルーム』がラーベの顔面を殴り付けた。
その威力は凄まじく、顔半分はぐしゃぐしゃに潰れ、足に絡み付いていた木の根を引き千切る程であった。
ラーベは地面を数回跳ね転がった後、ピクリとも動かなくなった。
ギヒャヒャヒャヒャッ!
ガガンッ!ゴガガガッ!ガガギガガガゴガッ!
「くそっ!あっちの姉妹がやられちまった!」
「助けに行こう…にも、攻撃が激し過ぎて1歩も動けない!」
『ドーピングマッシュルーム』1体の猛攻を、『侍衆』のミツルギと『高起動兵団』のミリリカ2人で何とか凌いでいると言った状況である。
他の者達は、致命傷こそ受けていないものの、皆戦闘不能に追いやられた。
2組のパーティで残っているのは最早この2人だけであった。
1発1発が巨大なハンマーの一撃の如き威力を誇っており、少しでも気を抜けないのである。
2人共、持ち合わせの技術やスキル<受け流し>等を駆使して何とか耐えていたが、武器の方が先に限界を迎えてしまった。
ガゴゴッ!ビキッ!「ま、まずい…」
ゴガガガッ!パキッ!「も、もうもたない…」
ゴッ!ベギンッ!「うぶぅっ!?」
ガガッ!ビキンッ!「ご…お…」
ズシャッ!ドサッ!
武器が砕け、各々顔面と腹部に拳を受け、そのまま意識を手離した。
ギキャキャキャッ!
〔ふふ、おそとであそべてうれしそうね。
それにしてもあなたたち、ほんとうにきたいはずれね。
かずだけそろえたきゅうごしらえ、ってところかしら…たったひとりでだんなのあいてをしているあのこをみならってほしいわ。
…さて、あとはあそこにいるものたちでも…〕
レアナは地面に転がる冒険者達を見下ろした後、後方で震え上がり、動けずにいる従者や『犬姫』達を見やる。
〔"なえだま"にするにはすこしやくぶそくだけど、"ひとかたまり"にすればいいかしらね。〕
「サセルカァッ!」ズォアッ!
淡々と恐ろしい事を話すレアナを制する為、【狂戦士状態】になったギュラドスカルが巨大な斧を手にして襲い掛かる。
だが
〔ああ、そういえばいましたね、あなた。〕
ボッ!ボッボッ!ボッ!ボッ!ヒュボッ!ドボボボボッ!ボボッ!ボッ!
まるで忘れていたかの様な発言をしつつ、地中から次々と木の根をギュラドスカルへと放つ。
ドスッ!ブスッ!ドドスッ!ズブッ!ドチュッ!ドッ!ドブッ!
「ウグッ、ゴオッ!ガッ!グアッ!?」
〔あなた、さっきのこうげきにはんのうできなかったでしょ?
あのこがけとばしてくれたおかげでいきながらえたのだから、こんなむだなことせずににげてればよかったのに。〕
ギュラドスカルがアルバラストでノアと戦った時も、反応速度に劣っているという点を突かれて一方的に攻撃を加えられたが、レアナは初撃でそれを看破した結果、ギュラドスカルに対して"興味が無くなった"のであった。
案の定レアナからの攻撃を一方的に食らい、2歩接近する間に10本以上の木の根がギュラドスカルを貫いた。
「オ、ゴゥ…」ズシャッ…
〔れんと、こっちおわった。
そっちはど…あら、たのしそうね。〕
地面に倒れたギュラドスカルを一瞥する事も無く、後方で未だノアと戦っているレントの方を見やる。
レアナ側では一方的な戦いであったにも関わらず、レント側では激戦が繰り広げられていた。
応援ありがとうございます!
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