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獣人国編~救出作戦~
我は【魔王】軍幹部"羅刹"なり!
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〝我は【魔王】軍幹部"羅刹"なり!
貴様がこの天守閣を奪還に来たという冒険者だな!
此処に住まう姫と城は既に【魔王】軍の所有物!素直に引き下がるのであれば命だけは助けてやろう!〟
ビシャァアアアアアアアッ!
「!?」
ラインハードを捕らえている籠を手にした巨大な鬼が名乗りを上げた直後、ノアの目の前に雷が落ちる。
〝そこより1歩でもこちら側へ来てみろ!
我が軍勢が容赦無く貴様を蹂躙するであろう!
右近、此処での指揮は貴様に任せるぞ。〟
「仰せのままに。」
右近と呼ばれた金色の鎧武者が頭をを垂れて天守閣の屋根の上で仁王立ちする。
と
ザァアアアアアアアッ!
「冒険者の方!この【魔王】軍の者共は各々恐るべき力を持っております!
更に我が国で製造した機兵もこの者達の手中にあります!
私の事は気にせずお逃げ下さい!」
土砂降りの雨にも関わらず、ノアの身を案じて退く様訴えるお姫様役のラインハード。
(おー、お姫様らしく演じてるなぁ。
となれば僕もそれらしくした方が良いかな。)
「お姫様、御心配無く!
屋根の上でふんぞり返って高みの見物を決め込んでる【魔王】軍なんか大した事ありませんから、直ぐにでも助けに向かいますよ!」
ビシッと天守閣の上に居る【魔王】軍幹部3人を指差すノア。
「キャー!ノア君頑張ってー!」
「ラインハードさん、演じて!演じて!」
何故か素に戻ってノアを応援するラインハードであった。
「抜かしおるか小僧め。
そう大層な口を利くならば手始めに雑魚共を蹴散らしてみよ。
さすればこの右近自ら貴様を屠ってくれよう。
行け"足軽"!その者の相手をしてやれ!」
ゴゴンッ…ゴゴゴ…
【魔王】軍幹部の1人である右近がそう言い放つと、天守閣正面の城門が重々しい音を立てて開かれた。
すると
ガシャガシャガシャガシャガシャガシャガシャガシャガシャガシャガシャガシャガシャガシャガシャガシャガシャガシャガシャガシャガシャガシャガシャガシャガシャ…
「「「「「「「「う、うわぁ…(調査隊一同)」」」」」」」」
(あ、そういえば1000体出て来るんだっけ…)
城門からまず飛び出してきたのは弓を携えた"足軽弓機兵"が200体、その後方から剣、槍を携えた"足軽機兵"が800体姿を現してきた。
頭身は通常の人間サイズであるが、全員黒と金の装飾が施された甲冑を着込んでいる為、表情は読み取れない。
だが歩く時の動作音から相手が人間等では無く"機兵"である事が窺える。
ガシャガシャガシャ!
カチャカチャカチャカチャッ!
"足軽弓機兵"が出揃うと
「弓機兵構えぃっ!」
天守閣に佇む右近が吠える様に指示を出すと、放物線を描いてノアに矢を射る様、角度を付けて次々に弓を構え出した。
"足軽弓機兵"との距離は約100メルは離れているが、ノアは未だ動かず、同行を見守っている。
"足軽弓機兵"の後方では未だ"足軽機兵"が現れ続けている。
ギリリリ…
遂に弦を引き始め、発射態勢が整った様だ。
バチンッ!バチンッ!
ノアも戦闘態勢を整えるべく腰に差していた荒鬼神を外して自然体に立つ。
「放てぃっ!」
カシュッカシュッカシュッカシュッカシュッカシュッカシュッカシュッカシュッカシュッ!
合図と共に一斉に矢が放たれ、放物線を描いてノアを目指す。
ドゴンッ!
「"足軽弓機兵"第2射準備!
"足軽機兵"、"足軽弓機兵"の前に出て迎撃に備えよ!」
足元の石畳を踏み抜かん勢いで駆け出したノアに対し、右近が指示を飛ばす。
第2射の準備に取り掛かっている"足軽弓機兵"の側面から剣と槍を手にした"足軽機兵"が構え、迎撃態勢を取る。
「うぉおおおおおっ!防げるもんなら防いでみやがれぇっ!」ブォンッ!
<集中><渾身><投擲術>を発動したノアは、水切りの如く荒鬼神を先頭集団へとぶん投げた。
ブォンブォンブォンッ!
ゴシャッ!ベギャギャギャギャギャッ!!
先頭に居た"足軽機兵"、"足軽弓機兵"の集団が、共に枯れ木の如く破壊され宙に舞っていた。
「妙な手を使いおって!"足軽弓機兵"第2射放て!」
シュバッ!ボキャッ!ベキッ!ゴシャッ!
カシュッカシュッカシュッカシュッ!
右近が第2射の指示を飛ばしたと同時に荒鬼神の元に転移したノアは、勢いを殺す事無く敵集団に突っ込み、両手の剣を振るって破壊の嵐を起こしている。
後方では誰も居ない場所に向けて矢を放つ音が空しく響いていた。
「くっ、奇天列な手を使いおって…!
剣持ちの"足軽機兵"!奴の動きを封じつつ"足軽弓機兵"共は矢を射続けろ!」
シュリィンッ!
ガシャガシャガシャッ!
「へっ!機兵だから同士討ちも厭わないってか!」
カシュッカシュッカシュッカシュッカシュッ!
バッ!ドカカカカカカッ!
右近からの指示に、抜剣した"足軽機兵"が接近する中、後方から"足軽弓機兵"が矢を射る。
即座に地を這う程に体勢を低くしたノアの頭上を矢が通過し、対面の"足軽機兵"に突き立ち破壊されていく。
「数を減らしてくれてどうも、ってな!」ブォンッ!
ベギャギャギャギャギャッ!!
再び荒鬼神をぶん投げ、機兵を悉く破壊しつつ転移を繰り返して着実に数を減らしていく。
そうして大体300体程が屠られていった時だった。
「えぇい!貴様ら一体何をやっておる!
たかだか人間の1人を何故排除出来んのだ!!」
ズザッ!
「数を集めても、指揮するのがそんなんじゃ、俺はいつまで経っても倒せやしないぜ?」
「何だと!?」
天守閣頂上で高みの見物をしていた右近が痺れを切らし、眼下にいる"足軽機兵"達に檄を飛ばす。
その間【魔王】軍幹部の"羅刹"と"左近"は屋根にドカリと座り、黙ってノアの戦いを眺めていた。
〝奴の言う通りだ。右近、もう貴様が行け。〟
「な、何を言っておられるのですか"羅刹"様!」
胡座をかき、頬杖を付いていた幹部の"羅刹"は、ボソリとそう伝えた後、顎で「行け」の動作をする。
〝雑魚とは言え、機兵は今我等の所有物。
謂わば【魔王】様の所有物も同義。それを貴様の指揮で3割も同士討ちさせるのは見過ごせんな。
このまま奴に1000体ぶつけても無駄だ、みすみす兵を失うだけだ。〟
「しかし…」
〝"行け"と言ってるのが分からんか?〟
「うぐっ…分かりました…」
"羅刹"と言う鬼から睨み付けられた右近は、放たれた圧に負け素直に応じるのであった。
「"足軽"退けぃ!」
右近がそう叫ぶと"足軽機兵"達はガシャガシャと音を立てノアから離れて行く。
バシュゥウッ!
ビシャァアアアアアアアッ!
天守閣頂上に居た右近が雷を身に纏ったかと思うと、ノアの目の前に落雷が落ちる。
紫電の残滓を残しつつ金色の鎧武者が姿を現した。
「目に優しくない無駄に派手な鎧ですね。
どこぞのアホ共を彷彿とさせますね…」
「ふん!その余裕今此処に打ち砕いてやろう!」
ビシャァアアッ!バチッ!バチバチッ!
徐に手を上げた右近の右手に落雷が落ちると、無骨ながらこれまた金色の大刀を手にしていた。
長い刀身には紫電が纏われており、常にバチバチと音を立てている。
「我が名は"右近"!雷神の"右近"である!
【魔王】軍幹部"羅刹"様の第一障壁なるぞ!
ここを通りたくば我を屠ってみせよ!」
「新人冒険者のノアだ。
【魔王】関係と戦うのは2度目だが、アンタ達からは然程脅威を感じないな。
この分だと明日には快晴かな?」
貴様がこの天守閣を奪還に来たという冒険者だな!
此処に住まう姫と城は既に【魔王】軍の所有物!素直に引き下がるのであれば命だけは助けてやろう!〟
ビシャァアアアアアアアッ!
「!?」
ラインハードを捕らえている籠を手にした巨大な鬼が名乗りを上げた直後、ノアの目の前に雷が落ちる。
〝そこより1歩でもこちら側へ来てみろ!
我が軍勢が容赦無く貴様を蹂躙するであろう!
右近、此処での指揮は貴様に任せるぞ。〟
「仰せのままに。」
右近と呼ばれた金色の鎧武者が頭をを垂れて天守閣の屋根の上で仁王立ちする。
と
ザァアアアアアアアッ!
「冒険者の方!この【魔王】軍の者共は各々恐るべき力を持っております!
更に我が国で製造した機兵もこの者達の手中にあります!
私の事は気にせずお逃げ下さい!」
土砂降りの雨にも関わらず、ノアの身を案じて退く様訴えるお姫様役のラインハード。
(おー、お姫様らしく演じてるなぁ。
となれば僕もそれらしくした方が良いかな。)
「お姫様、御心配無く!
屋根の上でふんぞり返って高みの見物を決め込んでる【魔王】軍なんか大した事ありませんから、直ぐにでも助けに向かいますよ!」
ビシッと天守閣の上に居る【魔王】軍幹部3人を指差すノア。
「キャー!ノア君頑張ってー!」
「ラインハードさん、演じて!演じて!」
何故か素に戻ってノアを応援するラインハードであった。
「抜かしおるか小僧め。
そう大層な口を利くならば手始めに雑魚共を蹴散らしてみよ。
さすればこの右近自ら貴様を屠ってくれよう。
行け"足軽"!その者の相手をしてやれ!」
ゴゴンッ…ゴゴゴ…
【魔王】軍幹部の1人である右近がそう言い放つと、天守閣正面の城門が重々しい音を立てて開かれた。
すると
ガシャガシャガシャガシャガシャガシャガシャガシャガシャガシャガシャガシャガシャガシャガシャガシャガシャガシャガシャガシャガシャガシャガシャガシャガシャ…
「「「「「「「「う、うわぁ…(調査隊一同)」」」」」」」」
(あ、そういえば1000体出て来るんだっけ…)
城門からまず飛び出してきたのは弓を携えた"足軽弓機兵"が200体、その後方から剣、槍を携えた"足軽機兵"が800体姿を現してきた。
頭身は通常の人間サイズであるが、全員黒と金の装飾が施された甲冑を着込んでいる為、表情は読み取れない。
だが歩く時の動作音から相手が人間等では無く"機兵"である事が窺える。
ガシャガシャガシャ!
カチャカチャカチャカチャッ!
"足軽弓機兵"が出揃うと
「弓機兵構えぃっ!」
天守閣に佇む右近が吠える様に指示を出すと、放物線を描いてノアに矢を射る様、角度を付けて次々に弓を構え出した。
"足軽弓機兵"との距離は約100メルは離れているが、ノアは未だ動かず、同行を見守っている。
"足軽弓機兵"の後方では未だ"足軽機兵"が現れ続けている。
ギリリリ…
遂に弦を引き始め、発射態勢が整った様だ。
バチンッ!バチンッ!
ノアも戦闘態勢を整えるべく腰に差していた荒鬼神を外して自然体に立つ。
「放てぃっ!」
カシュッカシュッカシュッカシュッカシュッカシュッカシュッカシュッカシュッカシュッ!
合図と共に一斉に矢が放たれ、放物線を描いてノアを目指す。
ドゴンッ!
「"足軽弓機兵"第2射準備!
"足軽機兵"、"足軽弓機兵"の前に出て迎撃に備えよ!」
足元の石畳を踏み抜かん勢いで駆け出したノアに対し、右近が指示を飛ばす。
第2射の準備に取り掛かっている"足軽弓機兵"の側面から剣と槍を手にした"足軽機兵"が構え、迎撃態勢を取る。
「うぉおおおおおっ!防げるもんなら防いでみやがれぇっ!」ブォンッ!
<集中><渾身><投擲術>を発動したノアは、水切りの如く荒鬼神を先頭集団へとぶん投げた。
ブォンブォンブォンッ!
ゴシャッ!ベギャギャギャギャギャッ!!
先頭に居た"足軽機兵"、"足軽弓機兵"の集団が、共に枯れ木の如く破壊され宙に舞っていた。
「妙な手を使いおって!"足軽弓機兵"第2射放て!」
シュバッ!ボキャッ!ベキッ!ゴシャッ!
カシュッカシュッカシュッカシュッ!
右近が第2射の指示を飛ばしたと同時に荒鬼神の元に転移したノアは、勢いを殺す事無く敵集団に突っ込み、両手の剣を振るって破壊の嵐を起こしている。
後方では誰も居ない場所に向けて矢を放つ音が空しく響いていた。
「くっ、奇天列な手を使いおって…!
剣持ちの"足軽機兵"!奴の動きを封じつつ"足軽弓機兵"共は矢を射続けろ!」
シュリィンッ!
ガシャガシャガシャッ!
「へっ!機兵だから同士討ちも厭わないってか!」
カシュッカシュッカシュッカシュッカシュッ!
バッ!ドカカカカカカッ!
右近からの指示に、抜剣した"足軽機兵"が接近する中、後方から"足軽弓機兵"が矢を射る。
即座に地を這う程に体勢を低くしたノアの頭上を矢が通過し、対面の"足軽機兵"に突き立ち破壊されていく。
「数を減らしてくれてどうも、ってな!」ブォンッ!
ベギャギャギャギャギャッ!!
再び荒鬼神をぶん投げ、機兵を悉く破壊しつつ転移を繰り返して着実に数を減らしていく。
そうして大体300体程が屠られていった時だった。
「えぇい!貴様ら一体何をやっておる!
たかだか人間の1人を何故排除出来んのだ!!」
ズザッ!
「数を集めても、指揮するのがそんなんじゃ、俺はいつまで経っても倒せやしないぜ?」
「何だと!?」
天守閣頂上で高みの見物をしていた右近が痺れを切らし、眼下にいる"足軽機兵"達に檄を飛ばす。
その間【魔王】軍幹部の"羅刹"と"左近"は屋根にドカリと座り、黙ってノアの戦いを眺めていた。
〝奴の言う通りだ。右近、もう貴様が行け。〟
「な、何を言っておられるのですか"羅刹"様!」
胡座をかき、頬杖を付いていた幹部の"羅刹"は、ボソリとそう伝えた後、顎で「行け」の動作をする。
〝雑魚とは言え、機兵は今我等の所有物。
謂わば【魔王】様の所有物も同義。それを貴様の指揮で3割も同士討ちさせるのは見過ごせんな。
このまま奴に1000体ぶつけても無駄だ、みすみす兵を失うだけだ。〟
「しかし…」
〝"行け"と言ってるのが分からんか?〟
「うぐっ…分かりました…」
"羅刹"と言う鬼から睨み付けられた右近は、放たれた圧に負け素直に応じるのであった。
「"足軽"退けぃ!」
右近がそう叫ぶと"足軽機兵"達はガシャガシャと音を立てノアから離れて行く。
バシュゥウッ!
ビシャァアアアアアアアッ!
天守閣頂上に居た右近が雷を身に纏ったかと思うと、ノアの目の前に落雷が落ちる。
紫電の残滓を残しつつ金色の鎧武者が姿を現した。
「目に優しくない無駄に派手な鎧ですね。
どこぞのアホ共を彷彿とさせますね…」
「ふん!その余裕今此処に打ち砕いてやろう!」
ビシャァアアッ!バチッ!バチバチッ!
徐に手を上げた右近の右手に落雷が落ちると、無骨ながらこれまた金色の大刀を手にしていた。
長い刀身には紫電が纏われており、常にバチバチと音を立てている。
「我が名は"右近"!雷神の"右近"である!
【魔王】軍幹部"羅刹"様の第一障壁なるぞ!
ここを通りたくば我を屠ってみせよ!」
「新人冒険者のノアだ。
【魔王】関係と戦うのは2度目だが、アンタ達からは然程脅威を感じないな。
この分だと明日には快晴かな?」
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