ソロ冒険者のぶらり旅~悠々自適とは無縁な日々~

にくなまず

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獣人国編~救出作戦~

物々しい雰囲気

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「何か物々しい雰囲気ですね…
何か忙しそうなのでまた後にした方が良いですか?」

「はは、お気になさらず。
今月は警備強化月間なもので少し警備の数が多いの?ですよ。」

「そうですか…」


リヴァイアと相談事を終えたノアが帰国し、王城前にやって来ると、何故か兵士や『犬姫』数人、あと表からでは見えない位置に伏兵が何人か配置されていた。

何と無くはぐらかされている様な気もするが、"気にするな"と言われたのだから気にしない様にしよう。


「あ、ノア君、何か大事な話があって来たんですよね?」

「え?何で知ってるんですか?」

「あ。」ガシッ!

「こ…バカハナ!」
「下がれ下がれ!」

ズルズル…

何故かノアの用事を知っていたハナは、同じ団の仲間達に首根っこを掴まれ、そのままノアの元から引き剥がされていった。

(まぁでも実際用事はあるんだし別に良いか。)

と、気持ちを切り替え、中に入る事にした。






「【鬼神】殿ですな。
本日はどの様な御用件でいらっしゃったのでしょうか?」


中に通されて直ぐに臣下の方々が通路に立ち塞がっていた。
流石に国王に直で向う訳にはいかないか、という事で納得した。

現物を見て貰った方が良いだろう、とアイテムボックスからノアは"青く透き通った塊"を取り出した。


「王様に謁見しに来たのはコレが目的です。」

「「「「「ん?」」」」」


臣下の者達や城で働くメイド、首根っこを掴まれているハナ、その仲間達もノアが取り出した"青く透き通った塊"を食い入る様に見詰めていた。


「これは…何かの鉱石…原石か何かで御座いましょうか…?」

「微妙に魔力を放出していますね。
魔石…?いや、それにしては大き過ぎる…このサイズは竜種程はありますぞ…」

「あ、もしかしてノア君が攻略した『宝物庫』の報酬アイテムとかですか?」


等色々と意見が出たが、何処と無く外れていたので"青く透き通った塊"の正体を明かす事にした。

パキッ。

「「「「「え?」」」」」


突然ノアが"青く透き通った塊"の角を摘まみ、一部をへし折ったのである。

周囲の者達が呆気に取られる中


「ハナさん手を出して貰って良いですか?」

「え?あ、はい。」

ビキッ、ジャリ…パラパラ…

ハナが差し出した手に細かく砕いた"青く透き通った塊"の一部を置く。


「臣下の方々もどうぞ。」

「「「「あ、あぁ。」」」」

パララ…

粗方回し終わった所で


「それ舐めて見て下さい。」ペロリ。

「「「「「え?これを?」」」」」


細かく砕き、粉末状になった"青く透き通った塊"の一部を舐めるよう促す。
怪しい物では無い事を表す様に、ノアが指に付いた粉末をペロリと舐めた。

『『『『『ペロ。』』』』』

と言う事で皆舐めてみる事に。

すると


「む!?これは塩…岩塩ですな!?」

「尖った味では無く、甘味も有り、とてもまろやか…こんな塩を何処で…」

「うわ、微妙に魔力も回復してる…何なの、この塩…」


と、評判は悪くない様だ。


「これが僕の謁見理由です。
この岩塩を常時供給したいと名乗りを上げてくれた者が居ります。
この岩塩の出所等は王に直接お話しますので謁見させて頂けませんか?」

「わ、分かりました。どうぞこちらへ。」


と、臣下の者達が謁見の了承をしてくれたので王の元へ向かおうとすると、ノアは少しお願い事をしてきた。


「あ、そうだ。
この話はまだあまり多くの人に触れて欲しく無い部分がありますので、ここに居る臣下の方々とハナさん以外の方々はなるべく控えてくれると助かります。
具体的には壁や床、天井に潜んでいる21人の兵士の方々はここまでとして欲しいです。良いですか?」

「あ、あぁ…分かった。そうしよう…」


各所に潜んで聞き耳を立てていた兵士の方々から情報が漏れるとマズイので釘を刺すノア。
潜伏人数までノアに言い当てられた為、臣下の者は素直に応じる事にした。

そうして漸くノアは、王の元に向かう事となった。






ガチャ。

「陛下、お連れしました!」

「うむ、入って良いぞ。」


部屋の扉が開かれ、中に入るとそこにはラグナー一家が勢揃いしていた。


「すみません、こんな朝早く訪れてしまって…」

「いや、構わないよ。
それよりも臣下の者の話を聞いたが、何処かの者が岩塩を常時供給を申し出てくれたとの事だが…
その岩塩を見せて頂く事は出来ないだろうか?」

「えぇ、どうぞ。」ゴト…

「おお…」
「まぁ、綺麗…」
「「「うわぁ、宝石みたい…」」」


部屋の中央に置かれていた机に"青く透き通った塊"を置く。
宝石の原石と見紛う美しさに一同から声が上がっていた。


「この岩塩を供給したいと申し出てくれた方は非常に遠方に居られるのですが、輸送…と言いますか"出現"させるのはその方が行うとの事なのでその辺りの心配は無いとの事です。」

(((((出現…?)))))

ノアの説明に引っ掛かる所はあるが、皆顔色を変えずに引き続き説明を聞く事に。


「えー、皆さん気になっているであろうこの岩塩の出所ですが、僕から説明すると少しややこしいので本人に説明して貰おうと思いますが良いでしょうか?」

「おや?その方も来て下さったのだな?
入って貰って構わない。」

ざわっ…

と王から了承を得たのだが、寝耳に水な臣下達は少しざわつきを見せた。

この王城にはノア以外訪れていないのだ、驚くのも無理はない。

すると

ヂャラ…

「すみません、この魔石を部屋の四隅に置かせて頂いても宜しいでしょうか?」

「ん?魔石を?あぁ構わないよ。好きにしてくれ。」


ローグから了解を得たので、ノアは部屋の四隅に魔石を置いていく。

すると少しして


「えっと…"リモート"。」

ブンッ。

と、何か呪文の様な物をノアが発すると、四隅に配置した魔石から光が発生し、私室の机に座して政務に勤しむリヴァイアが映し出された。


「「「「「「「「「「え?」」」」」」」」」

トテテテ…

「あ、フォルク…」

映し出された光景に驚く一同だが、そんな中フォルクが興味ありげに近付いていき

ニギニギ…

「凄いよ、お父様!
誰か座ってるけど触れないよ!」


映像の中のリヴァイアに触れようとしているのか、手をニギニギさせている。
何処と無く興奮気味である。


『あら?可愛らしい獣人ちゃんですね。
初めまして。』

「ひゃ!?は、初めまして…」


映像の中のリヴァイアが動き出し、フォルクを見て反応した事にフォルク自身が驚いて飛び上がった。


『"リモート"が開始されてると言う事は、ここは獣人の国で間違いありませんでしょうか?』

「あ、あぁ…ここは獣人国ヴァーリスフェアレスである。
私は国王のローグ・ラグナーだ。」


すると政務を行っていた手を止めたリヴァイアは立ち上がり、身に纏っていた和装を正して軽くお辞儀をする。


『私は深海を拠点とする『龍宮城』の最高責任者であり海洋種の王リヴァイアと申します。』

「「「「「「「「「「え?」」」」」」」」」


部屋に居るノア以外の人物全員が驚きと共に固まってしまった。
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