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王都編
閑話 【勇者】ミユキの居候生活1日目~夕方・夜~
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あの後レドリックとは1時間程組手を行った後にアミスティアから「待った」が掛かった。
終了の合図かと思ったのも束の間、今度はアミスティアとの組手が始まった。
が、組手と呼べるものとは程遠く、全て攻撃の出始めで見切られ、封じられてしまう。
剣を振るおうにも手首に手を当てられ、蹴りを繰り出そうにも足で押さえられ、拳を繰り出そうとしても振り被った所で拳を掴まれ、苦し紛れに頭突きを繰り出せば、いつの間にか背後に立たれて首をキュッと絞められる。
~2時間後~
「さて、まだちょっと明るいけど野営の準備しちゃいましょ。」
「…な、何も出来なかった…」
再び地面に手を付き、肩で息をするミユキ。
結局1撃も与える事無く組手の方は終わりを迎える事になった。
「そういえばミユキちゃんは今後一人旅か、誰かとパーティを組んだりする予定はあるのかしら?」
「あ、暫くは1人ですが、ドワーフの国に居るとされる私の元居た世界の…友達とパーティ組めたらなーって…」
「へぇ、こっちに友達がねぇ。
それじゃあ一人旅、二人旅での野営の仕方を教えよう。
と言っても、あくまで俺とアミが冒険者時代にやっていたやり方になるから絶対に守らなきゃいけない、って訳じゃないからそのつもりでな。」
「はい。」
「じゃあいきなり山ん中でやるのもあれだから今日は家の隣の空き地でやろう。
明日から山ん中で実践という事で。」
そう言ってミユキを連れ立って家の隣に。
そこには10メル位の空き地と小型の林があった。
取り敢えずアミスティアは薪を探してくる様に言い、ミユキは数分で丁度良い長さの薪を拾ってくる。
その後適当に石で囲み、その中に薪を組んで生活魔法で着火。
テントの様な物も無く、一人旅であれば割と焚き火だけあれば十分であったりする。
「さて今日の夕飯だけど、実は昨日間引きした猪の肉がやたら余っちゃってね。
村の皆に配って燻製にしたりしてるんだけど、それでも余っちゃったから暫くはそれを使いましょう。」
アミスティアはアイテムボックスの中からフックが突き刺さった肉の塊を取り出す。
既に肉には香辛料等がまぶされ、処理が施されていた。
そしてその肉を近くの木に吊したアミスティアは、アイテムボックスからナイフと鉄串を数本取り出す。
ザゾゾゾッ!
一瞬手首から先が見えなくなる程の速度でナイフを振る。
肉を切る音は聞こえるものの、肉は微動だにしない。
ナイフを仕舞ったアミスティアは肉に触れると、1枚1枚剥がれていく。
「こうするとまな板とかいらないから便利よ。」
「ごめんなさい、普通の人はそんな速度でナイフ振れません…」
「まぁミユキちゃんは剣の振りに無駄が多いから、直ぐに同じ様な動きをするのは無理があるかな。」
「無駄…ですか…」
「そうだね。
まだ各関節の動きが段階的だから剣の振りに無駄が多い。
剣の重さを利用して、全ての動作を滑らかに、鞭の様に駆動出来れば高速で剣を振る事も可能だよ。
特に【勇者】の補正が付けば尚更ね。」
「それとミユキちゃん、アナタ少し体が細すぎるから今日からしっかり肉食べなさいね。」
「え?これ以上太り気味になるのはちょっ『ムギュッ』あだだだだっ!?
痛い!アミスティアさん痛いです!?」
ミユキは肉食に対しての不満を口にすると、アミスティアが徐にミユキの脇腹を摘まむ。
ぐにぐに
「これね!この肉の事を言ってるのね?
安心しなさい!毎日の鍛練をして肉バクバク食ってりゃ痩せる上に筋肉も付いてスタイルも良くなるわ!」
ぐにぐに
「で、でも私筋肉モリモリになりたい訳じゃ…」
ぐにぐに
「たかだか1ヶ月程度で筋肉モリモリになるか!
食べる事も訓練の一環よ!」
「わ、分かりました!分かりましたから脇腹から指外して下さい!」
パチッ…パチパチッ…
ジュゥゥウウ…
ぐぎゅるるるる~っ…
「あらあら、さっきまで肉を食べるのに不満があったみたいだけど体は正直ね。
もう目の前の肉から目を離せないじゃない。
クフフ。」
「アミ…言い方があまり宜しくないぞ。
あと何だその笑い方…」
ミユキはこの世界、特にヒュマノ聖王国に召喚されてからというもの碌に肉を食べていないのだ。
理由は3つあり、1つはヒュマノでの生活環境がある。
ヒュマノでは国民1人1人に獣人奴隷が最低でも5人は付いている。
碌に飯も与えず、身の回りの世話をやらせているのに獣人の大好物である肉を食すなど、奴隷のいない世界から来たミユキにとっては耐えられなかった。
一度ミユキに付いた奴隷に隠れて焼いた肉を分け与えた事があったのだが直ぐ様見付かり、"ミユキ様の食事を奪ったな"と言われ獣人が鞭打ちの刑に処された事があり、それ以降ミユキも食べなくなった。
2つ目にヒュマノの人間は菜食主義を謳っている者が大半である事。
『肉を食すという事は奴隷である獣人を想起させる』とか何とか言っているが、後述する3つ目の理由を誤魔化す為の"建前"であろう。
そして3つ目の理由が、肉を得るという事は動物やモンスターを倒すという事。
だが戦闘含めて奴隷任せのヒュマノの人間の中に果たしてどれ位の人間がそれ程の実力を持っているか…
要は戦える人間が皆無だから肉を獲れないという事だ。
奴隷に獲らせれば良いのだが、飯も碌に与えられていない為、すばしっこい兎に追い付けず、力の強い猪には太刀打ち出来ず、通常であれば身体能力に勝る格下のウルフにすら後れを取り、一方的に蹂躙されてしまう程弱体化されている。
余談ではあるが、モンスターを倒せたとして、ヒュマノには解体を行える者は皆無である。
ガブッ!
「あひひっ!う~ん~ま~い!」
余程旨かったのと、疲労で腹ペコだったミユキは、膝をバシバシ叩いて旨さを表現していた。
「主婦歴ウン十年の私特製の味付けよ、当たり前でしょ。
ささ、ドンドン食べなさい。」
結局1人で肉を2キロ以上食べ、ご満悦の表情になるミユキであった。
「むふ~満足~。」
「さ、ご飯も終わったし眠くなるだろうけど、寝る時の注意点を簡単に伝えるわね。」
「は、はい。」
そう言って野営時のアドバイスや注意事項をごく簡単に伝えるアミスティアとレドリックであった。
「…という訳で感知系スキルの練度が頼りない場合、焚き火を囮にして樹上にでも上がってそこで寝ると良いわ。」
「明るさに慣れちゃうと視界は役に立たないからね。
逆に野盗やモンスターは火に照らされた君を襲いに来るから良い的になるぞ。」
「…何にしても感知系スキルは取っておくに越した事は無いんですね。」
「そう言う事。
それじゃ今日はゆっくり休んで明日に備えてね。
明日はまた巡回からね。」
「え?今日はもうお仕舞いですか?」
ミユキが2人にそう声を掛けると、2人は首を傾げる。
「あ、いや、ノア君の話しぶりだとかなりキツイものを想定してたのですが…」
「流石にノアと同レベルの事はやらないわよ。」
「そうそう、あくまで中級冒険者コースだからね。」
ノアの話では地獄の様な毎日を送るものだと思っていたミユキは取り敢えず一安心する。
が
「でも人ってね、どうしても慣れが出てくる物なのよ。
今日行った巡回でミユキちゃんは疲労困憊だったけど、1週間位したら少し余裕が出てくると思うの。
その見極めを行いたいから週に1度『襲撃』を行うわね。」
アミスティアの口から不穏な言葉が聞こえ、ミユキは聞き返す。
「し、襲撃…ですか…?」
「そう。私達夫婦や昔の仲間が野盗やモンスター役として野営をやってるミユキちゃんを襲いに行くの。
そこでの評価で、次の襲撃迄の間訓練が厳しくなるか、次のステップに進むかを決めるのよ。」
「そ、それってどちらにしろ厳しくなるのでは…
それよりも"昔の仲間"とは…」
「あら、それなら後ろにいるじゃない。」
「え!?」
アミスティアに言われ後ろを振り返ると、いつの間にか背後に立っていた村の住人の1人、熊獣人のマドリックが腕組みしていた。
「ふむ、言われて気付いたか。
アミ、レド!倅の時と同様に扱って良いのだな?」
「ええ、複雑骨折、内臓破裂位までなら構わないわ。」
「そうか…
という訳だミユキとやら、精々2人の下で鍛練を積むのだな。
俺は元上級冒険者【問答無用】のマドリックだ。
1週間後を楽しみにしているぞ。」
終了の合図かと思ったのも束の間、今度はアミスティアとの組手が始まった。
が、組手と呼べるものとは程遠く、全て攻撃の出始めで見切られ、封じられてしまう。
剣を振るおうにも手首に手を当てられ、蹴りを繰り出そうにも足で押さえられ、拳を繰り出そうとしても振り被った所で拳を掴まれ、苦し紛れに頭突きを繰り出せば、いつの間にか背後に立たれて首をキュッと絞められる。
~2時間後~
「さて、まだちょっと明るいけど野営の準備しちゃいましょ。」
「…な、何も出来なかった…」
再び地面に手を付き、肩で息をするミユキ。
結局1撃も与える事無く組手の方は終わりを迎える事になった。
「そういえばミユキちゃんは今後一人旅か、誰かとパーティを組んだりする予定はあるのかしら?」
「あ、暫くは1人ですが、ドワーフの国に居るとされる私の元居た世界の…友達とパーティ組めたらなーって…」
「へぇ、こっちに友達がねぇ。
それじゃあ一人旅、二人旅での野営の仕方を教えよう。
と言っても、あくまで俺とアミが冒険者時代にやっていたやり方になるから絶対に守らなきゃいけない、って訳じゃないからそのつもりでな。」
「はい。」
「じゃあいきなり山ん中でやるのもあれだから今日は家の隣の空き地でやろう。
明日から山ん中で実践という事で。」
そう言ってミユキを連れ立って家の隣に。
そこには10メル位の空き地と小型の林があった。
取り敢えずアミスティアは薪を探してくる様に言い、ミユキは数分で丁度良い長さの薪を拾ってくる。
その後適当に石で囲み、その中に薪を組んで生活魔法で着火。
テントの様な物も無く、一人旅であれば割と焚き火だけあれば十分であったりする。
「さて今日の夕飯だけど、実は昨日間引きした猪の肉がやたら余っちゃってね。
村の皆に配って燻製にしたりしてるんだけど、それでも余っちゃったから暫くはそれを使いましょう。」
アミスティアはアイテムボックスの中からフックが突き刺さった肉の塊を取り出す。
既に肉には香辛料等がまぶされ、処理が施されていた。
そしてその肉を近くの木に吊したアミスティアは、アイテムボックスからナイフと鉄串を数本取り出す。
ザゾゾゾッ!
一瞬手首から先が見えなくなる程の速度でナイフを振る。
肉を切る音は聞こえるものの、肉は微動だにしない。
ナイフを仕舞ったアミスティアは肉に触れると、1枚1枚剥がれていく。
「こうするとまな板とかいらないから便利よ。」
「ごめんなさい、普通の人はそんな速度でナイフ振れません…」
「まぁミユキちゃんは剣の振りに無駄が多いから、直ぐに同じ様な動きをするのは無理があるかな。」
「無駄…ですか…」
「そうだね。
まだ各関節の動きが段階的だから剣の振りに無駄が多い。
剣の重さを利用して、全ての動作を滑らかに、鞭の様に駆動出来れば高速で剣を振る事も可能だよ。
特に【勇者】の補正が付けば尚更ね。」
「それとミユキちゃん、アナタ少し体が細すぎるから今日からしっかり肉食べなさいね。」
「え?これ以上太り気味になるのはちょっ『ムギュッ』あだだだだっ!?
痛い!アミスティアさん痛いです!?」
ミユキは肉食に対しての不満を口にすると、アミスティアが徐にミユキの脇腹を摘まむ。
ぐにぐに
「これね!この肉の事を言ってるのね?
安心しなさい!毎日の鍛練をして肉バクバク食ってりゃ痩せる上に筋肉も付いてスタイルも良くなるわ!」
ぐにぐに
「で、でも私筋肉モリモリになりたい訳じゃ…」
ぐにぐに
「たかだか1ヶ月程度で筋肉モリモリになるか!
食べる事も訓練の一環よ!」
「わ、分かりました!分かりましたから脇腹から指外して下さい!」
パチッ…パチパチッ…
ジュゥゥウウ…
ぐぎゅるるるる~っ…
「あらあら、さっきまで肉を食べるのに不満があったみたいだけど体は正直ね。
もう目の前の肉から目を離せないじゃない。
クフフ。」
「アミ…言い方があまり宜しくないぞ。
あと何だその笑い方…」
ミユキはこの世界、特にヒュマノ聖王国に召喚されてからというもの碌に肉を食べていないのだ。
理由は3つあり、1つはヒュマノでの生活環境がある。
ヒュマノでは国民1人1人に獣人奴隷が最低でも5人は付いている。
碌に飯も与えず、身の回りの世話をやらせているのに獣人の大好物である肉を食すなど、奴隷のいない世界から来たミユキにとっては耐えられなかった。
一度ミユキに付いた奴隷に隠れて焼いた肉を分け与えた事があったのだが直ぐ様見付かり、"ミユキ様の食事を奪ったな"と言われ獣人が鞭打ちの刑に処された事があり、それ以降ミユキも食べなくなった。
2つ目にヒュマノの人間は菜食主義を謳っている者が大半である事。
『肉を食すという事は奴隷である獣人を想起させる』とか何とか言っているが、後述する3つ目の理由を誤魔化す為の"建前"であろう。
そして3つ目の理由が、肉を得るという事は動物やモンスターを倒すという事。
だが戦闘含めて奴隷任せのヒュマノの人間の中に果たしてどれ位の人間がそれ程の実力を持っているか…
要は戦える人間が皆無だから肉を獲れないという事だ。
奴隷に獲らせれば良いのだが、飯も碌に与えられていない為、すばしっこい兎に追い付けず、力の強い猪には太刀打ち出来ず、通常であれば身体能力に勝る格下のウルフにすら後れを取り、一方的に蹂躙されてしまう程弱体化されている。
余談ではあるが、モンスターを倒せたとして、ヒュマノには解体を行える者は皆無である。
ガブッ!
「あひひっ!う~ん~ま~い!」
余程旨かったのと、疲労で腹ペコだったミユキは、膝をバシバシ叩いて旨さを表現していた。
「主婦歴ウン十年の私特製の味付けよ、当たり前でしょ。
ささ、ドンドン食べなさい。」
結局1人で肉を2キロ以上食べ、ご満悦の表情になるミユキであった。
「むふ~満足~。」
「さ、ご飯も終わったし眠くなるだろうけど、寝る時の注意点を簡単に伝えるわね。」
「は、はい。」
そう言って野営時のアドバイスや注意事項をごく簡単に伝えるアミスティアとレドリックであった。
「…という訳で感知系スキルの練度が頼りない場合、焚き火を囮にして樹上にでも上がってそこで寝ると良いわ。」
「明るさに慣れちゃうと視界は役に立たないからね。
逆に野盗やモンスターは火に照らされた君を襲いに来るから良い的になるぞ。」
「…何にしても感知系スキルは取っておくに越した事は無いんですね。」
「そう言う事。
それじゃ今日はゆっくり休んで明日に備えてね。
明日はまた巡回からね。」
「え?今日はもうお仕舞いですか?」
ミユキが2人にそう声を掛けると、2人は首を傾げる。
「あ、いや、ノア君の話しぶりだとかなりキツイものを想定してたのですが…」
「流石にノアと同レベルの事はやらないわよ。」
「そうそう、あくまで中級冒険者コースだからね。」
ノアの話では地獄の様な毎日を送るものだと思っていたミユキは取り敢えず一安心する。
が
「でも人ってね、どうしても慣れが出てくる物なのよ。
今日行った巡回でミユキちゃんは疲労困憊だったけど、1週間位したら少し余裕が出てくると思うの。
その見極めを行いたいから週に1度『襲撃』を行うわね。」
アミスティアの口から不穏な言葉が聞こえ、ミユキは聞き返す。
「し、襲撃…ですか…?」
「そう。私達夫婦や昔の仲間が野盗やモンスター役として野営をやってるミユキちゃんを襲いに行くの。
そこでの評価で、次の襲撃迄の間訓練が厳しくなるか、次のステップに進むかを決めるのよ。」
「そ、それってどちらにしろ厳しくなるのでは…
それよりも"昔の仲間"とは…」
「あら、それなら後ろにいるじゃない。」
「え!?」
アミスティアに言われ後ろを振り返ると、いつの間にか背後に立っていた村の住人の1人、熊獣人のマドリックが腕組みしていた。
「ふむ、言われて気付いたか。
アミ、レド!倅の時と同様に扱って良いのだな?」
「ええ、複雑骨折、内臓破裂位までなら構わないわ。」
「そうか…
という訳だミユキとやら、精々2人の下で鍛練を積むのだな。
俺は元上級冒険者【問答無用】のマドリックだ。
1週間後を楽しみにしているぞ。」
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