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王都編
ボッロボロ
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「あらいらっしゃい…どうしたの僕、ボッロボロじゃない…」
「ちょっと色々ありまして防具を新調しに来ました。」
ノアはスロアと別れた後【防具】ギルドに来ていた。
ノアが表で突っ立っていると、中から女性のギルドメンバーが出てきた。
その女性はノアの装備を見るなり直ぐにお客と判断して応対し始めた。
「見た所新人冒険者の様だけど…新調って事は製作依頼という事で良いのかしら?」
「ええ、それでお願いします。
ちなみに素材持ち込みですけど大丈夫ですか?」
「あ、それは逆に助かります。
最近素材不足気味で困っていたので。
さ、詳しい話は中で。」
「はい…あ、ちょっとお待ちを。
用事済ませて来ますので先に中に行ってて下さい。」
「え?…あ、はい分かりました…」
そう言った直後ノアは路地裏に姿を消す。
【防具】ギルドの女性はノアの行動に首をかしげながらも、建物の中に入る。
30秒程してノアが建物の中に入ってきた。
「あら?用事は良いのかしら?」
「あ、もう大丈夫です、済ませて来ました。」
「???」
女性はノアの言動に終始首をかしげていた。
「報告します。
対象の監視を命じていた者が襲撃に遭い、肩を砕かれた様です。」
「何?それでその襲撃者は?」
「姿、人数は分からず、背後から襲われ、問答無用で破壊された様です。」
「…全く何をしているのだ。
人員を呼び、再配置して対象の監視を続け、並行して襲撃者の捜索を行え。」
「は!」
「それで、持ち込みの素材って何の素材かしら?」
「詳しくは見て貰った方が早いかと思いますので今出しますね。」
建物の奥、工房の様な一室に通されたノアは作業台の様な場所に対面で座り、依頼の話へと移る。
工房の中には他にギルドマスターの男性と、ギルドメンバーだろうか、男女が1人ずつの計3人が待機していた。
女性がノアに応対しているが、遠巻きにノアの方を眺めている。
そんな事気にせず、ノアはアイテムボックスに手を突っ込み『大海獣の柔肌』を一枚取り出す。
あまりに大きな素材に女性は思わず「おわっと!?」と声に出した。
奥で遠巻きに見ていた面々も「何だあの素材は?」と興味津々に見てきている。
というか改めて『大海獣の柔肌』を触ってみたが、まるでチーズの表面を触っているかの様な独特な感触をしている。
防具製作は全くの素人だが、この様な柔らかい素材で防具が作れるのかが想像出来ずにいる。
良くて下地だろうか、等と考えていると女性が素材を見て固まっている。
やはり防具としては使い辛いのだろうな、と思っていると、女性が遠巻きに眺めていた者達を呼ぶ。
ノアからの素材提供だから、極力ノアの要望を叶える為に動いてくれてるんだろう。
と、そのまま見守っていると、遠巻きの者達が素材を見て同じく固まった。
時折首をかしげ、目を凝らして眺めては首をかしげるのを繰り返す。
「あの…」
女性から声が掛かる。やはり防具としてこの素材は使えないのだろう、と考えていたがそうでは無いらしい。
「…この素材は、何の素材なんですか?」
「あ、そこから…」
まず何のモンスターの素材かが分かっていなかった様だ。
ノアは素材の説明欄に名前書いてません?
と聞くも、皆『???の??』と表示されているとの事らしい。
恐らく未知の素材というのと、この素材を扱う技量に達していないのだろう。
何せギルドマスターですら『大??の柔?』としか表示されていないらしい。
「申し訳ありませんが、素材の出所はまだ詳しくは言えません。
うーん…これは弱ったな…」ポリポリ…
お伽噺でしか聞いた事無いモンスターに貰いました、何て口が裂けても言えないノアは、思ってもみなかった事に頭をポリポリと掻く。
ギルドの方達も心無しか申し訳なさそうにしている。
すると
カランコロンカラン
「すいません、ここにノアと言う少年が来ていないだろうか?」
建物入口の方から聞き覚えのある声が聞こえてくる。
こう言う困った時に良いタイミングで姿を現す人物が居たじゃないか、と今更ながら思い出す。
「ジョーさん、お久しぶりです。」
と言っても最後に会ったのがアルバラストの街なので10日程しか経っていないが。
「街に戻ってきた時にボロボロだったと聞いてもしや、と思って来てみたが、やはりここに居たね。」
突然来店したジョーに驚くギルドの面々。
ジョーの後ろには護衛としてルーシー姉妹が控えていた。
「相変わらず良いタイミングで会いますね。
相談したい事があったんですよ。」
「ん?相談事?」
状況を把握出来ていないジョーに取り敢えず事情を説明する事に。
「…なる程、防具を新調しに来たけど、【防具】ギルドの方々でも見た事の無い素材で困っていたと。」
「ジョーさんは商人ですから、もしかして見た事無いですか?」
「私だってこの世の全ての素材を網羅している訳じゃ無いけど、駄目元で拝見してみよう。」
ジョーは作業台に広げてある素材に目を向けつつ手触り等を確認する。
が、案の定、ジョーの顔も険しい物となっていく。
「…申し訳無いノア君、私もこの素材が何なのか皆目見当も付かない。」
「そ、そうですか…」
商人のジョーですら見た事が無い様で露骨に肩を落とすノア。
「ふむ…」
だが、ジョーが顎に手をやり、何やら思案している。
「…アグナス家の者ならこの手の素材でも防具を作れるかもしれないな…」
「あー、な、なる程…アグナス家なら何とかなるかも…」
「防具製作のみで貴族まで登り詰めた一族でしょ?新人冒険者の頼みで来てくれるとは思えないけど…」
どうやら話の主はアグナスと言う貴族の者らしい。
正直な所、貴族にこの手の話を吹っ掛けると莫大な金額を要求されそうで少し焦るノアだが
「そこら辺は大丈夫でしょう、ノア君もよく知ってる人達だから要請を掛けてみよう。
ラーベ、これを急ぎで出しといてくれ。」
「は!」
ジョーから何やら紙を受け取ったラーベは急ぎ冒険者ギルドの方へと駆けて行った。
「僕もよく知ってる人達…ですか?僕に貴族の知り合いなんて…」
「まぁ早ければ明日の朝には来てくれると思うよ。それまでのお楽しみと言う事で。」
何やら驚かせる気満々の含み笑顔のジョー。
まぁジョーの事だから変な人間を呼ぶ事は無いだろう。
「それにしても大分ボロボロだけど大丈夫かい?」
「見た目はアレですが、何の問題もありませんよ。
そうだジョーさん、4日後に御前試合があるのですが…」
「ああ、知ってる。宴には僕も参加していたからね。」
「その御前試合が終わった後、一段落着いたら話があるのですが良いでしょうか?」
「お、良いよ。
何だい?フリアダビアでの話でも聞かせてくれるのかな?」
「いえ、少し真面目な話です。」
ノアの真剣な目に何かを悟ったジョー。
その話に何故かラベルタが割り込んでくる。
「そ、その話に私も同席して良いでしょうか?」
「…いえ、この話はなるべく少数で行いたいので…」
「…そう、ですか…」
(ジョーさんの護衛としては1人にさせるのはマズイとは思うけど、海洋種と国交を結びたい、何て話を大人数にする訳にもいかないからここは少し強引だけど押し通させて貰おう…
ジョーさんもそれなりに察してくれてる様だけど、何でラベルタさんは物悲しそうな顔をしているのだろう。)
色々と思う所はあるが、一旦その場は解散となり、例のアグナス家の者達が来たらノアに連絡を寄越すと言う事になった。
ギルドを出たノアはジョーとラベルタに礼をしてその場を離れた。
(『主。』)
「分かってる。後方100メルに1人、左側の路地裏60メルに2人だろ?
分かってる、気付かれずに素早く片付けるぞ。」
「ちょっと色々ありまして防具を新調しに来ました。」
ノアはスロアと別れた後【防具】ギルドに来ていた。
ノアが表で突っ立っていると、中から女性のギルドメンバーが出てきた。
その女性はノアの装備を見るなり直ぐにお客と判断して応対し始めた。
「見た所新人冒険者の様だけど…新調って事は製作依頼という事で良いのかしら?」
「ええ、それでお願いします。
ちなみに素材持ち込みですけど大丈夫ですか?」
「あ、それは逆に助かります。
最近素材不足気味で困っていたので。
さ、詳しい話は中で。」
「はい…あ、ちょっとお待ちを。
用事済ませて来ますので先に中に行ってて下さい。」
「え?…あ、はい分かりました…」
そう言った直後ノアは路地裏に姿を消す。
【防具】ギルドの女性はノアの行動に首をかしげながらも、建物の中に入る。
30秒程してノアが建物の中に入ってきた。
「あら?用事は良いのかしら?」
「あ、もう大丈夫です、済ませて来ました。」
「???」
女性はノアの言動に終始首をかしげていた。
「報告します。
対象の監視を命じていた者が襲撃に遭い、肩を砕かれた様です。」
「何?それでその襲撃者は?」
「姿、人数は分からず、背後から襲われ、問答無用で破壊された様です。」
「…全く何をしているのだ。
人員を呼び、再配置して対象の監視を続け、並行して襲撃者の捜索を行え。」
「は!」
「それで、持ち込みの素材って何の素材かしら?」
「詳しくは見て貰った方が早いかと思いますので今出しますね。」
建物の奥、工房の様な一室に通されたノアは作業台の様な場所に対面で座り、依頼の話へと移る。
工房の中には他にギルドマスターの男性と、ギルドメンバーだろうか、男女が1人ずつの計3人が待機していた。
女性がノアに応対しているが、遠巻きにノアの方を眺めている。
そんな事気にせず、ノアはアイテムボックスに手を突っ込み『大海獣の柔肌』を一枚取り出す。
あまりに大きな素材に女性は思わず「おわっと!?」と声に出した。
奥で遠巻きに見ていた面々も「何だあの素材は?」と興味津々に見てきている。
というか改めて『大海獣の柔肌』を触ってみたが、まるでチーズの表面を触っているかの様な独特な感触をしている。
防具製作は全くの素人だが、この様な柔らかい素材で防具が作れるのかが想像出来ずにいる。
良くて下地だろうか、等と考えていると女性が素材を見て固まっている。
やはり防具としては使い辛いのだろうな、と思っていると、女性が遠巻きに眺めていた者達を呼ぶ。
ノアからの素材提供だから、極力ノアの要望を叶える為に動いてくれてるんだろう。
と、そのまま見守っていると、遠巻きの者達が素材を見て同じく固まった。
時折首をかしげ、目を凝らして眺めては首をかしげるのを繰り返す。
「あの…」
女性から声が掛かる。やはり防具としてこの素材は使えないのだろう、と考えていたがそうでは無いらしい。
「…この素材は、何の素材なんですか?」
「あ、そこから…」
まず何のモンスターの素材かが分かっていなかった様だ。
ノアは素材の説明欄に名前書いてません?
と聞くも、皆『???の??』と表示されているとの事らしい。
恐らく未知の素材というのと、この素材を扱う技量に達していないのだろう。
何せギルドマスターですら『大??の柔?』としか表示されていないらしい。
「申し訳ありませんが、素材の出所はまだ詳しくは言えません。
うーん…これは弱ったな…」ポリポリ…
お伽噺でしか聞いた事無いモンスターに貰いました、何て口が裂けても言えないノアは、思ってもみなかった事に頭をポリポリと掻く。
ギルドの方達も心無しか申し訳なさそうにしている。
すると
カランコロンカラン
「すいません、ここにノアと言う少年が来ていないだろうか?」
建物入口の方から聞き覚えのある声が聞こえてくる。
こう言う困った時に良いタイミングで姿を現す人物が居たじゃないか、と今更ながら思い出す。
「ジョーさん、お久しぶりです。」
と言っても最後に会ったのがアルバラストの街なので10日程しか経っていないが。
「街に戻ってきた時にボロボロだったと聞いてもしや、と思って来てみたが、やはりここに居たね。」
突然来店したジョーに驚くギルドの面々。
ジョーの後ろには護衛としてルーシー姉妹が控えていた。
「相変わらず良いタイミングで会いますね。
相談したい事があったんですよ。」
「ん?相談事?」
状況を把握出来ていないジョーに取り敢えず事情を説明する事に。
「…なる程、防具を新調しに来たけど、【防具】ギルドの方々でも見た事の無い素材で困っていたと。」
「ジョーさんは商人ですから、もしかして見た事無いですか?」
「私だってこの世の全ての素材を網羅している訳じゃ無いけど、駄目元で拝見してみよう。」
ジョーは作業台に広げてある素材に目を向けつつ手触り等を確認する。
が、案の定、ジョーの顔も険しい物となっていく。
「…申し訳無いノア君、私もこの素材が何なのか皆目見当も付かない。」
「そ、そうですか…」
商人のジョーですら見た事が無い様で露骨に肩を落とすノア。
「ふむ…」
だが、ジョーが顎に手をやり、何やら思案している。
「…アグナス家の者ならこの手の素材でも防具を作れるかもしれないな…」
「あー、な、なる程…アグナス家なら何とかなるかも…」
「防具製作のみで貴族まで登り詰めた一族でしょ?新人冒険者の頼みで来てくれるとは思えないけど…」
どうやら話の主はアグナスと言う貴族の者らしい。
正直な所、貴族にこの手の話を吹っ掛けると莫大な金額を要求されそうで少し焦るノアだが
「そこら辺は大丈夫でしょう、ノア君もよく知ってる人達だから要請を掛けてみよう。
ラーベ、これを急ぎで出しといてくれ。」
「は!」
ジョーから何やら紙を受け取ったラーベは急ぎ冒険者ギルドの方へと駆けて行った。
「僕もよく知ってる人達…ですか?僕に貴族の知り合いなんて…」
「まぁ早ければ明日の朝には来てくれると思うよ。それまでのお楽しみと言う事で。」
何やら驚かせる気満々の含み笑顔のジョー。
まぁジョーの事だから変な人間を呼ぶ事は無いだろう。
「それにしても大分ボロボロだけど大丈夫かい?」
「見た目はアレですが、何の問題もありませんよ。
そうだジョーさん、4日後に御前試合があるのですが…」
「ああ、知ってる。宴には僕も参加していたからね。」
「その御前試合が終わった後、一段落着いたら話があるのですが良いでしょうか?」
「お、良いよ。
何だい?フリアダビアでの話でも聞かせてくれるのかな?」
「いえ、少し真面目な話です。」
ノアの真剣な目に何かを悟ったジョー。
その話に何故かラベルタが割り込んでくる。
「そ、その話に私も同席して良いでしょうか?」
「…いえ、この話はなるべく少数で行いたいので…」
「…そう、ですか…」
(ジョーさんの護衛としては1人にさせるのはマズイとは思うけど、海洋種と国交を結びたい、何て話を大人数にする訳にもいかないからここは少し強引だけど押し通させて貰おう…
ジョーさんもそれなりに察してくれてる様だけど、何でラベルタさんは物悲しそうな顔をしているのだろう。)
色々と思う所はあるが、一旦その場は解散となり、例のアグナス家の者達が来たらノアに連絡を寄越すと言う事になった。
ギルドを出たノアはジョーとラベルタに礼をしてその場を離れた。
(『主。』)
「分かってる。後方100メルに1人、左側の路地裏60メルに2人だろ?
分かってる、気付かれずに素早く片付けるぞ。」
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