133 / 1,171
アルバラスト編
んな訳あるかい
しおりを挟む
ノアが名乗るとハミル村長代理が「新人冒険者だと?んな訳あるかい!」と一蹴されてしまった。
実は数日前にも新人冒険者がこの村に来たという。
剣2人に弓1人のバランスが取れた3人パーティだったというが 、ウルフ3頭を10分以上掛け何とか撃退したが「用事を思い出した。」と言いそそくさと大通りを進んでいったらしい。
そんな事があった為たった1人で、しかも10秒足らずでウルフ4頭を倒してしまったノアを新人冒険者とはとても思えなかったらしい。
その後、冒険者カードを見せた事で何とか納得して貰った。
「うぬぬ、確かに新人冒険者の様ですな。
すまない、疑がって悪かった。」
「いえいえ、構いません。
それとさっき僕が倒したウルフは村の物として扱って下さい。」
「良いのですか?」
「先程の親子から食べ物が足りなくなってきたと伺いました。
少しでも足しにして下さい。」
「厚意に感謝します。
さぁ、怪我人は手当てを!手の空いてる者はウルフを回収してくれ!」
ハミルの指示で腕から血を流していた村人は回復玉を口の中で転がしつつ腕の血を洗い流しており、どうやら既に傷口は塞がった様だ。
ノアが倒した4頭のウルフは村人達が回収し、村の入口にはノアとハミルが残っていた。
「最近になってウルフや猪が山から出て来たと伺いましたが本当ですか?」
「ええ、冬はそういった事はありませんでしたが、春になった途端頻繁に現れる様になりました。」
「…うーん…となると…」
「何か思い当たる事が?」
「そうですね、思い当たる事があるので、どちらにせよ山の方を見て来ないと判断出来ませんね。」
そう言ってノアは村を出て山の方へと向かおうとすると最初に助けた少女(確かミミとか言う名前)が不安そうな顔でノアに問い掛ける。
「お兄ちゃん行っちゃうの?」
その少女以外にも何人かの村人が不安そうな顔をする。
「ちょっと原因を調べに山の方までね。
大丈夫、直ぐに戻ってくるから村の外に出ない様にね。」
と、言ってはみたものの皆の顔は不安そのものだ。
そこでノアはある事を閃く。
「それじゃ僕が村に帰ってくるまでの間皆を守る護衛を置いておくよ。」
「護衛?」
「そう、ウルフや猪何か全く相手にならないとても強い護衛だよ。」
「でも…どこに?」
「実は直ぐ近くにいるから安心して。」
ミミや村人がキョロキョロと周囲を見渡すもその様な姿は無い。
するとノアが周囲を見渡して1頭のウルフを指差す。
「良いかい?あそこのウルフを見ててね。」
ノアが指差す方向を見る一同。
「グリード、首から上は食って良い、但し一撃で仕留めるんだぞ?」
<グル!>
頭の中に響く声に一瞬驚いたが直ぐに情報が流れ込んできた。
スキル<念話>を獲得
『グリード』がスキル<念話>を獲得しました。
『グリード』と<念話>が可能になりました。
突然の事で黙ってしまったノアにミミが心配そうな顔をする。
「……。」
「お兄ちゃんどうしたの?」
「ああ、ごめんごめん、それじゃあいくよ。」
<グリード、行け!>
ノアが念話で指示を出すとウルフの頭の真下から物凄い早さでグリードが飛び出し、首から上だけ噛み千切って再び地面に潜る。
頭部を持っていかれたウルフは暫く立ったままだったがゆっくりと体が揺れ、その場に崩れ落ちた。
村人達には速すぎて何が起こったか分からないといった様子だ。
「ね?」
「ね?じゃないですよ!え、待って!待って!何が起こったんですか!?何がいるんですか!?」
「暗くなる前には戻ってきますのでご安心を。
あ、護衛が倒したモンスターは回収して大丈夫ですから。」
「ねぇ待って!待ってって!」
ミミや村人が物凄く色々聞きたそうにしているが、色々無視して山へ向かう。
暫し歩いていると雑木林の辺りまで来たので<木登り上手><縦横無尽>を発動して樹上に上がり枝伝いに進む。
(山の麓まで来たがモンスターの反応無し、か…)
ノアは枝伝いに斜面を登り始める、樹上から村を俯瞰で見れる位置まで来ると<気配感知>に未確認の反応を感知。
ただ反応の位置からして地面の下である。
(この山、洞窟か洞穴でもあるのか?)
更に進むと視界の中に小さな洞穴を見付けたノアは、入口近くに降りて石を拾う。
久しぶりに<気流感知>を発動してどこかと繋がっているかどうかを確認する。
(一応風の流れはあるのか…)
次にノアは洞窟内に石を投げ、反響音を確認する。
<カツーン>
<コツーン>
<カラ…>
「うーん…上方向にも反響しているが下方向の方が深いな…行ける所まで行って見るか。」
ノアは<夜目><忍び足>を発動して洞窟内の探索を開始する。
洞窟の内部は人1人が通る分には十分な広さで、なだらかな下り坂となっており探索がしやすい。
ふと足元を見ると地面の所々に動物やモンスターの骨が散乱していた。
「これは…当たりっぽいな。」
更に奥へと進むと<気配感知>の反応に先程同様未確認の反応を感知、ノアがいる地点の真下辺りに軽く20体はいる様だ。
少し進んだ先に部屋の様な穴がぽかりと空いており、異臭が漂っていた。
(相変わらず臭ぇ…確認が取れたら早々に離脱するか。)
ノアは更に慎重に歩を進め、反応がある部屋の真横までやって来た。
近くまでやって来ると予想していた通りの鳴き声が聞こえてくる。
ゲギャギャギャ! ギュアッ!
(そうそう、この汚ならしい鳴き声。)
ノアは部屋の外から顔をひょこっと出す。
視線の先にはウルフの死骸に群がる緑色の肌をした小人『ゴブリン』が死肉を貪っていた。
『ゴブリン』…この世界に広く生息している害獣。繁殖力がとても高い。
身長は大人の腰程しかなく、1匹1匹は非常に弱い、武器さえあれば子供でも倒せるが、中途半端に知能を持っており狡賢く、常に集団で行動している為、数の暴力で狩りをする。
また、ある程度の数に達すると食糧を求め、人里に攻めて来る事もあるので見付けたら駆除する事が推奨されている。
(20体か…少ないな、まだ昼だから狩りに行ってるのかもしれない。
よし、狩るなら夜だな。)
ノアは早々に洞窟から脱出し、付近を探索。
結果、中へと通じる穴は3ヶ所と判明した。
(取り敢えず一旦村へ戻って村人に報告だな。)
(『それで、どうやって駆除する?特訓の時みたいに炙り出しでもやるか?』)
(いや、それだと事後処理が面倒だ。
グリードも参加させて全て駆除しよう。)
(『ほう?何か考えがあるんだな?』)
(まあね。一先ず村に戻ろう。)
そうしてノアは来た道を戻っていった。
実は数日前にも新人冒険者がこの村に来たという。
剣2人に弓1人のバランスが取れた3人パーティだったというが 、ウルフ3頭を10分以上掛け何とか撃退したが「用事を思い出した。」と言いそそくさと大通りを進んでいったらしい。
そんな事があった為たった1人で、しかも10秒足らずでウルフ4頭を倒してしまったノアを新人冒険者とはとても思えなかったらしい。
その後、冒険者カードを見せた事で何とか納得して貰った。
「うぬぬ、確かに新人冒険者の様ですな。
すまない、疑がって悪かった。」
「いえいえ、構いません。
それとさっき僕が倒したウルフは村の物として扱って下さい。」
「良いのですか?」
「先程の親子から食べ物が足りなくなってきたと伺いました。
少しでも足しにして下さい。」
「厚意に感謝します。
さぁ、怪我人は手当てを!手の空いてる者はウルフを回収してくれ!」
ハミルの指示で腕から血を流していた村人は回復玉を口の中で転がしつつ腕の血を洗い流しており、どうやら既に傷口は塞がった様だ。
ノアが倒した4頭のウルフは村人達が回収し、村の入口にはノアとハミルが残っていた。
「最近になってウルフや猪が山から出て来たと伺いましたが本当ですか?」
「ええ、冬はそういった事はありませんでしたが、春になった途端頻繁に現れる様になりました。」
「…うーん…となると…」
「何か思い当たる事が?」
「そうですね、思い当たる事があるので、どちらにせよ山の方を見て来ないと判断出来ませんね。」
そう言ってノアは村を出て山の方へと向かおうとすると最初に助けた少女(確かミミとか言う名前)が不安そうな顔でノアに問い掛ける。
「お兄ちゃん行っちゃうの?」
その少女以外にも何人かの村人が不安そうな顔をする。
「ちょっと原因を調べに山の方までね。
大丈夫、直ぐに戻ってくるから村の外に出ない様にね。」
と、言ってはみたものの皆の顔は不安そのものだ。
そこでノアはある事を閃く。
「それじゃ僕が村に帰ってくるまでの間皆を守る護衛を置いておくよ。」
「護衛?」
「そう、ウルフや猪何か全く相手にならないとても強い護衛だよ。」
「でも…どこに?」
「実は直ぐ近くにいるから安心して。」
ミミや村人がキョロキョロと周囲を見渡すもその様な姿は無い。
するとノアが周囲を見渡して1頭のウルフを指差す。
「良いかい?あそこのウルフを見ててね。」
ノアが指差す方向を見る一同。
「グリード、首から上は食って良い、但し一撃で仕留めるんだぞ?」
<グル!>
頭の中に響く声に一瞬驚いたが直ぐに情報が流れ込んできた。
スキル<念話>を獲得
『グリード』がスキル<念話>を獲得しました。
『グリード』と<念話>が可能になりました。
突然の事で黙ってしまったノアにミミが心配そうな顔をする。
「……。」
「お兄ちゃんどうしたの?」
「ああ、ごめんごめん、それじゃあいくよ。」
<グリード、行け!>
ノアが念話で指示を出すとウルフの頭の真下から物凄い早さでグリードが飛び出し、首から上だけ噛み千切って再び地面に潜る。
頭部を持っていかれたウルフは暫く立ったままだったがゆっくりと体が揺れ、その場に崩れ落ちた。
村人達には速すぎて何が起こったか分からないといった様子だ。
「ね?」
「ね?じゃないですよ!え、待って!待って!何が起こったんですか!?何がいるんですか!?」
「暗くなる前には戻ってきますのでご安心を。
あ、護衛が倒したモンスターは回収して大丈夫ですから。」
「ねぇ待って!待ってって!」
ミミや村人が物凄く色々聞きたそうにしているが、色々無視して山へ向かう。
暫し歩いていると雑木林の辺りまで来たので<木登り上手><縦横無尽>を発動して樹上に上がり枝伝いに進む。
(山の麓まで来たがモンスターの反応無し、か…)
ノアは枝伝いに斜面を登り始める、樹上から村を俯瞰で見れる位置まで来ると<気配感知>に未確認の反応を感知。
ただ反応の位置からして地面の下である。
(この山、洞窟か洞穴でもあるのか?)
更に進むと視界の中に小さな洞穴を見付けたノアは、入口近くに降りて石を拾う。
久しぶりに<気流感知>を発動してどこかと繋がっているかどうかを確認する。
(一応風の流れはあるのか…)
次にノアは洞窟内に石を投げ、反響音を確認する。
<カツーン>
<コツーン>
<カラ…>
「うーん…上方向にも反響しているが下方向の方が深いな…行ける所まで行って見るか。」
ノアは<夜目><忍び足>を発動して洞窟内の探索を開始する。
洞窟の内部は人1人が通る分には十分な広さで、なだらかな下り坂となっており探索がしやすい。
ふと足元を見ると地面の所々に動物やモンスターの骨が散乱していた。
「これは…当たりっぽいな。」
更に奥へと進むと<気配感知>の反応に先程同様未確認の反応を感知、ノアがいる地点の真下辺りに軽く20体はいる様だ。
少し進んだ先に部屋の様な穴がぽかりと空いており、異臭が漂っていた。
(相変わらず臭ぇ…確認が取れたら早々に離脱するか。)
ノアは更に慎重に歩を進め、反応がある部屋の真横までやって来た。
近くまでやって来ると予想していた通りの鳴き声が聞こえてくる。
ゲギャギャギャ! ギュアッ!
(そうそう、この汚ならしい鳴き声。)
ノアは部屋の外から顔をひょこっと出す。
視線の先にはウルフの死骸に群がる緑色の肌をした小人『ゴブリン』が死肉を貪っていた。
『ゴブリン』…この世界に広く生息している害獣。繁殖力がとても高い。
身長は大人の腰程しかなく、1匹1匹は非常に弱い、武器さえあれば子供でも倒せるが、中途半端に知能を持っており狡賢く、常に集団で行動している為、数の暴力で狩りをする。
また、ある程度の数に達すると食糧を求め、人里に攻めて来る事もあるので見付けたら駆除する事が推奨されている。
(20体か…少ないな、まだ昼だから狩りに行ってるのかもしれない。
よし、狩るなら夜だな。)
ノアは早々に洞窟から脱出し、付近を探索。
結果、中へと通じる穴は3ヶ所と判明した。
(取り敢えず一旦村へ戻って村人に報告だな。)
(『それで、どうやって駆除する?特訓の時みたいに炙り出しでもやるか?』)
(いや、それだと事後処理が面倒だ。
グリードも参加させて全て駆除しよう。)
(『ほう?何か考えがあるんだな?』)
(まあね。一先ず村に戻ろう。)
そうしてノアは来た道を戻っていった。
102
お気に入りに追加
1,968
あなたにおすすめの小説

ダンジョンで同棲生活始めました ひと回り年下の彼女と優雅に大豪邸でイチャイチャしてたら、勇者だの魔王だのと五月蝿い奴らが邪魔するんです
もぐすけ
ファンタジー
勇者に嵌められ、社会的に抹殺されてしまった元大魔法使いのライルは、普通には暮らしていけなくなり、ダンジョンのセーフティゾーンでホームレス生活を続けていた。
ある日、冒険者に襲われた少女ルシアがセーフティゾーンに逃げ込んできた。ライルは少女に頼まれ、冒険者を撃退したのだが、少女もダンジョン外で貧困生活を送っていたため、そのままセーフティゾーンで暮らすと言い出した。
ライルとルシアの奇妙な共同生活が始まった。

出戻り勇者は自重しない ~異世界に行ったら帰って来てからが本番だよね~
TB
ファンタジー
中2の夏休み、異世界召喚に巻き込まれた俺は14年の歳月を費やして魔王を倒した。討伐報酬で元の世界に戻った俺は、異世界召喚をされた瞬間に戻れた。28歳の意識と異世界能力で、失われた青春を取り戻すぜ!
東京五輪応援します!
色々な国やスポーツ、競技会など登場しますが、どんなに似てる感じがしても、あくまでも架空の設定でご都合主義の塊です!だってファンタジーですから!!

こちらの異世界で頑張ります
kotaro
ファンタジー
原 雪は、初出勤で事故にあい死亡する。神様に第二の人生を授かり幼女の姿で
魔の森に降り立つ 其処で獣魔となるフェンリルと出合い後の保護者となる冒険者と出合う。
様々の事が起こり解決していく

うっかり『野良犬』を手懐けてしまった底辺男の逆転人生
野良 乃人
ファンタジー
辺境の田舎街に住むエリオは落ちこぼれの底辺冒険者。
普段から無能だの底辺だのと馬鹿にされ、薬草拾いと揶揄されている。
そんなエリオだが、ふとした事がきっかけで『野良犬』を手懐けてしまう。
そこから始まる底辺落ちこぼれエリオの成り上がりストーリー。
そしてこの世界に存在する宝玉がエリオに力を与えてくれる。
うっかり野良犬を手懐けた底辺男。冒険者という枠を超え乱世での逆転人生が始まります。
いずれは王となるのも夢ではないかも!?
◇世界観的に命の価値は軽いです◇
カクヨムでも同タイトルで掲載しています。

子爵家の長男ですが魔法適性が皆無だったので孤児院に預けられました。変化魔法があれば魔法適性なんて無くても無問題!
八神
ファンタジー
主人公『リデック・ゼルハイト』は子爵家の長男として産まれたが、検査によって『魔法適性が一切無い』と判明したため父親である当主の判断で孤児院に預けられた。
『魔法適性』とは読んで字のごとく魔法を扱う適性である。
魔力を持つ人間には差はあれど基本的にみんな生まれつき様々な属性の魔法適性が備わっている。
しかし例外というのはどの世界にも存在し、魔力を持つ人間の中にもごく稀に魔法適性が全くない状態で産まれてくる人も…
そんな主人公、リデックが5歳になったある日…ふと前世の記憶を思い出し、魔法適性に関係の無い変化魔法に目をつける。
しかしその魔法は『魔物に変身する』というもので人々からはあまり好意的に思われていない魔法だった。
…はたして主人公の運命やいかに…

『転生したら「村」だった件 〜最強の移動要塞で世界を救います〜』
ソコニ
ファンタジー
29歳の過労死サラリーマン・御影要が目覚めたのは、なんと「村」として転生した姿だった。
誰もいない村の守護者となった要は、偶然迷い込んできた少年リオを最初の住民として迎え入れ、徐々に「村」としての力を開花させていく。【村レベル:1】【住民数:0】【スキル:基本生活機能】から始まった異世界生活。

はずれスキル『本日一粒万倍日』で金も魔法も作物もなんでも一万倍 ~はぐれサラリーマンのスキル頼みな異世界満喫日記~
緋色優希
ファンタジー
勇者召喚に巻き込まれて異世界へやってきたサラリーマン麦野一穂(むぎのかずほ)。得たスキルは屑(ランクレス)スキルの『本日一粒万倍日』。あまりの内容に爆笑され、同じように召喚に巻き込まれてきた連中にも馬鹿にされ、一人だけ何一つ持たされず荒城にそのまま置き去りにされた。ある物と言えば、水の樽といくらかの焼き締めパン。どうする事もできずに途方に暮れたが、スキルを唱えたら水樽が一万個に増えてしまった。また城で見つけた、たった一枚の銀貨も、なんと銀貨一万枚になった。どうやら、あれこれと一万倍にしてくれる不思議なスキルらしい。こんな世界で王様の助けもなく、たった一人どうやって生きたらいいのか。だが開き直った彼は『住めば都』とばかりに、スキル頼みでこの異世界での生活を思いっきり楽しむ事に決めたのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる