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旅立ち~オードゥス出立まで
恐る恐る
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ノアがなんちゃってミートボールのシチュー煮込みを皿によそってラミーに手渡す、恐る恐ると言った感じで匙で掬い、意を決して口に頬張る。
その様子をエルとティカはハラハラとした気持ちで見つめ、ノアは無言でラミーの反応を見ている。
「…美味しい…それに、これ…お肉です…ぐすっ…美味し…ううっ…」
ラミーから啜り泣く声が2、3聞こえた後、袖で涙を拭いたラミーが叫ぶ。
「エル、ティカ!手持ちのパン全部出して!」
ガツガツガツ! ズズズッ!カッカッ!
ムシッ!ガフガフガフッ!ムシャムシャ!
「お代わり!」
「はい、どうぞ、まだまだありますから落ち着いて食べて下さい。」
エルとティカからパン8個を受け取ったラミーはシチューと共に猛烈な早さで食べ進め、既に3皿目だ。
「こんなに食べるラミー久しぶりに見た…」
「本当、良かった…」
「はい、取り敢えずお2人もどうぞ。」
ラミーが食べる姿を見ていたエルとティカにもシチューを渡すと、2人同時に口に運ぶ。
「んー!美味しい!」
「本当にお肉みたい!」
「でもあくまで"なんちゃって"なのでこれ単体で食べると味がしないし、食感も悪いです。
ですので味を濃くして、細かく切って肉感を減らしました。
でも肉の存在感は出したいので獣脂を入れました。」
「あの"なんちゃって肉"は小麦粉で作ってたモノですよね?」
「そうですね、小麦粉に水を加えて捏ねて、濁りが無くなるまで水で洗ったものです。
簡単に作れるので是非試してみて下さい。」
エルとティカに作り方と注意事項を伝えたノアは2人と共にラミーの食事風景を眺め続けた。
「あー、美味しかった。
久しぶりにお腹一杯食べれました。」
「それは良かったです、ステータスの方はどうですか?」
「全然低下していません、むしろ食事効果のお陰でステータス上昇してます。」
「2人に作り方と注意点等を教えましたので色々作ってみると良いですよ。」
ラミーの元へ行ったエルとティカを尻目に鍋の中を覗く。
4皿分平らげたとはいえ、まだ2皿分残っていた。
(1皿は朝飯代わりに食べるとしてあと1皿…)
「相変わらず気配無しで登場しないで下さい…
地味に心臓に悪いんですから…」
「いやぁ、何か良い匂いがしたから興味が湧いてね。
余ってたら頂いても良いかな?」
いつもの事ながら全く気配無くノアの横に皿を持ったジョーが立っていた。非常に用意周到だ。
ノアは皿になんちゃって肉のシチューをよそってジョーに手渡す。
パクッ!ムグムグムグ…
「おや、これ肉じゃないね?グルテンミートかな?」
「一口で分かるとは…グルテンミートって言うんですね、それ。
近くの村の神父さんが作ってたのを真似てみたんです。」
「ほぉー、でも何でコレを?」
「それはですね…」
ノアは女性3人パーティを見ながら事の経緯を話す。
「なるほどね、彼女は【神官】だったのか、地域によってはもっと厳しい制約がある所もあるし大変だろう。どれ。」
ジョーは3人に近寄り声を掛ける。
「どうも初めまして、私はノア君の知り合いの商人でジョーと言います。
もし王都まで行くのであれば"このメモ"の店に行くと良い。
あなた同様【神官・僧侶】の人達用の食材、料理等を販売している店があります、もし良ければ寄ってみると良い。」
「「「あ、ありがとうございます。」」」
メモを渡したジョーがノアの所に戻る。
「王都にそういう店もあるんですね。」
「ああ、ただ宗教絡みな人達が多いから紹介が必要なんだ。
あのメモの紙は私の店の物だから見せるだけで紹介状変わりになる。
本当は一般に普及させたいんだけどねぇ…」
色々と難しい面があるんだろうなぁと思いつつこの話は頭の隅に追いやる。難しい話は苦手である。
「そういえばノア君、そろそろこの街を発つんだって?」
「ええ、断りは入れたんですけど恐らく王都に行かなきゃならなそうなので。」
「何かあったのかい?」
「女鏖蜂発生の異常事態を終息させた功労者を迎えたい、だとかで。」
「なるほどね、謁見の意味合いが強いだろうけどね。」
「ただあまり気乗りしないんですよね…厄介事に巻き込まれそうで…」
「ははは、ベルドラッドさん程血の気が多い人あまりいないから大丈夫だと思うよ。」
「そうですかね…」
「むしろ王都に行くまでのが大変だと思うよ?」
「それは何故ですか?」
「最近の魔素上昇がダンジョン内のみならず近隣でも発生してて、ゴブリンの集落が出来てる所が増えてたり、野盗がこの時期多いんだ。」
「野盗が?」
「新人冒険者を狙う奴が多いんだ。」
「あー…なるほど…」
「割と防具を揃えていたり、路銀を多めに持たされているにも関わらず戦闘経験が皆無な子とか結構いるから格好の餌食なんだ。
下手すると新人冒険者として村を出て一月したら野盗に堕ちてた、なんてザラにあるよ。」
「そういう類いに遭遇したら僕が対処しちゃっても良いんですか?」
「構わないよ。逆に報酬も支払われるけど…無茶しないようにね。」
ノアの質問を受け、何かを察したジョーは一応一言添えておく。
対してノアはジョーが察した事に気付き、苦笑いで返すのみだった。
その後キッチンを片付けたノアはジョーと共に街へ戻ろうとするとエル、ティカ、ラミーからお礼がしたいと言われたが、2人共断った。
元々見返りが欲しくてこの話を受けた訳では無いと言うノアと、偶然やって来て店を紹介しただけだから別に礼を言われる程の事はしていないと言うジョー。
例の如く自分が何か困った時に手を貸してくれればそれで良いと言い、その場を去った。
街に戻った2人は各々の用事を済ます為、その場で別れた。
ノアの場合用事と言ってもギルドへの報告と近々街を出るというのを周囲に伝える挨拶回りがメインである。
ギルドへ向かうとジェイル達と出会したので近々街を離れるというのを伝えるとクロラから以前露店で購入したペアリングを貸して欲しいとお願いされた。
理由を聞いたら納得したので腕から外して預ける事にした。
正直ノアとしても離れるのは厳しいのが本音だ。
街に繰り出して職員と近しい関係の冒険者に声を掛ける。
(流石に1回で声を掛けるのは無理…だよな…)
結局この日はそのまま宿に戻りどっぷりと寝る事にした。
翌日はルドルフパーティ、女性3人パーティに声を掛け、装備類の点検に費やす。
更に翌日、翌々日には全ての職員、パーティに声を掛け終わり、残った用事は"例のアレ"だけとなった。
その様子をエルとティカはハラハラとした気持ちで見つめ、ノアは無言でラミーの反応を見ている。
「…美味しい…それに、これ…お肉です…ぐすっ…美味し…ううっ…」
ラミーから啜り泣く声が2、3聞こえた後、袖で涙を拭いたラミーが叫ぶ。
「エル、ティカ!手持ちのパン全部出して!」
ガツガツガツ! ズズズッ!カッカッ!
ムシッ!ガフガフガフッ!ムシャムシャ!
「お代わり!」
「はい、どうぞ、まだまだありますから落ち着いて食べて下さい。」
エルとティカからパン8個を受け取ったラミーはシチューと共に猛烈な早さで食べ進め、既に3皿目だ。
「こんなに食べるラミー久しぶりに見た…」
「本当、良かった…」
「はい、取り敢えずお2人もどうぞ。」
ラミーが食べる姿を見ていたエルとティカにもシチューを渡すと、2人同時に口に運ぶ。
「んー!美味しい!」
「本当にお肉みたい!」
「でもあくまで"なんちゃって"なのでこれ単体で食べると味がしないし、食感も悪いです。
ですので味を濃くして、細かく切って肉感を減らしました。
でも肉の存在感は出したいので獣脂を入れました。」
「あの"なんちゃって肉"は小麦粉で作ってたモノですよね?」
「そうですね、小麦粉に水を加えて捏ねて、濁りが無くなるまで水で洗ったものです。
簡単に作れるので是非試してみて下さい。」
エルとティカに作り方と注意事項を伝えたノアは2人と共にラミーの食事風景を眺め続けた。
「あー、美味しかった。
久しぶりにお腹一杯食べれました。」
「それは良かったです、ステータスの方はどうですか?」
「全然低下していません、むしろ食事効果のお陰でステータス上昇してます。」
「2人に作り方と注意点等を教えましたので色々作ってみると良いですよ。」
ラミーの元へ行ったエルとティカを尻目に鍋の中を覗く。
4皿分平らげたとはいえ、まだ2皿分残っていた。
(1皿は朝飯代わりに食べるとしてあと1皿…)
「相変わらず気配無しで登場しないで下さい…
地味に心臓に悪いんですから…」
「いやぁ、何か良い匂いがしたから興味が湧いてね。
余ってたら頂いても良いかな?」
いつもの事ながら全く気配無くノアの横に皿を持ったジョーが立っていた。非常に用意周到だ。
ノアは皿になんちゃって肉のシチューをよそってジョーに手渡す。
パクッ!ムグムグムグ…
「おや、これ肉じゃないね?グルテンミートかな?」
「一口で分かるとは…グルテンミートって言うんですね、それ。
近くの村の神父さんが作ってたのを真似てみたんです。」
「ほぉー、でも何でコレを?」
「それはですね…」
ノアは女性3人パーティを見ながら事の経緯を話す。
「なるほどね、彼女は【神官】だったのか、地域によってはもっと厳しい制約がある所もあるし大変だろう。どれ。」
ジョーは3人に近寄り声を掛ける。
「どうも初めまして、私はノア君の知り合いの商人でジョーと言います。
もし王都まで行くのであれば"このメモ"の店に行くと良い。
あなた同様【神官・僧侶】の人達用の食材、料理等を販売している店があります、もし良ければ寄ってみると良い。」
「「「あ、ありがとうございます。」」」
メモを渡したジョーがノアの所に戻る。
「王都にそういう店もあるんですね。」
「ああ、ただ宗教絡みな人達が多いから紹介が必要なんだ。
あのメモの紙は私の店の物だから見せるだけで紹介状変わりになる。
本当は一般に普及させたいんだけどねぇ…」
色々と難しい面があるんだろうなぁと思いつつこの話は頭の隅に追いやる。難しい話は苦手である。
「そういえばノア君、そろそろこの街を発つんだって?」
「ええ、断りは入れたんですけど恐らく王都に行かなきゃならなそうなので。」
「何かあったのかい?」
「女鏖蜂発生の異常事態を終息させた功労者を迎えたい、だとかで。」
「なるほどね、謁見の意味合いが強いだろうけどね。」
「ただあまり気乗りしないんですよね…厄介事に巻き込まれそうで…」
「ははは、ベルドラッドさん程血の気が多い人あまりいないから大丈夫だと思うよ。」
「そうですかね…」
「むしろ王都に行くまでのが大変だと思うよ?」
「それは何故ですか?」
「最近の魔素上昇がダンジョン内のみならず近隣でも発生してて、ゴブリンの集落が出来てる所が増えてたり、野盗がこの時期多いんだ。」
「野盗が?」
「新人冒険者を狙う奴が多いんだ。」
「あー…なるほど…」
「割と防具を揃えていたり、路銀を多めに持たされているにも関わらず戦闘経験が皆無な子とか結構いるから格好の餌食なんだ。
下手すると新人冒険者として村を出て一月したら野盗に堕ちてた、なんてザラにあるよ。」
「そういう類いに遭遇したら僕が対処しちゃっても良いんですか?」
「構わないよ。逆に報酬も支払われるけど…無茶しないようにね。」
ノアの質問を受け、何かを察したジョーは一応一言添えておく。
対してノアはジョーが察した事に気付き、苦笑いで返すのみだった。
その後キッチンを片付けたノアはジョーと共に街へ戻ろうとするとエル、ティカ、ラミーからお礼がしたいと言われたが、2人共断った。
元々見返りが欲しくてこの話を受けた訳では無いと言うノアと、偶然やって来て店を紹介しただけだから別に礼を言われる程の事はしていないと言うジョー。
例の如く自分が何か困った時に手を貸してくれればそれで良いと言い、その場を去った。
街に戻った2人は各々の用事を済ます為、その場で別れた。
ノアの場合用事と言ってもギルドへの報告と近々街を出るというのを周囲に伝える挨拶回りがメインである。
ギルドへ向かうとジェイル達と出会したので近々街を離れるというのを伝えるとクロラから以前露店で購入したペアリングを貸して欲しいとお願いされた。
理由を聞いたら納得したので腕から外して預ける事にした。
正直ノアとしても離れるのは厳しいのが本音だ。
街に繰り出して職員と近しい関係の冒険者に声を掛ける。
(流石に1回で声を掛けるのは無理…だよな…)
結局この日はそのまま宿に戻りどっぷりと寝る事にした。
翌日はルドルフパーティ、女性3人パーティに声を掛け、装備類の点検に費やす。
更に翌日、翌々日には全ての職員、パーティに声を掛け終わり、残った用事は"例のアレ"だけとなった。
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