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旅立ち~オードゥス出立まで
ギルド内にて
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ギルド内にてジョーを含め数人が話し合っていた。
話し合いの邪魔をしては悪いと<忍び足>を発動してそろりそろりとカウンターまで向かうも
「やぁノア君、もう体の調子は良いのかな?」
「えぇ、お陰さまで体中バキバキです。」
「ははっ、まだ本調子じゃあ無いか…」
するとジョーの背後にいた商人が問いかける。
「ジョーさん、この子が例の…?」
「あぁ、そうだ。
ノア君紹介するよ、僕が信頼を寄せる従業員達だ。」
「初めまして、俺はドゥ。見ての通り獅子型獣人だ、よろしくな。」
全身に筋肉の鎧を纏った様な巨躯の獅子型男性獣人、タテガミがモフい。
身長はノアの倍程あるだろう。
握手を求められて差し出された手も巨大な為、人差し指を握る。
「よろしく。」
「次は私だね。私はカサグリア、ダークエルフだ…って君、何で目を背けてるんだ?」
褐色肌に白髪、身長はノアより少し高い位の女性ダークエルフ、豊満な胸と括れた腹部が目に毒だ。
彼女の服装を見た時の感想「まだ春先だけど寒くないの?」
カサグリアからの返答にノアが困っていると
「そりゃお前、自分の格好見てみろよ…相変わらず布の面積少ねぇんだよ。」
「ばっ!違っ!私だって好きでこんな格好してる訳じゃない!」
「嘘付けお前、嬉々として際どい服買ってる所多方面から目撃されてんだからな?」
「ギャーッ!?こんな所でそんな話するなぁーっ!?」
顔を真っ赤にしたカサグリアにドゥがぶっ飛ばされているのを横目にジョーがフォローを入れる。
「こんな感じだけど信頼は置けるから安心して。」
「は、はぁ…」
未だにギャースカ言い合うカサグリアとドゥは放置して残りの2人を紹介する。
「最後は双子で姉妹のルーシーだ。ほら、挨拶して。」
「「……。」」
「ん?2人共どうしたんだい?」
ジョーが紹介した姉妹は何故か2人共ノアを見て冷や汗をかいて固まっていた。
正確にはノアの背後、である。
ジョーが困惑していると急に双子の姉妹が最敬礼をしだす。
そして額から止めどなく汗が流れている。
「わ、私は鬼人族で愚妹の姉ルーシー・ラーベ!以後、お、お見知り置きを!」
「わ、私も同じく鬼人族の愚姉の妹のルーシー・ラベルタ!…です。以後、おみ、お見知り置きを!」
違和感が凄まじい2人の態度にジョーが話し掛ける。
「2人共、本当にどうしたんだ?
いつもはもっと軽いノリで対応してくれてるじゃないか?」
「このひ、方にはその様な、態度は取れません…」
「わ、私はまだ死、死にたくありません…」
(なぁ、これ絶対『俺』のせいだろ?)
(『うるせー!俺だってこんな対応嬉か無いわ!』)
(とりあえず、このまま怯えてたら先進まないから一旦奥の方に行っててくれないか?)
(『しゃーない。分かったよ。』)
『俺』が奥の方に渋々下がっていく感覚のあと双子の姉妹がその場に崩れ落ちる。
「…ぷはっ!?」
「…はぁっ、はぁっ…」
(呼吸困難起こしてるじゃん…)
双子の姉妹が落ち着きを取り戻した所で改めて2人を見る。
他の従業員は割とラフな格好(1人はほぼ裸婦だが)なのに対してこの双子は上は軽鎧に下は紺の袴、腰には2本の刀を差している。
顔だけだとどっちがどっちだか分からないのでとりあえず黒髪長目がラーベ、黒髪短目がラベルタという事で。
「彼女らは【侍】の適正を持っててね、護衛兼従業員なんだ。」
「【侍】?」
「あぁ、【剣士】が刀を主武器とし続けていると【侍】に変化するんだよ。
これでも王都では知らない者はいない、って位有名なんだよ。」
「「いえいえ…そんなそんな…」」
「へー…って事は相当強いんですね。」
「あぁ、相当強いよ。」
「「!?い、いえいえ、そんなそんな…」」
「今度戦ってみるかい?」
「え、良いん「「いいえ!いいえ!そんな!そんなぁっ!」」」
「冗談だよ」と笑い飛ばすジョー、2人共半泣きである。
(そんなに戦いたく無いのかぁ…)
「さて、本題に入ろう。ノア君も予定があるようだしね。」
「助かります。」
時間的にはさほど経っていないのだがあまり待たせるのも気が引ける。
「話というのは他でも無い、ノア君が討伐したバーサークベアの素材全て私に頂けないだろうか?」
「良いですよ。」
「突然こんな事言って困わ…は、え!?」
「良いですよ、ジョーさんなら悪用はしないと信じてますので。」
「あぁ、もちろんだとも。
素材全てをこの間話した『旧フリアダビア』にいる冒険者らの武器、防具に充てられる。」
「それ程の素材何ですか?」
「まぁ詳しい事は、ドゥ、よろしく頼む。」
素材の説明を獅子獣人のドゥが引き受ける。
「君が討伐したバーサークベアの素材はね、毛皮はもちろん、牙、肉、内臓分泌物等どこを取っても『攻撃力上昇』が付与されるんだ。
戦った本人なら分かると思うが、生命力がとても強く、徹底的なまでに攻撃を加えないと討伐出来なかっただろう?
通常の討伐方法だと綺麗な状態の素材なんて到底望めない。
ただ聞いた話だと殆ど無傷だそうじゃないか。
バーサークベア1頭分の素材があれば相当数の防具が確保出来るという訳だ。」
「そういう事であればご協力させて頂きます。ちなみに今すぐに、ですか?」
「いや、君にも予定があるだろうから君の希望する時間に解体小屋までバーサークベアを運んで来て欲しい。」
「分かりました。…であれば昼過ぎにでも向かいます。」
「了解した。職員の手配、ギルド長への説明、買取り金の相談等は僕がやっておくよ。
ではノア君また後でね。」
「はい、また後で。」
そう言ってジョー達は2階のギルド長室に向かう。
その場に残ったノアは職員に話し掛け、多めにお金を引き出す。
「珍しいですね。また何か作るんですか?」
「そうですね。携行食も良いんですけどやっぱりガッツリ食べれる物を作ろうかと。」
「何だったらまた味見役受けますよ?」
「ははっ、そうなったらまた感想お願いしますね。」
余談だが、前に作った携行食の味見をした職員全員が胃袋を掴まれていた事をノアはまだ知らない。
(『なぁ、もう出て来ても良いか?』)
話し合いの邪魔をしては悪いと<忍び足>を発動してそろりそろりとカウンターまで向かうも
「やぁノア君、もう体の調子は良いのかな?」
「えぇ、お陰さまで体中バキバキです。」
「ははっ、まだ本調子じゃあ無いか…」
するとジョーの背後にいた商人が問いかける。
「ジョーさん、この子が例の…?」
「あぁ、そうだ。
ノア君紹介するよ、僕が信頼を寄せる従業員達だ。」
「初めまして、俺はドゥ。見ての通り獅子型獣人だ、よろしくな。」
全身に筋肉の鎧を纏った様な巨躯の獅子型男性獣人、タテガミがモフい。
身長はノアの倍程あるだろう。
握手を求められて差し出された手も巨大な為、人差し指を握る。
「よろしく。」
「次は私だね。私はカサグリア、ダークエルフだ…って君、何で目を背けてるんだ?」
褐色肌に白髪、身長はノアより少し高い位の女性ダークエルフ、豊満な胸と括れた腹部が目に毒だ。
彼女の服装を見た時の感想「まだ春先だけど寒くないの?」
カサグリアからの返答にノアが困っていると
「そりゃお前、自分の格好見てみろよ…相変わらず布の面積少ねぇんだよ。」
「ばっ!違っ!私だって好きでこんな格好してる訳じゃない!」
「嘘付けお前、嬉々として際どい服買ってる所多方面から目撃されてんだからな?」
「ギャーッ!?こんな所でそんな話するなぁーっ!?」
顔を真っ赤にしたカサグリアにドゥがぶっ飛ばされているのを横目にジョーがフォローを入れる。
「こんな感じだけど信頼は置けるから安心して。」
「は、はぁ…」
未だにギャースカ言い合うカサグリアとドゥは放置して残りの2人を紹介する。
「最後は双子で姉妹のルーシーだ。ほら、挨拶して。」
「「……。」」
「ん?2人共どうしたんだい?」
ジョーが紹介した姉妹は何故か2人共ノアを見て冷や汗をかいて固まっていた。
正確にはノアの背後、である。
ジョーが困惑していると急に双子の姉妹が最敬礼をしだす。
そして額から止めどなく汗が流れている。
「わ、私は鬼人族で愚妹の姉ルーシー・ラーベ!以後、お、お見知り置きを!」
「わ、私も同じく鬼人族の愚姉の妹のルーシー・ラベルタ!…です。以後、おみ、お見知り置きを!」
違和感が凄まじい2人の態度にジョーが話し掛ける。
「2人共、本当にどうしたんだ?
いつもはもっと軽いノリで対応してくれてるじゃないか?」
「このひ、方にはその様な、態度は取れません…」
「わ、私はまだ死、死にたくありません…」
(なぁ、これ絶対『俺』のせいだろ?)
(『うるせー!俺だってこんな対応嬉か無いわ!』)
(とりあえず、このまま怯えてたら先進まないから一旦奥の方に行っててくれないか?)
(『しゃーない。分かったよ。』)
『俺』が奥の方に渋々下がっていく感覚のあと双子の姉妹がその場に崩れ落ちる。
「…ぷはっ!?」
「…はぁっ、はぁっ…」
(呼吸困難起こしてるじゃん…)
双子の姉妹が落ち着きを取り戻した所で改めて2人を見る。
他の従業員は割とラフな格好(1人はほぼ裸婦だが)なのに対してこの双子は上は軽鎧に下は紺の袴、腰には2本の刀を差している。
顔だけだとどっちがどっちだか分からないのでとりあえず黒髪長目がラーベ、黒髪短目がラベルタという事で。
「彼女らは【侍】の適正を持っててね、護衛兼従業員なんだ。」
「【侍】?」
「あぁ、【剣士】が刀を主武器とし続けていると【侍】に変化するんだよ。
これでも王都では知らない者はいない、って位有名なんだよ。」
「「いえいえ…そんなそんな…」」
「へー…って事は相当強いんですね。」
「あぁ、相当強いよ。」
「「!?い、いえいえ、そんなそんな…」」
「今度戦ってみるかい?」
「え、良いん「「いいえ!いいえ!そんな!そんなぁっ!」」」
「冗談だよ」と笑い飛ばすジョー、2人共半泣きである。
(そんなに戦いたく無いのかぁ…)
「さて、本題に入ろう。ノア君も予定があるようだしね。」
「助かります。」
時間的にはさほど経っていないのだがあまり待たせるのも気が引ける。
「話というのは他でも無い、ノア君が討伐したバーサークベアの素材全て私に頂けないだろうか?」
「良いですよ。」
「突然こんな事言って困わ…は、え!?」
「良いですよ、ジョーさんなら悪用はしないと信じてますので。」
「あぁ、もちろんだとも。
素材全てをこの間話した『旧フリアダビア』にいる冒険者らの武器、防具に充てられる。」
「それ程の素材何ですか?」
「まぁ詳しい事は、ドゥ、よろしく頼む。」
素材の説明を獅子獣人のドゥが引き受ける。
「君が討伐したバーサークベアの素材はね、毛皮はもちろん、牙、肉、内臓分泌物等どこを取っても『攻撃力上昇』が付与されるんだ。
戦った本人なら分かると思うが、生命力がとても強く、徹底的なまでに攻撃を加えないと討伐出来なかっただろう?
通常の討伐方法だと綺麗な状態の素材なんて到底望めない。
ただ聞いた話だと殆ど無傷だそうじゃないか。
バーサークベア1頭分の素材があれば相当数の防具が確保出来るという訳だ。」
「そういう事であればご協力させて頂きます。ちなみに今すぐに、ですか?」
「いや、君にも予定があるだろうから君の希望する時間に解体小屋までバーサークベアを運んで来て欲しい。」
「分かりました。…であれば昼過ぎにでも向かいます。」
「了解した。職員の手配、ギルド長への説明、買取り金の相談等は僕がやっておくよ。
ではノア君また後でね。」
「はい、また後で。」
そう言ってジョー達は2階のギルド長室に向かう。
その場に残ったノアは職員に話し掛け、多めにお金を引き出す。
「珍しいですね。また何か作るんですか?」
「そうですね。携行食も良いんですけどやっぱりガッツリ食べれる物を作ろうかと。」
「何だったらまた味見役受けますよ?」
「ははっ、そうなったらまた感想お願いしますね。」
余談だが、前に作った携行食の味見をした職員全員が胃袋を掴まれていた事をノアはまだ知らない。
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