ソロ冒険者のぶらり旅~悠々自適とは無縁な日々~

にくなまず

文字の大きさ
上 下
18 / 1,172
旅立ち~オードゥス出立まで

何だいこの子は

しおりを挟む
(な、何だいこの子は…手のケガで本調子では無いとは言えあたしが着いていくのがやっとだなんて…)


ダンジョン上層1階に着いたノアとレーヴァ。
早速ノアは<道案内>と<地図化>を発動。壁伝いに進んだ所は既に地図化されているので、先程ウルフを回収したところまで最短距離で向かう事にした。


「じゃあ先程の到達地点までは真っ直ぐ行きます。」

「あいよ。」

ノアは方向を指差し行き先を伝える。と同時に駆け出す。

駆け出して直ぐ手前に岩があったので飛び越える、木々が密集している所は軽く飛び、枝と幹の間を足を抱え込んで飛び越す。
レーヴァは地面と枝との間を体勢を低くし潜り抜ける。
その後もノアとレーヴァは岩を飛び越え、木の幹を踏み台にして最短距離で駆ける。

少しした所で


「ここがさっき来た所です。ここからは壁伝いに行きましょう。」


そう言いまた駆け出す。

ダダダダダダダダダ
シュタタタタタタタ


と暫く駆けた所で


「あ、この先の岩の向こうにウルフ3頭と鹿が1頭います。先行って仕留めて来ますね。」

「えぇ!?なんだってぇ!?」

ノアは一言伝えると更に速度を一段上げ<忍び足>を発動。腰のショートソードを抜きそのままの勢いで飛び上がりノアの姿が岩の向こうに消える。

急いでレーヴァは岩を駆け上がり飛び越えた時には2頭の首が無いウルフが倒れ込み、1頭のウルフの頭部が宙を舞っている所であった。
既にショートソードは腰に下げられ背中の弓に手を掛けている。
宙を舞っていた頭部が地面に落ちる頃には既に弓を構え、矢を番えている。

<集中>発動。

ヒュボッ!

射た矢は鹿の後頭部に突き刺さり勢いそのままに目の前の木に磔にされる。弓を持ったまま鹿の元まで走り逆手でショートソードの柄を掴み抜きしなに首を断つ。

血を軽く払い、腰に下げる。振り返り鹿の脚を持ち木に立て掛け血抜きをする。それぞれの
ウルフも同様の事を繰り返す。

(………………。)


レーヴァは信じられないと言った表情(といっても豹なので表情が分かり難いが)でこの光景を眺める。


「血が抜けるまで少し待ちましょう。ケガは大丈夫ですか?」

「あ、あぁ…大丈夫だよ…」

「とりあえず軽く走ってみましたけど障害物多くて走りにくいですね。」


「地形的には中層も下層も変わらないよ(軽く?軽くって言ったかいこの子は?)」


「これくらいなら支障は無いから良いですけど複雑化したらどうしようかと思いましたよ。」


アハハと笑うノアに対してレーヴァは困惑していた。

(この坊や…何もかもが新人冒険者のそれじゃないよ…上層1階を散策してるけどこの手際なら今すぐにでも中層行ったって通用するよ…)


レーヴァがウーウー唸っていると

「もうそろそろ良いかな、レーヴァさん仕留めた獲物、鞄の中に入れていきますね。」


レーヴァが腰に着けてる荷鞍の様な鞄は入り口で借りられる鞄の5倍の量が入る。が少し大型化するので人間が着用すると動きを阻害してしまう。そこで荷物持ちと言う職業がある。


「よし!これで全部です。ここからまた走りますけど大丈夫ですか?」

「いつでも良いよ。」

また同時に駆け出す2人。すると直ぐに端が見えてきた。


「レーヴァさん。角まで来たのでそこ曲がりますよ。」

「あいよ。」

2人共速度を保ったまま角を曲がる。ノアは壁際を見ると種類は分からないが何種類かの茸を目にする。

「色々生えてるんだなぁ…後で幾つか採って行こう。」


等と考えていると<道案内>で埋まった範囲に穴の様な部分を見付ける。


「あれ?なんだこれ、穴か?」

「恐らく2階への下り坂だね。気を付けなよ?たまに下からモンスターが上がってくる事があるからねぇ。」

「下層のモンスターが上層まで上がってくる事とかあるんですか?」

「普通は無いねぇ。下に行けば行く程魔素が濃くなってるんだが濃い場所で慣れちまったらわざわざ薄い所まで出張る何て事は無いよ。
ここでは聞いたこと無いけど他のダンジョンだと餌が無かったり、魔素が濃すぎてモンスターが大量発生したりして上がってくる事があるんだとさ。」


「じゃあ自分がここのモンスターを狩り捲っても…」


「1日100頭単位でも無きゃ心配しなくても良いよ。ちなみに今日はどの位狩ってるんだい?」


「さっきの狩猟でウルフ11頭、鹿1頭ですね。」


「それじゃあまだまだ間引き程度だね。(それでも新人冒険者が狩る量じゃないけどね…)」


「お、角が見えた。またそこの角曲がりますよ~。」
しおりを挟む
感想 1,251

あなたにおすすめの小説

【完結】初級魔法しか使えない低ランク冒険者の少年は、今日も依頼を達成して家に帰る。

アノマロカリス
ファンタジー
少年テッドには、両親がいない。 両親は低ランク冒険者で、依頼の途中で魔物に殺されたのだ。 両親の少ない保険でやり繰りしていたが、もう金が尽きかけようとしていた。 テッドには、妹が3人いる。 両親から「妹達を頼む!」…と出掛ける前からいつも約束していた。 このままでは家族が離れ離れになると思ったテッドは、冒険者になって金を稼ぐ道を選んだ。 そんな少年テッドだが、パーティーには加入せずにソロ活動していた。 その理由は、パーティーに参加するとその日に家に帰れなくなるからだ。 両親は、小さいながらも持ち家を持っていてそこに住んでいる。 両親が生きている頃は、父親の部屋と母親の部屋、子供部屋には兄妹4人で暮らしていたが…   両親が死んでからは、父親の部屋はテッドが… 母親の部屋は、長女のリットが、子供部屋には、次女のルットと三女のロットになっている。 今日も依頼をこなして、家に帰るんだ! この少年テッドは…いや、この先は本編で語ろう。 お楽しみくださいね! HOTランキング20位になりました。 皆さん、有り難う御座います。

【完結】平凡な容姿の召喚聖女はそろそろ貴方達を捨てさせてもらいます

ユユ
ファンタジー
“美少女だね” “可愛いね” “天使みたい” 知ってる。そう言われ続けてきたから。 だけど… “なんだコレは。 こんなモノを私は妻にしなければならないのか” 召喚(誘拐)された世界では平凡だった。 私は言われた言葉を忘れたりはしない。 * さらっとファンタジー系程度 * 完結保証付き * 暇つぶしにどうぞ

うっかり『野良犬』を手懐けてしまった底辺男の逆転人生

野良 乃人
ファンタジー
辺境の田舎街に住むエリオは落ちこぼれの底辺冒険者。 普段から無能だの底辺だのと馬鹿にされ、薬草拾いと揶揄されている。 そんなエリオだが、ふとした事がきっかけで『野良犬』を手懐けてしまう。 そこから始まる底辺落ちこぼれエリオの成り上がりストーリー。 そしてこの世界に存在する宝玉がエリオに力を与えてくれる。 うっかり野良犬を手懐けた底辺男。冒険者という枠を超え乱世での逆転人生が始まります。 いずれは王となるのも夢ではないかも!? ◇世界観的に命の価値は軽いです◇ カクヨムでも同タイトルで掲載しています。

スキルが【アイテムボックス】だけってどうなのよ?

山ノ内虎之助
ファンタジー
高校生宮原幸也は転生者である。 2度目の人生を目立たぬよう生きてきた幸也だが、ある日クラスメイト15人と一緒に異世界に転移されてしまう。 異世界で与えられたスキルは【アイテムボックス】のみ。 唯一のスキルを創意工夫しながら異世界を生き抜いていく。

妹が聖女の再来と呼ばれているようです

田尾風香
ファンタジー
ダンジョンのある辺境の地で回復術士として働いていたけど、父に呼び戻されてモンテリーノ学校に入学した。そこには、私の婚約者であるファルター殿下と、腹違いの妹であるピーアがいたんだけど。 「マレン・メクレンブルク! 貴様とは婚約破棄する!」  どうやらファルター殿下は、"低能"と呼ばれている私じゃなく、"聖女の再来"とまで呼ばれるくらいに成績の良い妹と婚約したいらしい。 それは別に構わない。国王陛下の裁定で無事に婚約破棄が成った直後、私に婚約を申し込んできたのは、辺境の地で一緒だったハインリヒ様だった。 戸惑う日々を送る私を余所に、事件が起こる。――学校に、ダンジョンが出現したのだった。 更新は不定期です。

「魔道具の燃料でしかない」と言われた聖女が追い出されたので、結界は消えます

七辻ゆゆ
ファンタジー
聖女ミュゼの仕事は魔道具に力を注ぐだけだ。そうして国を覆う大結界が発動している。 「ルーチェは魔道具に力を注げる上、癒やしの力まで持っている、まさに聖女だ。燃料でしかない平民のおまえとは比べようもない」 そう言われて、ミュゼは城を追い出された。 しかし城から出たことのなかったミュゼが外の世界に恐怖した結果、自力で結界を張れるようになっていた。 そしてミュゼが力を注がなくなった大結界は力を失い……

聖女として召還されたのにフェンリルをテイムしたら追放されましたー腹いせに快適すぎる森に引きこもって我慢していた事色々好き放題してやります!

ふぃえま
ファンタジー
「勝手に呼び出して無茶振りしたくせに自分達に都合の悪い聖獣がでたら責任追及とか狡すぎません? せめて裏で良いから謝罪の一言くらいあるはずですよね?」 不況の中、なんとか内定をもぎ取った会社にやっと慣れたと思ったら異世界召還されて勝手に聖女にされました、佐藤です。いや、元佐藤か。 実は今日、なんか国を守る聖獣を召還せよって言われたからやったらフェンリルが出ました。 あんまりこういうの詳しくないけど確か超強いやつですよね? なのに周りの反応は正反対! なんかめっちゃ裏切り者とか怒鳴られてロープグルグル巻きにされました。 勝手にこっちに連れて来たりただでさえ難しい聖獣召喚にケチつけたり……なんかもうこの人たち助けなくてもバチ当たりませんよね?

異世界から帰ってきた勇者は既に擦り切れている。

暁月ライト
ファンタジー
魔王を倒し、邪神を滅ぼし、五年の冒険の果てに役割を終えた勇者は地球へと帰還する。 しかし、遂に帰還した地球では何故か三十年が過ぎており……しかも、何故か普通に魔術が使われており……とはいえ最強な勇者がちょっとおかしな現代日本で無双するお話です。

処理中です...