ソロ冒険者のぶらり旅~悠々自適とは無縁な日々~

にくなまず

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旅立ち~オードゥス出立まで

何じゃこりゃ

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「何じゃこりゃ。」

上から職員が降りてくる間、カウンターの職員が水晶を凝視して呟く。

「どうかしまし「少々お待ち下さいね。」」


食い気味に答えられ黙るノア。そうしてる間に上から来た女性職員がカウンターにやってくる。


「どうしたの?」
「こちらを…」

同じく水晶を眺め、怪訝そうな表情に変わる。

「故障かもね…<鑑定>してくれって事で良いのかしら?」
「はい…」


女性職員はこちらに手をかざしスキルを発動する様だ。

「<鑑定>。…名前、年齢、適正…ん?…スキル…うん?……うん?…何コレ?」
「ですよね?…」

「えーっと…大丈夫ですか?」
2人の沈黙に耐えかねてノアが聞く。

「あー…とりあえず大丈夫よ…ちょーっと冒険者カードが出来るのに1日~2日時間掛かるので色々見て回ってて貰っても良いかしら?…」

「分かりました。」
と言ってその場を離れたら直ぐ様後ろで職員2人の話し合いが始まった。

(まぁ自分のスキルは少し多いからなぁ…)


周りを見渡すがクロラはいない。恐らく自分と同じで色々見て回っているのだろう。ノアもギルドから出て武具屋の方に向かう。


近くにあった武器屋に入る。中には剣に盾、大剣やら鎚、槍等色々置いてある。一応持って感触等確かめるのは良いらしい。
手前に置いてあった大剣を持つ。握り具合や重さを確認、元に戻す。そのままゴツい店主がいるカウンターの所に向かう。


「すいません。」
「あいよ!見ない顔だな!ここは初めてか?」
「はい、ついさっきここに来ました。ちょっと質問良いですか?」
「おぅ!答えられる範囲で良いなら何でも聞きな!」
「何で武具屋が2軒もあるんですか?」
「あぁ、その事か。1軒はもう既に完成してる品、既製品を販売しているのがココ。
そして裏にあるのが材料さえ調達してくりゃ本人の希望に沿った物を製作してくれる工房だ。」
「おお!(嬉)」
「まぁお前さんみたいな新人冒険者にはまだまだ先の話にはなりそうだがな!」


店主の話を聞いて露骨に気分が高揚するノア。
自分専用武器。何てそそられる響きだろう。


「じ、じゃあそこの大剣みたくショートソードを重く作って欲しいって依頼したら…」

「材料さえありゃ作って貰える、がお前さんにはちょっと重すぎないか?」


と言われ、陳列されていた大剣の柄を持ちひょいっと持ち上げる。店主はノアの表情、体の動きを確認し、虚勢で言っている訳ではないと判断したようだ。

「腕伸ばした状態で持てる様なもんじゃないぞ?普通は担いで持つもんなんだがなぁ…その細腕で何で持てるんだ?…確かにお前さんにゃ裏の店のが合いそうだ。着いてきな。」


素直に店主に着いていく。裏の店まで行くとカウンターに男性がいた。


「よぉ!デオ!客だぞ!」

「うっせぇ!ガーラ!叫ばなくても聞こえてるっての!」

店主(ガーラ)の後ろを着いてきたノアずいっと前に出す。


「今日冒険者になった坊主だとよ!」

「今日!?まだこの店早ぇだろぅ!」

「俺ん所の大剣を片手で持ちやがったぜ!」


大声で叫び合っていたが店主のガーラの言葉を聞いてデオの動きが止まる。
デオはノアに向き直り睨み付ける様に観察する。

「…よぉ坊主。弓と剣…パーティじゃないのか?」

「1人です。」

「使い込み具合を見るに今後もパーティを組もうとしてないな?」

「…そうです。」

「重い剣が欲しいのか?」

「と言うか今使ってる剣が軽すぎるんです。」

「腰に差してる剣貸して貰えるか?」


素直にデオにショートソードを渡す。


「坊主。お前何つう握力してんだ?柄の磨り減りが凄まじいな、それにこの剣、肉だけじゃなく骨ごと断ち切ってないか?」


「はい。その通りです。」


背後にいたガーラがノアに耳打ちする。

「デオはなぁ、口と性格と酒癖と性格は悪いが人を見る目と腕は確かだ。」

「聞こえてっぞ!あと性格2回言うな!坊主!その背負ってる弓も変えるつもりか?」

「追々は変える予定です。」


これを聞いたデオはカウンターの後ろに飾ってあった5本の弓の内左から2つ目の弓を取り、ノアに差し出す。

「この弓を全力で引っ張ってみ?」

「え?全力ですか?」

「良いから引っ張れ!」

言われたノアは今の自分の全力で引っ張ろうとして

ベキャッ!


「うわぁ!壊れたぁ!す、すいません!」


「まぁこうなるだろうな。弁償とかは気にしなくて良い。ま、今日初めてここに来たって話だからダンジョンもまだ入ってないだろう。ここでの活動に馴れてきたらまた来な。」


ノアは何度も弁償の話をしようとしたが悉くデオは断った。渋々ノアはまた別の店に行くことにした。


ノアが去ったあとの店でデオとガーラが話し合う。

「で?ガーラはどう見るよ?」

「あの坊主の力は本物だな。あの弓、俺が引っ張っても壊れた事無いだろう?それと若いながら色々経験を積んでるように思う。」

「ガーラもか、俺も同じ見解だな。あの坊主近い内にまた来るな…ククッこの時期冒険初心者ばかりで暇するかと思ったが、面白そうなヤツが来たぜ…」


「デオ…笑うな、子供がいたら泣いてるぞ?」

「うっせぇ!」
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