ずっと夢を

菜坂

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11話

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コンコンと教室のドアをノックする。

俺は毎度のごとく教室の中からの返事を聞くことなく、ドアを開けその教室に入った。

教室の中に委員長がいるのを確認すると俺はすぐさま委員長に問いかけた。

「委員長、リコールするって聞いたんだけどほんとー?」

委員長は俺の言葉を聞いて驚いたような表情をした。

「それ、どこで知ったんだ⋯⋯?」

「答えて」

俺は委員長の目をじっと見つめて質問の答えをせかす。

「そうだ。今のままの生徒会じゃ、この学園をまともに運営できないと判断した」

委員長は俺の目を真っ直ぐに見つめて答えた。

「うん、ありがとー。よかったよかった。今のままじゃ絶対文化祭できなかったもんねー」

俺はくるりと回って後ろにあったドアの方を向いた。

「じゃあねー、それだけ」

俺はそのまま教室を出ようとした。

しかし、ドアの引手に手をかけたところで委員長に止められた。

「佐倉、大丈夫か?」

「大丈夫だよ」

俺はそういつもみたいに一言だけ答えてその場を後にした。


───────


その次の日に全校集会で風紀委員長が各委員長全員の署名とともにリコールを宣言した。

「どうしてリコールしないといけないんだ!」

体育館に集まっている生徒たちの中からそんな声が聞こえた。

その声の主はその場で立ち上がり委員長がいる壇上へと登った。

委員長はその声の主 光希を少し見た後、すぐに全生徒の方へ視線を戻し言葉を続けた。

「会計に全仕事をさせている生徒会では運営を続けることはできない。これは全委員会の総意だ」

周りの生徒たちからは「なんでそうなったんだ」「文化祭ちゃんとできるのか」などのたくさんの声が聞こえてきた。

会長はたくさんの生徒からの信頼があったので信じられないなどの声も多かった。

光希は教師に壇上から降りさせられそのまま体育館外に連れていかれた。

「生徒会役員選挙の投票は再来週に行う」

委員長が壇上の上で宣言した。

普通ならありえないくらいの短い期間だが、文化祭のことなどを考えてそうなったのだろうか。

生徒たちがざわざわとしている中そこで集会は終わった。


───────

廊下を歩いていると響也とすれ違った。

「あっ!先輩!一体どういうことなんですか⁉︎」

三日ぶりに会った響也の第一声はその言葉だった。

「何がー?」

「リコールのことですよ!」

「んー、何かよく分かんないけどリコールするみたいだねー」

「今学校中で噂になってますよ!風紀委員長が言ってたことは本当なのかって!」

「あー」

生徒会の仕事が全部俺任せになってたってことかな。

「まあ色々あったねー」

「じゃあ先輩は生徒会から抜けることになるんですか?」

「どうかなー。次の生徒会長次第じゃないかなー」

生徒会役員メンバーは当選した会長が決めるので誰が次の副会長や会計なるかはわからない。

まあ、俺はもうこりごりだけど。

「そういえば響也のクラスでは文化祭何するつもりなのー?」

「今の時点で候補として出てるのは劇と牢獄喫茶の二つですね」

中々物騒な言葉が出てきた。

「何それ牢獄喫茶ってー?」

「何か僕も良く分からないですけどお客さんに牢獄に出されるようなかんじの食べ物出したりするんですかねー?」

「そうなんだー」

「先輩のクラスでは何をするんですか?」

「なんだろーねー。当日のお楽しみかなー」

なんて言ってるが本当は知らないだけである。

ここ最近教室に行ってないから何が候補で出てきたのかも分からない。

そろそろ顔だしとこーかな。

「楽しみにしてますね!先輩!」

「うん、じゃあねー!」

そう言って俺はその場で響也と別れた。

俺はそのあと生徒会室に行って少しだけ仕事を片付けた。




次の日、久々に教室に行った。

前のドアから入り自分の席までそのまま進んで座った。

隣を見ると光希はいなかったが、教室を見渡すと端の方に数人集まって何かを話している様子だった。

いつもなら俺が来ると誰かしら話しかけてくるのだが、今日は誰も俺に話しかけてこなかった。

むしろみんなに避けられている気がしないでもない。

今日この教室に来るとき、普通に廊下を歩いているとみんなが俺をチラッと見て何かを小声で話していた。

その会話は聞き取れなかったが、その少し向けてくる視線は俺にとっていいことではないというのが雰囲気で伝わった。

俺はたまたま近くにいた人に何かあったのか聞いてみた。

「ねー、今日何かあったのー?」

「え、えっと、僕には分かりません⋯!」

そう言って俺が聞いた生徒はそのまま逃げてしまった。

「えぇ⋯⋯、いったい何があったの⋯」

結局そのときは何があったのか分からなかったがそのあとすぐにその原因は判明した。


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