ずっと夢を

菜坂

文字の大きさ
上 下
10 / 13

10話

しおりを挟む
体育祭が終わった次の日 俺は一日中寮の自室に引きこもっていた。

昨日まで溜まっていた疲れが一気にでたのか体が怠くて動きたくない。

それに学校に行くと委員長と昨日の話しの続きをすることになるのが嫌だ。

俺はその日をほとんどベッドで寝て過ごした。

そして次の日も昨日みたく寝て過ごそうと思っていた。

すると、誰かが俺の部屋のインターホンを鳴らす音が聞こえた。

俺は重たい体を起こしてドアの近くまで向かい、ドアの小さな隙間から誰がいるのかと確認した。

ドアの前に立っていた人物は委員長だった。

あの話の続きをしにきたんだろうか。

俺はドアを開けることなくまたベッドに戻った。

そうして数分後また部屋のチャイムが鳴った。

俺はまた委員長が来たのかと思って無視をした。

だが、チャイムの音は一回で終わることなく何回にもわたって鳴り続けた。

しつこすぎる。

俺はドアの前に誰がいるか今度は確認することなくドアを勢いよく開けた。

そして俺はドアの前にいた人物を見て思わず固まってしまった。

「おい!なんで一回目で鳴らしても出ないんだ⁉」

そこにいたのは委員長ではなく光希だった。

それにその後ろには会長達もいた。

「なんで⋯」

俺は思わず呟いた。

「なんでみんながここにきたのー?」

俺は光希達に問いかけた。

「あなたに話があってきたんです。取り合えず部屋の中に入れてもらえませんか?」

蓮が答える。

「長くなる話なのー?」

「分かりませんが⋯」

「ごめんねー、今ちょっと疲れてるからできれば早くしてほしいなー」

俺は手を軽く合わせて頼んだ。

「何ケチってんだ!入るぞ!」

「えっ?ちょまっ⋯」

光希は俺の横を通り抜けて部屋の中に入っていった。

俺はまた小さくため息をついて、会長達にも部屋の中に入るよう促した。

「入って」


みんなは机を真ん中に挟んで床に座った。

「で、話って何ー?」

俺は早速 本題を切り出した。

「どうして生徒会をリコールするんだ!」

先に話し始めたのは光希だった。

「⋯え?リコール」

俺は光希の口から出た以外な言葉に驚いた。

「どっから出たのー?その話」

「風紀委員長が各委員会の委員長から署名を集めていると聞いたんだ」

答えたのは会長だった。

この学園におけるリコールは全校生徒の半分、もしくは各委員会の委員長の三分の二の署名が集めれば生徒会選挙を開くことができる。

ていうかなんでリコールが俺のせいになってんの。

「俺もそれ知らなかったんだけど⋯⋯」

「嘘つくな!どうせ僕たちのところにまざれないからって嫉妬して委員長に頼んだんだろ!」

光希が言ったその言葉を聞いて俺はもう堪えられなくなった。

「何ほざいてんの?誰もまざりたいとか言ってないし勝手な妄想押し付けるなよ!」

机を手で強く叩きつけながら言う。

俺は言葉をそこで止めることなく続ける。

「そもそも最近まともに仕事もしてないんだからリコールされたって仕方ないだろ⁉逆にどうしてずっと生徒会に居続けれると思ってんの?」

息を切らしながら言葉を言い切る。

みんなを見ると光希は微かに肩を震わせ、双子や陽翔それに蓮は下に俯いていた。
会長は口を噤んで俺をじっと見ている。

「なんでお前にそんなこと言われないといけないんだ!」

光希がそう言う。

ついに俺のことをお前とまで言いはじめた。

「もう行こ!」

光希はそう言って踵を返して部屋から出て行った。

「失礼しました」

蓮は沈んだ声で言った。

みんなは光希の後について部屋から出て行く。

「はあ⋯⋯」

俺は部屋で一人、また大きくため息をついた。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

BlueRose

雨衣
BL
学園の人気者が集まる生徒会 しかし、その会計である直紘は前髪が長くメガネをかけており、あまり目立つとは言えない容姿をしていた。 その直紘には色々なウワサがあり…? アンチ王道気味です。 加筆&修正しました。 話思いついたら追加します。

アリスの苦難

浅葱 花
BL
主人公、有栖川 紘(アリスガワ ヒロ) 彼は生徒会の庶務だった。 突然壊れた日常。 全校生徒からの繰り返される”制裁” それでも彼はその事実を受け入れた。 …自分は受けるべき人間だからと。

嫌われものの僕について…

相沢京
BL
平穏な学校生活を送っていたはずなのに、ある日突然全てが壊れていった。何が原因なのかわからなくて気がつけば存在しない扱いになっていた。 だか、ある日事態は急変する 主人公が暗いです

タイトル未定

みるきぃ
BL
前世で大好きだった少女漫画の推しキャラの親友かつ幼なじみに転生した俺。推しキャラの幸せのために幼少期から計画を立てて完璧な男に鍛え上げようと頑張る話。『悠生、愛してるよ』『君の方が気になる』いや、何か思ってたの違う。って話。

表情筋が死んでいる

白鳩 唯斗
BL
無表情な主人公

王道学園なのに会長だけなんか違くない?

ばなな
BL
※更新遅め この学園。柵野下学園の生徒会はよくある王道的なも のだった。 …だが会長は違ったーー この作品は王道の俺様会長では無い面倒くさがりな主人公とその周りの話です。 ちなみに会長総受け…になる予定?です。

笑わない風紀委員長

馬酔木ビシア
BL
風紀委員長の龍神は、容姿端麗で才色兼備だが周囲からは『笑わない風紀委員長』と呼ばれているほど表情の変化が少ない。 が、それは風紀委員として真面目に職務に当たらねばという強い使命感のもと表情含め笑うことが少ないだけであった。 そんなある日、時期外れの転校生がやってきて次々に人気者を手玉に取った事で学園内を混乱に陥れる。 仕事が多くなった龍神が学園内を奔走する内に 彼の表情に接する者が増え始め── ※作者は知識なし・文才なしの一般人ですのでご了承ください。何言っちゃってんのこいつ状態になる可能性大。 ※この作品は私が単純にクールでちょっと可愛い男子が書きたかっただけの自己満作品ですので読む際はその点をご了承ください。 ※文や誤字脱字へのご指摘はウエルカムです!アンチコメントと荒らしだけはやめて頂きたく……。 ※オチ未定。いつかアンケートで決めようかな、なんて思っております。見切り発車ですすみません……。

お飾りは花だけにしとけ

イケのタコ
BL
王道学園で風紀委員長×生徒会長です 普通の性格なのに俺様と偽る会長に少しの出来事が起きる 平凡な性格で見た目もどこにでもいるような生徒の桃谷。 ある日、学園で一二を争うほどの人気である生徒会ほぼ全員が風紀委員会によって辞めさせられる事態に 次の生徒会は誰になるんだろうかと、生徒全員が考えている中、桃谷の元に理事長の部下と名乗る者が現れ『生徒会長になりませんか』と言われる 当然、桃谷は役者不足だと断るが…… 生徒会長になった桃谷が様々な事に巻き込まれていくお話です

処理中です...