5 / 13
5話
しおりを挟む「えーっと、一年は⋯⋯」
生徒会室でカタカタとパソコンに向かって、会計としての仕事をする。
ぐーと腹の虫が鳴る音が聞こえた。
時計を見ると12時を少し回っていた。
そろそろお腹ぎ空く時間だ。
「会長、俺今から食堂行くけど一緒に来るー?」
俺は隣で仕事をしている会長を誘った。
この生徒会室に今いるのは俺と会長だけだ。
他のみんなは真面目に授業に出ている。
「そろそろそんな時間か。キリのいいところまで片付けてから行くから、先に行っていいぞ」
「りょーかい」
俺は食堂に向かった。
食堂に近づくにつれみんなの声がだんだんと大きく聞こえてくる。
俺は食堂の料理を受け取り一番端にある席に座った。
その席には既に響也や俺の親衛隊員が並んで座っていて、俺が座る場所を空けてくれていた。
「先輩、お疲れ様です!」
早速響也が話しかけてくる。
「ありがとー」
そう言いながら周りの席を見回す。
「あれ、水樹 今日学校来たんだー」
昨日被害に遭ったばかりなのにこんな早く来て大丈夫かな、と少し心配する。
「はい、先輩に会ってお礼を言いたくて。昨日はありがとうございました!」
「全然ー、俺は案内しただけだからなー。お礼は響也たちに言ってあげてー」
「響也もありがとう」
水樹が今ここにいる親衛隊員のメンバー一人一人に律儀に感謝をしていった。
そのあともみんなで話が盛り上がり、会話が弾んだ。
そんな中周りでざわざわとした声が聞こえ始めた。
そのざわめきの原因は直ぐに分かった。
ある場所の周りをたくさんの生徒が囲んでいる。
席を立ち上がりその場所に近づく。
中心には会長と光希がいた。
会長の頬には赤く手形が付いていて、明らかに誰かに平手打ちされたのだと分かる。
状況から察するに会長にそれをしたのは会長と向かい合って立っている光希だろうか。
「俺に手を出してきた奴は初めてだ。気に入った」
会長が少女漫画みたいな台詞を言った。
「何言ってんだ!」
俺もそう思う。
光希はそのまま言葉を続けることなく食堂から走り出していった。
沈黙が流れ、会長もそのまま食堂を後にした。
「ねー、何があったのー?」
俺は近くを見ていた生徒に今あった状況を聞いた。
話を聞くと、どうやら会長が光希に何かを囁き、それを聞いた光希が会長に平手打ちをしてああなったってことらしい。
「なるほどー、ありがとー」
俺は生徒にお礼を言って、生徒会室まで戻った。
生徒会室には会長が既にいて、パソコンに向かって仕事を再開していた。
「会長ー、みつきに何言ったのー?」
「少し、な。まぁ、それほどのことは言ってはいない」
そんなわけでしょ!
とは思うがそれほど知りたいわけでもなく、関わるのも面倒くさそうなのでそれ以上は聞かないことにした。
0
お気に入りに追加
123
あなたにおすすめの小説
王道学園のモブ
四季織
BL
王道学園に転生した俺が出会ったのは、寡黙書記の先輩だった。
私立白鳳学園。山の上のこの学園は、政財界、文化界を担う子息達が通う超名門校で、特に、有名なのは生徒会だった。
そう、俺、小坂威(おさかたける)は王道学園BLゲームの世界に転生してしまったんだ。もちろんゲームに登場しない、名前も見た目も平凡なモブとして。
王道にはしたくないので
八瑠璃
BL
国中殆どの金持ちの子息のみが通う、小中高一貫の超名門マンモス校〈朱鷺学園〉
幼少の頃からそこに通い、能力を高め他を率いてきた生徒会長こと鷹官 仁。前世知識から得た何れ来るとも知れぬ転校生に、平穏な日々と将来を潰されない為に日々努力を怠らず理想の会長となるべく努めてきた仁だったが、少々やり過ぎなせいでいつの間にか大変なことになっていた_____。
これは、やりすぎちまった超絶カリスマ生徒会長とそんな彼の周囲のお話である。
王道学園なのに、王道じゃない!!
主食は、blです。
BL
今作品の主人公、レイは6歳の時に自身の前世が、陰キャの腐男子だったことを思い出す。
レイは、自身のいる世界が前世、ハマりにハマっていた『転校生は愛され優等生.ᐟ.ᐟ』の世界だと気付き、腐男子として、美形×転校生のBのLを見て楽しもうと思っていたが…
転生したら弟がブラコン重傷者でした!!!
Lynne
BL
俺の名前は佐々木塁、元高校生だ。俺は、ある日学校に行く途中、トラックに轢かれて死んでしまった...。
pixivの方でも、作品投稿始めました!
名前やアイコンは変わりません
主にアルファポリスで投稿するため、更新はアルファポリスのほうが早いと思います!
転生したので異世界でショタコンライフを堪能します
のりたまご飯
BL
30歳ショタコンだった俺は、駅のホームで気を失い、そのまま電車に撥ねられあっけなく死んだ。
けど、目が覚めるとそこは知らない天井...、どこかで見たことのある転生系アニメのようなシチュエーション。
どうやら俺は転生してしまったようだ。
元の世界で極度のショタコンだった俺は、ショタとして異世界で新たな人生を歩む!!!
ショタ最高!ショタは世界を救う!!!
ショタコンによるショタコンのためのBLコメディ小説であーる!!!
隠し攻略対象者に転生したので恋愛相談に乗ってみた。~『愛の女神』なんて言う不本意な称号を付けないでください‼~
黒雨
BL
罰ゲームでやっていた乙女ゲーム『君と出会えた奇跡に感謝を』の隠し攻略対象者に転生してしまった⁉
攻略対象者ではなくモブとして平凡平穏に生きたい...でも、無理そうなんでサポートキャラとして生きていきたいと思います!
………ちょっ、なんでヒロインや攻略対象、モブの恋のサポートをしたら『愛の女神』なんて言う不本意な称号を付けるんですか⁈
これは、暇つぶしをかねてヒロインや攻略対象の恋愛相談に乗っていたら『愛の女神』などと不本意な称号を付けられた主人公の話です。
◆注意◆
本作品はムーンライトノベルズさん、エブリスタさんにも投稿しております。同一の作者なのでご了承ください。アルファポリスさんが先行投稿です。
少し題名をわかりやすいように変更しました。無駄に長くてすいませんね(笑)
それから、これは処女作です。つたない文章で申し訳ないですが、ゆっくり投稿していこうと思います。間違いや感想、アドバイスなどお待ちしております。ではではお楽しみくださいませ。
さがしもの
猫谷 一禾
BL
策士な風紀副委員長✕意地っ張り親衛隊員
(山岡 央歌)✕(森 里葉)
〖この気持ちに気づくまで〗のスピンオフ作品です
読んでいなくても大丈夫です。
家庭の事情でお金持ちに引き取られることになった少年時代。今までの環境と異なり困惑する日々……
そんな中で出会った彼……
切なさを目指して書きたいです。
予定ではR18要素は少ないです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる