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1章 五人の勇者

お願い事

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お互い椅子に座りながら話を続ける。
少し言い合いになってしまったが、最後にマリア王女が「もういいわ……」と言って折れてくれた。



「それで?聞きたい事とは何だったのかしら?わざわざ場を変える程の話なの?」

さっきのやり取りがあってからかマリア王女の口調は丁寧なお嬢様風から、若干丁寧なお嬢様風にランクダウンしていた。

ただ俺の口調はそのまま敬語でって言われたので決してフェアではない。
取り敢えずあまり話を脱線し過ぎても良くないので、俺は本題に入る事にした。


「これからの行動について何ですけど、やっぱりあの4人と一緒に行動しないとダメなんですか?」

「まぁそうね……そうなると思うし、そうした方が戦力としても安全だと思うわよ?」

「ん~……そうですか~……」


それを聞いた孝志は心底いやそうな表情を見せるのだが、そこをマリアに突っ込まれた。

「何となく解っていたけど、嫌なの?」

「はい」

「早いわね」

即答にもなるってもんさ、アイツらと一緒に行動するなんて絶対嫌だからな。

孝志が橘達の前でこの事を言わなかったのは、こういう用件だったからである。
いくら嫌いな奴らとはいえ、本人達の前であんたらとは一緒に居たくない……とは流石に言えない。

正直さっきの国王とのやり取りや、アリアンさんに突っかかったりとか、いきなりイチャつくとか……そんな場面を見せられると、尚更いやだという思いが強くなる。

もう既に孝志は、一緒に行動しても問題しか起きないと考えていた。


……前々からヤバい奴らだとは思っていたんだが、実際に絡んでる所をみると十倍増しでヤバ味が強い。
それに目の前でラブラブされたらキレそうだし、厄介者扱いされたりなんかしたら頭おかしくなりそう。

そんな嫌悪感100%の孝志を見て、マリアは気になる事がある様で、それについて尋ねる。

「貴方が嫌なのは橘雄星かしら?それともあの全員?」

そして孝志は、迷う事なくこの質問に答えるz

「全員……では無いですね、若干1名ですが面識がある子がいます。その子は良い子なんで嫌ってはないです……逆に好感を持ってるくらいですよ」

するとマリアは「ふ~ん」と鼻を鳴らし、興味を持った様な表情を見せた。

「差し支えなければ、その子が誰なのか教えて貰えるかしら?」

孝klこは変なとこで食い付くなよ……と思いながらも、追及されると面倒なので仕方なく教える。


「あの頭がおかしい男の妹です……あの子は俺の妹の友達なんで、顔も頻繁に合わせてるんですよ。ぶっちゃけあの子が橘を好きでなければ付き合っても良いくらいです」

孝志が堂々と言うと、それを聞いたマリアは愉快そうな笑みを浮かべて小馬鹿にした様に言い返す。

「ははん!付き合えると思って?」

「今、鼻で笑いましたね?」

なに、あのナメくさった顔……王女がナンボのもんやねん。てか、さっき舐めた口を聞いたこと、絶対根に持ってるだろ…

孝志がいろいろ思うのだが、そんな事知ったこっちゃないと言うようにマリアは話を進めて行く。
実は孝志の思った通り、マリアはさっきの事を滅茶苦茶根に持っていたのである。

正しく、心の狭い男VS心の狭い女といったところだ。

「それじゃあ、実際に討伐へ向かう時には一緒になるけど、それ以外の訓練や食事なんかは別にしてあげるからそれで我慢なさい」

「…いや~……う~ん……」

「わかったわー、それじゃあ移動の馬車をもう一台用意しましょう。貴方はそれに乗って移動すればいいわ」

「……そう言われましても……うぅ~ん……」

「……はぁ~、わかりました。腕利きの騎士を数名連れて行くと良いわ。騎士の中には《ヴァルキュリエ隊》といって女性のみで編成された騎士団員もいれます……ふふっ彼女らとの絆が深まれば楽しい旅になるのではなくて?」

「……いや~……でもな~……」

「…………笑っている内に妥協なさいよ?」

「わかりました。橘雄星の荷物持ちでも何でもします」

「急に妥協し過ぎよ………貴方と話をしていると頭が可笑しくなりそうね」



──話し合いの末、王城では完全に別行動。
魔王討伐に出発する時には馬車二台と数名の騎士が同行する事となった。

これで俺の要件は終了。
後は部屋に帰ってゆっくり休むとしよう。


───────────


「正直、私は勇者召喚には反対だったわ……だってリスクが凄く大きいのよ」

はい……めっちゃ引き留められてます。

こちらの要望を受けてもらった後、直ぐに帰らせる気はないらしく雑談を交えながらこの国の文化や自身の国へ対する想いなどを語ってくる。

……用件が済んだら帰りたい主義なので普通にもう帰りたかったが、それを言って言い合いになるのも嫌なので聴いておく事にした。
もう完全に愚痴っぽくなってるんだけど、仏の心で相手をしてあげよう!


「勇者召喚のリスクですか?」

勇者である俺を目の前にしてリスクとか言うなよとか思いつつ詳しく聞いてみる。

「ええ、そうよ。リスクと言われて貴方は何を思い浮かぶかしら?」


なんかマジトーンで聞かれたのでここは真面目に返す事にした。


「……う~ん………どういう人物を呼び出すとかは決められるんですか?」

「いいえ、決められません」

「だとしたらやはり、そこじゃないですか?いい奴とは限らないと思いますから」

「ええ、貴方の言う通りよ」

ガバガバ召喚だなぁ~下手なヤツがきたら勇者に国を乗っ取られるんじゃないか?


そして俺は更に思った事を続けて言う。

「あとそれ以外だと資金ですかね?」

「それも正解です。勇者を育てるのにはお金が要ります。それに加えてこちらが呼び出したので不自由なく生活できるように取り計らわないといけません」


やはりそうだろう。
あの王が直ぐにでも行かそうとしていたのは、いわば軍事費用を抑えたかったからに他ならない。
俺たちが死んでもまた呼び出せば良いとか思ってたのだろうか?
この第二王女とは考え方がまるで違うようだ。


「……あと、呼び出した勇者が戦いを拒否しても生活の保障はするって言ってましたよね?無駄金になりますねその場合だと」

「……そうよ、その本人には言えないけどそれが最悪のパターン」

多分、過去にその最悪なパターンが有ったのだろう。
その時国はどう対処したのだろうか?


「脅して無理矢理戦わせたら、自分の首を絞める事になるから、本当に無駄金っすね」

「そうよ。その者は勇者だから無理矢理に戦わせ続けたら相当な力を身に付けるでしょうから、そこから反逆されると思うわ」

「そうですね。自分でも絶対復讐しますんで……あと他には勇者を籠絡して利用しようとする人たちも面倒でしょうね。怪しいと思う者達を監視し続けるのは結構大変でしょうから」

「………まぁ、そうね。そういう者達は革命を起こそうだとか内戦を引き起こして国を乗っ取ろうだとか、そういった過激な争い事を好む人物が多いのよ……遠い場所にいる魔王よりもすぐ近くにいる分、こっちの方が厄介よ」

「後は魔王を倒した後で暇になった勇者が何もしないとも限らないですし、そこを利用して悪さする奴とかも出てくると思います」

「…………」

「そう考えるとデメリット多すぎるので、自分も勇者召喚には反対してたでしょうね。被害が大きくても自分たちで魔王を倒せるならそうします」


第二王女マリアは黙って聞いているようだった。
そこで俺は王女と話していて気になった事を聞いてみる事にした。


「でも王女の立ち位置なら、民や国を最優先にするものじゃないのですか?」

「確かに、どうにも対処出来ない強さだったと言い伝えられている初代魔王みたいなのが相手だったならなり振り構わず召喚にも賛成よ」

そこから一呼吸入れるとマリアは続けて言葉を発する。


「国民に被害が出ない方法なら考えれば幾らでもあると思うわ……優秀な騎士が大勢居て、街に繰り出せば優秀な冒険者を集めた冒険者ギルドなんかもあるのよ?確かに勇者を召喚して倒して貰うのが一番の近道だと思うけどね」


まぁ確かに魔王討伐だけを考えるなら最高の近道になるだろう……しかし


「……それに勇者召喚とは貴方が体験したように、こちらから一方的に呼び出すものです。貴方やほかの方々との同意も得られないし、こちらも呼び出す人物を選ぶ事は出来ない」

「国を救う為に召喚した勇者が、実は戦争の火種を抱えた人物でした、じゃとんでもないですね」

「さっきから思っていたけど、あなた……意外と賢いのね」

「もぉ~真面目に話しましょうよぉ~」

──頑張ったのに!


────────


「それではこれで失礼させていただきます」

それから30分位は話していただろうか?話が僅かに途切れたタイミングを見計らって席を立つ。


「抜け出すタイミングも悪くない、頭も良さそうだけど……どこか凄味を感じないのよね~……なんか変わってる……」

マリアは孝志に聞こえない様に呟く。

最初は単なるひょうきん者だと思ったが、実に頭が廻る。
それから言葉使いの荒さを指摘すると、あのやり取りは何だったのかと言いたくなるくらい素直に従う。

最初の時とはうって変わり、部屋を出て行く孝志にマリアは強い興味を抱いていた。
それに孝志が気付くことは無いのだが。

部屋を出ようとする孝志にマリアは言葉をかける。


「それと次からは、公の場でなければ気安い話し方で構わないわ。敬語は使って貰いますけど……とりあえずお嬢様って呼んで貰おうかしら?」

「畏まりました、お嬢様」

「ふふ、あなた執事には向いてないわ」

「今のやり取りだけで?」

俺は部屋を出ると執事に向いていない事にショックを受けながらトボトボと自室へ向かった。


♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎


ラクスール王国西のとある森にて──



「うわああぁぁぁっっ!」

叫び声と共に、一人の男が血を流して倒れる。
まだ辛うじて息があるようだが、何もしなければ直ぐにでも死んでしまう程の重傷である。


「クロードッ!っっくそっ!!」

地面に伏した人物の名前はクロード・マスダン。
彼はラクスール王国《六神剣》と呼ばれる六人組み組織の一人である。

この六神剣という組織は、王宮直轄騎士である王国のNo.1ユリウスとNo.2のアリアンには及ばないが
国のNo.3~No.8の実力者で構成されており、戦争や魔物との戦いは殆ど彼らが主戦力となっている。

ユリウスとアリアンが王の側に控える守護の《盾》なら六神剣は王の為に戦う《剣》なのだ。
故に単純な戦闘力ならともかく、実戦経験や積み上げた功績を踏まえるとこの六人が王国最高戦力となる。

だが血を流しながら倒れているのは、そんな六神剣の一人でありNo.4に位置するクロード・マスダン。
そんな彼に声を掛け、急いでクロードを担ぎ上げるのはNo.6のエディ・パイソンだ。

エディはクロードを連れて目の前の敵から全力で逃げ出すのだった。


─────────


「……はぁ……はぁ……っ……はぁ」

脅威から逃げ切った……いや、見逃されたと思って間違い無いだろう。
それでもエディはようやく一息付いた。

今この場に居るのはエディ・パイソン、20歳。
15歳という若さで六神剣入りを果たし、あと10年もすればユリウスにも並ぶほど才があると言われている。
青髪で180cmを越える長身の青年で、六神剣で最年少である。

そしてもう一人がエディに担がれた状態でいるクロードだ。
瀕死の重体であり高性能な回復薬でなんとか一命を取り留めたが、未だ身動きの取れない状況にはかわりない。
燻んだ金色の髪の毛と少し生えた髭が印象深い35歳である。


「あれが今回の魔王か……まさか魔王自ら出向いて来るとはよ……と、とんでもない強さだったぞ……」

先程クロードと魔王の戦闘を思い出し、エディは再び戦慄に震える………あの非現実じみた出来事に。


あの魔王はっきり言って少女にしか見えなかった。
身長は恐らく130cm程度だろう……かなり小柄だったが、そこには可愛らしさなど一切無かった。

真っ黒で長い髪。
黄金色に輝く瞳。
更に頭には龍の角が生えていたので今回の魔王は【龍人】である事は間違いない。
顔のパーツは印象的だった瞳以外は、良く見えなかったが恐らくは悪魔の様な容姿をしているのだろう。

そして黄金に輝くその瞳からは我ら人に対する情や興味など一切感じられず、まさに我々を滅ぼす為の存在だと感じられた。


「しかし、なぜ逃げきれたんだ?」

逃げ切れた事への安堵ではなく、今エディが抱いているのは逃げ切れたという不可解さが大きい。
何故ならここで俺達を見逃すメリットが魔王にはまるで無いからだ。
殺す価値も無いと思われたならプライドは傷つくがまだ良い……しかし、エディには何か企みがあってワザと見逃したとしか思えなかった。

先程の光景を思い浮かべる。

クロードの大剣を片手で受け止めた彼女は人差し指でクロードの体を弾いた。
とても攻撃とは言えないような簡単な動作だったが、クロードはその一撃を受けただけで深刻なダメージにより戦闘不能となったのだ……!

そして敗者を嘲笑うかのように、地面に倒れ伏すクロードに魔王は身の毛もよだつ笑みを浮かべていた。
その少女からは敵に対する敬意なども一切感じられなかった。

今回の魔王は恐ろしく強い!そして残忍!
伝承でしか歴代魔王を知らないが、少なくとも大剣を片手で止められる魔王など聞いた事がないっ……!!
陛下に知らせなくては……!

歴代勇者の中でも圧倒的な強さを誇っていたのが初代勇者だった。
その初代勇者が相打ちという形でようやく討伐に至ったのが初代魔王。

そして今回の魔王は間違いなく初代魔王に匹敵するだろう。


……これからの事を考えながら王都へと向かうエディだが、その足取りはどうしようもなく重かった。






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