託されたソウルキャリア

のぞ

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「龍丸よ、久しぶりだな。」

龍丸が目を開くと、真っ白な部屋にいた。

その部屋の中には龍丸にとってかけがえのない老人の姿があった。

「お、おじいちゃん!!!!」

龍丸は泣きながら老人を抱きしめようと駆け寄った。

しかし、老人には触れることができず、からぶってしまった。

「龍丸よ、わしは死んだんじゃ。今は最後の力を使ってお前に会いに来た。」

老人の言葉に、龍丸は悲しい顔をした。

「せっかくじゃ。わしが死んでからのことを聞かせてくれんか?」

龍丸は話した。家に来た変な男のこと、母親の温もりを教えてくれた女性のこと、かけがえのない兄弟たちのこと。

ひとつひとつの話に老人は頷きながら笑顔で相づちを打った。


そして、龍丸はついさっきの出来事のことを話した。

「やはり、エアロマスターか。」

老人は俯いた。

「龍丸に話さなければならないことがある。」


「わしは生前、預言者として世界中のいろいろな土地を廻り、魔物や魔人を倒していたのじゃ。その中で、死んでいった仲間たちや家族から想いのこもった天器を預かり、それを使ってさらなる世直しをしていたんじゃ。その中のひとつがエアロマスター。龍丸の父の天器じゃ。」

龍丸は老人の言葉を聞き驚いて目を見開いた。

「ちなみに、龍丸が未来のことが見えるようになったのはわしの天器、スティルアイというものの力じゃ。その眼は、その眼が存在していなかった場合の未来を見ることができる。しかし、未来を見て行動を変えると未来も変わるというめんどくさいものじゃ。」

「ちなみに、龍丸の中にはあと6つの天器を託した。それぞれが強い意志を持っているから認められれば使えるようになるはずじゃ。まぁ、使いこなせるかどうかは別問題じゃがな。」

「あと、6つ、、、」

龍丸はそう呟きながら自分の体が半透明になっているのに気がついた。

「どうやら、もうお別れのようじゃな。みんなが龍丸のことを守ってくれてるならわしも安心じゃ。」


「そんな!!まだ、話したいことはいっぱいあるのに!!」

そう叫びながら、龍丸の意識は薄れていった。

「本当に会えてよかった。」

龍丸は最後に、おじいちゃんの声をうっすらと聞いた気がした。
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