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第59話
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「こ、ここが第一王宮…」
「来るのは初めてか?」
「はい…。第二王宮には行ったことがあるんですけど、ここは初めてで…」
アクティスによってその体を第一王宮まで運ばれたエリッサは、第一王宮の光景を見てかなりの衝撃を受けている様子だった。
というのも、そこは同じ王宮ではありながらも第二王宮とは比にならないほど豪華絢爛《ごうかけんらん》な雰囲気を醸し出しており、使用人の数や兵の数も段違いで、まさに別世界と呼ぶにふさわしい場所であった。
「同じ王宮でもこんなに違うんだ…」
「ノーティスにくれてやった王宮は、俺が片手間に作ったものだからな。まぁあいつにはそれさえも過ぎたものだったようだが…」
「すぎたもの…?」
「まぁ気にするな」
アクティスはエリッサに対して軽い口調でそう言葉を発すると、そのままの雰囲気で非常に重要なことを言い放つ。
「あ、そうそう。これから君の両親がここに来るからよろしくな」
「え??ど、どういうことですか??」
何も聞かされていないエリッサは当然、その頭上に大きなはてなマークを浮かべる。
しかしアクティスはそれがどうしたとでも言わんばかりの表情を浮かべ、落ち着いた口調でこう言葉を発した。
「カサルはノーティスの後を継ぐ形で第一王子になりたがっていてな。別に本人がなりたいというんだから俺は止めず、それを容認してやったわけだ。そしたらすぐにでも俺に感謝の言葉を告げたいから、今日ここを訪れると言っていた」
「お、お父様が!?第一王子に!?」
そんなことなど知る由もなかったエリッサは、これにも当然驚きの表情を浮かべて見せる。
自分の父親が今日から王子様になりますなどと告げられたら、誰でもこんな反応になってしまう事だろう。
するとまさにその時、アクティスの使用人をしている男性が彼のもとに知らせを持ち込んだ。
「アクティス様、カサル様とユリア夫人の姿がお見えです」
「分かった。そのまま通してくれ」
「承知しました」
アクティスからの返答を聞き届けた使用人は、一切無駄のない動きでそそくさと二人の前から姿を消していき、カサルたちを呼び入れる準備に移る。
「ア、アクティス様、私ここにいても大丈夫なんですか?二人ってアクティス様に話をしに来たのでしょう?私がいたら話が厄介になるだけなんじゃ…?」
「気にするなと言ったろ。というより、そもそも君にいてもらわないと意味がない。俺が二人を迎え入れることにしたのは、君がいればこそなんだから」
「…??」
アクティスの発した言葉の意味を、この時エリッサは理解することができなかった。
しかし二人の両親を前にしてアクティスが改めてその言葉を発するとき、彼女はその意味をはっきりと理解することとなる。
――――
「アクティス様!!この度は私の事を第一王子として推薦してくださいましたこと、誠にうれしく……!?!?」
「私からもお礼を……!?!?」
アクティスの元を訪れた二人は、心の底からくる喜びを即座に言葉にして表現するものの、そろって一人の人物の姿を見てその表情を曇らせる。
「ど、どうしてエリッサがここに…!?」
「わ、私たち何も聞かされていないのですけれど…!?」
その後、二人はそろってエリッサに対して不快感をあらわにしながらそう言葉を発した。
そもそもこの場にエリッサがいることさえ想像だにしていなかった二人にとってみれば、アクティスとの崇高なる時間を彼女によって邪魔されているようにも思えたのかもしれない。
そんな二人の様子を見ながら、アクティスはしれっと衝撃的な言葉を口にした。
「俺が今日二人に会うことにしたのは、報告するタイミングが良かったからだよ」
「ほ、報告ですか…?」
「い、一体何の…?」
「俺とエリッサは婚約することにしたから」
「「っ!?!?!?」」
アクティスがそう言葉を発した途端、周囲一帯の空気は一気に様変わりし、カサルとユリアの二人はその表情を凍り付かせる。
が、この中で一番驚きの表情を浮かべていたのはいきなり婚約者にされたエリッサだったかもしれない。
「え!?わ、私がアクティス様と婚約を!?な、なにも聞いていないのですけれど!?」
「言ってないからな。でももう決めたんだ。エリッサ、君は俺のものになってもらう」
「ど、どうしてそんなことに…!?私たち全然接点もなかったですし、お話したことだって全然ないのに…!?」
「もう最近、起きればずっと君の事が頭の中から離れないんだ。他の事を考えようとしても、考えれば考えるほど君の顔が浮かんでくるばかり。これはもうエリッサと結ばれることでしか治らないと思ったというわけだ」
アクティスは全く表情を変えることなく、非常にまっすぐな表情を浮かべながらそう言葉を告げる。
そしてアクティスはそれにとどまらず、そのまま続けて衝撃的な言葉をカサルとユリアに放った。
「第一王子の座にはカサルがついてくれることになったんだろう?早速やってもらいたい仕事があるんだが」
「な、なんでしょう!アクティス様のためでしたらなんでも…!」
「責任を取ってもらう。第一王宮をあそこまで破壊したのは他でもない、第一王子だ。しかしノーティスはその責任を取る前に消えてしまった。だからその責任はお前に取ってもらうこととする」
「…は、はい…??」
「お前だってそれを分かって第一王子になったのだろう?文句はないはずだ」
…カサルたちを取り巻く空気は、その一言により一変した。
「来るのは初めてか?」
「はい…。第二王宮には行ったことがあるんですけど、ここは初めてで…」
アクティスによってその体を第一王宮まで運ばれたエリッサは、第一王宮の光景を見てかなりの衝撃を受けている様子だった。
というのも、そこは同じ王宮ではありながらも第二王宮とは比にならないほど豪華絢爛《ごうかけんらん》な雰囲気を醸し出しており、使用人の数や兵の数も段違いで、まさに別世界と呼ぶにふさわしい場所であった。
「同じ王宮でもこんなに違うんだ…」
「ノーティスにくれてやった王宮は、俺が片手間に作ったものだからな。まぁあいつにはそれさえも過ぎたものだったようだが…」
「すぎたもの…?」
「まぁ気にするな」
アクティスはエリッサに対して軽い口調でそう言葉を発すると、そのままの雰囲気で非常に重要なことを言い放つ。
「あ、そうそう。これから君の両親がここに来るからよろしくな」
「え??ど、どういうことですか??」
何も聞かされていないエリッサは当然、その頭上に大きなはてなマークを浮かべる。
しかしアクティスはそれがどうしたとでも言わんばかりの表情を浮かべ、落ち着いた口調でこう言葉を発した。
「カサルはノーティスの後を継ぐ形で第一王子になりたがっていてな。別に本人がなりたいというんだから俺は止めず、それを容認してやったわけだ。そしたらすぐにでも俺に感謝の言葉を告げたいから、今日ここを訪れると言っていた」
「お、お父様が!?第一王子に!?」
そんなことなど知る由もなかったエリッサは、これにも当然驚きの表情を浮かべて見せる。
自分の父親が今日から王子様になりますなどと告げられたら、誰でもこんな反応になってしまう事だろう。
するとまさにその時、アクティスの使用人をしている男性が彼のもとに知らせを持ち込んだ。
「アクティス様、カサル様とユリア夫人の姿がお見えです」
「分かった。そのまま通してくれ」
「承知しました」
アクティスからの返答を聞き届けた使用人は、一切無駄のない動きでそそくさと二人の前から姿を消していき、カサルたちを呼び入れる準備に移る。
「ア、アクティス様、私ここにいても大丈夫なんですか?二人ってアクティス様に話をしに来たのでしょう?私がいたら話が厄介になるだけなんじゃ…?」
「気にするなと言ったろ。というより、そもそも君にいてもらわないと意味がない。俺が二人を迎え入れることにしたのは、君がいればこそなんだから」
「…??」
アクティスの発した言葉の意味を、この時エリッサは理解することができなかった。
しかし二人の両親を前にしてアクティスが改めてその言葉を発するとき、彼女はその意味をはっきりと理解することとなる。
――――
「アクティス様!!この度は私の事を第一王子として推薦してくださいましたこと、誠にうれしく……!?!?」
「私からもお礼を……!?!?」
アクティスの元を訪れた二人は、心の底からくる喜びを即座に言葉にして表現するものの、そろって一人の人物の姿を見てその表情を曇らせる。
「ど、どうしてエリッサがここに…!?」
「わ、私たち何も聞かされていないのですけれど…!?」
その後、二人はそろってエリッサに対して不快感をあらわにしながらそう言葉を発した。
そもそもこの場にエリッサがいることさえ想像だにしていなかった二人にとってみれば、アクティスとの崇高なる時間を彼女によって邪魔されているようにも思えたのかもしれない。
そんな二人の様子を見ながら、アクティスはしれっと衝撃的な言葉を口にした。
「俺が今日二人に会うことにしたのは、報告するタイミングが良かったからだよ」
「ほ、報告ですか…?」
「い、一体何の…?」
「俺とエリッサは婚約することにしたから」
「「っ!?!?!?」」
アクティスがそう言葉を発した途端、周囲一帯の空気は一気に様変わりし、カサルとユリアの二人はその表情を凍り付かせる。
が、この中で一番驚きの表情を浮かべていたのはいきなり婚約者にされたエリッサだったかもしれない。
「え!?わ、私がアクティス様と婚約を!?な、なにも聞いていないのですけれど!?」
「言ってないからな。でももう決めたんだ。エリッサ、君は俺のものになってもらう」
「ど、どうしてそんなことに…!?私たち全然接点もなかったですし、お話したことだって全然ないのに…!?」
「もう最近、起きればずっと君の事が頭の中から離れないんだ。他の事を考えようとしても、考えれば考えるほど君の顔が浮かんでくるばかり。これはもうエリッサと結ばれることでしか治らないと思ったというわけだ」
アクティスは全く表情を変えることなく、非常にまっすぐな表情を浮かべながらそう言葉を告げる。
そしてアクティスはそれにとどまらず、そのまま続けて衝撃的な言葉をカサルとユリアに放った。
「第一王子の座にはカサルがついてくれることになったんだろう?早速やってもらいたい仕事があるんだが」
「な、なんでしょう!アクティス様のためでしたらなんでも…!」
「責任を取ってもらう。第一王宮をあそこまで破壊したのは他でもない、第一王子だ。しかしノーティスはその責任を取る前に消えてしまった。だからその責任はお前に取ってもらうこととする」
「…は、はい…??」
「お前だってそれを分かって第一王子になったのだろう?文句はないはずだ」
…カサルたちを取り巻く空気は、その一言により一変した。
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