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第6話
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「(…勢いのままに家を飛び出してみたけれど、これからどうしよう…)」
何の計画性もなく、なんの考えもない今回の家出…。
あんな言葉をかけられることなんて今までに何度もあったというのに、自分でもどうしてここまで大胆な行動をとることにしたのかがわからない…。
「(…今頃、あの4人はお祭り騒ぎなんだろうな…。ずっとずっといなくなってほしいって願ってた私がようやく自分たちの元からいなくなったんだから…)」
4人とも私の存在を忌み嫌っていたけれど、特にサテラお姉様とシーファお姉様はそれが顕著だった。
なぜなら二人とも、その内心でノーティス第二王子との婚約を夢見ていて、私がその夢の実現の妨げになっていると信じ切っていたためだ。
自分たちがノーティス様から快く思われないことがあれば、すべて私のせい。
ノーティス様の機嫌を損ねるようなことがあれば、それもすべて私のせい。
ノーティス様との距離を縮めることができなかったなら、それもすべて私のせい。
直接的な物言いをするサテラお姉様と、嫌味たらしい間接的な物言いをするシーファお姉様。
根っこの部分にある性格は似ているけれど、表面的な性格は正反対な二人。
その性格は互いに衝突しても決しておかしくないものだけれど、私を共通の敵のような形にすることで、二人は互いに不可侵条約を結び、結託していた。
その共通の敵がいなくなった今、二人はどれだけ色めき立っていることか、簡単に想像ができる。
「(…行く当てもないし、どうせなら今まで行ったことのないようなところに行ってみようかな…)」
私は心の中にそう思うと、目的地のない場所を目指して駆けだし始めたのだった。
――――
…それからしばらく、私は歩き続けた。
街の中を抜け、人の少ない裏通りを通り、少しずつあたりが暗くなっていくのを感じながら、ずっと歩き続けた。
どれだけの時間が経過したのか、正確には分からないけれど、履いている靴がぼろ簿になっていたり、着ている服がかなり汚れてきているところを見るに、自分でもびっくりなほどの時間がすでに経っているのかもしれない…。
なにより、のどの渇きと空腹感がそこしれない苦しさを私に与えてくる…。
「(…みんなの望み通りにしたのに、どうしてこんなに苦しい思いをしなきゃいけないんだろう…)」
…私は自分でもわかるほど、頭の中がじわじわとネガティブな考えに寄っていた。
今までどれだけ迫害されても思いもしなかったことを、今の私は心の中に感じ始めている…。
周囲のうす暗さも相まって、その感情はより大きなものになりつつあった。
「(…なんだかもう、死んでもいいなって思えてくる…。一応、最後に4人の願いをかなえてあげられたわけだし、子どもたちとも最後に楽しく遊べたし…)」
…こういう時だからなのかはわからないけれど、私の頭の中にはこれまでにかけれ続けてきた言葉が無限にあふれ出てくる…。
生まれてこない方がよかったとか、存在が邪魔だとか、はやく自分たちの前から消えてほしいとか…。
「(…やっぱり、みんなの言っていたことが正しかったみたい…。私がいなくなることが悲しまれるどころか、むしろ喜ばれるのなら、もっと早くにいなくなっていればよかったのかも…)」
…そう心の中に思った時、あるひとつの場所が目的地の候補として私の脳裏に思い浮かんだ。
「(…確かこの先に、危険だから立ち入り禁止になってる場所があったはず…。そこに行ってみようかな…)」
危険ということはもちろん、立ち入れば無事に帰ってこられるかどうかわからないということを意味するのだろう。
…普通なら恐ろしくてたまらない話だけれど、今の私にしてみればむしろ好都合のように思えた。
「(…どうせ行く当てなんてないんだし、最後に死神にでも会いに行ってみようかしら…)」
もしも本当に死神に出会えたなら、聞いてみたいことがたくさんある。
私が誰にも望まれずに生まれてきたのはなんのため?
私が死んだらみんなの役に立てる?
みんなはそれで幸せになれる?
私がいなくなっただけでもみんなは喜んでくれるのだろうけれど、どうせならもっともっと喜ばせてあげたいから。
…私は心の中にそう思うと、まるで何かに導かれるように、その場所を目指して歩き始めた。
…そのたったひとつの決心が、私のこれからの人生を大きく変えていくことになるなんて、この時の私は想像だにしていなかった…。
何の計画性もなく、なんの考えもない今回の家出…。
あんな言葉をかけられることなんて今までに何度もあったというのに、自分でもどうしてここまで大胆な行動をとることにしたのかがわからない…。
「(…今頃、あの4人はお祭り騒ぎなんだろうな…。ずっとずっといなくなってほしいって願ってた私がようやく自分たちの元からいなくなったんだから…)」
4人とも私の存在を忌み嫌っていたけれど、特にサテラお姉様とシーファお姉様はそれが顕著だった。
なぜなら二人とも、その内心でノーティス第二王子との婚約を夢見ていて、私がその夢の実現の妨げになっていると信じ切っていたためだ。
自分たちがノーティス様から快く思われないことがあれば、すべて私のせい。
ノーティス様の機嫌を損ねるようなことがあれば、それもすべて私のせい。
ノーティス様との距離を縮めることができなかったなら、それもすべて私のせい。
直接的な物言いをするサテラお姉様と、嫌味たらしい間接的な物言いをするシーファお姉様。
根っこの部分にある性格は似ているけれど、表面的な性格は正反対な二人。
その性格は互いに衝突しても決しておかしくないものだけれど、私を共通の敵のような形にすることで、二人は互いに不可侵条約を結び、結託していた。
その共通の敵がいなくなった今、二人はどれだけ色めき立っていることか、簡単に想像ができる。
「(…行く当てもないし、どうせなら今まで行ったことのないようなところに行ってみようかな…)」
私は心の中にそう思うと、目的地のない場所を目指して駆けだし始めたのだった。
――――
…それからしばらく、私は歩き続けた。
街の中を抜け、人の少ない裏通りを通り、少しずつあたりが暗くなっていくのを感じながら、ずっと歩き続けた。
どれだけの時間が経過したのか、正確には分からないけれど、履いている靴がぼろ簿になっていたり、着ている服がかなり汚れてきているところを見るに、自分でもびっくりなほどの時間がすでに経っているのかもしれない…。
なにより、のどの渇きと空腹感がそこしれない苦しさを私に与えてくる…。
「(…みんなの望み通りにしたのに、どうしてこんなに苦しい思いをしなきゃいけないんだろう…)」
…私は自分でもわかるほど、頭の中がじわじわとネガティブな考えに寄っていた。
今までどれだけ迫害されても思いもしなかったことを、今の私は心の中に感じ始めている…。
周囲のうす暗さも相まって、その感情はより大きなものになりつつあった。
「(…なんだかもう、死んでもいいなって思えてくる…。一応、最後に4人の願いをかなえてあげられたわけだし、子どもたちとも最後に楽しく遊べたし…)」
…こういう時だからなのかはわからないけれど、私の頭の中にはこれまでにかけれ続けてきた言葉が無限にあふれ出てくる…。
生まれてこない方がよかったとか、存在が邪魔だとか、はやく自分たちの前から消えてほしいとか…。
「(…やっぱり、みんなの言っていたことが正しかったみたい…。私がいなくなることが悲しまれるどころか、むしろ喜ばれるのなら、もっと早くにいなくなっていればよかったのかも…)」
…そう心の中に思った時、あるひとつの場所が目的地の候補として私の脳裏に思い浮かんだ。
「(…確かこの先に、危険だから立ち入り禁止になってる場所があったはず…。そこに行ってみようかな…)」
危険ということはもちろん、立ち入れば無事に帰ってこられるかどうかわからないということを意味するのだろう。
…普通なら恐ろしくてたまらない話だけれど、今の私にしてみればむしろ好都合のように思えた。
「(…どうせ行く当てなんてないんだし、最後に死神にでも会いに行ってみようかしら…)」
もしも本当に死神に出会えたなら、聞いてみたいことがたくさんある。
私が誰にも望まれずに生まれてきたのはなんのため?
私が死んだらみんなの役に立てる?
みんなはそれで幸せになれる?
私がいなくなっただけでもみんなは喜んでくれるのだろうけれど、どうせならもっともっと喜ばせてあげたいから。
…私は心の中にそう思うと、まるで何かに導かれるように、その場所を目指して歩き始めた。
…そのたったひとつの決心が、私のこれからの人生を大きく変えていくことになるなんて、この時の私は想像だにしていなかった…。
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