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第17話
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「まずいですリーウェル様!!いろいろな部署から取引に圧力がかけられており…!」
「なんとかしろ!そんなことで私の人生を終わらせることなどあってはならん!」
エリスがいなくなってからというもの、リーウェルの置かれている状況はひどいものであった。
クライスからの裏圧力が国ぐるみでかけられることとなり、セントレス社は瞬く間にその業績を傾け、明日にも消滅してしまうのではないかという噂さえ駆け巡るほどの状況になっていた。
「も、もう私はあなたとビジネスはできません!これにて!」
「おい!逃げるな!この状況を作ったのはお前だろうが!なんとかしろ!」
「無理です!もう無理ですから!」
一人、また一人と彼の腹心たちは彼の元から去っていき、いよいよ社の消滅は避けられないものとなりつつあった…。
「なぜこんなことに…!つい先日まで完璧だったではないか…!それがエリスが死んだとたんにこのようなことに…!まさか…まさかあいつの呪いだとでもいうのか…?これがあいつの願ったことだとでもいうのか…?」
エリスが隣国に迎え入れられていることなど知る由もないリーウェルは、彼女がすでに死んでしまったものだとばかり思いこんでいた。
…というのも、リーウェルにエリスを探しに行くだけの思いはなく、その思いに自分で気づかないためにこんなことになっているともとれるのだが…。
「終わってたまるか…。こんなところで…この私が…」
――――
「セントレス社、なくなっちゃったみたいだね」
「まぁそうだろうね…。あんなに調子に乗って好き勝手やっちゃったんじゃ…」
「で、あの会社の御曹司、一人姿を消したかと思ったら、謎の転落死を遂げちゃったんだってさ」
「やっぱり、いろんな人にうらまれてたんだ…」
クライスの招いた王宮の一室で、二人は冷静な雰囲気でそう会話を行っていた。
話題の中心であるリーウェルは、どうやら本当にその身を投げ出してしまった様子。
彼なりに、エリスの後を追ったつもりなのだろうが、結局それが実を結ぶことはなく…。
「それで、いつになったら私は返してもらえるの?」
「はぁ?返すわけないじゃん」
「そ、そんなの聞いてないし!私もうあなたとは終わった関係で…!」
「終わった?かわいい泣き顔見せながら僕の名前呼んでたくせに?」
「な、なんで知って…!」
「あ、本当に言ってたんだ」
「ああもううるさい!!!!」
…どこまでも素直になれない二人がその距離をはっきりと縮めるまでには、まだまだ長い時間がかかりそうであった…。
「なんとかしろ!そんなことで私の人生を終わらせることなどあってはならん!」
エリスがいなくなってからというもの、リーウェルの置かれている状況はひどいものであった。
クライスからの裏圧力が国ぐるみでかけられることとなり、セントレス社は瞬く間にその業績を傾け、明日にも消滅してしまうのではないかという噂さえ駆け巡るほどの状況になっていた。
「も、もう私はあなたとビジネスはできません!これにて!」
「おい!逃げるな!この状況を作ったのはお前だろうが!なんとかしろ!」
「無理です!もう無理ですから!」
一人、また一人と彼の腹心たちは彼の元から去っていき、いよいよ社の消滅は避けられないものとなりつつあった…。
「なぜこんなことに…!つい先日まで完璧だったではないか…!それがエリスが死んだとたんにこのようなことに…!まさか…まさかあいつの呪いだとでもいうのか…?これがあいつの願ったことだとでもいうのか…?」
エリスが隣国に迎え入れられていることなど知る由もないリーウェルは、彼女がすでに死んでしまったものだとばかり思いこんでいた。
…というのも、リーウェルにエリスを探しに行くだけの思いはなく、その思いに自分で気づかないためにこんなことになっているともとれるのだが…。
「終わってたまるか…。こんなところで…この私が…」
――――
「セントレス社、なくなっちゃったみたいだね」
「まぁそうだろうね…。あんなに調子に乗って好き勝手やっちゃったんじゃ…」
「で、あの会社の御曹司、一人姿を消したかと思ったら、謎の転落死を遂げちゃったんだってさ」
「やっぱり、いろんな人にうらまれてたんだ…」
クライスの招いた王宮の一室で、二人は冷静な雰囲気でそう会話を行っていた。
話題の中心であるリーウェルは、どうやら本当にその身を投げ出してしまった様子。
彼なりに、エリスの後を追ったつもりなのだろうが、結局それが実を結ぶことはなく…。
「それで、いつになったら私は返してもらえるの?」
「はぁ?返すわけないじゃん」
「そ、そんなの聞いてないし!私もうあなたとは終わった関係で…!」
「終わった?かわいい泣き顔見せながら僕の名前呼んでたくせに?」
「な、なんで知って…!」
「あ、本当に言ってたんだ」
「ああもううるさい!!!!」
…どこまでも素直になれない二人がその距離をはっきりと縮めるまでには、まだまだ長い時間がかかりそうであった…。
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