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第52話
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「失礼します」
突然会議室の扉が開かれ、一人の人物がここに姿を現す。聞き覚えのあるその声に、私は反射的にその人物のほうへと視線を向ける。まさにその人物こそ、ついさっき私が感謝を告げた人物。かつて財政に関して、私とシュルツを完膚なきまでに締め上げてくれた人物。帝国に仕える貴族院の長で、堅物で数字に厳しくて、だけどこんな時は心の底から頼りになる人物。
「「ロワール!!」さん!!」
突然現れたその姿に、私はもちろんシュルツやジルクさんまでもが声をそろえて叫んだ。ロワールさんは入室後一切表情を変えずに、そのまま調査団の代表であるフォルテさんのもとへと足を進めた。そして私たち同様に驚愕している様子のフォルテさんに対し、自身のカバンから分厚い資料を取り出した。
「こちら、シュルツ様とソフィア様から作成の依頼を受けておりました、総合資産表になります。ご確認を」
私はとっさにシュルツと顔を見合わせる。私たちのどちらも、ロワールさんにそんな依頼をした覚えがないからだ。
「っ!!そ、そんなばかな!!」
上級公爵は慌ててフォルテさんとロワールさんのもとまで駆け寄り、資料を奪って机の上で広げて見せる。1ページ1ページをすみからすみまで念入りにチェックしているようだけど、数ページを確認した段階で諦めたのだろう、力なく床に倒れ込んだ。
上級公爵は目の前で何が起こっているのか理解できていないようだけれど、それは私たちも同じだった。一体何がどうなっているのか…?ロワールさんがどうしてここに…?それにどうやってこの総合資産表を…?
しかし動揺が止まらない私たちとは対照的に、フォルテさんはこの状況でも冷静だった。彼は上級公爵が机の上に広げた資料を改めて手に取り、重要箇所を適切に確認していく。…しばらくの間その時間が続いたのち、彼はロワールさんに言葉を発した。
「…さすが、と言ったところでしょうか。非の打ち所のない、実に見事に仕上げられた資料ですね」
「恐れ入ります」
二人はやや笑みを浮かべあいながら、そうやりとりをした。そしてすっかり黙り込んでしまった皆に対し、フォルテさんが調査団の代表として言葉を発する。
「さて、以上で準備資料の確認はすべて終わりました。提出された資料内に告発文の根拠となるものは全く確認されず、また資料そのものにも欠陥や虚偽の記載は一切確認できませんでした」
フォルテさんのはきはきとした言葉が室内に響き渡る。その声をさえぎる者はもはや誰もいなかった。
「告発文書の内容は誤りであったことをここに認め、以上調査内容を報告書として皇帝府、及び法院に提出することと致します」
フォルテさんはすっかり脱力してしまった上級公爵のほうに顔を向け、彼に言葉をかける。
「調査会はこれにて終了とし、調査団は調査報告書の提出をもって解散することと致しますが…。上級公爵、よろしいですね?」
もはや上級公爵にもエリーゼにも、反論の余地などなかった。
信じられない結果となった調査会にすっかり脱力してしまった上級公爵とエリーゼは、取り巻きの人たちによって抱えられながら部屋を後にしていった。調査団の人たちも次々と引き上げていき、リーダーであるフォルテさんを残すだけとなった。
彼はやや笑みを浮かべながら、私に言葉をかける。
「…あの総合資産表、シュルツ様とソフィア様が依頼されたというのは嘘で、こうなることを読んでいたロワールさんがお一人でお作りになったものではありませんか?」
投げられたその質問に私はドキッとしてしまって、言葉がたじたじになってしまう。
「さ、さささあ?ななんのことでしょう??」
「くすくす、大丈夫ですよ。先ほどもお伝えした通り、通知書に詳細な記載はありません。誰が作らなければならないなんて記載もね」
「は、ははは…」
うまく口角が上がらず、どうにも上手く笑えない。…私もすっかりクタクタになってしまっているようだった。そしてそれは私だけでなく、ここにいる皆が同じ様子だった。フォルテさんはそんな私たちの姿を少し笑顔で見つめながら、シュルツに正式な調査終了の旨を伝えた後、部屋を後にしていった。
…途端、全員がイスににぐったりと倒れこむ。
「はあぁぁぁ…全く心臓に悪いぜ…寿命が縮んじまう…」
「ほんとに…私もうやめようかなこの仕事ぉ」
そうこぼすジルクさんとノーレッジさん。二人はぼそぼそと愚痴をこぼしているものの、その表情は心底嬉しそうだった。
「で、でもロワールさん、一体どうして…?」
ぐったりした体で、シュルツがロワールさんにそう疑問を投げる。私もそれが聞きたくて仕方がなかった。
「はい。順に説明させていただきましょう」
今回のからくりについて、ロワールさんが一から説明を始めた。
「皆さんはお気づきだったかと思いますが、公爵様に財政資料をリークしたのは他でもない、私です」
そう、やっぱりそうだった。私もシュルツも、そこには早い段階で気づいていた。
「前にお二人にご指摘した箇所と合わせて、上級公爵様にお伝えしました。そうすれば間違いなく上級公爵様は、前に私が指摘した箇所と同じ点を突くのではないかと思いましたので」
そこも想像通りだった。前にロワールさんがある種のリハーサルをしてくれていたおかげで、現に私たちは上級公爵の追及を上手くかわすことができた。問題はそこから先…
「私はこれで上級公爵様を跳ね返せると踏んでいたのですが、向こうは奥の手を用意されていたようで…」
そう、それがまさに彼らが持ち出してきた総合資産表。
「私はその存在を、アノッサ皇帝府長を介してフランツ公爵様からお聞きしました。つい昨日の事でしたけれどね」
ロワールさんの口から、想像だにしていなかった人物の名が告げられた。…フランツ公爵が、情報を流してくれていたんだ…
「ちょ、ちょっとまってほしい!」
そこまで聞いたところでシュルツが大きな言葉を発し、ロワールさんに疑問を投げる。
「フランツ公爵がグロス上級公爵の奥の手を教えてくれたとしても、それが昨日じゃ資料の作成はとても間に合わないんじゃ…?」
い、言われてみればそうだ。確かジルクさんの話だと、総合資産表を完成させるには、私たち全員で取り掛かっても一週間はかかるって…
「申し訳ありません。全力で取り掛かったのですが、それでもここまでギリギリになってしまいました」
…あ、あれ?…なんだか話がずれているような…?私は恐る恐る、ロワールさんに疑問を投げる。
「ロ、ロワールさん…これだけの資料を一日で作るのは、いくらなんでも無理なんじゃ…?」
私のその言葉に、ロワールさんは胸を張って答えた。
「ソフィア様。私はすべての貴族の財政をチェックする、帝国貴族院の代表ですよ?甘く見られては困りますね」
…前のチェックの時、シュルツがびくびくしていたのが分かるような気がした…。この人は本当に化け物なのかもしれない…。
「ともかく、本当に助かったよ…ありがとうロワールさん」
相変わらずぐったりしながらそう口にするシュルツに、ロワールさんが言葉を返す。
「礼などいいのです。私は好きなようにやらせていただいただけですから」
堅物だと言われていたロワールさんが、笑みを浮かべながらそう言った。皆その表情に一段と安心感を感じ、ほっと一息つく。
しかしロワールさんはそのまま、私たちに次なることを告げた。
「お疲れのところ恐れ入りますが、実はもう一つ、フランツ公爵様から気になる情報をお預かりしております」
どうやら私たちには、息をつく暇はまだないようだった。
突然会議室の扉が開かれ、一人の人物がここに姿を現す。聞き覚えのあるその声に、私は反射的にその人物のほうへと視線を向ける。まさにその人物こそ、ついさっき私が感謝を告げた人物。かつて財政に関して、私とシュルツを完膚なきまでに締め上げてくれた人物。帝国に仕える貴族院の長で、堅物で数字に厳しくて、だけどこんな時は心の底から頼りになる人物。
「「ロワール!!」さん!!」
突然現れたその姿に、私はもちろんシュルツやジルクさんまでもが声をそろえて叫んだ。ロワールさんは入室後一切表情を変えずに、そのまま調査団の代表であるフォルテさんのもとへと足を進めた。そして私たち同様に驚愕している様子のフォルテさんに対し、自身のカバンから分厚い資料を取り出した。
「こちら、シュルツ様とソフィア様から作成の依頼を受けておりました、総合資産表になります。ご確認を」
私はとっさにシュルツと顔を見合わせる。私たちのどちらも、ロワールさんにそんな依頼をした覚えがないからだ。
「っ!!そ、そんなばかな!!」
上級公爵は慌ててフォルテさんとロワールさんのもとまで駆け寄り、資料を奪って机の上で広げて見せる。1ページ1ページをすみからすみまで念入りにチェックしているようだけど、数ページを確認した段階で諦めたのだろう、力なく床に倒れ込んだ。
上級公爵は目の前で何が起こっているのか理解できていないようだけれど、それは私たちも同じだった。一体何がどうなっているのか…?ロワールさんがどうしてここに…?それにどうやってこの総合資産表を…?
しかし動揺が止まらない私たちとは対照的に、フォルテさんはこの状況でも冷静だった。彼は上級公爵が机の上に広げた資料を改めて手に取り、重要箇所を適切に確認していく。…しばらくの間その時間が続いたのち、彼はロワールさんに言葉を発した。
「…さすが、と言ったところでしょうか。非の打ち所のない、実に見事に仕上げられた資料ですね」
「恐れ入ります」
二人はやや笑みを浮かべあいながら、そうやりとりをした。そしてすっかり黙り込んでしまった皆に対し、フォルテさんが調査団の代表として言葉を発する。
「さて、以上で準備資料の確認はすべて終わりました。提出された資料内に告発文の根拠となるものは全く確認されず、また資料そのものにも欠陥や虚偽の記載は一切確認できませんでした」
フォルテさんのはきはきとした言葉が室内に響き渡る。その声をさえぎる者はもはや誰もいなかった。
「告発文書の内容は誤りであったことをここに認め、以上調査内容を報告書として皇帝府、及び法院に提出することと致します」
フォルテさんはすっかり脱力してしまった上級公爵のほうに顔を向け、彼に言葉をかける。
「調査会はこれにて終了とし、調査団は調査報告書の提出をもって解散することと致しますが…。上級公爵、よろしいですね?」
もはや上級公爵にもエリーゼにも、反論の余地などなかった。
信じられない結果となった調査会にすっかり脱力してしまった上級公爵とエリーゼは、取り巻きの人たちによって抱えられながら部屋を後にしていった。調査団の人たちも次々と引き上げていき、リーダーであるフォルテさんを残すだけとなった。
彼はやや笑みを浮かべながら、私に言葉をかける。
「…あの総合資産表、シュルツ様とソフィア様が依頼されたというのは嘘で、こうなることを読んでいたロワールさんがお一人でお作りになったものではありませんか?」
投げられたその質問に私はドキッとしてしまって、言葉がたじたじになってしまう。
「さ、さささあ?ななんのことでしょう??」
「くすくす、大丈夫ですよ。先ほどもお伝えした通り、通知書に詳細な記載はありません。誰が作らなければならないなんて記載もね」
「は、ははは…」
うまく口角が上がらず、どうにも上手く笑えない。…私もすっかりクタクタになってしまっているようだった。そしてそれは私だけでなく、ここにいる皆が同じ様子だった。フォルテさんはそんな私たちの姿を少し笑顔で見つめながら、シュルツに正式な調査終了の旨を伝えた後、部屋を後にしていった。
…途端、全員がイスににぐったりと倒れこむ。
「はあぁぁぁ…全く心臓に悪いぜ…寿命が縮んじまう…」
「ほんとに…私もうやめようかなこの仕事ぉ」
そうこぼすジルクさんとノーレッジさん。二人はぼそぼそと愚痴をこぼしているものの、その表情は心底嬉しそうだった。
「で、でもロワールさん、一体どうして…?」
ぐったりした体で、シュルツがロワールさんにそう疑問を投げる。私もそれが聞きたくて仕方がなかった。
「はい。順に説明させていただきましょう」
今回のからくりについて、ロワールさんが一から説明を始めた。
「皆さんはお気づきだったかと思いますが、公爵様に財政資料をリークしたのは他でもない、私です」
そう、やっぱりそうだった。私もシュルツも、そこには早い段階で気づいていた。
「前にお二人にご指摘した箇所と合わせて、上級公爵様にお伝えしました。そうすれば間違いなく上級公爵様は、前に私が指摘した箇所と同じ点を突くのではないかと思いましたので」
そこも想像通りだった。前にロワールさんがある種のリハーサルをしてくれていたおかげで、現に私たちは上級公爵の追及を上手くかわすことができた。問題はそこから先…
「私はこれで上級公爵様を跳ね返せると踏んでいたのですが、向こうは奥の手を用意されていたようで…」
そう、それがまさに彼らが持ち出してきた総合資産表。
「私はその存在を、アノッサ皇帝府長を介してフランツ公爵様からお聞きしました。つい昨日の事でしたけれどね」
ロワールさんの口から、想像だにしていなかった人物の名が告げられた。…フランツ公爵が、情報を流してくれていたんだ…
「ちょ、ちょっとまってほしい!」
そこまで聞いたところでシュルツが大きな言葉を発し、ロワールさんに疑問を投げる。
「フランツ公爵がグロス上級公爵の奥の手を教えてくれたとしても、それが昨日じゃ資料の作成はとても間に合わないんじゃ…?」
い、言われてみればそうだ。確かジルクさんの話だと、総合資産表を完成させるには、私たち全員で取り掛かっても一週間はかかるって…
「申し訳ありません。全力で取り掛かったのですが、それでもここまでギリギリになってしまいました」
…あ、あれ?…なんだか話がずれているような…?私は恐る恐る、ロワールさんに疑問を投げる。
「ロ、ロワールさん…これだけの資料を一日で作るのは、いくらなんでも無理なんじゃ…?」
私のその言葉に、ロワールさんは胸を張って答えた。
「ソフィア様。私はすべての貴族の財政をチェックする、帝国貴族院の代表ですよ?甘く見られては困りますね」
…前のチェックの時、シュルツがびくびくしていたのが分かるような気がした…。この人は本当に化け物なのかもしれない…。
「ともかく、本当に助かったよ…ありがとうロワールさん」
相変わらずぐったりしながらそう口にするシュルツに、ロワールさんが言葉を返す。
「礼などいいのです。私は好きなようにやらせていただいただけですから」
堅物だと言われていたロワールさんが、笑みを浮かべながらそう言った。皆その表情に一段と安心感を感じ、ほっと一息つく。
しかしロワールさんはそのまま、私たちに次なることを告げた。
「お疲れのところ恐れ入りますが、実はもう一つ、フランツ公爵様から気になる情報をお預かりしております」
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