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第96話
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騎士との対決にラルクが圧勝した。使用人は決して嘘など言っておらず、事実をそのまま話したのだが、そのとらえ方はそれぞれにより違っていた。
「(き、騎士との戦いにラルクの方が圧勝だと!?ど、どういうことだ!?じょ、状況から考えるに、騎士の城でラルクが決闘を行うことなど不自然だ…。想像するに、トレイクが私の命令に従ってラルクに決闘を仕掛けた可能性があるわけだが…ま、まさか負けた…!?いやいや、ラルクは暗に抹殺しろという意図だったはず…。トレイクだってその意図は汲んだはず…。であるなら、ラルクはトレイク以外の騎士と戦ったことになるが……そ、それにしたって圧勝とは、一体どういう…!?)」
ライオネルの心中はもはやめちゃくちゃにかき乱されていた。シャルナとの政略結婚を実現するためにラルクの存在を脅しに使ったというのに、身内であるレリアの邪魔によってその計画は破談。もう手が付けられないと思っていたラルクの抹殺さえも、もたらされた情報から考えるにどうやら全くうまくいっていない様子。
…無駄にラルクを抹殺することは避けられたという点では良いことなのだが、自分の計画がことごとく失敗している状況に、彼は受け入れがたい思いを感じていた。
その一方、ついさきほどまでシリアスな雰囲気に包まれていたシャルナとアーロンは、別人のように色めき立っていた。
「やっっっっっっぱり私の王子様はラルク様!!!ほんとのほんとに騎士様を倒しちゃうなんて!!!」
「決まりだシャルナ!!絶対にラルク様を我が家に招こう!家族として迎え入れよう!彼ほどに優れた男を見逃してしまったら、それこそ末代までの恥になる!」
「そうですねお父様!!もう私、ラルク様を旦那様と呼ぶ準備はできています!!子どもの名前も考えてあります!!」
ラルクは抹殺などされておらず、それどころかむしろ実力で騎士に打ち勝ったのだというその知らせ。これまでも二人はラルクに夢中な様子だったが、今回の件は二人の心をより強く射抜くには十分すぎる刺激であった。
勢いを取り戻したアーロンはライオネルに向き合うと、そのまま強い口調で言葉を発する。
「聞きましたかライオネル様!!もはやあなたの狙いはなにも実現しません!!シャルナの事も、ラルク様の事も、もう決着していると言ってもいいでしょう!!いい加減お諦めになったらいかがですか!!」
「ぐっ…」
アーロンの言葉を聞き、ライオネルは悔しそうに自身の唇をかみしめる。そしてさらに、ライオネルと同じ側の人間であるはずのレリアまでもがライオネルに皮肉を言い始めた。
「ライオネル様、私と伯爵様の将来を不安視される必要はありませんよ?私たちは相思相愛ですし、この上ないくらい関係もうまくいっておりますから♪」
「(お、お前は何もわかっていない…!私はクライムとシャルナを結び付けたかったのであって、お前とクライムの婚約を望んでいるわけではないのだ…!)」
シャルナよりも自分に価値があるから、別にシャルナになどこだわらなくてもいいと言いたいらしいレリア。しかしそんな言葉、ライオネルにとってはなんの慰めにもなりはしないのだった。
「…あ、後になってやっぱり私の申し出を受けておけばよかったと後悔しても知らんぞ…?伯爵の妻の椅子に座ることがどれほど名誉なことであるのか、後になって思い知ったとしてももう」
「さっさとお帰りください、ライオネル様。もはやお話することもありません」
苦し紛れの捨て台詞さえ、アーロンに封殺されてしまうライオネル。…もはやここから逆転する手立てなど、彼には一切残されていないことだろう…。
ライオネルは逃げ出すように二人の前から姿を消すと、足早にカタリーナ家から身を引いていったのだった。そこにはレリアも伴っていたが、ライオネルにとってそれは全くプラスには感じられなかったことだろう。
「(き、騎士との戦いにラルクの方が圧勝だと!?ど、どういうことだ!?じょ、状況から考えるに、騎士の城でラルクが決闘を行うことなど不自然だ…。想像するに、トレイクが私の命令に従ってラルクに決闘を仕掛けた可能性があるわけだが…ま、まさか負けた…!?いやいや、ラルクは暗に抹殺しろという意図だったはず…。トレイクだってその意図は汲んだはず…。であるなら、ラルクはトレイク以外の騎士と戦ったことになるが……そ、それにしたって圧勝とは、一体どういう…!?)」
ライオネルの心中はもはやめちゃくちゃにかき乱されていた。シャルナとの政略結婚を実現するためにラルクの存在を脅しに使ったというのに、身内であるレリアの邪魔によってその計画は破談。もう手が付けられないと思っていたラルクの抹殺さえも、もたらされた情報から考えるにどうやら全くうまくいっていない様子。
…無駄にラルクを抹殺することは避けられたという点では良いことなのだが、自分の計画がことごとく失敗している状況に、彼は受け入れがたい思いを感じていた。
その一方、ついさきほどまでシリアスな雰囲気に包まれていたシャルナとアーロンは、別人のように色めき立っていた。
「やっっっっっっぱり私の王子様はラルク様!!!ほんとのほんとに騎士様を倒しちゃうなんて!!!」
「決まりだシャルナ!!絶対にラルク様を我が家に招こう!家族として迎え入れよう!彼ほどに優れた男を見逃してしまったら、それこそ末代までの恥になる!」
「そうですねお父様!!もう私、ラルク様を旦那様と呼ぶ準備はできています!!子どもの名前も考えてあります!!」
ラルクは抹殺などされておらず、それどころかむしろ実力で騎士に打ち勝ったのだというその知らせ。これまでも二人はラルクに夢中な様子だったが、今回の件は二人の心をより強く射抜くには十分すぎる刺激であった。
勢いを取り戻したアーロンはライオネルに向き合うと、そのまま強い口調で言葉を発する。
「聞きましたかライオネル様!!もはやあなたの狙いはなにも実現しません!!シャルナの事も、ラルク様の事も、もう決着していると言ってもいいでしょう!!いい加減お諦めになったらいかがですか!!」
「ぐっ…」
アーロンの言葉を聞き、ライオネルは悔しそうに自身の唇をかみしめる。そしてさらに、ライオネルと同じ側の人間であるはずのレリアまでもがライオネルに皮肉を言い始めた。
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「(お、お前は何もわかっていない…!私はクライムとシャルナを結び付けたかったのであって、お前とクライムの婚約を望んでいるわけではないのだ…!)」
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