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第83話
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「「セ、セイラ!?」様っ!?」
ガラルがこの場に呼び出したのはなんと、勝手に話題の中心にされてしまっているセイラとその兄であるラルクであった。
ラルクは堂々と胸を張って、セイラはやや恥ずかしそうに会場に現れると、二人の前を目指して足を進めていった。
4人が互いに向き合った場において、最初に口を開いたのはラルクであった。ラルクはあえて、観衆にも聞こえるほどの大きな声で言葉を発した。
「お二人の剣技、一瞬だけですがこの目で確かに見させていただきました。いやいや、さすがは騎士団の中でも相当な実力を持つと噂されているお二人、実にすばらしいものでした!」
「(…お兄様、さっきは『やばい!二人が早すぎで全然見えないよ!って言っていたじゃない……』)」
やや赤面して顔を伏せているセイラには構わず、ラルクは自信満々な様子でそう言い放った。…このような場にあっても、ラルクの能天気さは相変わらずだった…。
「セ、セイラ様!?いったいなにが…?」
「オ、オクト様…。実は、ガラル様からお兄様にお誘いがあったようで…」
「お誘い?」
「はい…。お兄様の力をぜひ、若い騎士たちに見せつけてやってほしいと…。それができたならきっと、妹である私はもちろん、あなたのファンたちはより一層あなたに夢中になることでしょう…って言われたようで…」
「…はぁ……ガラル…」
「いえいえ!僕はこの闘剣場にお二人をお客様としてお招きしただけですよ!別に深い意味はありませんとも♪」
「はぁ―…。お前というやつは…」
3人の会話の声はそれぞれにしか聞こえない程度の大きさで行われたため、観客の耳には入っていない。入ったのは最初のラルクの言葉だけであり、それを聞いた観衆たちの反応はというと…。
「あ、あれが噂のラルク殿なのか…!?」
「二人の剣技を目で追っていたって言ったぞ…。やっぱり、彼の技術は上級騎士にさえ匹敵するという噂は本当だったんだ…!」
「そ、それにあの堂々とした姿…。自分に叶う相手などいないと、自身に満ち溢れているんだ…!なんという男なのか…!」
…ラルクに対する評価が勝手に著しく上昇していく。その光景を見たセイラは一段と恥ずかしさを感じたようで、そので顔を上げることもできなくなってる様子。
しかしその一方、観客たちの声を聞いて気持ちを高ぶらせている人物が一人、いた。
「…ラルク、お前とはいつの日か手合わせをしたいと思っていたんだ。セイラの兄であるというからには、だだものではないことはよくわかっている」
「??」
ターナーの声は、舞台上にいる人間にしか聞こえない程度の声の大きさだった。ゆえに彼の言葉が聞こえているのは、オクト、ガラル、ターナー、そしてセイラのみである。
「かつてお前は俺にこう言った。セイラの事が気になるならば、先に自分を倒してみろと」
「あぁ、言ったね!僕の愛する妹であるセイラに近づきたいのなら、当然兄である僕は超えてもらわないとね!」
「(なっ!!!!ターナーのやつ、団長である私の知らぬところでそんな根回しを!?)」
「(おっと、これはさらに面白くなってきましたねぇ♪)」
「(お兄様、恥ずかしすぎてもう見てられないよ…!!)」
「それはつまり、今がその時間という事だ。…この闘剣場で今から俺は、お前と1対1で戦う。俺が勝ったその時には、祝勝会でセイラの隣の席は俺に譲ってもらう。文句はないな?」
「え!?い、今から戦うのかいターナー君!?ちょ、さすがにそれは心の準備が!?」
「そんなもん知るか!そら!剣はこれを使え!」
ターナーの腰には二本の刀剣が下げられていたため、そのうちの一本をラルクに向け投げて渡した。彼の完璧なコントロールにより、刀剣はラルクの手の中にぴったりと着地した。
「じゃぁいくぜ!!一瞬で決着をつけるっ!!!!」
「ひぃぃぃっ!!!!!!」
すさまじい形相で剣を構えるターナーの姿を見て、ラルクは一気に泣き出してしまうそうな表情を浮かべた。
「(いや無理でしょむいでしょ無理でしょこんな僕なんかが勝てるわけないでしょあれはちょっと冗談で言っただけなんだだから僕らが戦う必要なんてあぁでもここで負けを認めたら今まで築き上げてきた僕の威光と名声がすべてなくなってしまうそうなったらセイラにだって失望されてもうお兄様なんて知りませんからなんて言われて嫌われてしまうかもしれないあぁぁどうすればあぁぁぁ!!!!)」
心の中で大きな大きな葛藤を繰り広げるラルクであったが、そんな彼に構うことなどなく、ターナーはついに剣を振り上げてラルク目指して駆け始めた。
すさまじく速いその動きがラルクに終えるはずもなく、ラルクは諦めたかのように目をつむり、情けないかけ声とともに力なく剣を適当に一振りしてみるほかなかった。
「ひやあややぁぁぁっぁぁ!!!!!!」
バキイイィィィィンンンン!!!!
剛健な金属同士がすさまじい勢いで接触したかのような音が会場中をこだました。その音は本来なら、オクトとターナーが戦いの中で見せるはずだったもの。それをラルクがターナーを前に実現させたとは、いったいどういうことか…。
一瞬の静寂の後、次第に何が起きたのかが明らかになっていった。目にもとまらぬ速さで駆け、ラルクに一撃を与えたはずのターナーの剣は、闘剣場から大きく離れた場所まで弾き飛ばされていた。
…一方のラルクはなんの傷も負っていない様子で、その場に堂々と立っていた。その光景を目にとらえた観客の一人が、固まっていた口を開く。
「…タ、ターナーの…負けじゃないか…!?」
ガラルがこの場に呼び出したのはなんと、勝手に話題の中心にされてしまっているセイラとその兄であるラルクであった。
ラルクは堂々と胸を張って、セイラはやや恥ずかしそうに会場に現れると、二人の前を目指して足を進めていった。
4人が互いに向き合った場において、最初に口を開いたのはラルクであった。ラルクはあえて、観衆にも聞こえるほどの大きな声で言葉を発した。
「お二人の剣技、一瞬だけですがこの目で確かに見させていただきました。いやいや、さすがは騎士団の中でも相当な実力を持つと噂されているお二人、実にすばらしいものでした!」
「(…お兄様、さっきは『やばい!二人が早すぎで全然見えないよ!って言っていたじゃない……』)」
やや赤面して顔を伏せているセイラには構わず、ラルクは自信満々な様子でそう言い放った。…このような場にあっても、ラルクの能天気さは相変わらずだった…。
「セ、セイラ様!?いったいなにが…?」
「オ、オクト様…。実は、ガラル様からお兄様にお誘いがあったようで…」
「お誘い?」
「はい…。お兄様の力をぜひ、若い騎士たちに見せつけてやってほしいと…。それができたならきっと、妹である私はもちろん、あなたのファンたちはより一層あなたに夢中になることでしょう…って言われたようで…」
「…はぁ……ガラル…」
「いえいえ!僕はこの闘剣場にお二人をお客様としてお招きしただけですよ!別に深い意味はありませんとも♪」
「はぁ―…。お前というやつは…」
3人の会話の声はそれぞれにしか聞こえない程度の大きさで行われたため、観客の耳には入っていない。入ったのは最初のラルクの言葉だけであり、それを聞いた観衆たちの反応はというと…。
「あ、あれが噂のラルク殿なのか…!?」
「二人の剣技を目で追っていたって言ったぞ…。やっぱり、彼の技術は上級騎士にさえ匹敵するという噂は本当だったんだ…!」
「そ、それにあの堂々とした姿…。自分に叶う相手などいないと、自身に満ち溢れているんだ…!なんという男なのか…!」
…ラルクに対する評価が勝手に著しく上昇していく。その光景を見たセイラは一段と恥ずかしさを感じたようで、そので顔を上げることもできなくなってる様子。
しかしその一方、観客たちの声を聞いて気持ちを高ぶらせている人物が一人、いた。
「…ラルク、お前とはいつの日か手合わせをしたいと思っていたんだ。セイラの兄であるというからには、だだものではないことはよくわかっている」
「??」
ターナーの声は、舞台上にいる人間にしか聞こえない程度の声の大きさだった。ゆえに彼の言葉が聞こえているのは、オクト、ガラル、ターナー、そしてセイラのみである。
「かつてお前は俺にこう言った。セイラの事が気になるならば、先に自分を倒してみろと」
「あぁ、言ったね!僕の愛する妹であるセイラに近づきたいのなら、当然兄である僕は超えてもらわないとね!」
「(なっ!!!!ターナーのやつ、団長である私の知らぬところでそんな根回しを!?)」
「(おっと、これはさらに面白くなってきましたねぇ♪)」
「(お兄様、恥ずかしすぎてもう見てられないよ…!!)」
「それはつまり、今がその時間という事だ。…この闘剣場で今から俺は、お前と1対1で戦う。俺が勝ったその時には、祝勝会でセイラの隣の席は俺に譲ってもらう。文句はないな?」
「え!?い、今から戦うのかいターナー君!?ちょ、さすがにそれは心の準備が!?」
「そんなもん知るか!そら!剣はこれを使え!」
ターナーの腰には二本の刀剣が下げられていたため、そのうちの一本をラルクに向け投げて渡した。彼の完璧なコントロールにより、刀剣はラルクの手の中にぴったりと着地した。
「じゃぁいくぜ!!一瞬で決着をつけるっ!!!!」
「ひぃぃぃっ!!!!!!」
すさまじい形相で剣を構えるターナーの姿を見て、ラルクは一気に泣き出してしまうそうな表情を浮かべた。
「(いや無理でしょむいでしょ無理でしょこんな僕なんかが勝てるわけないでしょあれはちょっと冗談で言っただけなんだだから僕らが戦う必要なんてあぁでもここで負けを認めたら今まで築き上げてきた僕の威光と名声がすべてなくなってしまうそうなったらセイラにだって失望されてもうお兄様なんて知りませんからなんて言われて嫌われてしまうかもしれないあぁぁどうすればあぁぁぁ!!!!)」
心の中で大きな大きな葛藤を繰り広げるラルクであったが、そんな彼に構うことなどなく、ターナーはついに剣を振り上げてラルク目指して駆け始めた。
すさまじく速いその動きがラルクに終えるはずもなく、ラルクは諦めたかのように目をつむり、情けないかけ声とともに力なく剣を適当に一振りしてみるほかなかった。
「ひやあややぁぁぁっぁぁ!!!!!!」
バキイイィィィィンンンン!!!!
剛健な金属同士がすさまじい勢いで接触したかのような音が会場中をこだました。その音は本来なら、オクトとターナーが戦いの中で見せるはずだったもの。それをラルクがターナーを前に実現させたとは、いったいどういうことか…。
一瞬の静寂の後、次第に何が起きたのかが明らかになっていった。目にもとまらぬ速さで駆け、ラルクに一撃を与えたはずのターナーの剣は、闘剣場から大きく離れた場所まで弾き飛ばされていた。
…一方のラルクはなんの傷も負っていない様子で、その場に堂々と立っていた。その光景を目にとらえた観客の一人が、固まっていた口を開く。
「…タ、ターナーの…負けじゃないか…!?」
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