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第81話
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――――
そのようないきさつから決闘を行うこととなった二人。しかしそうとは知らない騎士たちは、思わせぶりなガラルの雰囲気を前にしてその心を震え上がらせていた。…前代未聞のこの決闘は一体、どんな結末を迎えてしまうのか、と…。
そんな中、一人の騎士が勇気を振り絞り、ガラルに疑問を投げかけた。
「…ガ、ガラル様…。タ、ターナーはどうなるのでしょうか…?」
恐る恐るそう尋ねた騎士の言葉に対し、ガラルは再び無駄に重苦しい表情で答えた。
「…もしかしたら彼はもう、二度と(セイラ様のためには)剣を持つことができなくなるかもしれないね…」
「「っ!?!?」」
ガラルはやや顔を伏せ、シリアスなオーラを全開にしてそう答えた。その答えを聞かされた騎士たちが、恐れを感じないはずがなく…。
「(…ターナー、やっぱりとんでもないことをやらかしたに決まってる!!)」
「(あの温厚なオクト様を怒らせるなんて……ターナーのやつ、騎士の名誉を大きく傷つけるようなことを言ってしまったに違いない…。そうでもなければ、こんな大ごとになんてなるはずがない…!)」
「(…もはや騎士としての散りざまを見届けるしかない…!オクト団長が騎士の名誉をかけて戦うというのなら、私たちにできることはそれしかないのだから…!)」
…まさかお互いに気になる相手がかぶっていて、それが原因で起こった決闘であるなど、ガラル以外の誰も思ってはいなかった。確実に大きな勘違いをさせられている騎士たちだが、そんな彼らの姿を見てガラルはもう吹き出しそうになっている。…ガラルはやはりわざと思わせぶりな態度をとってことを大きくしているのだった…。
「(さぁさぁさぁ、楽しくなってきましたねぇ♪)」
心の中でうっきうきな表情を浮かべるガラルになどほかの騎士が気づくはずもなく、重苦しい緊張感に包まれた騎士の城では、時間だけがゆっくりと過ぎていった…。
――――
「つ、ついにこの時が…」
「ああ…。もうこれから先、見られることなんてないだろうな…。新人騎士と団長の一騎打ちなんて…」
「ぜ、絶対ただじゃ終わらないよね…。負けた方にはなにかとんでもない罰があるはずだもんね…」
これまでにない独特の緊張感に会場全体が包まれている。闘剣場には観客席が設けられており、会場にはうわさを聞き付けた騎士たちや使用人たちがたくさん訪れていた。
…しかしそんな重苦しい雰囲気の中で、ただ一人だけが楽しくて仕方がないといった表情を浮かべていた…。
「(さぁさぁ、こんなビッグイベントは騎士の城が作られて以来はじめてなんじゃないだろうか♪)」
そんな様子で舞台上を見つめるガラルの姿を見た騎士の一人は、さらにその体を震え上がらせる…。
「(ガ、ガラル様…!あんなに楽しそうな表情を浮かべられている…!間違いない、オクト団長が新人のターナーを亡き者にする瞬間を見られることに心躍らせているんだ…。ふ、普段は明るくてニコニコとされている副団長も、それくらい起こってしまうほどターナーは無礼な態度をとってしまったということか…。な、なんと恐ろしい…)」
会場に集まった者たち、それぞれの思惑が勘違いによって交錯していくなか、ついに話題の中心人物である二人が闘剣上の舞台に現れた。
互いに騎士としての戦闘用の衣装を身にまとい、互いに最も信頼する刀剣をその腰に携えている。団長であるオクトは当然の事、まだまだ新人であるターナーからもすさまじいオーラが放たれていた。
「俺が勝ったら約束通り、その(セイラの隣の)座から降りてもらうぜ」
「あぁ、最初からそのつもりだ」
「「っ!?!?!?!?!」」
ターナーはみなに聞こえるようにわざと大きな声でオクトを挑発する言葉を発し、オクトもまた大きな声でそれに答えた。二人の問答は当然、セイラに関することの話なのだが、それを聞いた全員はそうだとは思わず…。
「や、やっぱりそうだった!ターナーはオクト団長を倒して騎士団を自分のものにしようとしているんだ…!」
「な、なんてやつだ…!いくら騎士の世界が実力社会だと言っても、いきなり団長に対決を挑むなんて無謀すぎるだろ…」
「い、いやしかし、ターナーだってそんなことは分かっているはず…。なにか必勝の算段をひそかに携えているに違いない…!」
思い思いの推測を打ち立てていく騎士たち。まさかどちらがセイラのエスコートを行うかが理由の決闘であるなど、全く想像だにしていない様子だ。
そしていよいよ二人は剣を鞘から抜いて構え、決闘の最後の準備を整える。
「一応確認だが…。ターナー、もう後には引けないぞ?いいんだな?」
「俺がやる(セイラをエスコートする)のはもう決まっていること。後になど引く必要がない」
「…よかろう」
「「っ!!!!」」
その会話が終わるとともに、二人は一斉に互いの体を目指して切りかかったのだった。
そのようないきさつから決闘を行うこととなった二人。しかしそうとは知らない騎士たちは、思わせぶりなガラルの雰囲気を前にしてその心を震え上がらせていた。…前代未聞のこの決闘は一体、どんな結末を迎えてしまうのか、と…。
そんな中、一人の騎士が勇気を振り絞り、ガラルに疑問を投げかけた。
「…ガ、ガラル様…。タ、ターナーはどうなるのでしょうか…?」
恐る恐るそう尋ねた騎士の言葉に対し、ガラルは再び無駄に重苦しい表情で答えた。
「…もしかしたら彼はもう、二度と(セイラ様のためには)剣を持つことができなくなるかもしれないね…」
「「っ!?!?」」
ガラルはやや顔を伏せ、シリアスなオーラを全開にしてそう答えた。その答えを聞かされた騎士たちが、恐れを感じないはずがなく…。
「(…ターナー、やっぱりとんでもないことをやらかしたに決まってる!!)」
「(あの温厚なオクト様を怒らせるなんて……ターナーのやつ、騎士の名誉を大きく傷つけるようなことを言ってしまったに違いない…。そうでもなければ、こんな大ごとになんてなるはずがない…!)」
「(…もはや騎士としての散りざまを見届けるしかない…!オクト団長が騎士の名誉をかけて戦うというのなら、私たちにできることはそれしかないのだから…!)」
…まさかお互いに気になる相手がかぶっていて、それが原因で起こった決闘であるなど、ガラル以外の誰も思ってはいなかった。確実に大きな勘違いをさせられている騎士たちだが、そんな彼らの姿を見てガラルはもう吹き出しそうになっている。…ガラルはやはりわざと思わせぶりな態度をとってことを大きくしているのだった…。
「(さぁさぁさぁ、楽しくなってきましたねぇ♪)」
心の中でうっきうきな表情を浮かべるガラルになどほかの騎士が気づくはずもなく、重苦しい緊張感に包まれた騎士の城では、時間だけがゆっくりと過ぎていった…。
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「つ、ついにこの時が…」
「ああ…。もうこれから先、見られることなんてないだろうな…。新人騎士と団長の一騎打ちなんて…」
「ぜ、絶対ただじゃ終わらないよね…。負けた方にはなにかとんでもない罰があるはずだもんね…」
これまでにない独特の緊張感に会場全体が包まれている。闘剣場には観客席が設けられており、会場にはうわさを聞き付けた騎士たちや使用人たちがたくさん訪れていた。
…しかしそんな重苦しい雰囲気の中で、ただ一人だけが楽しくて仕方がないといった表情を浮かべていた…。
「(さぁさぁ、こんなビッグイベントは騎士の城が作られて以来はじめてなんじゃないだろうか♪)」
そんな様子で舞台上を見つめるガラルの姿を見た騎士の一人は、さらにその体を震え上がらせる…。
「(ガ、ガラル様…!あんなに楽しそうな表情を浮かべられている…!間違いない、オクト団長が新人のターナーを亡き者にする瞬間を見られることに心躍らせているんだ…。ふ、普段は明るくてニコニコとされている副団長も、それくらい起こってしまうほどターナーは無礼な態度をとってしまったということか…。な、なんと恐ろしい…)」
会場に集まった者たち、それぞれの思惑が勘違いによって交錯していくなか、ついに話題の中心人物である二人が闘剣上の舞台に現れた。
互いに騎士としての戦闘用の衣装を身にまとい、互いに最も信頼する刀剣をその腰に携えている。団長であるオクトは当然の事、まだまだ新人であるターナーからもすさまじいオーラが放たれていた。
「俺が勝ったら約束通り、その(セイラの隣の)座から降りてもらうぜ」
「あぁ、最初からそのつもりだ」
「「っ!?!?!?!?!」」
ターナーはみなに聞こえるようにわざと大きな声でオクトを挑発する言葉を発し、オクトもまた大きな声でそれに答えた。二人の問答は当然、セイラに関することの話なのだが、それを聞いた全員はそうだとは思わず…。
「や、やっぱりそうだった!ターナーはオクト団長を倒して騎士団を自分のものにしようとしているんだ…!」
「な、なんてやつだ…!いくら騎士の世界が実力社会だと言っても、いきなり団長に対決を挑むなんて無謀すぎるだろ…」
「い、いやしかし、ターナーだってそんなことは分かっているはず…。なにか必勝の算段をひそかに携えているに違いない…!」
思い思いの推測を打ち立てていく騎士たち。まさかどちらがセイラのエスコートを行うかが理由の決闘であるなど、全く想像だにしていない様子だ。
そしていよいよ二人は剣を鞘から抜いて構え、決闘の最後の準備を整える。
「一応確認だが…。ターナー、もう後には引けないぞ?いいんだな?」
「俺がやる(セイラをエスコートする)のはもう決まっていること。後になど引く必要がない」
「…よかろう」
「「っ!!!!」」
その会話が終わるとともに、二人は一斉に互いの体を目指して切りかかったのだった。
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