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第23話
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私たちの暮らす街から少し離れ、人目のつかない山の中にそれはあった。
「ここですか、彼らのアジトというのは…?なかなかに目立ってますね…」
お兄様がそう言葉を発し、私もまた同じ場所へ視線を移す。てっきり隠し家のような場所を想像していたのだけれど、そこにあったのは木々の中に真っ赤なひし形の建物という、誰が見たって何かありそうな見た目の建物だった…。
「た、確かに目立ってはいるのですが、今まで彼らを退治できるほどの人物が僕らの街には現れなくて、ずっとずっと歯がゆい思いをしていたのです…」
「なるほど…。お兄様、もしかしたらわざとこのデザインにしたのかもしれませんね?あえて目立つようなアジトにすることで、自分たちの力の強さを誇示したかったのかも」
「性格が悪いなぁ…。そりゃセイラが倒したことをみんなが喜ぶわけだ」
「え?ラルク様が倒されたんじゃ…?」
「あ」
もーーーお兄様はおっちょこちょいなんだからーー!と、私は心の中で突っ込みを入れる。
「わ、私なわけないじゃないですか!さぁさぁお兄様、さっさと中を調べてしまいましょう?盗まれたものを取りに来ただけなのですから、勝手に入ったってなにも悪くはないでしょう?」
「そ、それもそうだね。じゃあ行こうか!みんな、僕の近くからはぐれないように!もしも奴らに遭遇しても、また僕がひねりつぶしてあげるからね!」
「「おおぉぉ!!!」」
「(もう…。いったいどこからその自信が出てくるんだろう…?)」
決め顔でポーズを決めるお兄様の姿を、目を輝かせながら見つめる依頼人の人たち。…お互いがお互い勘違いをしちゃってるようだけれど、まぁみんながうれしそうだからいいのかなぁ…?
「しゅっぱーーつ!!」
「おー!」
高らかに声を上げ屋敷へと足を踏み入れるお兄様と、一番にそのあとに続いていくルナちゃん。私たちはぞろぞろとそのあとに続いて、屋敷の中へと入っていった。
――――
「これだ!!もう戻ってこないと思ってずっとあきらめてた、お父さんが贈ってくれた万年筆…!」
「私のもあった!婚約した時に彼がプレゼントしてくれたネックレス!」
「僕のもあった…!よかった、本当によかった…!」
私たちの探し物はすぐに見つかっていった。きっとあの3人は私に負けてしまったショックから、逃げ出すようにこのアジトを捨てたのだろう。部屋は生活感満載のまま放置されていて、何日も誰も戻ってきていない様子だった。
「よかったねセイラ、みんな喜んでくれてるよ!」
「ですね。でもお兄様はいいのですか?出てくる相手をやっつけるのではなかったですか?」
「ふふん!きっと僕に恐れをなして、3人そろって逃げ出してしまったに違いないとも!戦う前からすでに勝負は決まっていたんだよ!」
「はぁ~…。お兄様はあいかわらずなんですから…」
「さぁセイラ、さっそく勝利のおたけびを……?」
「…?」
その時、心当たりのない二人人間の声がうっすらと私たちの耳に入ってきた。
「…やっぱり、ここを放置して逃げ出してしまったようだな!」
「ああ…。あいつら部下の俺たちをいままで散々こき使ってくれやがって…。少しくらい戦利品をもらわないと気が済まないってもんだ」
「ククク…!ここに残ったものを奪って売りはらえば、それなりの金になりそうだしな♪」
全く聞き覚えがないということは、その正体はあの3人ではないのだろう。二人の声はだんだんと大きくなっていった。それはつまり、彼らが私たちの方へと近づいているという事。
「みなさん、ここに誰か来ます!私の近くに集まってください!」
「「は、はいっ…!」」
みんなの間に緊張感が走る。やっぱりこのまま簡単に終わるほど、単純な話ではなかったという事だろうか?
けれどこんな状況でも、相変わらずな人が一人。
「心配いりませんみなさん。このラルクの命がここにある限り、かならずや任務を果たして見せましょうとも」
歯をキラキラと輝かせ、超どや顔でお兄様はそう言った…。だめだ、もう誰もお兄様を止められない…。
そして話をしていた二人の人物が、ついに廊下から私たちのいる部屋の前へと姿を現した。
「ここですか、彼らのアジトというのは…?なかなかに目立ってますね…」
お兄様がそう言葉を発し、私もまた同じ場所へ視線を移す。てっきり隠し家のような場所を想像していたのだけれど、そこにあったのは木々の中に真っ赤なひし形の建物という、誰が見たって何かありそうな見た目の建物だった…。
「た、確かに目立ってはいるのですが、今まで彼らを退治できるほどの人物が僕らの街には現れなくて、ずっとずっと歯がゆい思いをしていたのです…」
「なるほど…。お兄様、もしかしたらわざとこのデザインにしたのかもしれませんね?あえて目立つようなアジトにすることで、自分たちの力の強さを誇示したかったのかも」
「性格が悪いなぁ…。そりゃセイラが倒したことをみんなが喜ぶわけだ」
「え?ラルク様が倒されたんじゃ…?」
「あ」
もーーーお兄様はおっちょこちょいなんだからーー!と、私は心の中で突っ込みを入れる。
「わ、私なわけないじゃないですか!さぁさぁお兄様、さっさと中を調べてしまいましょう?盗まれたものを取りに来ただけなのですから、勝手に入ったってなにも悪くはないでしょう?」
「そ、それもそうだね。じゃあ行こうか!みんな、僕の近くからはぐれないように!もしも奴らに遭遇しても、また僕がひねりつぶしてあげるからね!」
「「おおぉぉ!!!」」
「(もう…。いったいどこからその自信が出てくるんだろう…?)」
決め顔でポーズを決めるお兄様の姿を、目を輝かせながら見つめる依頼人の人たち。…お互いがお互い勘違いをしちゃってるようだけれど、まぁみんながうれしそうだからいいのかなぁ…?
「しゅっぱーーつ!!」
「おー!」
高らかに声を上げ屋敷へと足を踏み入れるお兄様と、一番にそのあとに続いていくルナちゃん。私たちはぞろぞろとそのあとに続いて、屋敷の中へと入っていった。
――――
「これだ!!もう戻ってこないと思ってずっとあきらめてた、お父さんが贈ってくれた万年筆…!」
「私のもあった!婚約した時に彼がプレゼントしてくれたネックレス!」
「僕のもあった…!よかった、本当によかった…!」
私たちの探し物はすぐに見つかっていった。きっとあの3人は私に負けてしまったショックから、逃げ出すようにこのアジトを捨てたのだろう。部屋は生活感満載のまま放置されていて、何日も誰も戻ってきていない様子だった。
「よかったねセイラ、みんな喜んでくれてるよ!」
「ですね。でもお兄様はいいのですか?出てくる相手をやっつけるのではなかったですか?」
「ふふん!きっと僕に恐れをなして、3人そろって逃げ出してしまったに違いないとも!戦う前からすでに勝負は決まっていたんだよ!」
「はぁ~…。お兄様はあいかわらずなんですから…」
「さぁセイラ、さっそく勝利のおたけびを……?」
「…?」
その時、心当たりのない二人人間の声がうっすらと私たちの耳に入ってきた。
「…やっぱり、ここを放置して逃げ出してしまったようだな!」
「ああ…。あいつら部下の俺たちをいままで散々こき使ってくれやがって…。少しくらい戦利品をもらわないと気が済まないってもんだ」
「ククク…!ここに残ったものを奪って売りはらえば、それなりの金になりそうだしな♪」
全く聞き覚えがないということは、その正体はあの3人ではないのだろう。二人の声はだんだんと大きくなっていった。それはつまり、彼らが私たちの方へと近づいているという事。
「みなさん、ここに誰か来ます!私の近くに集まってください!」
「「は、はいっ…!」」
みんなの間に緊張感が走る。やっぱりこのまま簡単に終わるほど、単純な話ではなかったという事だろうか?
けれどこんな状況でも、相変わらずな人が一人。
「心配いりませんみなさん。このラルクの命がここにある限り、かならずや任務を果たして見せましょうとも」
歯をキラキラと輝かせ、超どや顔でお兄様はそう言った…。だめだ、もう誰もお兄様を止められない…。
そして話をしていた二人の人物が、ついに廊下から私たちのいる部屋の前へと姿を現した。
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