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第16話
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「あらラルク、今日はそんな可愛い子を連れて!…あんたも隅におけないわねぇ~♪」
「そうでしょうそうでしょう!ついにこの僕の人生にも春が訪れたということでゲホッ!!!」
すぐに軽口を言って調子に乗るお兄様にパンチをくらわし、その場を強引に進めさせる。
私は今、お兄様と二人で商店街に買い出しに来ている。前に信じられないほど余計なものをお兄様が買ってきたので、その悲劇を繰り返さないよう全力で見張っている。
「お兄様と付き合っているなんて思われるのは心外なので、やめてくださいな」
「ぅぅぅ…。この間までの素直なセイラは一体どこへ…。それにいつからこんな強力なパンチを…」
わかりやすく涙目を浮かべるお兄様。残念そうな言葉を言っているけれどその表情は、どこか今の私の姿を見てうれしそうだった。
「さて、あと買わないといけないのは…」
買い出しのリストを眺め、残りのものを確認する。買い置きのパンが無くなっていたから、それを買ったら買い物は終わりかな。
「あとはパンだね。パン屋さんはこっちだ!」
「ちょ、ちょっとお兄さまっ!」
私の持っていた買い物リストを横から覗き見たお兄様は、そのまま私の手をつかんで駆け出す。…お兄様がこれほどにやる気を出した理由は…。
「マリアさん、あなたは今日もお美しい…!そのきらめくたたずまいを前にして、どんな男も振り向かずにはいられない事でしょう…!」
「はぁ~…」
パン屋さんに着くや否や、お兄様は口説き始める。このお店に勤めるマリアさんは綺麗でかわいいと評判だったようで、そういう情報だけは早めに仕入れていたのだろう…。
「え、えっと…。ご、ご注文はどちらになさいますか…?」
「そうですねぇ…。まずは、マリアさんの素敵な笑顔を見せて頂こうかガホッ!!!」
全く学習しないお兄様のお尻にローキックをくらわせ、即刻ノックダウンさせる。
「ばかお兄様がすみません…。えっと、注文はこれとこれと…」
再び涙目で横たわるお兄様をしり目に、私はリストに従って注文を進めていく…。けれどその時、ふと私たちの後方になにか視線を感じた…。
「…?」
その視線、なんだか私は覚えがあった。伯爵様のもとから家出すると決意してから忘れていたけれど、あの家では何度も何度も浴びてきた視線…。
それはつまり、伯爵家の人間がどこからか私たちの事を見ている証拠…。
「…こちらのパンを5つほどいただけますか?」
「はい、承知しました」
私の注文を聞き届けたマリアさんは、てきぱきとした様子で準備にかかる。けれどそんな私の姿に、疑問を感じた人物が一人。
「5つ?そのパンって2つだけでよかったんじゃなかったっけ?」
お兄様の言った通り、このパンは私とお兄様の分である2つだけ買う予定だった。けれどせっかくなら…。
「どうぞ!こちらになります!」
「ありがとうございます」
マリアさんから渡された袋を手に取り、私はそのまま歩き始める。
「ちょ、ちょっとセイラどこ行くの~??」
お兄様の声には返事をせず、私はそのまま進む。目指す先は他でもない、視線を浴びせてきた主たちの所…。
「今日もお仕事ご苦労様です。よかったらこれ、どうぞ♪」
「…」
商店街から少し離れた、人気のない茂みの中。…今私の前にいるのは、いかにも怪しげなフードで身を隠す3人の人物たち。
「…あれ?あんまりお腹すいてませんか?ちゃんと人数分ありますよ!」
私に直接話しかけられたということは、すでに正体を見破られているという事。とぼけることは無理だと思ったようで、彼らはそのままその口を開いた。
「けっ…。分かってたのならなぜ逃げない?面白くもないな…」
「まぁまぁ。気弱だと聞いていたけれど、度胸だけはあるみたいねぇ♪」
「…」
顔を隠していたフードを取り、それぞれがその表情を見せつけてくる。3人とも余裕の笑みを浮かべ、高身長ゆえに高い目線から私の事を見下してくる。
「まぁ、お前の方からこちらに来るのなら話は早い。ある人物から命令を受けていてな、お前を連れて来いと」
「本当は嫌がるあなたを無理やり連れて行きたかったんだけどねぇ…。残念だわぁ」
「…」
やっぱり彼らは私の思った通り、伯爵家に通じる人物らしい。…けれど、私にあそこに戻るつもりはないんだけどなぁ…。
どうやって分かってもらおうかと頭を悩ませていたその時…。
「逃げるんだセイラ!!ここは僕が時間を稼ぐ!!!少しでも遠くに!!」
ついさっきまで地面とキスをしていたお兄様が、いつのまにか私と彼らの間に割って入った。
「ほほう…。何者だ貴様?」
「あらまぁ!私たちと遊んでくれるのかしらぁ!」
「…」
不審にしか見えない3人の前に立ちはだかると、見たこともないようなファイティングポーズでその場に構えるお兄様…。
「お、お兄様…。お気持ちは嬉しいのですけれど、おやめになった方が…」
「何を言うんだいセイラ。僕の愛する君がこんなにもピンチだというのに、黙って引き下がることなどできるはずがないだろう?」
キラーン、とその歯を輝かせ、どや顔でお兄様はそう私に振り返った。
「さあこの僕が相手だ!!どこからでもかかってこおおいいいい!!!」
そう言って3人に向かい、飛び出していった刹那…。
「ひゃぁぁぁっぁ!!!!みゃぁぁぁぁぁ!!!!!きゃぁぁぁぁ!!!!!」
信じられないほど情けない声と共に、お兄様はその場で倒されたのだった…。
「まったく口ほどにもない…。さぁセイラ、一緒に来るんだ」
一人の人物が私の腕をつかもうと手を出してくる。…私は本能のままにその手をつかんでひねり上げ、3回転ほどさせて後方に投げ飛ばす。
「っ!?!?!?!?」
そんなことをされるとは思ってもいなかったようで、彼の体はなんの反発力もなく綺麗に空中へ舞い上がり、そのまま落下した。
「グハッ!!!!」
「!?」
「…!?」
その光景少し後ろから見ていたほかの二人も、驚きを隠せない様子。
「な、なんなの今の!?あ、ありえないんだけどっ!?」
「…!?」
そして私に投げ飛ばされた人は、本当は相当痛いのだろうに、それを見せないようなんとか我慢している様子。なんとも健気で可愛らしい。
「ぐぐぐ…。こ、こんなことあってたまるか…!おいお前たち!なにぼーっと見てやがる!!」
その声とほぼ同時に、再び私のほうに迫ってくる彼。その表情はさっきまでの余裕なものではなく、むしろ追い詰められているようにさえ感じられた。
2方向から同時に殴り掛かってきたので、私は女性的な口調をしている人の攻撃を受け止めて、そのままもう一方の人の前へと突き出した。当然彼の攻撃は私には届かず、彼女の顔面を直撃してしまい…。
「いだいっ!!!!な、なんてことするのよブルーム!!私の顔を殴るなんてありえない!!!せ、せっかく今日のために3時間もかけてメイクしてきたのに…!!」
「し、知るかそんなの!!いきなり飛び出してきたお前が悪いんだろうが!!」
「あなたそんなだから女の子に相手にされないのよ!!少しは反省したらどうなの!!」
「はぁ!?関係ないだろそんなの!!」
…この人たちはもとからあまり仲が良くないようで、私を目の前にして仲間割れを始めてしまった。
最後に今まで無口だった人がこっそりと私の後ろから手を伸ばしてきたけれど、私は彼の足をひっかけて転ばせ、そのまま彼の身を二人の元へと投げてお返ししてあげた。
「大体お前がゴハッ!!!!!」
「だから私は最初からグホッ!!!!!」
「っ!?」
3人は仲良くその場でぺちゃんこになり、もう最初の勢いを全く感じさせないほどしなしなになっていた。
「…くっ!!!!!!」
「あ、ちょっと!自分だけ逃げないでよ!!」
「…!」
痛いであろうその体を引きずり、一目散に逃げだしていく彼ら…。少し、やりすぎちゃったかな…?
彼らの後姿を見届けてから、私は地面に突っ伏す人物に声をかける。
「大丈夫ですかお兄様?」
「くぅぅ…。僕がかっこよくセイラを守るはずだったのにぃ…」
「はいはい。お気持ちだけもらっておきますね」
お兄様が私のために立ち向かってくれたのがうれしいのは、本心なのですよ?
「がんばったお兄さまに、わたしからご褒美です」
私は横になるお兄様にパンを差し出し、つとめて優しく食べさせてあげたのでした。
「そうでしょうそうでしょう!ついにこの僕の人生にも春が訪れたということでゲホッ!!!」
すぐに軽口を言って調子に乗るお兄様にパンチをくらわし、その場を強引に進めさせる。
私は今、お兄様と二人で商店街に買い出しに来ている。前に信じられないほど余計なものをお兄様が買ってきたので、その悲劇を繰り返さないよう全力で見張っている。
「お兄様と付き合っているなんて思われるのは心外なので、やめてくださいな」
「ぅぅぅ…。この間までの素直なセイラは一体どこへ…。それにいつからこんな強力なパンチを…」
わかりやすく涙目を浮かべるお兄様。残念そうな言葉を言っているけれどその表情は、どこか今の私の姿を見てうれしそうだった。
「さて、あと買わないといけないのは…」
買い出しのリストを眺め、残りのものを確認する。買い置きのパンが無くなっていたから、それを買ったら買い物は終わりかな。
「あとはパンだね。パン屋さんはこっちだ!」
「ちょ、ちょっとお兄さまっ!」
私の持っていた買い物リストを横から覗き見たお兄様は、そのまま私の手をつかんで駆け出す。…お兄様がこれほどにやる気を出した理由は…。
「マリアさん、あなたは今日もお美しい…!そのきらめくたたずまいを前にして、どんな男も振り向かずにはいられない事でしょう…!」
「はぁ~…」
パン屋さんに着くや否や、お兄様は口説き始める。このお店に勤めるマリアさんは綺麗でかわいいと評判だったようで、そういう情報だけは早めに仕入れていたのだろう…。
「え、えっと…。ご、ご注文はどちらになさいますか…?」
「そうですねぇ…。まずは、マリアさんの素敵な笑顔を見せて頂こうかガホッ!!!」
全く学習しないお兄様のお尻にローキックをくらわせ、即刻ノックダウンさせる。
「ばかお兄様がすみません…。えっと、注文はこれとこれと…」
再び涙目で横たわるお兄様をしり目に、私はリストに従って注文を進めていく…。けれどその時、ふと私たちの後方になにか視線を感じた…。
「…?」
その視線、なんだか私は覚えがあった。伯爵様のもとから家出すると決意してから忘れていたけれど、あの家では何度も何度も浴びてきた視線…。
それはつまり、伯爵家の人間がどこからか私たちの事を見ている証拠…。
「…こちらのパンを5つほどいただけますか?」
「はい、承知しました」
私の注文を聞き届けたマリアさんは、てきぱきとした様子で準備にかかる。けれどそんな私の姿に、疑問を感じた人物が一人。
「5つ?そのパンって2つだけでよかったんじゃなかったっけ?」
お兄様の言った通り、このパンは私とお兄様の分である2つだけ買う予定だった。けれどせっかくなら…。
「どうぞ!こちらになります!」
「ありがとうございます」
マリアさんから渡された袋を手に取り、私はそのまま歩き始める。
「ちょ、ちょっとセイラどこ行くの~??」
お兄様の声には返事をせず、私はそのまま進む。目指す先は他でもない、視線を浴びせてきた主たちの所…。
「今日もお仕事ご苦労様です。よかったらこれ、どうぞ♪」
「…」
商店街から少し離れた、人気のない茂みの中。…今私の前にいるのは、いかにも怪しげなフードで身を隠す3人の人物たち。
「…あれ?あんまりお腹すいてませんか?ちゃんと人数分ありますよ!」
私に直接話しかけられたということは、すでに正体を見破られているという事。とぼけることは無理だと思ったようで、彼らはそのままその口を開いた。
「けっ…。分かってたのならなぜ逃げない?面白くもないな…」
「まぁまぁ。気弱だと聞いていたけれど、度胸だけはあるみたいねぇ♪」
「…」
顔を隠していたフードを取り、それぞれがその表情を見せつけてくる。3人とも余裕の笑みを浮かべ、高身長ゆえに高い目線から私の事を見下してくる。
「まぁ、お前の方からこちらに来るのなら話は早い。ある人物から命令を受けていてな、お前を連れて来いと」
「本当は嫌がるあなたを無理やり連れて行きたかったんだけどねぇ…。残念だわぁ」
「…」
やっぱり彼らは私の思った通り、伯爵家に通じる人物らしい。…けれど、私にあそこに戻るつもりはないんだけどなぁ…。
どうやって分かってもらおうかと頭を悩ませていたその時…。
「逃げるんだセイラ!!ここは僕が時間を稼ぐ!!!少しでも遠くに!!」
ついさっきまで地面とキスをしていたお兄様が、いつのまにか私と彼らの間に割って入った。
「ほほう…。何者だ貴様?」
「あらまぁ!私たちと遊んでくれるのかしらぁ!」
「…」
不審にしか見えない3人の前に立ちはだかると、見たこともないようなファイティングポーズでその場に構えるお兄様…。
「お、お兄様…。お気持ちは嬉しいのですけれど、おやめになった方が…」
「何を言うんだいセイラ。僕の愛する君がこんなにもピンチだというのに、黙って引き下がることなどできるはずがないだろう?」
キラーン、とその歯を輝かせ、どや顔でお兄様はそう私に振り返った。
「さあこの僕が相手だ!!どこからでもかかってこおおいいいい!!!」
そう言って3人に向かい、飛び出していった刹那…。
「ひゃぁぁぁっぁ!!!!みゃぁぁぁぁぁ!!!!!きゃぁぁぁぁ!!!!!」
信じられないほど情けない声と共に、お兄様はその場で倒されたのだった…。
「まったく口ほどにもない…。さぁセイラ、一緒に来るんだ」
一人の人物が私の腕をつかもうと手を出してくる。…私は本能のままにその手をつかんでひねり上げ、3回転ほどさせて後方に投げ飛ばす。
「っ!?!?!?!?」
そんなことをされるとは思ってもいなかったようで、彼の体はなんの反発力もなく綺麗に空中へ舞い上がり、そのまま落下した。
「グハッ!!!!」
「!?」
「…!?」
その光景少し後ろから見ていたほかの二人も、驚きを隠せない様子。
「な、なんなの今の!?あ、ありえないんだけどっ!?」
「…!?」
そして私に投げ飛ばされた人は、本当は相当痛いのだろうに、それを見せないようなんとか我慢している様子。なんとも健気で可愛らしい。
「ぐぐぐ…。こ、こんなことあってたまるか…!おいお前たち!なにぼーっと見てやがる!!」
その声とほぼ同時に、再び私のほうに迫ってくる彼。その表情はさっきまでの余裕なものではなく、むしろ追い詰められているようにさえ感じられた。
2方向から同時に殴り掛かってきたので、私は女性的な口調をしている人の攻撃を受け止めて、そのままもう一方の人の前へと突き出した。当然彼の攻撃は私には届かず、彼女の顔面を直撃してしまい…。
「いだいっ!!!!な、なんてことするのよブルーム!!私の顔を殴るなんてありえない!!!せ、せっかく今日のために3時間もかけてメイクしてきたのに…!!」
「し、知るかそんなの!!いきなり飛び出してきたお前が悪いんだろうが!!」
「あなたそんなだから女の子に相手にされないのよ!!少しは反省したらどうなの!!」
「はぁ!?関係ないだろそんなの!!」
…この人たちはもとからあまり仲が良くないようで、私を目の前にして仲間割れを始めてしまった。
最後に今まで無口だった人がこっそりと私の後ろから手を伸ばしてきたけれど、私は彼の足をひっかけて転ばせ、そのまま彼の身を二人の元へと投げてお返ししてあげた。
「大体お前がゴハッ!!!!!」
「だから私は最初からグホッ!!!!!」
「っ!?」
3人は仲良くその場でぺちゃんこになり、もう最初の勢いを全く感じさせないほどしなしなになっていた。
「…くっ!!!!!!」
「あ、ちょっと!自分だけ逃げないでよ!!」
「…!」
痛いであろうその体を引きずり、一目散に逃げだしていく彼ら…。少し、やりすぎちゃったかな…?
彼らの後姿を見届けてから、私は地面に突っ伏す人物に声をかける。
「大丈夫ですかお兄様?」
「くぅぅ…。僕がかっこよくセイラを守るはずだったのにぃ…」
「はいはい。お気持ちだけもらっておきますね」
お兄様が私のために立ち向かってくれたのがうれしいのは、本心なのですよ?
「がんばったお兄さまに、わたしからご褒美です」
私は横になるお兄様にパンを差し出し、つとめて優しく食べさせてあげたのでした。
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