13 / 98
第13話
しおりを挟む
セイラの部屋でレーチスが騎士二人と死闘を繰り広げていたことなどつゆ知らず、屋敷に戻ってきたファーラ伯爵とレリアはそれはそれは上機嫌な様子だった。
「あんな美しい景色を見ることができて、しかもその時隣にいてくれるのが君だなんて。ほんとうに幸せでたまらないよレリア♪」
「私も同じことを思っていますわ。今日のデートをお誘いいただいた伯爵様に、なんと感謝の言葉を告げればいいのか分かりません」
「やっぱり僕の事を本当に理解しているのは、君しかいないようだ…。他の女性たちが束になろうとも、君一人にも敵いはしない。僕はそれほどに君を…」
「またそんなことを言って…。私の心はすでに伯爵様のもとにあるというのに、もっと私の心を夢中にさせるおつもりなのですか?」
「ああ、そうだとも!」
伯爵は周囲の人目も気にせず、屋敷広場のど真ん中でレリアを抱きしめる。
「(レリアと一緒になることで僕の心は満たされていき、セイラの聖女の力を目覚めさせ僕の言いなりにすることで、僕の運命は完成する…!なんと完璧な計画だろうか…!)」
自信の表れからか、伯爵は強く強くレリアの事を抱きしめる。…一方のレリアは、また違う事を想っている様子…。
「(むさい伯爵…。苦しいし、なんだか変なにおいもするんだけど…。まぁ今だけの我慢か…。私に相応しい階級と身分を持つ相手をいずれ捕まえるための…。はぁ…。そういえばオクト様は、今頃どこでなにをされているのかしら…)」
それぞれの思惑が交錯する中、戻ってきた二人の姿を見つけたレーチスが大急ぎで駆けてくる。
「た、大変でございます伯爵様!!大変なことになりました!!!」
慌ただしいレーチスの様子を見て、伯爵はそれまでの機嫌をやや失う。
「なんだうるさいな…」
「も、申し訳ございません…。し、しかし本当に」「おい!」
誰の目にも、明らかに普通ではない知らせを持ってきていると見えるレーチス。しかしレリアを溺愛する伯爵の前では、そんな普通は通用しなかった様子…。
「今、僕とレリアは互いの愛を確認しあっていたんだぞ?それがどれほど大切で美しい瞬間か、分からないのか?」
「も、申し訳ございません…」
「大体なんだ?僕たちが帰って来た時にまずかける言葉は、おかえりなさいませではないのか?そうでなければ、僕たちの美しい思い出話を聞きたがるのがやるべきことだろう?そんな基礎の基礎までここで教えてやらなければならないのか?」
「こ、これは失礼しました…。素晴らしきお二人のお時間を遮ってしまった事、深く反省しております…」
「ったく…」
レーチスはそれ以上何も言わなかった。…というより、言えなかった。今まで伯爵との長い付き合いがある彼はよく知っていた。これ以上何を問いかけたところで、その先にあるのは機嫌を損ね怒り狂う伯爵の姿しかないという事を…。
「レリアは外出で疲れているんだ。これから一緒に休んでくるから、邪魔をするんじゃないぞ?いいな?」
「は、はい…。かしこまりました…」
その時のレーチスの胸のざわめきようは、二人の騎士と相対した時と同じくらいのものだっただろう…。彼は心の中で自身のうっぷんを爆発させる。
「(あぁもう!!なにが出迎えだ!なにが美しい思い出だ!!知るかそんなもの!!こっちが話があると言っているんだから聞けばいいだろうが!!!…あの状態になった伯爵は全く人の言う事を聞かなくなる…。いつもいつもこうじゃないか…。これだから伯爵は…!!)」
頭を下げるレーチスの横を通り過ぎ、二人は屋敷の中へと歩みを進める。そのさ中、伯爵はその頭にふと浮かんだことを口にした。
「あぁそういえば、君がまえに見せてほしいと言っていたセイラとの婚約誓書、そろそろ返してもらえるだろうか?」
伯爵の言葉を聞いたレリアは、それはそれは楽しそうな表情を浮かべて答えた。
「そうそう!聞いてくださいませ伯爵様!面白い話がございますのよ!あの婚約誓書、セイラのもとまで行って彼女の目の前で破り捨ててやりましたわ!」
「………え?」
「その時の悲観に満ちたあの顔…。伯爵様の目にも御覧に入れて差し上げたかったです。今思い出しても爽快だわぁ」
「え?………え?」
レリアの言った悲観に満ちた表情、それは今まさに彼女の目の前にいる伯爵の方が浮かべていた…。それもそのはず、伯爵にとってあの誓書は自分とセイラを法的に結びつける何よりの切り札だったのだから…。そしてそんな伯爵の様子をレリアは全く気にする様子もなく…。
しかし一方の伯爵も、心から溺愛するレリアのしたことを叱責することなどできるはずもなく…。
「は…ははは…さ、さすがはレリア、この僕が見込んだだけの事はあるというものだ…は、ははは…」
この場において彼は、ただただ乾いた笑い声を発することしかできないのだった…。
「(さ、最悪の時はあの誓書で婚約を強引に通そうと思っていたのだが…。こ、これはどうする…。さ、さすがにレリアに言うべきだろうか…)」
しかし満面の笑みを浮かべる彼女の姿を見て、伯爵にそんな事が言えるはずもなく…。
「(ま、まぁなんとかなるか…。だって普通に考えてもみろ?僕は貴族家の伯爵なのだぞ?この僕との婚約をあきらめるような女が、この世界にいるはずがないじゃないか…。セイラはただただ意地を張っているだけで、その内心ではきっと僕との婚約を望んでいるに決まっている…。そうだそうだ、そうに決まっている…)」
それはまるで、深く深く自分自身に言い聞かせるかのように…
そして二人から離れた位置には、伯爵に負けるとも劣らないほど頭を抱える人物の姿が…。
「(どうするんだよこれから…。な、なんとか誤魔化すしかないか…。どうせ後からすべてを伝えたところで、なんでもっと早く言わなかったんだと怒られるだけ…)」
「(そ、それにしても…。なんだか全部がセイラにとって都合のいいようになっていってないか??ま、まさかもうすでに彼女は聖女の力に目覚め…!?)」
「(い、いやそんなまさか…。あ、あるはずがない…。あるはずがないとも…)」
「あんな美しい景色を見ることができて、しかもその時隣にいてくれるのが君だなんて。ほんとうに幸せでたまらないよレリア♪」
「私も同じことを思っていますわ。今日のデートをお誘いいただいた伯爵様に、なんと感謝の言葉を告げればいいのか分かりません」
「やっぱり僕の事を本当に理解しているのは、君しかいないようだ…。他の女性たちが束になろうとも、君一人にも敵いはしない。僕はそれほどに君を…」
「またそんなことを言って…。私の心はすでに伯爵様のもとにあるというのに、もっと私の心を夢中にさせるおつもりなのですか?」
「ああ、そうだとも!」
伯爵は周囲の人目も気にせず、屋敷広場のど真ん中でレリアを抱きしめる。
「(レリアと一緒になることで僕の心は満たされていき、セイラの聖女の力を目覚めさせ僕の言いなりにすることで、僕の運命は完成する…!なんと完璧な計画だろうか…!)」
自信の表れからか、伯爵は強く強くレリアの事を抱きしめる。…一方のレリアは、また違う事を想っている様子…。
「(むさい伯爵…。苦しいし、なんだか変なにおいもするんだけど…。まぁ今だけの我慢か…。私に相応しい階級と身分を持つ相手をいずれ捕まえるための…。はぁ…。そういえばオクト様は、今頃どこでなにをされているのかしら…)」
それぞれの思惑が交錯する中、戻ってきた二人の姿を見つけたレーチスが大急ぎで駆けてくる。
「た、大変でございます伯爵様!!大変なことになりました!!!」
慌ただしいレーチスの様子を見て、伯爵はそれまでの機嫌をやや失う。
「なんだうるさいな…」
「も、申し訳ございません…。し、しかし本当に」「おい!」
誰の目にも、明らかに普通ではない知らせを持ってきていると見えるレーチス。しかしレリアを溺愛する伯爵の前では、そんな普通は通用しなかった様子…。
「今、僕とレリアは互いの愛を確認しあっていたんだぞ?それがどれほど大切で美しい瞬間か、分からないのか?」
「も、申し訳ございません…」
「大体なんだ?僕たちが帰って来た時にまずかける言葉は、おかえりなさいませではないのか?そうでなければ、僕たちの美しい思い出話を聞きたがるのがやるべきことだろう?そんな基礎の基礎までここで教えてやらなければならないのか?」
「こ、これは失礼しました…。素晴らしきお二人のお時間を遮ってしまった事、深く反省しております…」
「ったく…」
レーチスはそれ以上何も言わなかった。…というより、言えなかった。今まで伯爵との長い付き合いがある彼はよく知っていた。これ以上何を問いかけたところで、その先にあるのは機嫌を損ね怒り狂う伯爵の姿しかないという事を…。
「レリアは外出で疲れているんだ。これから一緒に休んでくるから、邪魔をするんじゃないぞ?いいな?」
「は、はい…。かしこまりました…」
その時のレーチスの胸のざわめきようは、二人の騎士と相対した時と同じくらいのものだっただろう…。彼は心の中で自身のうっぷんを爆発させる。
「(あぁもう!!なにが出迎えだ!なにが美しい思い出だ!!知るかそんなもの!!こっちが話があると言っているんだから聞けばいいだろうが!!!…あの状態になった伯爵は全く人の言う事を聞かなくなる…。いつもいつもこうじゃないか…。これだから伯爵は…!!)」
頭を下げるレーチスの横を通り過ぎ、二人は屋敷の中へと歩みを進める。そのさ中、伯爵はその頭にふと浮かんだことを口にした。
「あぁそういえば、君がまえに見せてほしいと言っていたセイラとの婚約誓書、そろそろ返してもらえるだろうか?」
伯爵の言葉を聞いたレリアは、それはそれは楽しそうな表情を浮かべて答えた。
「そうそう!聞いてくださいませ伯爵様!面白い話がございますのよ!あの婚約誓書、セイラのもとまで行って彼女の目の前で破り捨ててやりましたわ!」
「………え?」
「その時の悲観に満ちたあの顔…。伯爵様の目にも御覧に入れて差し上げたかったです。今思い出しても爽快だわぁ」
「え?………え?」
レリアの言った悲観に満ちた表情、それは今まさに彼女の目の前にいる伯爵の方が浮かべていた…。それもそのはず、伯爵にとってあの誓書は自分とセイラを法的に結びつける何よりの切り札だったのだから…。そしてそんな伯爵の様子をレリアは全く気にする様子もなく…。
しかし一方の伯爵も、心から溺愛するレリアのしたことを叱責することなどできるはずもなく…。
「は…ははは…さ、さすがはレリア、この僕が見込んだだけの事はあるというものだ…は、ははは…」
この場において彼は、ただただ乾いた笑い声を発することしかできないのだった…。
「(さ、最悪の時はあの誓書で婚約を強引に通そうと思っていたのだが…。こ、これはどうする…。さ、さすがにレリアに言うべきだろうか…)」
しかし満面の笑みを浮かべる彼女の姿を見て、伯爵にそんな事が言えるはずもなく…。
「(ま、まぁなんとかなるか…。だって普通に考えてもみろ?僕は貴族家の伯爵なのだぞ?この僕との婚約をあきらめるような女が、この世界にいるはずがないじゃないか…。セイラはただただ意地を張っているだけで、その内心ではきっと僕との婚約を望んでいるに決まっている…。そうだそうだ、そうに決まっている…)」
それはまるで、深く深く自分自身に言い聞かせるかのように…
そして二人から離れた位置には、伯爵に負けるとも劣らないほど頭を抱える人物の姿が…。
「(どうするんだよこれから…。な、なんとか誤魔化すしかないか…。どうせ後からすべてを伝えたところで、なんでもっと早く言わなかったんだと怒られるだけ…)」
「(そ、それにしても…。なんだか全部がセイラにとって都合のいいようになっていってないか??ま、まさかもうすでに彼女は聖女の力に目覚め…!?)」
「(い、いやそんなまさか…。あ、あるはずがない…。あるはずがないとも…)」
741
お気に入りに追加
3,729
あなたにおすすめの小説
記憶喪失の令嬢は無自覚のうちに周囲をタラシ込む。
ゆらゆらぎ
恋愛
王国の筆頭公爵家であるヴェルガム家の長女であるティアルーナは食事に混ぜられていた遅延性の毒に苦しめられ、生死を彷徨い…そして目覚めた時には何もかもをキレイさっぱり忘れていた。
毒によって記憶を失った令嬢が使用人や両親、婚約者や兄を無自覚のうちにタラシ込むお話です。
婚約者が病弱な妹に恋をしたので、私は家を出ます。どうか、探さないでください。
待鳥園子
恋愛
婚約者が病弱な妹を見掛けて一目惚れし、私と婚約者を交換できないかと両親に聞いたらしい。
妹は清楚で可愛くて、しかも性格も良くて素直で可愛い。私が男でも、私よりもあの子が良いと、きっと思ってしまうはず。
……これは、二人は悪くない。仕方ないこと。
けど、二人の邪魔者になるくらいなら、私が家出します!
自覚のない純粋培養貴族令嬢が腹黒策士な護衛騎士に囚われて何があっても抜け出せないほどに溺愛される話。
悪役令嬢になるのも面倒なので、冒険にでかけます
綾月百花
ファンタジー
リリーには幼い頃に決められた王子の婚約者がいたが、その婚約者の誕生日パーティーで婚約者はミーネと入場し挨拶して歩きファーストダンスまで踊る始末。国王と王妃に謝られ、贈り物も準備されていると宥められるが、その贈り物のドレスまでミーネが着ていた。リリーは怒ってワインボトルを持ち、美しいドレスをワイン色に染め上げるが、ミーネもリリーのドレスの裾を踏みつけ、ワインボトルからボトボトと頭から濡らされた。相手は子爵令嬢、リリーは伯爵令嬢、位の違いに国王も黙ってはいられない。婚約者はそれでも、リリーの肩を持たず、リリーは国王に婚約破棄をして欲しいと直訴する。それ受け入れられ、リリーは清々した。婚約破棄が完全に決まった後、リリーは深夜に家を飛び出し笛を吹く。会いたかったビエントに会えた。過ごすうちもっと好きになる。必死で練習した飛行魔法とささやかな攻撃魔法を身につけ、リリーは今度は自分からビエントに会いに行こうと家出をして旅を始めた。旅の途中の魔物の森で魔物に襲われ、リリーは自分の未熟さに気付き、国営の騎士団に入り、魔物狩りを始めた。最終目的はダンジョンの攻略。悪役令嬢と魔物退治、ダンジョン攻略等を混ぜてみました。メインはリリーが王妃になるまでのシンデレラストーリーです。
【完結】高嶺の花がいなくなった日。
紺
恋愛
侯爵令嬢ルノア=ダリッジは誰もが認める高嶺の花。
清く、正しく、美しくーーそんな彼女がある日忽然と姿を消した。
婚約者である王太子、友人の子爵令嬢、教師や使用人たちは彼女の失踪を機に大きく人生が変わることとなった。
※ざまぁ展開多め、後半に恋愛要素あり。
初夜に大暴言を吐かれた伯爵夫人は、微笑みと共に我が道を行く ―旦那様、今更擦り寄られても困ります―
望月 或
恋愛
「お前の噂を聞いたぞ。毎夜町に出て男を求め、毎回違う男と朝までふしだらな行為に明け暮れているそうだな? その上糸目を付けず服や装飾品を買い漁り、多大な借金を背負っているとか……。そんな醜悪な女が俺の妻だとは非常に不愉快極まりない! 今後俺に話し掛けるな! 俺に一切関与するな! 同じ空気を吸ってるだけでとんでもなく不快だ……!!」
【王命】で決められた婚姻をし、ハイド・ランジニカ伯爵とオリービア・フレイグラント子爵令嬢の初夜は、彼のその暴言で始まった。
そして、それに返したオリービアの一言は、
「あらあら、まぁ」
の六文字だった。
屋敷に住まわせている、ハイドの愛人と噂されるユーカリや、その取巻きの使用人達の嫌がらせも何のその、オリービアは微笑みを絶やさず自分の道を突き進んでいく。
ユーカリだけを信じ心酔していたハイドだったが、オリービアが屋敷に来てから徐々に変化が表れ始めて……
※作者独自の世界観満載です。違和感を感じたら、「あぁ、こういう世界なんだな」と思って頂けたら有難いです……。
【完結】妹に全部奪われたので、公爵令息は私がもらってもいいですよね。
曽根原ツタ
恋愛
ルサレテには完璧な妹ペトロニラがいた。彼女は勉強ができて刺繍も上手。美しくて、優しい、皆からの人気者だった。
ある日、ルサレテが公爵令息と話しただけで彼女の嫉妬を買い、階段から突き落とされる。咄嗟にペトロニラの腕を掴んだため、ふたり一緒に転落した。
その後ペトロニラは、階段から突き落とそうとしたのはルサレテだと嘘をつき、婚約者と家族を奪い、意地悪な姉に仕立てた。
ルサレテは、妹に全てを奪われたが、妹が慕う公爵令息を味方にすることを決意して……?
【完結】愛され公爵令嬢は穏やかに微笑む
綾雅(要らない悪役令嬢1/7発売)
恋愛
「シモーニ公爵令嬢、ジェラルディーナ! 私はお前との婚約を破棄する。この宣言は覆らぬと思え!!」
婚約者である王太子殿下ヴァレンテ様からの突然の拒絶に、立ち尽くすしかありませんでした。王妃になるべく育てられた私の、存在価値を否定するお言葉です。あまりの衝撃に意識を手放した私は、もう生きる意味も分からくなっていました。
婚約破棄されたシモーニ公爵令嬢ジェラルディーナ、彼女のその後の人生は思わぬ方向へ転がり続ける。優しい彼女の功績に助けられた人々による、恩返しが始まった。まるで童話のように、受け身の公爵令嬢は次々と幸運を手にしていく。
ハッピーエンド確定
【同時掲載】小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ
2022/10/01 FUNGUILD、Webtoon原作シナリオ大賞、二次選考通過
2022/07/29 FUNGUILD、Webtoon原作シナリオ大賞、一次選考通過
2022/02/15 小説家になろう 異世界恋愛(日間)71位
2022/02/12 完結
2021/11/30 小説家になろう 異世界恋愛(日間)26位
2021/11/29 アルファポリス HOT2位
2021/12/03 カクヨム 恋愛(週間)6位
恋した殿下、あなたに捨てられることにします〜魔力を失ったのに、なかなか婚約解消にいきません〜
百門一新
恋愛
魔力量、国内第二位で王子様の婚約者になった私。けれど、恋をしたその人は、魔法を使う才能もなく幼い頃に大怪我をした私を認めておらず、――そして結婚できる年齢になった私を、運命はあざ笑うかのように、彼に相応しい可愛い伯爵令嬢を寄こした。想うことにも疲れ果てた私は、彼への想いを捨て、彼のいない国に嫁ぐべく。だから、この魔力を捨てます――。
※「小説家になろう」、「カクヨム」でも掲載
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる