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第8話
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オレフィスがイーリスといちゃいちゃしていたその時、彼の妹であるカタリナは少し昔の事を思い出していた。
――まだエレーナとオレフィスが婚約関係だった時…――
「お兄様、またエレーナお姉様が私の悪口を言ってくるんですの…。お兄様の婚約者様ですからこんなことは言いたくないのですけれど、もう私限界です…」
「すまないカタリナ、もう何度もエレーナには注意をしているんだが…。性格が悪いからか、全くその態度を改めてくれないんだ…。さて、どうしたものか…」
カタリナは毎日のようにオレフィスに泣きついていたが、それらはすべてカタリナの嘘だった。エレーナは彼女の悪口など全く言っていないどころか、むしろ逆にカタリナの方がエレーナの事をけなし続けていた。カタリナにしてみれば、第二王子であるオレフィスの権力を横取りされるかもしれないエレーナの存在が面白いはずはなく、事あるごとに理由を付けて彼女の印象を悪いものにしようと行動していた。
そしてオレフィスの方もまた、妹のカタリナを溺愛していたために、泣きついてくる彼女の事を疑う事もせず、エレーナの言い分を聞くこともなく一方的に叱咤していた。
「お兄様、今度一緒にお茶会をするというお話、あれからどうなったでしょうか?」
「あぁ、心配はいらないとも!エレーナとのくだらない予定が先に入っていたが、カタリナが誘ってくれるというのならそっちの方を優先するに決まっている!君は僕にとって、最愛の存在なのだから!」
「まぁ、ありがとうございます!!(…これで完全にお兄様の心は私になびいている。エレーナ、第二王子の妃になって権力を手にしようとしたって、そうはいかないわよ?)」
そしてエレーナを迫害するカタリナの行動はエスカレートしていき、ついにオレフィスに泣きついて嫌がらせをするだけにとどまらず、この王宮から追い出してしまおうとさえ考えるに至っていた…。
エレーナを悪者にする形で追放してしまおうという彼女の計画は達成され、オレフィスは文字通りエレーナとの関係を切り捨てる決断をした。
すべては自分の思惑通りに事が運んだ、はずだった…。
――そして現在…――
「オレフィスお兄様、以前私に約束していただいたお茶会の予定はどうなっていますか?」
「あぁ、すまないがそれは止めることにした。イーリスとダンスパーティーに参加することになったんだ。婚約者との予定を優先するのは、仕方ない事だろう?」
「そ、そうですか…」
今までなら絶対に自分の方を選んでくれていたはずなのに、急に別人のように態度を変えてしまったオレフィス。カタリナはその胸にイライラを隠せなかった。
「(なんでよ…!私を溺愛していたお兄様なら、絶対に私の方を優先してくれたというのに…!なんで急にこんなことに…)」
今まではエレーナの女神の力によって保たれていた王宮の均衡状態…。それが突然に彼女の存在を失った事で、崩壊への道を歩みつつあるという事に、誰も気づくことはないのだった…。
――――
オレフィスの腕に抱かれながら、寝息をつく彼の隣でイーリスはその心につぶやいた。
「(オレフィスの権力はすべて私の物になるのよ…♪かわいいかわいい義妹のカタリナ、今頃泣いているかもしれないわねぇ。でも仕方ないわよね?他でもない第二王子本人が私の事を一番に溺愛してくれるのだから♪)」
――まだエレーナとオレフィスが婚約関係だった時…――
「お兄様、またエレーナお姉様が私の悪口を言ってくるんですの…。お兄様の婚約者様ですからこんなことは言いたくないのですけれど、もう私限界です…」
「すまないカタリナ、もう何度もエレーナには注意をしているんだが…。性格が悪いからか、全くその態度を改めてくれないんだ…。さて、どうしたものか…」
カタリナは毎日のようにオレフィスに泣きついていたが、それらはすべてカタリナの嘘だった。エレーナは彼女の悪口など全く言っていないどころか、むしろ逆にカタリナの方がエレーナの事をけなし続けていた。カタリナにしてみれば、第二王子であるオレフィスの権力を横取りされるかもしれないエレーナの存在が面白いはずはなく、事あるごとに理由を付けて彼女の印象を悪いものにしようと行動していた。
そしてオレフィスの方もまた、妹のカタリナを溺愛していたために、泣きついてくる彼女の事を疑う事もせず、エレーナの言い分を聞くこともなく一方的に叱咤していた。
「お兄様、今度一緒にお茶会をするというお話、あれからどうなったでしょうか?」
「あぁ、心配はいらないとも!エレーナとのくだらない予定が先に入っていたが、カタリナが誘ってくれるというのならそっちの方を優先するに決まっている!君は僕にとって、最愛の存在なのだから!」
「まぁ、ありがとうございます!!(…これで完全にお兄様の心は私になびいている。エレーナ、第二王子の妃になって権力を手にしようとしたって、そうはいかないわよ?)」
そしてエレーナを迫害するカタリナの行動はエスカレートしていき、ついにオレフィスに泣きついて嫌がらせをするだけにとどまらず、この王宮から追い出してしまおうとさえ考えるに至っていた…。
エレーナを悪者にする形で追放してしまおうという彼女の計画は達成され、オレフィスは文字通りエレーナとの関係を切り捨てる決断をした。
すべては自分の思惑通りに事が運んだ、はずだった…。
――そして現在…――
「オレフィスお兄様、以前私に約束していただいたお茶会の予定はどうなっていますか?」
「あぁ、すまないがそれは止めることにした。イーリスとダンスパーティーに参加することになったんだ。婚約者との予定を優先するのは、仕方ない事だろう?」
「そ、そうですか…」
今までなら絶対に自分の方を選んでくれていたはずなのに、急に別人のように態度を変えてしまったオレフィス。カタリナはその胸にイライラを隠せなかった。
「(なんでよ…!私を溺愛していたお兄様なら、絶対に私の方を優先してくれたというのに…!なんで急にこんなことに…)」
今まではエレーナの女神の力によって保たれていた王宮の均衡状態…。それが突然に彼女の存在を失った事で、崩壊への道を歩みつつあるという事に、誰も気づくことはないのだった…。
――――
オレフィスの腕に抱かれながら、寝息をつく彼の隣でイーリスはその心につぶやいた。
「(オレフィスの権力はすべて私の物になるのよ…♪かわいいかわいい義妹のカタリナ、今頃泣いているかもしれないわねぇ。でも仕方ないわよね?他でもない第二王子本人が私の事を一番に溺愛してくれるのだから♪)」
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