40 / 80
第40話
しおりを挟む
「やめなさい!!!!!!!!」
「っ!?!?」
突然聞こえてきた大きな声に彼は制止され、こぶしを振り上げたままノルドはその体をフリーズさせる。
そして、彼はそのままその声を発した主の方にへと視線を移す。
…その場所には、それまでこの場にはいなかった第三の人物の姿があった。
「…おやおや、ようやくお会いできましたねぇ。お嬢様♪」
そう、ノルドたちの前に姿を現したのは他でもない、彼らにとってこの侯爵家を訪れた最大の目的人物である、レベッカだった。
ノルドは彼女の姿を確認すると、自身の手からエリカの体を引き離し、恭《うやうや》しく自身の頭を下げ、レベッカに対して簡単に挨拶を行った。
…無論、そこに本心からくるうやうやしさなど欠片もありはしない。
あくまで彼の心の中にあるのは、ようやく獲物を見つけたという満足感のみだった。
しかし、レベッカの出現によって間一髪難を逃れたはずのエリカは、むしろそれまで以上にその表情を焦りの色で染め上げる。
「だ、だめよレベッカ!!隠れてなさいって言ったでしょ!!!」
悲痛な表情でそう声を上げるエリカに誘発されるように、レベルクもまたレベッカに向けて大きな声を上げた。
「い、今からでも逃げるんだレベッカ!!!き、君がこの場に出てきたら、ラクスの思いがすべて無駄になってしまう…!!!」
必死にそう言葉をかける二人だったものの、当のレベッカはすでに覚悟が決まっているような表情を浮かべており、その願いは彼女には届かなかった。
そして同時に、二人の叫びを聞いたノルドがなにやら高らかな笑い声を発し始めた。
「ククク、笑っちゃうねぇ…。レベッカ?誰の事だそれは?(笑)」
二人はノルドの言っていることの真意が理解できず、困惑した表情を浮かべる。
そんな二人の姿を見たノルドは、ますます楽しそうな表情を浮かべると、レベッカの真実をその口で話し始めた。
「冥途《めいど》の土産《みやげ》に教えてやろう。いいか?こちらにおられるのはレベッカなどという者ではない。時の皇帝であらせられるグローリア・ヘルツ様、その一人娘であるセシリア・ヘルツ様である…!」
「「っ!?!?!?」」
…ノルドの口から発せられた衝撃的な事実に、二人はその目を見開いてレベッカの事を見つめる。
そして、恐る恐るといった様子でレベッカに対して言葉を漏らした。
「ほ、ほんと…なの…?」
「き、君が…グローリア皇帝の…娘…?」
「……」
その問いかけに対し、レベッカは軽くうつむき、言葉を直ちに返しはしなかった。
…というのも、彼女はたった今その心の中で、あるひとつの決心をしている最中《さなか》だった。
「(これは、絶対に誰にも言ってはいけないことだって言われ続けていた事。皇帝としての立場があるお父様に迷惑をかけないために、私がグローリア皇帝の娘であるということは、絶対に誰にも知られてはいけないことだった…)」
それは、ある意味これまでの彼女を縛り続けていたもの。
しかし、今の彼女の心はこれまでとは違っていた。
「(私は皇帝の娘であることを名乗らず、レベッカとして生きていくことを誓った。それがお父様と彼との約束だった。………だけどお父様、ごめんなさい。私は今、その約束を破ります…!)」
すると、レベッカは何かを決心をしたような凛々しい表情を浮かべ、勇ましいたたずまいのまま、澄んだ声でこう言い放った。
「私がグローリア・ヘルツ皇帝の一人娘、セシリア・ヘルツである」
「…!!!」バッ!!
…セシリアのその言葉を聞いた途端、彼女の近くにたたずんでいた近衛兵たちはサッとその場にひざまずき、彼女に対する敬意を示した。
そんな兵たちに流されるように、ノルドもまたそのばにさっと体を伏せ、他の兵たちと同じ姿勢をとる。
その後、1人の近衛兵がその表情をうれしさで満たしながら、セシリアに対してこう言葉を発した。
「ご、ご無事で本当に何よりでございました、セシリア様!!す、すでに王宮にお送りさせていただくための馬車は用意させていただいております!ぜひ、私どもとともに王宮まで戻りましょう!陛下もきっとそれをお望みのことでしょう!」
すると、それから間髪を入れずにノルドが自身の口を開き、続けて言葉を発した。
「セシリア様、この屋敷における後始末はこのノルドにお任せください♪この者たちにはしかるべき報いを受けさせ、死ぬまで地獄を味わっていただきましょうとも♪」
不気味な笑みを浮かべながらそう言葉を発するノルドの言葉を、セシリアは表情を崩さずに聞いていた。
それから一間《ひとま》をおいて、彼女は皇帝令嬢たる毅然とした口調でこう言葉を言い放った。
「私はグローリア皇帝の娘です。ゆえに私の言葉は、皇帝陛下の言葉として聞き入れなさい」
「クスクスクス…。セシリア様、もうそんな堅いのは抜きでいいでしょ♪早く私にお命じください。この者たちを処分し、自らを王宮まで案内」「消えなさい」
「………は?」
…セシリアの発した言葉に、ノルドその頭上にはてなマークを浮かべる。
そんなノルドに構わず、セシリアは威厳さえ感じさせる口調で言葉を続けた。
「聞こえなかった?この場から消えなさいと言ったの」
「お、おいおい…。い、いきなり何を言って…」
「あら?私の言葉に逆らうというの?それならあなたたちの方にこそそれ相応の罰を受けてもらうことになるけれど、それでもいいのかしら?」
「っ!?!?」
彼女の言葉に最初に体を反応させたのは、先ほどセシリアに対して言葉をかけた一人の近衛兵だった。
彼はその場から勢いよく立ち上がると、そのままノルドの片腕を掴み上げ、こう言葉を発した。
「セ、セシリア様を怒らせて何になるノルド!たった今セシリア様が言った通り、そのお言葉はグローリア様のお言葉でもある!我々がそれに逆らうことは許されない…!!」
「お、おい離せ!!!もう目的の女が目の前にいるんだぞ!!なんでここで引き下がらないといけないんだ!!!じゃ、邪魔をするな!!!」
「ノルド!!いい加減にしろ!!」
興奮している様子のノルドは複数の兵たちに体を押さえられ、そのままその身を後方へと引き離されていく。
そして、1人の近衛兵がセシリアに対し、ややその口調を震えさせながらこう言葉を告げた。
「お、お騒がせしてしまったこと、本当に申し訳ございませんセシリア様…。我々はお命じになられた通り、この場から引き揚げさせていただくことといたします…。そ、それとセシリア様、今回の事は」「いいから、早く帰って」「は、はいっ!!」
その会話を最後にして、近衛兵たちは蜘蛛の子を散らすようにその場から退散し、一瞬のうちにその姿を消していった。
…狙っていた獲物が目の前にあったノルドだけは最後まで大きな声で抵抗していたよすうだったものの、他の兵たちはむしろ逃げ出すように消えていき、途端に侯爵家には静かな沈黙に満たされた空間がもたらされる。
「…よ、よかった…」クラッ…
「「っ!?!?」」
刹那、セシリアは極度の緊張状態から解放されたためか、全身を脱力させたかのようにその場に倒れこみ、その意識を体から手放した。
「っ!?!?」
突然聞こえてきた大きな声に彼は制止され、こぶしを振り上げたままノルドはその体をフリーズさせる。
そして、彼はそのままその声を発した主の方にへと視線を移す。
…その場所には、それまでこの場にはいなかった第三の人物の姿があった。
「…おやおや、ようやくお会いできましたねぇ。お嬢様♪」
そう、ノルドたちの前に姿を現したのは他でもない、彼らにとってこの侯爵家を訪れた最大の目的人物である、レベッカだった。
ノルドは彼女の姿を確認すると、自身の手からエリカの体を引き離し、恭《うやうや》しく自身の頭を下げ、レベッカに対して簡単に挨拶を行った。
…無論、そこに本心からくるうやうやしさなど欠片もありはしない。
あくまで彼の心の中にあるのは、ようやく獲物を見つけたという満足感のみだった。
しかし、レベッカの出現によって間一髪難を逃れたはずのエリカは、むしろそれまで以上にその表情を焦りの色で染め上げる。
「だ、だめよレベッカ!!隠れてなさいって言ったでしょ!!!」
悲痛な表情でそう声を上げるエリカに誘発されるように、レベルクもまたレベッカに向けて大きな声を上げた。
「い、今からでも逃げるんだレベッカ!!!き、君がこの場に出てきたら、ラクスの思いがすべて無駄になってしまう…!!!」
必死にそう言葉をかける二人だったものの、当のレベッカはすでに覚悟が決まっているような表情を浮かべており、その願いは彼女には届かなかった。
そして同時に、二人の叫びを聞いたノルドがなにやら高らかな笑い声を発し始めた。
「ククク、笑っちゃうねぇ…。レベッカ?誰の事だそれは?(笑)」
二人はノルドの言っていることの真意が理解できず、困惑した表情を浮かべる。
そんな二人の姿を見たノルドは、ますます楽しそうな表情を浮かべると、レベッカの真実をその口で話し始めた。
「冥途《めいど》の土産《みやげ》に教えてやろう。いいか?こちらにおられるのはレベッカなどという者ではない。時の皇帝であらせられるグローリア・ヘルツ様、その一人娘であるセシリア・ヘルツ様である…!」
「「っ!?!?!?」」
…ノルドの口から発せられた衝撃的な事実に、二人はその目を見開いてレベッカの事を見つめる。
そして、恐る恐るといった様子でレベッカに対して言葉を漏らした。
「ほ、ほんと…なの…?」
「き、君が…グローリア皇帝の…娘…?」
「……」
その問いかけに対し、レベッカは軽くうつむき、言葉を直ちに返しはしなかった。
…というのも、彼女はたった今その心の中で、あるひとつの決心をしている最中《さなか》だった。
「(これは、絶対に誰にも言ってはいけないことだって言われ続けていた事。皇帝としての立場があるお父様に迷惑をかけないために、私がグローリア皇帝の娘であるということは、絶対に誰にも知られてはいけないことだった…)」
それは、ある意味これまでの彼女を縛り続けていたもの。
しかし、今の彼女の心はこれまでとは違っていた。
「(私は皇帝の娘であることを名乗らず、レベッカとして生きていくことを誓った。それがお父様と彼との約束だった。………だけどお父様、ごめんなさい。私は今、その約束を破ります…!)」
すると、レベッカは何かを決心をしたような凛々しい表情を浮かべ、勇ましいたたずまいのまま、澄んだ声でこう言い放った。
「私がグローリア・ヘルツ皇帝の一人娘、セシリア・ヘルツである」
「…!!!」バッ!!
…セシリアのその言葉を聞いた途端、彼女の近くにたたずんでいた近衛兵たちはサッとその場にひざまずき、彼女に対する敬意を示した。
そんな兵たちに流されるように、ノルドもまたそのばにさっと体を伏せ、他の兵たちと同じ姿勢をとる。
その後、1人の近衛兵がその表情をうれしさで満たしながら、セシリアに対してこう言葉を発した。
「ご、ご無事で本当に何よりでございました、セシリア様!!す、すでに王宮にお送りさせていただくための馬車は用意させていただいております!ぜひ、私どもとともに王宮まで戻りましょう!陛下もきっとそれをお望みのことでしょう!」
すると、それから間髪を入れずにノルドが自身の口を開き、続けて言葉を発した。
「セシリア様、この屋敷における後始末はこのノルドにお任せください♪この者たちにはしかるべき報いを受けさせ、死ぬまで地獄を味わっていただきましょうとも♪」
不気味な笑みを浮かべながらそう言葉を発するノルドの言葉を、セシリアは表情を崩さずに聞いていた。
それから一間《ひとま》をおいて、彼女は皇帝令嬢たる毅然とした口調でこう言葉を言い放った。
「私はグローリア皇帝の娘です。ゆえに私の言葉は、皇帝陛下の言葉として聞き入れなさい」
「クスクスクス…。セシリア様、もうそんな堅いのは抜きでいいでしょ♪早く私にお命じください。この者たちを処分し、自らを王宮まで案内」「消えなさい」
「………は?」
…セシリアの発した言葉に、ノルドその頭上にはてなマークを浮かべる。
そんなノルドに構わず、セシリアは威厳さえ感じさせる口調で言葉を続けた。
「聞こえなかった?この場から消えなさいと言ったの」
「お、おいおい…。い、いきなり何を言って…」
「あら?私の言葉に逆らうというの?それならあなたたちの方にこそそれ相応の罰を受けてもらうことになるけれど、それでもいいのかしら?」
「っ!?!?」
彼女の言葉に最初に体を反応させたのは、先ほどセシリアに対して言葉をかけた一人の近衛兵だった。
彼はその場から勢いよく立ち上がると、そのままノルドの片腕を掴み上げ、こう言葉を発した。
「セ、セシリア様を怒らせて何になるノルド!たった今セシリア様が言った通り、そのお言葉はグローリア様のお言葉でもある!我々がそれに逆らうことは許されない…!!」
「お、おい離せ!!!もう目的の女が目の前にいるんだぞ!!なんでここで引き下がらないといけないんだ!!!じゃ、邪魔をするな!!!」
「ノルド!!いい加減にしろ!!」
興奮している様子のノルドは複数の兵たちに体を押さえられ、そのままその身を後方へと引き離されていく。
そして、1人の近衛兵がセシリアに対し、ややその口調を震えさせながらこう言葉を告げた。
「お、お騒がせしてしまったこと、本当に申し訳ございませんセシリア様…。我々はお命じになられた通り、この場から引き揚げさせていただくことといたします…。そ、それとセシリア様、今回の事は」「いいから、早く帰って」「は、はいっ!!」
その会話を最後にして、近衛兵たちは蜘蛛の子を散らすようにその場から退散し、一瞬のうちにその姿を消していった。
…狙っていた獲物が目の前にあったノルドだけは最後まで大きな声で抵抗していたよすうだったものの、他の兵たちはむしろ逃げ出すように消えていき、途端に侯爵家には静かな沈黙に満たされた空間がもたらされる。
「…よ、よかった…」クラッ…
「「っ!?!?」」
刹那、セシリアは極度の緊張状態から解放されたためか、全身を脱力させたかのようにその場に倒れこみ、その意識を体から手放した。
564
お気に入りに追加
2,283
あなたにおすすめの小説
義妹ばかりを溺愛して何もかも奪ったので縁を切らせていただきます。今さら寄生なんて許しません!
ユウ
恋愛
10歳の頃から伯爵家の嫁になるべく厳しい花嫁修業を受け。
貴族院を卒業して伯爵夫人になるべく努力をしていたアリアだったが事あるごと実娘と比べられて来た。
実の娘に勝る者はないと、嫌味を言われ。
嫁でありながら使用人のような扱いに苦しみながらも嫁として口答えをすることなく耐えて来たが限界を感じていた最中、義妹が出戻って来た。
そして告げられたのは。
「娘が帰って来るからでていってくれないかしら」
理不尽な言葉を告げられ精神的なショックを受けながらも泣く泣く家を出ることになった。
…はずだったが。
「やった!自由だ!」
夫や舅は申し訳ない顔をしていたけど、正直我儘放題の姑に我儘で自分を見下してくる義妹と縁を切りたかったので同居解消を喜んでいた。
これで解放されると心の中で両手を上げて喜んだのだが…
これまで尽くして来た嫁を放り出した姑を世間は良しとせず。
生活費の負担をしていたのは息子夫婦で使用人を雇う事もできず生活が困窮するのだった。
縁を切ったはずが…
「生活費を負担してちょうだい」
「可愛い妹の為でしょ?」
手のひらを返すのだった。
【完結】『妹の結婚の邪魔になる』と家族に殺されかけた妖精の愛し子の令嬢は、森の奥で引きこもり魔術師と出会いました。
蜜柑
恋愛
メリルはアジュール王国侯爵家の長女。幼いころから妖精の声が聞こえるということで、家族から気味悪がられ、屋敷から出ずにひっそりと暮らしていた。しかし、花の妖精の異名を持つ美しい妹アネッサが王太子と婚約したことで、両親はメリルを一族の恥と思い、人知れず殺そうとした。
妖精たちの助けで屋敷を出たメリルは、時間の止まったような不思議な森の奥の一軒家で暮らす魔術師のアルヴィンと出会い、一緒に暮らすことになった。
【 完結 】「婚約破棄」されましたので、恥ずかしいから帰っても良いですか?
しずもり
恋愛
ミレーヌはガルド国のシルフィード公爵令嬢で、この国の第一王子アルフリートの婚約者だ。いや、もう元婚約者なのかも知れない。
王立学園の卒業パーティーが始まる寸前で『婚約破棄』を宣言されてしまったからだ。アルフリートの隣にはピンクの髪の美少女を寄り添わせて、宣言されたその言葉にミレーヌが悲しむ事は無かった。それよりも彼女の心を占めていた感情はー。
恥ずかしい。恥ずかしい。恥ずかしい!!
ミレーヌは恥ずかしかった。今すぐにでも気を失いたかった。
この国で、学園で、知っていなければならない、知っている筈のアレを、第一王子たちはいつ気付くのか。
孤軍奮闘のミレーヌと愉快な王子とお馬鹿さんたちのちょっと変わった断罪劇です。
なんちゃって異世界のお話です。
時代考証など皆無の緩い設定で、殆どを現代風の口調、言葉で書いています。
HOT2位 &人気ランキング 3位になりました。(2/24)
数ある作品の中で興味を持って下さりありがとうございました。
*国の名前をオレーヌからガルドに変更しました。
婚約破棄された令嬢が記憶を消され、それを望んだ王子は後悔することになりました
kieiku
恋愛
「では、記憶消去の魔法を執行します」
王子に婚約破棄された公爵令嬢は、王子妃教育の知識を消し去るため、10歳以降の記憶を奪われることになった。そして記憶を失い、退行した令嬢の言葉が王子を後悔に突き落とす。
【完結】無能に何か用ですか?
凛 伊緒
恋愛
「お前との婚約を破棄するッ!我が国の未来に、無能な王妃は不要だ!」
とある日のパーティーにて……
セイラン王国王太子ヴィアルス・ディア・セイランは、婚約者のレイシア・ユシェナート侯爵令嬢に向かってそう言い放った。
隣にはレイシアの妹ミフェラが、哀れみの目を向けている。
だがレイシアはヴィアルスには見えない角度にて笑みを浮かべていた。
ヴィアルスとミフェラの行動は、全てレイシアの思惑通りの行動に過ぎなかったのだ……
主人公レイシアが、自身を貶めてきた人々にざまぁする物語──
「華がない」と婚約破棄された私が、王家主催の舞踏会で人気です。
百谷シカ
恋愛
「君には『華』というものがない。そんな妻は必要ない」
いるんだかいないんだかわからない、存在感のない私。
ニネヴィー伯爵令嬢ローズマリー・ボイスは婚約を破棄された。
「無難な妻を選んだつもりが、こうも無能な娘を生むとは」
父も私を見放し、母は意気消沈。
唯一の望みは、年末に控えた王家主催の舞踏会。
第1王子フランシス殿下と第2王子ピーター殿下の花嫁選びが行われる。
高望みはしない。
でも多くの貴族が集う舞踏会にはチャンスがある……はず。
「これで結果を出せなければお前を修道院に入れて離婚する」
父は無慈悲で母は絶望。
そんな私の推薦人となったのは、ゼント伯爵ジョシュア・ロス卿だった。
「ローズマリー、君は可愛い。君は君であれば完璧なんだ」
メルー侯爵令息でもありピーター殿下の親友でもあるゼント伯爵。
彼は私に勇気をくれた。希望をくれた。
初めて私自身を見て、褒めてくれる人だった。
3ヶ月の準備期間を経て迎える王家主催の舞踏会。
華がないという理由で婚約破棄された私は、私のままだった。
でも最有力候補と噂されたレーテルカルノ伯爵令嬢と共に注目の的。
そして親友が推薦した花嫁候補にピーター殿下はとても好意的だった。
でも、私の心は……
===================
(他「エブリスタ」様に投稿)
冷遇されている令嬢に転生したけど図太く生きていたら聖女に成り上がりました
富士山のぼり
恋愛
何処にでもいる普通のOLである私は事故にあって異世界に転生した。
転生先は入り婿の駄目な父親と後妻である母とその娘にいびられている令嬢だった。
でも現代日本育ちの図太い神経で平然と生きていたらいつの間にか聖女と呼ばれるようになっていた。
別にそんな事望んでなかったんだけど……。
「そんな口の利き方を私にしていいと思っている訳? 後悔するわよ。」
「下らない事はいい加減にしなさい。後悔する事になるのはあなたよ。」
強気で物事にあまり動じない系女子の異世界転生話。
※小説家になろうの方にも掲載しています。あちらが修正版です。
白のグリモワールの後継者~婚約者と親友が恋仲になりましたので身を引きます。今さら復縁を望まれても困ります!
ユウ
恋愛
辺境地に住まう伯爵令嬢のメアリ。
婚約者は幼馴染で聖騎士、親友は魔術師で優れた能力を持つていた。
対するメアリは魔力が低く治癒師だったが二人が大好きだったが、戦場から帰還したある日婚約者に別れを告げられる。
相手は幼少期から慕っていた親友だった。
彼は優しくて誠実な人で親友も優しく思いやりのある人。
だから婚約解消を受け入れようと思ったが、学園内では愛する二人を苦しめる悪女のように噂を流され別れた後も悪役令嬢としての噂を流されてしまう
学園にも居場所がなくなった後、悲しみに暮れる中。
一人の少年に手を差し伸べられる。
その人物は光の魔力を持つ剣帝だった。
一方、学園で真実の愛を貫き何もかも捨てた二人だったが、綻びが生じ始める。
聖騎士のスキルを失う元婚約者と、魔力が渇望し始めた親友が窮地にたたされるのだが…
タイトル変更しました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる