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第2話
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ここはレベッカの住んでいた屋敷からはすこし遠い場所にある、ランハルト家の土地。
そこに住むラクス・ランハルトはまだ16歳という年齢ながら、優秀な能力と容姿端麗な姿が背中を押す形で家の長となり、ラクス侯爵として仕事をこなしていた。
地方貴族であるためそこまで大きな権力などは有さない彼であったが、臣民からもよく慕われ、とくに不自由のない生活を送っていた。
「あーあ。なにか面白いことが起こらないかなぁ……」
地方貴族であるためか、ランハルト家の土地は無駄に広大であった。
緑が一面に広がり、澄んだ空気はおいしささえ感じさせるその土地に、ラクスは大の字になって横になっていた。
「おーーいラクス!!いったいいつまで寝てるつもりだーー!!はやく仕事に戻れーー!!」
「げっ……」
そしてたった今ラクスに対して大きな声を上げたのは、彼の父であるレベルク・ランハルト。
なかなかに厳格な性格で、ラクスも彼の事はあまり得意としていないが、厳しさの中に優しさもあふれる理想的な父親であった。
「少し休憩すると言っていつまで横になっているつもりだーー!!」
「も、もうちょっとーー!!!」
ラクスは急ぎその場を立ち上がると、レベルクから死角になる位置にすばやく移動し、再び腰を下ろしてくつろぎ始める。
「…まったく、ラクスの奴め…」
逃げだしていったラクスをレベルクは深追いすることはなく、やれやれといった表情を浮かべながらもう少しだけ休憩を許してやることとした。
もっとも、ラクスは優秀であるがゆえにもうすでにノルマともいえる仕事はこなしてしまっているため、あまり強く言えないという理由もあった様子…。
レベルクから距離をとることに成功したラクスは、自分の土地でありながらあまり普段は訪れない場所に移動し、再びくつろぎはじめた。
今日は天気が良く、美しい青空が全面に広がっている。
彼はその景色を見上げながら、心の中に言葉をつぶやいた。
「(…このまま何不自由ない生活を続けて、適当に結婚して、なんとなく子どもを育て、そのまま俺は役目を終えるのかなぁ…)」
ラクスは別にネガティブな性格であるわけではなく、むしろどちらかといえば前向きな性格だった。
しかし今日の彼は、なんだか物思いにふけっている様子。
「(…別に今の人生に不満があるわけじゃないけど、なんかぱっとしないんだよなぁ…。なにかこう、今までにないような信じられないことでも起きてくれればなぁ……)」
このあたり一帯には人の気配や動物の気配などはないため、妙な音が聞こえてくることもない。
草木のなびく音、風のかける音だけが耳に聞こえ、ただただ静かな環境である。
…しかし、自然の物とは考えにくい妙な音がラクスの耳に入った。
コツ……コツ……
「…???」
明らかに人工的なその音に、ラクスは体を起こして周囲を見回す。
だんだんと自分の方に近づいてくるようにも感じられたその音の方向に目をやると、彼はその音の正体に気づいた。
「…ほ、ほんとに信じられないことが……」
…ラクスの視線の先には、やつれきった体でゆっくりと足を進めるレベッカの姿があった。
身にまとっている服は汚れきっていて、彼女がこれまで受けてきた扱いを物語る…。
ボロボロになってしまっている靴からは、レベッカがこれまでにどれだけの距離を歩き続けてきたのかが感じ取れる…。
そして、そんな彼女の姿を見てラクスが信じられないと言ったのは、たった今その場に彼女が倒れてしまったからだ。
「お、おい!!しっかりしろ!!!」
博識なラクスは、レベッカの倒れ方が命にかかわるものだと一瞬で見て取った。
すぐさま彼女のもとに駆け寄って声をかけてみるが、予想した通り危険な状態だった。
「こ、呼吸が浅い…。それに体温も…」
一刻を争うと理解したラクスは、彼女の体を胸元に抱きかかえ、そのまま一目散に屋敷の中を目指して駆けだした。
彼が人一人を抱えても走ることができた理由は…。
「な、なんて体重の軽さ……。こ、この子は今までいったいどこでなにを……」
色白でどこか切なさを感じさせる彼女の姿を見て、ラクスはより一層その足を速めるのだった…。
そこに住むラクス・ランハルトはまだ16歳という年齢ながら、優秀な能力と容姿端麗な姿が背中を押す形で家の長となり、ラクス侯爵として仕事をこなしていた。
地方貴族であるためそこまで大きな権力などは有さない彼であったが、臣民からもよく慕われ、とくに不自由のない生活を送っていた。
「あーあ。なにか面白いことが起こらないかなぁ……」
地方貴族であるためか、ランハルト家の土地は無駄に広大であった。
緑が一面に広がり、澄んだ空気はおいしささえ感じさせるその土地に、ラクスは大の字になって横になっていた。
「おーーいラクス!!いったいいつまで寝てるつもりだーー!!はやく仕事に戻れーー!!」
「げっ……」
そしてたった今ラクスに対して大きな声を上げたのは、彼の父であるレベルク・ランハルト。
なかなかに厳格な性格で、ラクスも彼の事はあまり得意としていないが、厳しさの中に優しさもあふれる理想的な父親であった。
「少し休憩すると言っていつまで横になっているつもりだーー!!」
「も、もうちょっとーー!!!」
ラクスは急ぎその場を立ち上がると、レベルクから死角になる位置にすばやく移動し、再び腰を下ろしてくつろぎ始める。
「…まったく、ラクスの奴め…」
逃げだしていったラクスをレベルクは深追いすることはなく、やれやれといった表情を浮かべながらもう少しだけ休憩を許してやることとした。
もっとも、ラクスは優秀であるがゆえにもうすでにノルマともいえる仕事はこなしてしまっているため、あまり強く言えないという理由もあった様子…。
レベルクから距離をとることに成功したラクスは、自分の土地でありながらあまり普段は訪れない場所に移動し、再びくつろぎはじめた。
今日は天気が良く、美しい青空が全面に広がっている。
彼はその景色を見上げながら、心の中に言葉をつぶやいた。
「(…このまま何不自由ない生活を続けて、適当に結婚して、なんとなく子どもを育て、そのまま俺は役目を終えるのかなぁ…)」
ラクスは別にネガティブな性格であるわけではなく、むしろどちらかといえば前向きな性格だった。
しかし今日の彼は、なんだか物思いにふけっている様子。
「(…別に今の人生に不満があるわけじゃないけど、なんかぱっとしないんだよなぁ…。なにかこう、今までにないような信じられないことでも起きてくれればなぁ……)」
このあたり一帯には人の気配や動物の気配などはないため、妙な音が聞こえてくることもない。
草木のなびく音、風のかける音だけが耳に聞こえ、ただただ静かな環境である。
…しかし、自然の物とは考えにくい妙な音がラクスの耳に入った。
コツ……コツ……
「…???」
明らかに人工的なその音に、ラクスは体を起こして周囲を見回す。
だんだんと自分の方に近づいてくるようにも感じられたその音の方向に目をやると、彼はその音の正体に気づいた。
「…ほ、ほんとに信じられないことが……」
…ラクスの視線の先には、やつれきった体でゆっくりと足を進めるレベッカの姿があった。
身にまとっている服は汚れきっていて、彼女がこれまで受けてきた扱いを物語る…。
ボロボロになってしまっている靴からは、レベッカがこれまでにどれだけの距離を歩き続けてきたのかが感じ取れる…。
そして、そんな彼女の姿を見てラクスが信じられないと言ったのは、たった今その場に彼女が倒れてしまったからだ。
「お、おい!!しっかりしろ!!!」
博識なラクスは、レベッカの倒れ方が命にかかわるものだと一瞬で見て取った。
すぐさま彼女のもとに駆け寄って声をかけてみるが、予想した通り危険な状態だった。
「こ、呼吸が浅い…。それに体温も…」
一刻を争うと理解したラクスは、彼女の体を胸元に抱きかかえ、そのまま一目散に屋敷の中を目指して駆けだした。
彼が人一人を抱えても走ることができた理由は…。
「な、なんて体重の軽さ……。こ、この子は今までいったいどこでなにを……」
色白でどこか切なさを感じさせる彼女の姿を見て、ラクスはより一層その足を速めるのだった…。
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