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第49話
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「クリフォード様」
課題を逆転勝利で終えたフューゲルは、そのままクリフォードの元へと駆け寄った。
「なんだ?」
「メリアを助け出してくださったこと、本当に感謝します。僕一人ではとても実現できないものでした」
「当たり前だ。タイラントはどうか知らないが、王宮に仕える俺とお前とでは実力が違うんだからな」
「クスクス…それもそうですね」
フューゲルは笑みを浮かべながらそう言葉を発すると、今度はその隣に立つメリアの方に視線を移し、そのままこう言葉を続ける。
「メリア、無事で本当に良かった。君を助け出せなかったかっこ悪い僕だけれど、少しは見直してもらえただろうか?」
「それはもう!!あんな一瞬のうちに課題をクリアしてしまうだなんて、すごいとしか言いようがありません!タイラント様があまり実力者ではないというのはうっすらとは分かっていましたが、まさかこんな決着を迎えるだなんて思ってもいませんでした!」
「どうもありがとう。でも、全ては君のおかげだ。僕は君を思えばこそこうして…」
「おい、俺の前でメリアを口説くのはやめてもらおうか。こいつは俺が将来を約束した女なんだぞ?」
「ク、クリフォード様…何度も言っているんですが、私はまだ何も…」
「それは受け入れられません。僕はすでに彼女との未来設計を完成させているのです。それを否定されるというのなら、いくら相手が騎士長様だといっても手加減するわけにはいきませんよ?」
「上等だ」
…クリフォードとフューゲルの二人は互いに視線をバチバチを絡み合わせ、あたり一帯に妙な緊張感を漂わせ始める…。
が、その裏で違う性質の緊張感に包まれている男が一人、いた。
「ハ、ハイデル様…。こ、これはなにかの間違いなのです…。ど、どうかこの私にもう一度だけチャンスを…」
「必要ない。お前はこの第二王子ハイデルの思いを裏切ったのだ。そんな男にこの王宮に残る資格などない」
「そ、そんな……」
「おら、憲兵たち!さっさとこの用無しを外に連れ出してしまえ!」
「ハ、ハイデル様ぁぁぁ!!!!」
タイラントはみっともないとしか言いようがない姿をさらしながら、駆けつけてきた憲兵たちによってその場から連れ出されていった。
これまで王宮内でハイデルの右腕として君臨し続けてきた姿はそこには全くなく、彼の発する悲痛な声だけが部屋の中に残される。
「やれやれ…。まぁ形は変わってしまったが、これで当初の目的通りの決着にはなったな…」
ぼそっと小さな声でそうつぶやいたハイデルは、そのままフューゲルの元まですたすたと歩み寄り、彼の事をねぎらうような口調でこう言葉をかける。
「フューゲル君、改めて言わせてもらおう。実に見事で痛快な勝利であった。君のおかげで王宮にはびこっていたばい菌を排除することに成功したと言ってもいい」
「ありがとうございます」
「これで君は名実ともに、我が王宮の一員となる権利を得た。もちろん今の君は学生だから、やるべきことはたくさんあることだろう。ゆえに今すぐにとは言わないが、いつでも王宮は君を受け入れる準備を整えている。後は君が決めるだけの事だ」
「あとは僕が決めるだけ…」
「そうだとも。王宮に入るにあたってなにか気になることがあれば、遠慮なくこの僕に言うといい。必ず君の力になることを約束しよう」
「そうですか、それではハイデル様に一つだけ…」
「なんだ?」
フューゲルはそう言うと、自身の右手をメリアの肩に回し、ハイデルに見せつけるように彼女の存在を誇示させる。
それを見てクリフォードは非常に不機嫌そうな表情を浮かべるものの、フューゲルは構わずこう言葉を続ける。
「僕が勝利しましたので、お約束通り僕とメリアとの関係を受け入れていただきたく存じます。これはハイデル様のおっしゃられたことですので、何の問題もありませんよね?」
「「!?!?」」
フューゲルの言葉を聞き、ハイデル、メリア、クリフォードの全員が驚愕した表情を浮かべる。
しかしそれはフューゲルの作り話などではない。
フューゲルの事を自分のもとに引き寄せるために、ハイデルが確かに口にした言葉であった。
「(し、しまった…。適当なタイミングを見計らって実現できなくなったと言い訳をするつもりであったのに、まさかこの場でその事を口にしてくるとは…。ここには貴族関係者や資産家たちがいるのだ…。そこで僕が約束を守らない嘘つきであると思われることは避けなければいけないが…。し、しかし…)」
しかしどうしてもメリアとフューゲルをくっつけたくはないハイデル。
自信が作ったルールを盾にして言い訳をすることは可能であろうが、それならそのルールを何とかしろと言葉を返されるのは目に見えている。
…一体どうしたものかと頭を抱えていたその時、
「失礼しよう」
「「っ!?!?!?」」
クリフォードとメリアに続き、この場の誰も予想していなかったゲストがその姿を現したのだった…。
課題を逆転勝利で終えたフューゲルは、そのままクリフォードの元へと駆け寄った。
「なんだ?」
「メリアを助け出してくださったこと、本当に感謝します。僕一人ではとても実現できないものでした」
「当たり前だ。タイラントはどうか知らないが、王宮に仕える俺とお前とでは実力が違うんだからな」
「クスクス…それもそうですね」
フューゲルは笑みを浮かべながらそう言葉を発すると、今度はその隣に立つメリアの方に視線を移し、そのままこう言葉を続ける。
「メリア、無事で本当に良かった。君を助け出せなかったかっこ悪い僕だけれど、少しは見直してもらえただろうか?」
「それはもう!!あんな一瞬のうちに課題をクリアしてしまうだなんて、すごいとしか言いようがありません!タイラント様があまり実力者ではないというのはうっすらとは分かっていましたが、まさかこんな決着を迎えるだなんて思ってもいませんでした!」
「どうもありがとう。でも、全ては君のおかげだ。僕は君を思えばこそこうして…」
「おい、俺の前でメリアを口説くのはやめてもらおうか。こいつは俺が将来を約束した女なんだぞ?」
「ク、クリフォード様…何度も言っているんですが、私はまだ何も…」
「それは受け入れられません。僕はすでに彼女との未来設計を完成させているのです。それを否定されるというのなら、いくら相手が騎士長様だといっても手加減するわけにはいきませんよ?」
「上等だ」
…クリフォードとフューゲルの二人は互いに視線をバチバチを絡み合わせ、あたり一帯に妙な緊張感を漂わせ始める…。
が、その裏で違う性質の緊張感に包まれている男が一人、いた。
「ハ、ハイデル様…。こ、これはなにかの間違いなのです…。ど、どうかこの私にもう一度だけチャンスを…」
「必要ない。お前はこの第二王子ハイデルの思いを裏切ったのだ。そんな男にこの王宮に残る資格などない」
「そ、そんな……」
「おら、憲兵たち!さっさとこの用無しを外に連れ出してしまえ!」
「ハ、ハイデル様ぁぁぁ!!!!」
タイラントはみっともないとしか言いようがない姿をさらしながら、駆けつけてきた憲兵たちによってその場から連れ出されていった。
これまで王宮内でハイデルの右腕として君臨し続けてきた姿はそこには全くなく、彼の発する悲痛な声だけが部屋の中に残される。
「やれやれ…。まぁ形は変わってしまったが、これで当初の目的通りの決着にはなったな…」
ぼそっと小さな声でそうつぶやいたハイデルは、そのままフューゲルの元まですたすたと歩み寄り、彼の事をねぎらうような口調でこう言葉をかける。
「フューゲル君、改めて言わせてもらおう。実に見事で痛快な勝利であった。君のおかげで王宮にはびこっていたばい菌を排除することに成功したと言ってもいい」
「ありがとうございます」
「これで君は名実ともに、我が王宮の一員となる権利を得た。もちろん今の君は学生だから、やるべきことはたくさんあることだろう。ゆえに今すぐにとは言わないが、いつでも王宮は君を受け入れる準備を整えている。後は君が決めるだけの事だ」
「あとは僕が決めるだけ…」
「そうだとも。王宮に入るにあたってなにか気になることがあれば、遠慮なくこの僕に言うといい。必ず君の力になることを約束しよう」
「そうですか、それではハイデル様に一つだけ…」
「なんだ?」
フューゲルはそう言うと、自身の右手をメリアの肩に回し、ハイデルに見せつけるように彼女の存在を誇示させる。
それを見てクリフォードは非常に不機嫌そうな表情を浮かべるものの、フューゲルは構わずこう言葉を続ける。
「僕が勝利しましたので、お約束通り僕とメリアとの関係を受け入れていただきたく存じます。これはハイデル様のおっしゃられたことですので、何の問題もありませんよね?」
「「!?!?」」
フューゲルの言葉を聞き、ハイデル、メリア、クリフォードの全員が驚愕した表情を浮かべる。
しかしそれはフューゲルの作り話などではない。
フューゲルの事を自分のもとに引き寄せるために、ハイデルが確かに口にした言葉であった。
「(し、しまった…。適当なタイミングを見計らって実現できなくなったと言い訳をするつもりであったのに、まさかこの場でその事を口にしてくるとは…。ここには貴族関係者や資産家たちがいるのだ…。そこで僕が約束を守らない嘘つきであると思われることは避けなければいけないが…。し、しかし…)」
しかしどうしてもメリアとフューゲルをくっつけたくはないハイデル。
自信が作ったルールを盾にして言い訳をすることは可能であろうが、それならそのルールを何とかしろと言葉を返されるのは目に見えている。
…一体どうしたものかと頭を抱えていたその時、
「失礼しよう」
「「っ!?!?!?」」
クリフォードとメリアに続き、この場の誰も予想していなかったゲストがその姿を現したのだった…。
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