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第24話
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「(な、なにがどうなってるのかさっぱり…。クリフォード様が急に私の事を婚約者にするとか言い出したかと思ったら、それに重ねるようにフューゲル様まで同じことを…。いったい何の悪乗りなんだろう…)」
突然に2人からラブコールを受ける形となったメリアだったものの、その心中は意外と冷静であった。
というのも彼女自身、この状況は何かの間違いであるか、あるいは二人が自分のことを驚かせるためにそう言っただけであって、まさか二人が本気で自分の事で争っているとは夢にも思っていなかったためだった。
…しかしそんなメリアの考えとは裏腹に、クリフォードとフューゲルの二人は全くそのような様子は見せておらず、完全に”本気”という雰囲気を崩さない…。
「よく見てくださいクリフォード様。この書類によれば、あなたは不当にメリアの事を軟禁しているということになっています。ゆえに僕は学院長協力の元、彼女の身を我々の方で預からせてもらうことといたしました」
「一介の学生が騎士の長に食って掛かるとは、いったい何の冗談だ?自分の身をわきまえてもらおうか」
「身をわきまえなければならないのはクリフォード様の方でしょう。あなたはメリアを愛してはおらず、彼女の事を自分の政治の道具にでもするつもりなのでしょう?そんな事絶対に許すわけにはいきません」
「あぁ?俺がメリアを助けなければ他に誰が助けられるというんだ?俺にはメリアの身を預かり、彼女に幸福をもたらす義務がある。ハイデル第二王子でさえ成し遂げられなかったことだ。それを俺意外に誰が実現できると?」
「僕しかいないでしょう。乱暴なあなたにはメリアを任せることはできませんからね」
まるで二人だけの世界に入ったかのように、二人はメリアの事をめぐって言葉を投げあっていく。
その一方、他にも二人の人間が自分たちだけの世界に入ったような様子で言葉を投げあっていた…。
「アリッサ、まさか君はクリフォードやフューゲル君の事を誘惑してたんじゃないだろうな!第二王子たるこの僕の婚約者である君がそんな事をするなど、到底許されるものではないぞ!」
「そ、そんなわけないでしょう!あなたの方こそそんなことを言うってことは、全く私の事を信じていないってことじゃない!それだって婚約者を見る第二王子としてどうなのよ!」
「僕は心から君のことを思っている!だからこそこうして心配事を口にしているんじゃないか!」
「あらあら、全然そうとは感じられないわね。本当に私の事を愛してくれているのかしら?」
「だ、大体今日の式典だって君の機嫌を取るために準備したものだったんだぞ!それなのに僕の気も知らないで心無い事を…!」
「まぁ、こんな式典一つで私の機嫌が良くなるだなんて思ってたわけ?それこそ心外だわ」
「現にクリフォードの姿を見た時、君は機嫌を良くしていたじゃないか!それも嘘だったとでも言うつもりか!!」
「知らないわそんなの」
…めでたき式典の場であるはずの会場は混沌とした雰囲気に包まれていき、集まっていた人々もまたその心の中に沸き上がる思いをより一層強いものとしていく。
「ほ、ほんとにハイデル様とアリッサ様の関係は大丈夫なのか…?なんだか心配になってくるぞ…」
「やっぱりメリア様が王宮のバランスを保っていたっていう話は本当だったんじゃないのか…?それをみすみす追放してしまったハイデル様は、この王宮をいったいどうするおつもりなのか…」
「おい、適当な事を言うものじゃないぞ!ハイデル様は第二王子としてこれまで確かな実績を積まれてきたお方だ!何の考えもなしに自分のわがままで婚約者を選んだり追い出したりするものか!そこには我々には想像のできないような深いお考えがあるに決まっている!」
会場全体がいろいろな方向に向かっていき、いよいよ収集がつかなくなっていく…。
これはまさに、ハイデルから婚約破棄を告げられた時にメリアが口にした、自分がいなくなることで王宮には大きな混乱がもたらされるという事を地で行っている状態であった…。
そんな中にあって、クリフォードとフューゲルの間では一つの決着がつきつつあった。
「お判りいただけたでしょう?あなたも騎士ならこの決定には従っていただきます。この書類には確かな執行力がありますから、これに異を唱えたいならあなたもきちんとした書類をご用意ください」
「ちっ…。ガキのくせに生意気な…。まぁいい。メリアの事はすぐに連れ戻す。終末に向かうまでのほんのひと時の安寧を享受するんだな」
「それはどうでしょう。彼女にとっては僕の隣こそがふさわしき居場所となるのですよ。そこにあなたはいりませんからね」
メリアのいないところで話し合いに折り合いをつけた様子の二人。
それを遠目に聞いていたメリアは、再びその心の中でこう言葉をつぶやいた。
「(わ、私ここでも何も言っていないのだけれど…)」
きょとんとした表情を浮かべるメリアだったものの、フューゲルはそんな彼女にそっと寄り添い、クールな口調でこう言葉を告げた。
「メリア、もう心配はいらない。あんなろくでもない騎士の元からはこれでおさらばです。ぜひ僕と一緒に来てください。王宮調印のこの資料上にも、そうするよう決定が出ていますから」
「わ、分かりました…(わ、私に拒否権はなさそう…)」
決定が出ている以上、メリアに拒否は許されない。メリアは気づいた時にはその手をフューゲルにつながれ、彼に導かれるままにその場から歩き出すほかなかったのだった。
突然に2人からラブコールを受ける形となったメリアだったものの、その心中は意外と冷静であった。
というのも彼女自身、この状況は何かの間違いであるか、あるいは二人が自分のことを驚かせるためにそう言っただけであって、まさか二人が本気で自分の事で争っているとは夢にも思っていなかったためだった。
…しかしそんなメリアの考えとは裏腹に、クリフォードとフューゲルの二人は全くそのような様子は見せておらず、完全に”本気”という雰囲気を崩さない…。
「よく見てくださいクリフォード様。この書類によれば、あなたは不当にメリアの事を軟禁しているということになっています。ゆえに僕は学院長協力の元、彼女の身を我々の方で預からせてもらうことといたしました」
「一介の学生が騎士の長に食って掛かるとは、いったい何の冗談だ?自分の身をわきまえてもらおうか」
「身をわきまえなければならないのはクリフォード様の方でしょう。あなたはメリアを愛してはおらず、彼女の事を自分の政治の道具にでもするつもりなのでしょう?そんな事絶対に許すわけにはいきません」
「あぁ?俺がメリアを助けなければ他に誰が助けられるというんだ?俺にはメリアの身を預かり、彼女に幸福をもたらす義務がある。ハイデル第二王子でさえ成し遂げられなかったことだ。それを俺意外に誰が実現できると?」
「僕しかいないでしょう。乱暴なあなたにはメリアを任せることはできませんからね」
まるで二人だけの世界に入ったかのように、二人はメリアの事をめぐって言葉を投げあっていく。
その一方、他にも二人の人間が自分たちだけの世界に入ったような様子で言葉を投げあっていた…。
「アリッサ、まさか君はクリフォードやフューゲル君の事を誘惑してたんじゃないだろうな!第二王子たるこの僕の婚約者である君がそんな事をするなど、到底許されるものではないぞ!」
「そ、そんなわけないでしょう!あなたの方こそそんなことを言うってことは、全く私の事を信じていないってことじゃない!それだって婚約者を見る第二王子としてどうなのよ!」
「僕は心から君のことを思っている!だからこそこうして心配事を口にしているんじゃないか!」
「あらあら、全然そうとは感じられないわね。本当に私の事を愛してくれているのかしら?」
「だ、大体今日の式典だって君の機嫌を取るために準備したものだったんだぞ!それなのに僕の気も知らないで心無い事を…!」
「まぁ、こんな式典一つで私の機嫌が良くなるだなんて思ってたわけ?それこそ心外だわ」
「現にクリフォードの姿を見た時、君は機嫌を良くしていたじゃないか!それも嘘だったとでも言うつもりか!!」
「知らないわそんなの」
…めでたき式典の場であるはずの会場は混沌とした雰囲気に包まれていき、集まっていた人々もまたその心の中に沸き上がる思いをより一層強いものとしていく。
「ほ、ほんとにハイデル様とアリッサ様の関係は大丈夫なのか…?なんだか心配になってくるぞ…」
「やっぱりメリア様が王宮のバランスを保っていたっていう話は本当だったんじゃないのか…?それをみすみす追放してしまったハイデル様は、この王宮をいったいどうするおつもりなのか…」
「おい、適当な事を言うものじゃないぞ!ハイデル様は第二王子としてこれまで確かな実績を積まれてきたお方だ!何の考えもなしに自分のわがままで婚約者を選んだり追い出したりするものか!そこには我々には想像のできないような深いお考えがあるに決まっている!」
会場全体がいろいろな方向に向かっていき、いよいよ収集がつかなくなっていく…。
これはまさに、ハイデルから婚約破棄を告げられた時にメリアが口にした、自分がいなくなることで王宮には大きな混乱がもたらされるという事を地で行っている状態であった…。
そんな中にあって、クリフォードとフューゲルの間では一つの決着がつきつつあった。
「お判りいただけたでしょう?あなたも騎士ならこの決定には従っていただきます。この書類には確かな執行力がありますから、これに異を唱えたいならあなたもきちんとした書類をご用意ください」
「ちっ…。ガキのくせに生意気な…。まぁいい。メリアの事はすぐに連れ戻す。終末に向かうまでのほんのひと時の安寧を享受するんだな」
「それはどうでしょう。彼女にとっては僕の隣こそがふさわしき居場所となるのですよ。そこにあなたはいりませんからね」
メリアのいないところで話し合いに折り合いをつけた様子の二人。
それを遠目に聞いていたメリアは、再びその心の中でこう言葉をつぶやいた。
「(わ、私ここでも何も言っていないのだけれど…)」
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「メリア、もう心配はいらない。あんなろくでもない騎士の元からはこれでおさらばです。ぜひ僕と一緒に来てください。王宮調印のこの資料上にも、そうするよう決定が出ていますから」
「わ、分かりました…(わ、私に拒否権はなさそう…)」
決定が出ている以上、メリアに拒否は許されない。メリアは気づいた時にはその手をフューゲルにつながれ、彼に導かれるままにその場から歩き出すほかなかったのだった。
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