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第7話
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会場の注目がハイデルたちに向けられ、式典の流れを完全にその手に支配した彼は、ついに言いたくて仕方がなかったことを口にした。
「さて。僕がアリッサとの未来を選ぶこととしたという事は、必然的に一人の女がその座を追われることとなるわけだが…。今日そいつは来てくれているかな?」
ある意味、こうしてメリアの事をつるし上げて辱めるために開かれたこの式典。
ハイデルはもちろんの事、その隣に立つアリッサもまた非常に心地よさそうな表情を浮かべていた。
「その女は……名前は何と言ったかな?確かメリアとか言ったか?僕の婚約者として選ばれたところまではよかったものの、その事に浮かれて自分勝手なふるまいを繰り返し、最終的に僕からの愛想を尽かされれることになったのは」
「私もお噂は聞いたことがありますよ、ハイデル様。この王宮にはこれまでいろんな性格女性たちが出入りしてきたものの、その中でも群を抜いて性格の悪い女だったとか…」
「まったくだ。君が現れてくれたおかげでメリアを追い出すことが叶い、本当にうれしく思っているよ」
二人は意気揚々とした口調でそう言葉を発し、メリアに対する攻撃に快感を感じながらその機嫌をさらにいいものとしていく。
…その一方で、参加した人々はメリアに対してどこか同情的な感情を抱いていた。
「またはじまったよ…。気に入らない相手をつるし上げてひたすら嫌味を言いまくる、ハイデル様のお得意の芸が…」
「前もあったよな、これ…。あの時は婚約者ではなかったが、確か食事をおいしく作れなかった女性シェフに対してだったか?あれも言いがかりだったよなぁ…」
「仕方ないさ…。ここで第二王子の言葉に反論でもしたら、今度は反論した奴がつるし上げられることになるんだからな…。黙っているのが正解だ」
ハイデルに対し小さな声で苦言を呈し、メリアに対して同情的な言葉を発する。
そうしているのは彼らだけではなく、他にも多くの者たちがそのような思いを抱いていた。
そしてその後もハイデルたちの言葉は続き…。
「みなさん、どう思われますか?僕の期待に応えず、身勝手なふるまいを繰り返したメリアの事、許すことなどできませんよね?」
「その通りですハイデル様!私もハイデル様のお考えに同意です!悪しきことをした人間には、きちんとそれにふさわしいだけの罰を与えなければなりません!」
「君もそう思うかアリッサ。うーむ、僕は実は寛大であるから、彼女がきちんと反省さえしているのなら許してやってもいいかと思っていたが…。しかし君がそう言うのなら仕方がない、やはりメリアを許すことはやめにしよう」
「まぁ、なんだか悪いことをしてしまったみたい!ごめんなさいねメリア!」
茶番ともいえる言葉を互いに繰り出し、非常に楽し気な表情を浮かべて見せる二人。
そこにはそれぞれの意図があり、ハイデルはアリッサの言う事だから仕方なく聞き入れるという姿勢を見せることで、アリッサの影響力の強さを周囲に知らしめることと、あえて一度許すかのような雰囲気を見せておいて突き落とすことで、メリアへのダメージをより強いものに感じさせてやろうという意図があった。
「さて、それではこの場でメリアに対する罪を通告してやろう。メリア、会場の中央まで足を進めよ」
ハイデルの発した言葉を聞き、それまで会場の隅いたメリアは素直にその言葉に従って会場中央にその姿を現した。
…多くの人々がメリアに対して憐みの視線を向ける中、ハイデルはそんな会場の雰囲気など意に介さず、自分のペースで言葉を続ける。
「メリア、今日は僕とアリッサがめでたく婚約関係となった記念の日なのだ。そんな美しい日にあって、わざわざお前を罰することに時間を割かせたこと、重ねて罪を感じよ」
「……」
「僕は心から君に期待し、君ならば僕の心を満足させてくれるだろうと信じていたのだ。…しかしふたを開けてみれば、君は他の男との関係をもって僕を裏切る始末…。それは僕の信頼できる人間からもたらされた確定的な情報であるというのに、君はその事を最後まで認めず、悪あがきを続けて反省を見せることもなかった。罰せられて当然の行いだな?」
「……」
もはやハイデルに手を差し伸べることは諦めたメリアは、何も言葉にすることはなくただただ静かにその言葉を聞き入れていた。
そんなメリアの態度にアリッサはどこかイライラを隠せない様子であったものの、それも所詮はメリアの強がりなのだろうと思うこととし、自分への評価が下がることも恐れてかこの場で彼女への追撃を行うことはしなかった。
そして最後、ハイデルはメリアに対して罰の内容を告知しにかかる。
「メリア、お前は第二王子の権限を持って、この国からの永久追放を」
「お待ちください、ハイデル様」
「「!?」」
…その時、それまで会場からは聞こえてこなかった声が会場にこだました。
ハイデルの言葉を途中で遮るような怖いもの知らずの存在に心当たりがない観衆たちは、その胸を詰まらせて絶句する…。
そしてそれはハイデルとアリッサもまた同じであり、二人は見たことのないほどその表情をこわばらせ、声の主は一体だれかとその視線を一斉に動かす。
そして一瞬の間を置いたのち、参加者の一人の貴族令嬢が小さな声でこうつぶやいた。
「ク、クリフォード騎士長様!?!?」
「さて。僕がアリッサとの未来を選ぶこととしたという事は、必然的に一人の女がその座を追われることとなるわけだが…。今日そいつは来てくれているかな?」
ある意味、こうしてメリアの事をつるし上げて辱めるために開かれたこの式典。
ハイデルはもちろんの事、その隣に立つアリッサもまた非常に心地よさそうな表情を浮かべていた。
「その女は……名前は何と言ったかな?確かメリアとか言ったか?僕の婚約者として選ばれたところまではよかったものの、その事に浮かれて自分勝手なふるまいを繰り返し、最終的に僕からの愛想を尽かされれることになったのは」
「私もお噂は聞いたことがありますよ、ハイデル様。この王宮にはこれまでいろんな性格女性たちが出入りしてきたものの、その中でも群を抜いて性格の悪い女だったとか…」
「まったくだ。君が現れてくれたおかげでメリアを追い出すことが叶い、本当にうれしく思っているよ」
二人は意気揚々とした口調でそう言葉を発し、メリアに対する攻撃に快感を感じながらその機嫌をさらにいいものとしていく。
…その一方で、参加した人々はメリアに対してどこか同情的な感情を抱いていた。
「またはじまったよ…。気に入らない相手をつるし上げてひたすら嫌味を言いまくる、ハイデル様のお得意の芸が…」
「前もあったよな、これ…。あの時は婚約者ではなかったが、確か食事をおいしく作れなかった女性シェフに対してだったか?あれも言いがかりだったよなぁ…」
「仕方ないさ…。ここで第二王子の言葉に反論でもしたら、今度は反論した奴がつるし上げられることになるんだからな…。黙っているのが正解だ」
ハイデルに対し小さな声で苦言を呈し、メリアに対して同情的な言葉を発する。
そうしているのは彼らだけではなく、他にも多くの者たちがそのような思いを抱いていた。
そしてその後もハイデルたちの言葉は続き…。
「みなさん、どう思われますか?僕の期待に応えず、身勝手なふるまいを繰り返したメリアの事、許すことなどできませんよね?」
「その通りですハイデル様!私もハイデル様のお考えに同意です!悪しきことをした人間には、きちんとそれにふさわしいだけの罰を与えなければなりません!」
「君もそう思うかアリッサ。うーむ、僕は実は寛大であるから、彼女がきちんと反省さえしているのなら許してやってもいいかと思っていたが…。しかし君がそう言うのなら仕方がない、やはりメリアを許すことはやめにしよう」
「まぁ、なんだか悪いことをしてしまったみたい!ごめんなさいねメリア!」
茶番ともいえる言葉を互いに繰り出し、非常に楽し気な表情を浮かべて見せる二人。
そこにはそれぞれの意図があり、ハイデルはアリッサの言う事だから仕方なく聞き入れるという姿勢を見せることで、アリッサの影響力の強さを周囲に知らしめることと、あえて一度許すかのような雰囲気を見せておいて突き落とすことで、メリアへのダメージをより強いものに感じさせてやろうという意図があった。
「さて、それではこの場でメリアに対する罪を通告してやろう。メリア、会場の中央まで足を進めよ」
ハイデルの発した言葉を聞き、それまで会場の隅いたメリアは素直にその言葉に従って会場中央にその姿を現した。
…多くの人々がメリアに対して憐みの視線を向ける中、ハイデルはそんな会場の雰囲気など意に介さず、自分のペースで言葉を続ける。
「メリア、今日は僕とアリッサがめでたく婚約関係となった記念の日なのだ。そんな美しい日にあって、わざわざお前を罰することに時間を割かせたこと、重ねて罪を感じよ」
「……」
「僕は心から君に期待し、君ならば僕の心を満足させてくれるだろうと信じていたのだ。…しかしふたを開けてみれば、君は他の男との関係をもって僕を裏切る始末…。それは僕の信頼できる人間からもたらされた確定的な情報であるというのに、君はその事を最後まで認めず、悪あがきを続けて反省を見せることもなかった。罰せられて当然の行いだな?」
「……」
もはやハイデルに手を差し伸べることは諦めたメリアは、何も言葉にすることはなくただただ静かにその言葉を聞き入れていた。
そんなメリアの態度にアリッサはどこかイライラを隠せない様子であったものの、それも所詮はメリアの強がりなのだろうと思うこととし、自分への評価が下がることも恐れてかこの場で彼女への追撃を行うことはしなかった。
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そしてそれはハイデルとアリッサもまた同じであり、二人は見たことのないほどその表情をこわばらせ、声の主は一体だれかとその視線を一斉に動かす。
そして一瞬の間を置いたのち、参加者の一人の貴族令嬢が小さな声でこうつぶやいた。
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