魔がさしたから浮気したと言うのなら、私に魔がさしても文句を言わないでくださいね？

第6話

――エピローグ――

「クレア様！ご婚約おめでとうございます！！」
「ありがとうローズさん！」

すでにリルドの存在が遠い過去のものとなってしまっていたある日の事、クレアは真に自分と心を通わせる男性との婚約を成立させた。
そんな彼女の隣で一番に彼女の幸せを喜んでいたのが、ローズであった。

2人を結んだきっかけはリルドの存在であったものの、二人の間にもはやリルドの名前がでることももうない。
それほどに二人は、これまでにないほどの固い絆で結ばれる結果となった。

――――

「……クレア……君は今どこで何を……」

そんなクレアの姿など想像もできない様子で、落ちぶれたリルドは小さくそう言葉をつぶやく。
今だに彼女との関係を戻せるものと思っている彼がその現実に気づくまで、そう時間はかからないことだろう。