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南プロシアン王国編
失意
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「フロリアーナ様。。」
マリアが心配して声を掛けたがフロリアーナはうつむいたままだった。
「みんな、済まない。私はみんなが思っているほど強い人間じゃない。少しだけ一人にさせてくれないか」
「わかりました。今夜一晩ゆっくりお休み下さい」
ティファがそう言うとフロリアーナは幼少期に母と過ごしたと言う離宮に歩いて行った。
「ティファ、フロリアーナ様大丈夫かな?」
レイラも心配してティファに問いかけた。
「いくら気丈でもまだ十五歳。一番信頼していた人に裏切られたショックは大きいと思うけど。。一晩泣くだけ泣いたら明日の朝にはいつもの元気な顔を見せてくれると思うよ。だから今夜はそっとしておいてあげよう」
ティファの言葉にレイラとマリアもうなづいた。
何も出来ずに立ち尽くしているヴィンセントにマリアが話しかけた。
「ヴィンセント殿、あなたは無骨だから女心なんて理解出来ぬだろう。ここは私たちに任せておけ」
「ううぬ。。わかった、後は頼んだぞ」
ヴィンセントは納得したような出来ないような複雑な表情であったが、マリアの言う通り女心など到底理解出来ず、渋々ながら後をティファたちに任せてその場から去って行った。
ヴィンセントもアレッシオもここまでフロリアーナを助けて無事に帰国させてくれたティファたちを信用していた。
離宮に入り、母が過ごしていた寝室に入ると、フロリアーナは力なくベットに倒れ込んだ。
そのまましばらく泣いていた。
泣きながらいつの間にか眠ってしまった。
⭐︎⭐︎⭐︎
ベットで眠っていたフロリアーナがふと目を覚ますと、目の前に母親の姿が見えた。
「お母様?」
しかし母親は何も言わずにただ微笑んでいるだけであった。
「お母様。。私は自分が王位に付くほどの器も実力も持ち合わせていない事は承知してます。タスタニアの人たちはみんな良くしてくれました。
アレッシオとヴィンセントは私が戻るまでよく国を守ってくれたし、新たな仲間が出来てようやくここに戻れてナサレノを倒したと思えば、一番信頼していたじいに裏切られて。。」
フロリアーナは泣きながら母に向かって叫んだ。
「もう、女王なんてどうでもいい。。何もかも投げ出して、いっその事タスタニアで一生民間人として暮らしていきたい」
フロリアーナがそう言うと母の顔は笑顔から厳しい表情へと変わった。
「お母様。。
」
それはフロリアーナが初めて見る母の厳しい顔であった。
(ではあなたはここに住む八万人の国民を見捨てて自分一人だけ別の国で平穏に暮らしたいというのですね。それも良いでしょう。あなたの人生なのだからあなたに決める権利がある。でもそれでは何のためにタスタニアまで助けを求めてここに戻って来たのですか?)
「それは。。」
(ティファニーさんを始めとするタスタニアの人たちは何故あなたをここまで助けてくれたのですか?アレッシオやヴィンセントがあなたを帰国させるためにどれだけ尽力したと思いますか?その思いを無にしてまでここから逃げたいと言うのならお好きになさい)
「お母様。。」
(マルコ伯爵の裏切りは確かに悲しいしショックでしょう。でもあなたがここから逃げたらアレッシオやヴィンセントだけじゃない、ティファニーさんたちタスタニアの人たちも八万人の国民も裏切る事になるのですよ。あなたは自分がやられて悲しい事を他の人にするのですか?)
母にそう厳しく諭されてフロリアーナは顔を上げた。
「お母様は私がまだ物心つかないうちに亡くなられて、私はお母様と話しをした記憶がほとんどない。こうして会話をしたのは初めてだよね」
フロリアーナの母は当時独立国家であったブラウゼン王国からこの南プロシアンへ嫁いできたのだ。
その苦労は言葉で言い表せないものであったのは想像に想像に難くない。
でも子供の前では決して泣き言も涙も見せなかった。
もちろん国民の前でもだ。
「厳しいな。。慰めても逃してもくれないなんて」
そう言いながらフロリアーナは涙を拭った。
(みんなの期待が重荷なのかも知れないけど、あなたは一人じゃないですよ。後ろを向けば沢山の人たちが支えてくれているから大丈夫。何もかも一人で背負うことはありません。それでも苦しい事、悲しい事があったらここにいらっしゃい。私はいつでもここに居るから)
母の言葉にフロリアーナは力強く答えた。
「お母様、もう泣き言は言いません。私はこの国の女王として命を賭けても国と民を守ります」
フロリアーナのその言葉に母は再び笑顔が戻り、初めてフロリアーナの頭を撫でてくれた。
フロリアーナはその安堵感で再び眠りに付いた。
翌朝、窓から朝日が差し込んでその眩しさでフロリアーナは目を覚ました。
「夢か。。夢でもお母様と出会えて、話しが出来て嬉しかったよ」
夢の中で母と会い、話して心は決まっていた。
「みんなが待っている。行かなきゃ」
フロリアーナは立ち上がり離宮を後にして本宮殿へと向かった
マリアが心配して声を掛けたがフロリアーナはうつむいたままだった。
「みんな、済まない。私はみんなが思っているほど強い人間じゃない。少しだけ一人にさせてくれないか」
「わかりました。今夜一晩ゆっくりお休み下さい」
ティファがそう言うとフロリアーナは幼少期に母と過ごしたと言う離宮に歩いて行った。
「ティファ、フロリアーナ様大丈夫かな?」
レイラも心配してティファに問いかけた。
「いくら気丈でもまだ十五歳。一番信頼していた人に裏切られたショックは大きいと思うけど。。一晩泣くだけ泣いたら明日の朝にはいつもの元気な顔を見せてくれると思うよ。だから今夜はそっとしておいてあげよう」
ティファの言葉にレイラとマリアもうなづいた。
何も出来ずに立ち尽くしているヴィンセントにマリアが話しかけた。
「ヴィンセント殿、あなたは無骨だから女心なんて理解出来ぬだろう。ここは私たちに任せておけ」
「ううぬ。。わかった、後は頼んだぞ」
ヴィンセントは納得したような出来ないような複雑な表情であったが、マリアの言う通り女心など到底理解出来ず、渋々ながら後をティファたちに任せてその場から去って行った。
ヴィンセントもアレッシオもここまでフロリアーナを助けて無事に帰国させてくれたティファたちを信用していた。
離宮に入り、母が過ごしていた寝室に入ると、フロリアーナは力なくベットに倒れ込んだ。
そのまましばらく泣いていた。
泣きながらいつの間にか眠ってしまった。
⭐︎⭐︎⭐︎
ベットで眠っていたフロリアーナがふと目を覚ますと、目の前に母親の姿が見えた。
「お母様?」
しかし母親は何も言わずにただ微笑んでいるだけであった。
「お母様。。私は自分が王位に付くほどの器も実力も持ち合わせていない事は承知してます。タスタニアの人たちはみんな良くしてくれました。
アレッシオとヴィンセントは私が戻るまでよく国を守ってくれたし、新たな仲間が出来てようやくここに戻れてナサレノを倒したと思えば、一番信頼していたじいに裏切られて。。」
フロリアーナは泣きながら母に向かって叫んだ。
「もう、女王なんてどうでもいい。。何もかも投げ出して、いっその事タスタニアで一生民間人として暮らしていきたい」
フロリアーナがそう言うと母の顔は笑顔から厳しい表情へと変わった。
「お母様。。
」
それはフロリアーナが初めて見る母の厳しい顔であった。
(ではあなたはここに住む八万人の国民を見捨てて自分一人だけ別の国で平穏に暮らしたいというのですね。それも良いでしょう。あなたの人生なのだからあなたに決める権利がある。でもそれでは何のためにタスタニアまで助けを求めてここに戻って来たのですか?)
「それは。。」
(ティファニーさんを始めとするタスタニアの人たちは何故あなたをここまで助けてくれたのですか?アレッシオやヴィンセントがあなたを帰国させるためにどれだけ尽力したと思いますか?その思いを無にしてまでここから逃げたいと言うのならお好きになさい)
「お母様。。」
(マルコ伯爵の裏切りは確かに悲しいしショックでしょう。でもあなたがここから逃げたらアレッシオやヴィンセントだけじゃない、ティファニーさんたちタスタニアの人たちも八万人の国民も裏切る事になるのですよ。あなたは自分がやられて悲しい事を他の人にするのですか?)
母にそう厳しく諭されてフロリアーナは顔を上げた。
「お母様は私がまだ物心つかないうちに亡くなられて、私はお母様と話しをした記憶がほとんどない。こうして会話をしたのは初めてだよね」
フロリアーナの母は当時独立国家であったブラウゼン王国からこの南プロシアンへ嫁いできたのだ。
その苦労は言葉で言い表せないものであったのは想像に想像に難くない。
でも子供の前では決して泣き言も涙も見せなかった。
もちろん国民の前でもだ。
「厳しいな。。慰めても逃してもくれないなんて」
そう言いながらフロリアーナは涙を拭った。
(みんなの期待が重荷なのかも知れないけど、あなたは一人じゃないですよ。後ろを向けば沢山の人たちが支えてくれているから大丈夫。何もかも一人で背負うことはありません。それでも苦しい事、悲しい事があったらここにいらっしゃい。私はいつでもここに居るから)
母の言葉にフロリアーナは力強く答えた。
「お母様、もう泣き言は言いません。私はこの国の女王として命を賭けても国と民を守ります」
フロリアーナのその言葉に母は再び笑顔が戻り、初めてフロリアーナの頭を撫でてくれた。
フロリアーナはその安堵感で再び眠りに付いた。
翌朝、窓から朝日が差し込んでその眩しさでフロリアーナは目を覚ました。
「夢か。。夢でもお母様と出会えて、話しが出来て嬉しかったよ」
夢の中で母と会い、話して心は決まっていた。
「みんなが待っている。行かなきゃ」
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