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南プロシアン王国編
真の黒幕 後編
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フロリアーナの王位継承は決して安泰なものではなく、むしろ四方八方塞がりに近い状況であった。
南プロシアン王国の前国王であるアルベルト一世には男子が産まれず女の子ばかりであったが、フロリアーナを除いて病死してしまっていた。
このため、アルベルト一世は重臣たちに働きかけて将来男子が生まれなかった場合はフロリアーナが女王になれるように尽力した。
これに密かに反対したのはマルコであった。
「国王に申し上げます。跡継ぎを女子にするよりも、側近の中から次の王を指名して国を強力にしていく方がよろしいのではないでしょうか」
しかしアルベルト一世はいずれ男子が生まれるであろうと、進言を聞かずフロリアーナを育てながら男子の誕生を待った。
しかしアルベルト一世が病にかかり男子を産む事なく崩御すると、帝王学も軍事学も学んでいる最中であるフロリアーナを見下したマルコは支配下にあったナサレノに命じて反乱を起こした。
おりしも、ロマリア帝国とタスタニア王国が戦争をしている最中であった。
マルコはアルベルト一世に目にかけて出世させてもらい、フロリアーナの従者役まで申しつかるほどの恩があるにも関わらず王位と土地を狙って反乱を起こしたのだ。
表向きはフロリアーナの従者役であるマルコ伯爵として振る舞い、影で宰相ナサレノを操っていた。
「南プロシアンが生き残るには強国であるロマリア帝国と手を結ぶ以外に道はないと考えたからさ。先王アルベルト一世にもそれは進言したが、ルーファスは信用出来ないと門限払いされた。
出撃の夜の言葉か。。あの時点ではよもや船の船尾が完璧に装備し直されているなんて思ってもみなかったからな。翌日には海の藻屑と消えてしまう人間との約束事など口から出まかせで言える」
そのひと言にフロリアーナは怒りが込み上げてきた。
努めて冷静に話せたのは王女としての自覚と理性からであった。
「何故だ?この国はこれまでも他国の侵略を許さず独立した国家としてやって来た。それに手を結ぶならじいが言った通りロマリア帝国よりもタスタニアの方が選択肢として大きいであろう」
「甘いですぞ。この国は先王アルベルト一世を始めとする過去の偉大な王たちがいたからこそ外敵の侵入を防げていたのです。しかしあなたはまだお若い。若干十五歳の女王など他国から見下され、餌食にされるだけ。
だからこそ、強国と同盟を結ぶ必要があったのです。タスタニアは新興国。事前の調べで得た情報から分析していくと、シュミット国王は自国内での政治手腕は優れているが、他国と戦って自国の領土を広げていくという部分ではルーファスに劣る。
タスタニアと組んでもロマリア帝国に滅ぼされたのでは意味がない。ならば最初から悪魔と手を結ぶ事になってもロマリア帝国と同盟を組んだ方がこの国が生き延びる可能性が高い。そう考えたからだ」
「ならば何故父上が亡くなられた時に私に言ってくれなかった?至らぬ点があるのは承知済みだと言ったではないか」
「この機会にアリゲッティ家には王家から退いてもらい、新たな王を立てるべきだと考えたからだ。後継者がフロリアーナ一人となった事は私に取って幸運だった。この機会を逃せばこの国が領土拡大と大陸進出する事など永遠に消え失せてしまう。
そう考えてナサレノに命じてクーデターを起こさせた。奴は先代の生前からフロリアーナとソリが合わなかったからな。この話しに飛びついて来たよ。ナサレノ如き愚物を王に仕立て上げたのは奴が無能だからだ。無能者ほど扱い易い。
実際わしの掌で思い通りに動いてくれた。
傀儡王でもいれば国の形にはなる。
後はあの愚物がこちらの思惑を踏み外さないように監視してればいいのだからな。
だが実際にこの目で確認していくうちにタスタニアが思っていたよりも国力があり、人材が豊富な事がわかった。
それでもロマリア帝国には及ぶまいとな。しかしナサレノが倒されて反乱が制圧された今となっては、わしが動くより他に無くなった訳だ」
「どうするつもりだったのだ?」
「タスタニアとの同盟を破棄して海からロマリア帝国を牽制、攻撃するのを止める。そうなればタスタニアは二面攻撃が出来なくなり苦戦を強いられる事になる。その上でロマリア帝国の保護下に加えてもらう。場合によってはフロリアーナと皇帝ルーファスとの政略結婚も視野に入れてな」
「そのような事、私が許すはずがなかろう。そこまでしてロマリア帝国と手を結びたい理由は何だ?」
「おそらくザラメスへの進撃と領土拡大」
ティファの回答にマルコはニヤリと含み笑いをした。
南プロシアン王国の前国王であるアルベルト一世には男子が産まれず女の子ばかりであったが、フロリアーナを除いて病死してしまっていた。
このため、アルベルト一世は重臣たちに働きかけて将来男子が生まれなかった場合はフロリアーナが女王になれるように尽力した。
これに密かに反対したのはマルコであった。
「国王に申し上げます。跡継ぎを女子にするよりも、側近の中から次の王を指名して国を強力にしていく方がよろしいのではないでしょうか」
しかしアルベルト一世はいずれ男子が生まれるであろうと、進言を聞かずフロリアーナを育てながら男子の誕生を待った。
しかしアルベルト一世が病にかかり男子を産む事なく崩御すると、帝王学も軍事学も学んでいる最中であるフロリアーナを見下したマルコは支配下にあったナサレノに命じて反乱を起こした。
おりしも、ロマリア帝国とタスタニア王国が戦争をしている最中であった。
マルコはアルベルト一世に目にかけて出世させてもらい、フロリアーナの従者役まで申しつかるほどの恩があるにも関わらず王位と土地を狙って反乱を起こしたのだ。
表向きはフロリアーナの従者役であるマルコ伯爵として振る舞い、影で宰相ナサレノを操っていた。
「南プロシアンが生き残るには強国であるロマリア帝国と手を結ぶ以外に道はないと考えたからさ。先王アルベルト一世にもそれは進言したが、ルーファスは信用出来ないと門限払いされた。
出撃の夜の言葉か。。あの時点ではよもや船の船尾が完璧に装備し直されているなんて思ってもみなかったからな。翌日には海の藻屑と消えてしまう人間との約束事など口から出まかせで言える」
そのひと言にフロリアーナは怒りが込み上げてきた。
努めて冷静に話せたのは王女としての自覚と理性からであった。
「何故だ?この国はこれまでも他国の侵略を許さず独立した国家としてやって来た。それに手を結ぶならじいが言った通りロマリア帝国よりもタスタニアの方が選択肢として大きいであろう」
「甘いですぞ。この国は先王アルベルト一世を始めとする過去の偉大な王たちがいたからこそ外敵の侵入を防げていたのです。しかしあなたはまだお若い。若干十五歳の女王など他国から見下され、餌食にされるだけ。
だからこそ、強国と同盟を結ぶ必要があったのです。タスタニアは新興国。事前の調べで得た情報から分析していくと、シュミット国王は自国内での政治手腕は優れているが、他国と戦って自国の領土を広げていくという部分ではルーファスに劣る。
タスタニアと組んでもロマリア帝国に滅ぼされたのでは意味がない。ならば最初から悪魔と手を結ぶ事になってもロマリア帝国と同盟を組んだ方がこの国が生き延びる可能性が高い。そう考えたからだ」
「ならば何故父上が亡くなられた時に私に言ってくれなかった?至らぬ点があるのは承知済みだと言ったではないか」
「この機会にアリゲッティ家には王家から退いてもらい、新たな王を立てるべきだと考えたからだ。後継者がフロリアーナ一人となった事は私に取って幸運だった。この機会を逃せばこの国が領土拡大と大陸進出する事など永遠に消え失せてしまう。
そう考えてナサレノに命じてクーデターを起こさせた。奴は先代の生前からフロリアーナとソリが合わなかったからな。この話しに飛びついて来たよ。ナサレノ如き愚物を王に仕立て上げたのは奴が無能だからだ。無能者ほど扱い易い。
実際わしの掌で思い通りに動いてくれた。
傀儡王でもいれば国の形にはなる。
後はあの愚物がこちらの思惑を踏み外さないように監視してればいいのだからな。
だが実際にこの目で確認していくうちにタスタニアが思っていたよりも国力があり、人材が豊富な事がわかった。
それでもロマリア帝国には及ぶまいとな。しかしナサレノが倒されて反乱が制圧された今となっては、わしが動くより他に無くなった訳だ」
「どうするつもりだったのだ?」
「タスタニアとの同盟を破棄して海からロマリア帝国を牽制、攻撃するのを止める。そうなればタスタニアは二面攻撃が出来なくなり苦戦を強いられる事になる。その上でロマリア帝国の保護下に加えてもらう。場合によってはフロリアーナと皇帝ルーファスとの政略結婚も視野に入れてな」
「そのような事、私が許すはずがなかろう。そこまでしてロマリア帝国と手を結びたい理由は何だ?」
「おそらくザラメスへの進撃と領土拡大」
ティファの回答にマルコはニヤリと含み笑いをした。
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