113 / 118
南プロシアン王国編
真の黒幕 中編
しおりを挟む
「ナサレノの反逆からフロリアーナ様を連れて国外に脱出し、追手から守る。一見すれば命がけで姫を守った臣下に見えますね。あなたはあらかじめナサレノと打ち合わせてフロリアーナ様を逃してタスタニアに行くように進めた。
先王アルベルト一世が忌み嫌っていたロマリア帝国に行けと言えばフロリアーナ様も不審に思う。そう考えたあなたは最もな理由を付けてタスタニアに行かせ、その間にロマリア帝国と手を結ぶ筈だった。しかし護衛の兵士が突然フロリアーナ様の味方をして逃亡の手助けをするという予定外の事が起きた。
それが邪魔なあなたはカルドザルス騎士団を密かに動かして護衛の兵士を始末させた。そして自分もやられたフリをしてザラメスに逃げ込み、騎士団にフロリアーナ様を追跡させた。
しかし予想外でマリアがフロリアーナ様と出会い、カルドザルス騎士団を退治し、さらに私たちがフロリアーナ様に味方して南プロシアンの反乱軍と戦うと言う話しをザラメスで聞きつけて慌ててタスタニアに入国してきた」
「何を根拠にそのような事を。フロリアーナ様、こんな奴らに騙されてはなりませんぞ」
「こうなってしまってはフロリアーナ様に帰国されては困るあなたは造船のアドバイスをすると口実を付けて設計の一部、船尾を通常よりも強度の弱い材木で作るように仕組んだ。それで私たちの艦隊が海戦でフロリアーナ様もろとも海に沈んでくれればと考えた。
しかしそれを事前に察知した職人たちがパトリシアに指摘したんです。「この材木はおかしいですよ。我々は強度が強い木材は叩いた時の音でわかるんです。これは軟材と言って強度を要しない部分に使用されるものです」とね。それを聞いたパトリシアは職人に依頼して本来の硬材に変えたんです。
あなたは裏で材木商人達にお金をばら撒いて強材を軟材に変えさせたけど、その目論みは一流の職人とパトリシアに防がれたというわけです。あなたがお金を掴ませた材木商人達の何人かはマリアとレイラが見つけ出して白状しました。
これにより頼みの綱の艦隊は撃沈され、フロリアーナ様は無事帰国を果たしてナサレノを討ち取った。あなたにしてみたら、このまま万事めでたしで済ませられるはずがないですからね」
ティファの説明を聞いていたフロリアーナはうつむき顔が硬直し、小刻みに握りしめた拳を震わせていた。
「さて、話しは少し変わりますが、マルコ伯爵。アルベルト一世が私たちの主であるシュミット国王と以前から手を結ぶ約束が出来ていたとしたらどうですか?」
「何ですと?」
「知らなかったようね。フロリアーナ様がタスタニアに亡命したのはあなたに促されての偶然だったかも知れないけど、こちらは南プロシアンと手を結ぶための準備を着々と進めていた。そこへフロリアーナ様がいいタイミングで来てくれたという事よ」
「じゃあ、お前たちは最初からそれを知っていてフロリアーナを助けたのか?」
「いや、私たちも初めは知らなかったさ。国王同士の会談の内容など我々如きが知る由もないからな。知ったのはこの出撃の少し前だ。パトリシアから内密に連絡を受けてな」
マリアがそう言うとマルコは歯軋りをしながらマリアを睨みつけた。
「シュミット国王もお人が悪い。既に決まっていた事をあえて内密にして私たちに議論をさせて知的訓練をしていたなんて。でも結果は国王の狙い通りだったみたいで私たちもホッと胸を撫で下ろしたけど」
「もし私たちがロマリア帝国だけで手一杯で南プロシアンを助ける余裕がないとフロリアーナ様を助けなかったらどうするつもりだったのですか?とパトリシアが後日お聞きしたら、ティファとシャローラなら必ず南プロシアンに味方すると言うと思っていたって仰られた。万が一反対したら、その時は国王の権限を持ってフロリアーナ様をお助けしたと」
マリアとティファがそこまで言い終えるとフロリアーナは我慢できずマルコに声を張り上げた。
「じい。。信じていたのに。。出撃の前夜に私に言った言葉も全て嘘だったのか?何が目的だ?南プロシアンの王位か?アリゲッティ家の財産か?それとも私の命か?」
さすがのマルコ伯爵もこの状況では逃げ切れないと観念したのか、ようやく白状し始めた。
先王アルベルト一世が忌み嫌っていたロマリア帝国に行けと言えばフロリアーナ様も不審に思う。そう考えたあなたは最もな理由を付けてタスタニアに行かせ、その間にロマリア帝国と手を結ぶ筈だった。しかし護衛の兵士が突然フロリアーナ様の味方をして逃亡の手助けをするという予定外の事が起きた。
それが邪魔なあなたはカルドザルス騎士団を密かに動かして護衛の兵士を始末させた。そして自分もやられたフリをしてザラメスに逃げ込み、騎士団にフロリアーナ様を追跡させた。
しかし予想外でマリアがフロリアーナ様と出会い、カルドザルス騎士団を退治し、さらに私たちがフロリアーナ様に味方して南プロシアンの反乱軍と戦うと言う話しをザラメスで聞きつけて慌ててタスタニアに入国してきた」
「何を根拠にそのような事を。フロリアーナ様、こんな奴らに騙されてはなりませんぞ」
「こうなってしまってはフロリアーナ様に帰国されては困るあなたは造船のアドバイスをすると口実を付けて設計の一部、船尾を通常よりも強度の弱い材木で作るように仕組んだ。それで私たちの艦隊が海戦でフロリアーナ様もろとも海に沈んでくれればと考えた。
しかしそれを事前に察知した職人たちがパトリシアに指摘したんです。「この材木はおかしいですよ。我々は強度が強い木材は叩いた時の音でわかるんです。これは軟材と言って強度を要しない部分に使用されるものです」とね。それを聞いたパトリシアは職人に依頼して本来の硬材に変えたんです。
あなたは裏で材木商人達にお金をばら撒いて強材を軟材に変えさせたけど、その目論みは一流の職人とパトリシアに防がれたというわけです。あなたがお金を掴ませた材木商人達の何人かはマリアとレイラが見つけ出して白状しました。
これにより頼みの綱の艦隊は撃沈され、フロリアーナ様は無事帰国を果たしてナサレノを討ち取った。あなたにしてみたら、このまま万事めでたしで済ませられるはずがないですからね」
ティファの説明を聞いていたフロリアーナはうつむき顔が硬直し、小刻みに握りしめた拳を震わせていた。
「さて、話しは少し変わりますが、マルコ伯爵。アルベルト一世が私たちの主であるシュミット国王と以前から手を結ぶ約束が出来ていたとしたらどうですか?」
「何ですと?」
「知らなかったようね。フロリアーナ様がタスタニアに亡命したのはあなたに促されての偶然だったかも知れないけど、こちらは南プロシアンと手を結ぶための準備を着々と進めていた。そこへフロリアーナ様がいいタイミングで来てくれたという事よ」
「じゃあ、お前たちは最初からそれを知っていてフロリアーナを助けたのか?」
「いや、私たちも初めは知らなかったさ。国王同士の会談の内容など我々如きが知る由もないからな。知ったのはこの出撃の少し前だ。パトリシアから内密に連絡を受けてな」
マリアがそう言うとマルコは歯軋りをしながらマリアを睨みつけた。
「シュミット国王もお人が悪い。既に決まっていた事をあえて内密にして私たちに議論をさせて知的訓練をしていたなんて。でも結果は国王の狙い通りだったみたいで私たちもホッと胸を撫で下ろしたけど」
「もし私たちがロマリア帝国だけで手一杯で南プロシアンを助ける余裕がないとフロリアーナ様を助けなかったらどうするつもりだったのですか?とパトリシアが後日お聞きしたら、ティファとシャローラなら必ず南プロシアンに味方すると言うと思っていたって仰られた。万が一反対したら、その時は国王の権限を持ってフロリアーナ様をお助けしたと」
マリアとティファがそこまで言い終えるとフロリアーナは我慢できずマルコに声を張り上げた。
「じい。。信じていたのに。。出撃の前夜に私に言った言葉も全て嘘だったのか?何が目的だ?南プロシアンの王位か?アリゲッティ家の財産か?それとも私の命か?」
さすがのマルコ伯爵もこの状況では逃げ切れないと観念したのか、ようやく白状し始めた。
0
お気に入りに追加
9
あなたにおすすめの小説

甲斐ノ副将、八幡原ニテ散……ラズ
朽縄咲良
歴史・時代
【第8回歴史時代小説大賞奨励賞受賞作品】
戦国の雄武田信玄の次弟にして、“稀代の副将”として、同時代の戦国武将たちはもちろん、後代の歴史家の間でも評価の高い武将、武田典厩信繁。
永禄四年、武田信玄と強敵上杉輝虎とが雌雄を決する“第四次川中島合戦”に於いて討ち死にするはずだった彼は、家臣の必死の奮闘により、その命を拾う。
信繁の生存によって、甲斐武田家と日本が辿るべき歴史の流れは徐々にずれてゆく――。
この作品は、武田信繁というひとりの武将の生存によって、史実とは異なっていく戦国時代を書いた、大河if戦記である。
*ノベルアッププラス・小説家になろうにも、同内容の作品を掲載しております(一部差異あり)。
無職ニートの俺は気が付くと聯合艦隊司令長官になっていた
中七七三
ファンタジー
■■アルファポリス 第1回歴史・時代小説大賞 読者賞受賞■■
無職ニートで軍ヲタの俺が太平洋戦争時の聯合艦隊司令長官となっていた。
これは、別次元から来た女神のせいだった。
その次元では日本が勝利していたのだった。
女神は、神国日本が負けた歴史の世界が許せない。
なぜか、俺を真珠湾攻撃直前の時代に転移させ、聯合艦隊司令長官にした。
軍ヲタ知識で、歴史をどーにかできるのか?
日本勝たせるなんて、無理ゲーじゃねと思いつつ、このままでは自分が死ぬ。
ブーゲンビルで機上戦死か、戦争終わって、戦犯で死刑だ。
この運命を回避するため、必死の戦いが始まった。
参考文献は、各話の最後に掲載しています。完結後に纏めようかと思います。
使用している地図・画像は自作か、ライセンスで再利用可のものを検索し使用しています。
表紙イラストは、ヤングマガジンで賞をとった方が画いたものです。
【新訳】帝国の海~大日本帝国海軍よ、世界に平和をもたらせ!第一部
山本 双六
歴史・時代
たくさんの人が亡くなった太平洋戦争。では、もし日本が勝てば原爆が落とされず、何万人の人が助かったかもしれないそう思い執筆しました。(一部史実と異なることがあるためご了承ください)初投稿ということで俊也さんの『re:太平洋戦争・大東亜の旭日となれ』を参考にさせて頂きました。
これからどうかよろしくお願い致します!
ちなみに、作品の表紙は、AIで生成しております。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
旧陸軍の天才?に転生したので大東亜戦争に勝ちます
竹本田重朗
ファンタジー
転生石原閣下による大東亜戦争必勝論
東亜連邦を志した同志達よ、ごきげんようである。どうやら、私は旧陸軍の石原莞爾に転生してしまったらしい。これは神の思し召しなのかもしれない。どうであれ、現代日本のような没落を回避するために粉骨砕身で働こうじゃないか。東亜の同志と手を取り合って真なる独立を掴み取るまで…
※超注意書き※
1.政治的な主張をする目的は一切ありません
2.そのため政治的な要素は「濁す」又は「省略」することがあります
3.あくまでもフィクションのファンタジーの非現実です
4.そこら中に無茶苦茶が含まれています
5.現実的に存在する如何なる国家や地域、団体、人物と関係ありません
6.カクヨムとマルチ投稿
以上をご理解の上でお読みください
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる