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南プロシアン王国編
南プロシアンvsタスタニア 中編
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ポルタ湾からほど近い丘陵地帯に両軍の兵士が対峙する事となった。
タスタニア軍から見て左側が丘陵地帯、右側には川が流れており、狭く騎兵部隊の機動力をフルに活かせない地形であり、ティファは兵力差をカバーするためにここを戦いの場所に選んだのだった。
タスタニア軍二千五百人に対して南プロシアン軍は五千人弱。
(いくら陸戦ではタスタニアが有利と言っても、二倍の戦力差で戦えるのか。。)
フロリアーナは内心不安を感じてはいたが、ティファの表情はいたって冷静であった。
「あれは、フロリアーナ王女。。」
タスタニア軍と対面したエンリコの視線の先にフロリアーナが映った。
「まずい。兵士たちがフロリアーナ王女の顔を見たら士気が落ちる可能性がある」
一方のフロリアーナからもエンリコの姿が見えていた。
「あれはエンリコ。父上の側で戦っていた側近の一人であったが、彼までナサレノの指揮下に加わったのか」
フロリアーナは今の自分にはマルコ伯爵以外に味方がいない孤立した状況だと言う事をあらためて思い知らされた。
「エンリコは責められまい。それだけ今の私には力が無いという事だ」
それを見ていたティファが横で声を掛けた。
「フロリアーナ様。あなたは一人ではありません。私たちが付いております。人は孤立している中でも応援してくれる人がいれば耐えられるものです。
今は一時的にナサレノに付いている者たちも、本心からではなく状況下で仕方のない事なのでしょう。あなたが国に戻るのを待っている人たちがいると信じて戦いましょう」
「。。そうだな」
ティファにそう言われて、フロリアーナも今は余計な事は考えずに国に戻る事に集中しようと気持ちを切り替えた。
「おい、見ろ!あれはフロリアーナ王女ではないか?」
「我々はフロリアーナ様と戦うのか?」
エンリコの予想通り、フロリアーナ王女の顔を見て動揺する兵士たちが次々と現れ、それは全兵士に伝染するように伝わっていった。
これを見たエンリコは兵士たちの士気が落ちる前に早めに決着を付けようと一斉に突撃を開始させた。
通常であれば両軍が激しく衝突。。となるところだが、そうはならなかった。
ティファが中央部隊を戦いながら緩やかに後ろに後退させていったからである。
それとは対照的にレイラの左翼は凄まじい勢いで敵右翼に攻撃を仕掛けていく。
全体の兵力では、南プロシアン軍が倍以上であったが、このレイラの左翼だけは相手右翼の倍の厚さであった。
ティファはこの左翼だけに千人を配置して早期突破を狙っていた。
レイラはこれが初の実戦であったが、その武力はこの戦場にいた兵士の中で抜きん出でいた。
目にも止まらない速くて鋭い斬撃が相手兵士を次々と打ち倒していき、鮮血の霧が戦場を覆い、相手はその下に倒れる事となった。
その鬼神の如き強さに南プロシアンの兵士たちは恐怖に駆られて一人、また一人と逃げ出していった。
戦闘開始から十数分しか経過していなかったが、南プロシアン軍の右翼は瓦解されてしまった。
レイラは勝敗が決したのを確認すると、すぐさま南プロシアン軍の後方へと回り込んで行った。
しかし、この時エンリコを始めとする南プロシアン軍は目の前の中央突破に集中していたため、自軍右翼が瓦解した事に気がついていなかった。
タスタニア軍から見て左側が丘陵地帯、右側には川が流れており、狭く騎兵部隊の機動力をフルに活かせない地形であり、ティファは兵力差をカバーするためにここを戦いの場所に選んだのだった。
タスタニア軍二千五百人に対して南プロシアン軍は五千人弱。
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フロリアーナは内心不安を感じてはいたが、ティファの表情はいたって冷静であった。
「あれは、フロリアーナ王女。。」
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「まずい。兵士たちがフロリアーナ王女の顔を見たら士気が落ちる可能性がある」
一方のフロリアーナからもエンリコの姿が見えていた。
「あれはエンリコ。父上の側で戦っていた側近の一人であったが、彼までナサレノの指揮下に加わったのか」
フロリアーナは今の自分にはマルコ伯爵以外に味方がいない孤立した状況だと言う事をあらためて思い知らされた。
「エンリコは責められまい。それだけ今の私には力が無いという事だ」
それを見ていたティファが横で声を掛けた。
「フロリアーナ様。あなたは一人ではありません。私たちが付いております。人は孤立している中でも応援してくれる人がいれば耐えられるものです。
今は一時的にナサレノに付いている者たちも、本心からではなく状況下で仕方のない事なのでしょう。あなたが国に戻るのを待っている人たちがいると信じて戦いましょう」
「。。そうだな」
ティファにそう言われて、フロリアーナも今は余計な事は考えずに国に戻る事に集中しようと気持ちを切り替えた。
「おい、見ろ!あれはフロリアーナ王女ではないか?」
「我々はフロリアーナ様と戦うのか?」
エンリコの予想通り、フロリアーナ王女の顔を見て動揺する兵士たちが次々と現れ、それは全兵士に伝染するように伝わっていった。
これを見たエンリコは兵士たちの士気が落ちる前に早めに決着を付けようと一斉に突撃を開始させた。
通常であれば両軍が激しく衝突。。となるところだが、そうはならなかった。
ティファが中央部隊を戦いながら緩やかに後ろに後退させていったからである。
それとは対照的にレイラの左翼は凄まじい勢いで敵右翼に攻撃を仕掛けていく。
全体の兵力では、南プロシアン軍が倍以上であったが、このレイラの左翼だけは相手右翼の倍の厚さであった。
ティファはこの左翼だけに千人を配置して早期突破を狙っていた。
レイラはこれが初の実戦であったが、その武力はこの戦場にいた兵士の中で抜きん出でいた。
目にも止まらない速くて鋭い斬撃が相手兵士を次々と打ち倒していき、鮮血の霧が戦場を覆い、相手はその下に倒れる事となった。
その鬼神の如き強さに南プロシアンの兵士たちは恐怖に駆られて一人、また一人と逃げ出していった。
戦闘開始から十数分しか経過していなかったが、南プロシアン軍の右翼は瓦解されてしまった。
レイラは勝敗が決したのを確認すると、すぐさま南プロシアン軍の後方へと回り込んで行った。
しかし、この時エンリコを始めとする南プロシアン軍は目の前の中央突破に集中していたため、自軍右翼が瓦解した事に気がついていなかった。
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