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南プロシアン王国編
大艦隊現る
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「この時期にブラウゼンを守る兵を半数貸せとは中央(オルジュの宮殿の事)は何を考えているのか」
シャローラの予想通り、レオニードは不平不満をあらわにして大声で文句を言ったが、書簡にはシュミット国王の印もあり、国王命令だとわかってそれ以上の悪態はつかなかった。
「南プロシアンのフロリアーナ王女に協力するのは我が国にとっても利益になる事ゆえ、迅速に命令に従い兵の異動をお願い致します」
「ふん。国王の命令じゃなければお前の身包み剥いでオルジュに叩き返すところだ。勝手に連れて行け」
シャローラは下品な男だと思ったが、表情を変えずに返事だけ返した。
「ではそのように致します」
ブラウゼンの中央司令部は二階建てのレンガ作りの建物で、一階は司令室や作戦会議室、二階は指揮官クラスの居住区であった。
居住区で待っていたロビーとソフィアはシャローラが戻ると「どうだった?」「大丈夫だった?」と心配そうに声をかけて来た。
「うん、大丈夫だけど、思ってた通り短慮な人物だね。それに下品だし。国王の命令だから仕方なく従うって表情が顔に出ていた。兵を指揮する将がそれとわかるような表情を顔に出すんじゃ戦いにも勝てないよ。ともあれ、予定通り兵士は借りられたから第一段階は終了だね」
シャローラがそう言うとソフィアがクスっと笑ったのでどうしたの?と尋ねると、ティファに似てるという答えが返って来た。
「シャローラさんもティファにどことなく似てるなって思ってね。やっぱり同門で同級生なんだな」
「そう?自分じゃわからないけど、他人から見たらそう見えるのかな?同じ学舎で共に学んだから、戦術的な考え方は似て来ちゃうよね」
シャローラとレジーナに期間は短かったがパトリシアもティファと同じ学舎で学んだのは確かだが、師に恵まれたという訳ではなく、ティファという存在が大きかったと言える。
三人はティファの影響を受けて、その人柄に魅了されていた。
人は自分が憧れたり目標にする人物がいると、自然にその人と似たような行動や考え方になっていくものである。
シャローラはソフィアに言われるまで、自分がティファに行動や考え方が似ているなんて思ってもみなかった。
それは彼女にとっては嬉しい褒め言葉であったのだ。
「さて、オルジュに兵は送ったからフロリアーナ様と南プロシアンはティファたちに任せて、私たちはロマリア帝国の足止めをしよう。それと邪魔者の排除もね」
シャローラの言葉にロビーとソフィアも相槌を打った。
こうしてブラウゼンから移動してきた二千五百人の兵士たちはポルタの海岸に沿って警備にあたり、南プロシアンの動向を監視していた。
そこに百隻を超える艦隊が現れたのだ。
南プロシアンの大型三段櫂船には一隻あたり七十人が乗れた。
漕ぎ手が六十人に予備の人員が十人であった。
漕ぎ手は陸上に上がれば盾と剣を持って戦う戦闘員ともなるため、その兵力は予備の非戦闘員を除いてもざっと六千人である。
南プロシアン海軍はタスタニア侵攻のために新たにエンリコ・ガーティニという将を海軍少将に抜擢していた。
この人物はナサレノの息がかかっている反フロリアーナ派の人間であるが、先王アルベルト一世の時代にはアルベルト一世と共に海賊退治にも幾度も参戦していて、海の戦いをよく知っていた。
そのために大佐から少将への昇進となった。
エンリコはまずポルタ湾からポルタの街を占領して、そこから首都オルジュに侵攻する計画を立てていた。
彼は陸上ではタスタニア兵に分があるが、タスタニアはロマリア帝国との戦いでこちら側にそれほど兵力を裂けないと見ていた。
しかし少しでも無理となれば、すぐに海上に引き返すように兵士たちには命じていた。
海での戦いに熟練している南プロシアン兵士たちも、陸上ではカルドザルス騎士団抜きでは不利が見えていたからである。
しかし、ポルタの湾岸が見える位置まで来た時、上陸が容易な事ではないと知る事となった。
カルドザルス騎士団に簡単に潜入されてフロリアーナを襲われた経験から、パトリシアとシャローラはポルタの防衛を強固なものにしていた。
土嚢で防壁を作り、その高さは三メートルで長さは海岸線に沿っておよそ十キロにも渡るものであった。
加えて湾岸を守る兵にブラウゼンから移動させた兵士を配置して守備に当たらせた。
エンリコは一目見て、これは上陸する前に確認した方がいいと直感した。
「タスタニアの湾岸防壁がこれほど強化されているとは。。これは上陸を一旦停止して様子を見なければならぬな」
ヴィンセントのカルドザルス騎士団が乗り込んだ時から二週間ほどしか経っていないのに、まったく違う状況にエンリコは驚きを隠せなかった。
シャローラの予想通り、レオニードは不平不満をあらわにして大声で文句を言ったが、書簡にはシュミット国王の印もあり、国王命令だとわかってそれ以上の悪態はつかなかった。
「南プロシアンのフロリアーナ王女に協力するのは我が国にとっても利益になる事ゆえ、迅速に命令に従い兵の異動をお願い致します」
「ふん。国王の命令じゃなければお前の身包み剥いでオルジュに叩き返すところだ。勝手に連れて行け」
シャローラは下品な男だと思ったが、表情を変えずに返事だけ返した。
「ではそのように致します」
ブラウゼンの中央司令部は二階建てのレンガ作りの建物で、一階は司令室や作戦会議室、二階は指揮官クラスの居住区であった。
居住区で待っていたロビーとソフィアはシャローラが戻ると「どうだった?」「大丈夫だった?」と心配そうに声をかけて来た。
「うん、大丈夫だけど、思ってた通り短慮な人物だね。それに下品だし。国王の命令だから仕方なく従うって表情が顔に出ていた。兵を指揮する将がそれとわかるような表情を顔に出すんじゃ戦いにも勝てないよ。ともあれ、予定通り兵士は借りられたから第一段階は終了だね」
シャローラがそう言うとソフィアがクスっと笑ったのでどうしたの?と尋ねると、ティファに似てるという答えが返って来た。
「シャローラさんもティファにどことなく似てるなって思ってね。やっぱり同門で同級生なんだな」
「そう?自分じゃわからないけど、他人から見たらそう見えるのかな?同じ学舎で共に学んだから、戦術的な考え方は似て来ちゃうよね」
シャローラとレジーナに期間は短かったがパトリシアもティファと同じ学舎で学んだのは確かだが、師に恵まれたという訳ではなく、ティファという存在が大きかったと言える。
三人はティファの影響を受けて、その人柄に魅了されていた。
人は自分が憧れたり目標にする人物がいると、自然にその人と似たような行動や考え方になっていくものである。
シャローラはソフィアに言われるまで、自分がティファに行動や考え方が似ているなんて思ってもみなかった。
それは彼女にとっては嬉しい褒め言葉であったのだ。
「さて、オルジュに兵は送ったからフロリアーナ様と南プロシアンはティファたちに任せて、私たちはロマリア帝国の足止めをしよう。それと邪魔者の排除もね」
シャローラの言葉にロビーとソフィアも相槌を打った。
こうしてブラウゼンから移動してきた二千五百人の兵士たちはポルタの海岸に沿って警備にあたり、南プロシアンの動向を監視していた。
そこに百隻を超える艦隊が現れたのだ。
南プロシアンの大型三段櫂船には一隻あたり七十人が乗れた。
漕ぎ手が六十人に予備の人員が十人であった。
漕ぎ手は陸上に上がれば盾と剣を持って戦う戦闘員ともなるため、その兵力は予備の非戦闘員を除いてもざっと六千人である。
南プロシアン海軍はタスタニア侵攻のために新たにエンリコ・ガーティニという将を海軍少将に抜擢していた。
この人物はナサレノの息がかかっている反フロリアーナ派の人間であるが、先王アルベルト一世の時代にはアルベルト一世と共に海賊退治にも幾度も参戦していて、海の戦いをよく知っていた。
そのために大佐から少将への昇進となった。
エンリコはまずポルタ湾からポルタの街を占領して、そこから首都オルジュに侵攻する計画を立てていた。
彼は陸上ではタスタニア兵に分があるが、タスタニアはロマリア帝国との戦いでこちら側にそれほど兵力を裂けないと見ていた。
しかし少しでも無理となれば、すぐに海上に引き返すように兵士たちには命じていた。
海での戦いに熟練している南プロシアン兵士たちも、陸上ではカルドザルス騎士団抜きでは不利が見えていたからである。
しかし、ポルタの湾岸が見える位置まで来た時、上陸が容易な事ではないと知る事となった。
カルドザルス騎士団に簡単に潜入されてフロリアーナを襲われた経験から、パトリシアとシャローラはポルタの防衛を強固なものにしていた。
土嚢で防壁を作り、その高さは三メートルで長さは海岸線に沿っておよそ十キロにも渡るものであった。
加えて湾岸を守る兵にブラウゼンから移動させた兵士を配置して守備に当たらせた。
エンリコは一目見て、これは上陸する前に確認した方がいいと直感した。
「タスタニアの湾岸防壁がこれほど強化されているとは。。これは上陸を一旦停止して様子を見なければならぬな」
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