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南プロシアン王国編
シャローラ始動
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キルス歴一〇九六年五月も終わろうとしていた時期であった。
造船の開始から二週間が経過していたが、パトリシアの尽力に集められた職人たちの働きによって造船は予定よりも順調に進んでいった。
このままでいけば三ヶ月以内に百隻の中型船は造船し終える目処も出てきた。
パトリシアは職人たちを三つのグループに分け、三交代で昼夜を問わず二十四時間体制で造船を進めていった。
職人たちには賃金を高く支払う事と、予定より早く完成したらボーナスも出すと約束し、互いに競わせる形式で進めていったのだ。
しかし反乱軍は当然の事ながら艦隊が完成するまで待っていてくれるはずはなく、ナサレノの命令により出撃した南プロシアン艦隊は大型、中型船を含めて百隻を超えていた。
これでも全艦隊の半数である。
タスタニアの港町ポルタで警備に当たっていた兵士から、大艦隊出現の報告はすぐに首都オルジュに知らされた。
「やはり来たか。ティファニー、レイラ。ここはお前たちが頼みだ。何とか食い止めてくれ」
「微力を尽くします」
シュミット国王の命を受けてティファとレイラは出撃した。
反乱軍の攻撃に対応するため、ティファとレイラはブラウゼンから移動させた兵士二千五百人を事前にポルタに集結させていた。
シャローラがブラウゼンに出向いてレオニードに国王の書簡を持ち首都オルジュへ移動させた兵士たちであった。
「ティファ、私たちも一緒に行くぞ。我が国の艦隊の動きなら私が一番よく知っているからな」
「フロリアーナ様。ありがとうございます。助かります」
フロリアーナもマリアと共にティファたちに帯同していった。
⭐︎⭐︎⭐︎
話しはこの数日前に遡る。
シャローラは兵を借り受ける事と、ブラウゼンを守りつつレオニードを粛清するためにオルジュからブラウゼンへと向かっていた。
その途中にベンタインに立ち寄り、ロビー、ソフィアの二人と前回のレオニードの無謀な戦いの時以来、二度目の対面を果たした。
ロビーとソフィアも久しぶりの再会に和やかな雰囲気であった。
とは言っても前回はティファが常に間に入っていたので、こうしてシャローラとロビー、ソフィアがお互いに話しをするのは初めてと言って良かった。
「あなたたち二人の事はティファから聞いています。とても頼りになる将と言う事で私も心強いです」
「オレたちはシャローラさんはティファに勝るとも劣らないほど凄い人だって聞いていますよ。そんな人と一緒に仕事が出来て光栄です」
「それに美人さんですね。学生時代からモテるというのがよくわかります」
「ティファったら。そんな事まで言ってたのね。私は自分がそんな容姿が良いとは思ってないんですよ。そんな風に言ってくれるのは嬉しいけど。それに私はリーダーの素質はなくて、リーダーを補佐する参謀役だと思っているんで、ティファには及びませんよ」
「そうなんですか?オレたちにはリーダー的とか参謀役とかわからないから、凄い人だって思う事にしますよ」
「ありがとう、ロビーさん」
しばらく談笑が続いたあと、シャローラが神妙な面持ちになって本題に入った。
「大きな声では言えないけど、二人に協力して欲しい事があるんだ」
「オレとソフィアで出来る事ならどんな事でも協力するよ」
「単刀直入に言うとレオニードを粛清する。ティファをブラウゼンの将にするにはあの男は邪魔だし、これまでも失敗を繰り返して数多くの犠牲者を出している。
おそらく近日中にロマリア帝国軍がブラウゼンに攻め込んでくると予想しているから、国王命令として出撃させて捨て石にする」
シャローラの言葉に二人は驚いたが、すぐに納得の表情に戻った。
「ついにやるのか。あの野郎を始末出来るなら何だってやってやる」
ロビーの声にも無意識のうちに怒気が含まれていて、よほど腹にすえかねていたようだ。
シャローラは二人に大まかな計画を話し、この日はペンタインで一夜を過ごして翌朝、ロビーとソフィアを連れてブラウゼンへと出発した。
造船の開始から二週間が経過していたが、パトリシアの尽力に集められた職人たちの働きによって造船は予定よりも順調に進んでいった。
このままでいけば三ヶ月以内に百隻の中型船は造船し終える目処も出てきた。
パトリシアは職人たちを三つのグループに分け、三交代で昼夜を問わず二十四時間体制で造船を進めていった。
職人たちには賃金を高く支払う事と、予定より早く完成したらボーナスも出すと約束し、互いに競わせる形式で進めていったのだ。
しかし反乱軍は当然の事ながら艦隊が完成するまで待っていてくれるはずはなく、ナサレノの命令により出撃した南プロシアン艦隊は大型、中型船を含めて百隻を超えていた。
これでも全艦隊の半数である。
タスタニアの港町ポルタで警備に当たっていた兵士から、大艦隊出現の報告はすぐに首都オルジュに知らされた。
「やはり来たか。ティファニー、レイラ。ここはお前たちが頼みだ。何とか食い止めてくれ」
「微力を尽くします」
シュミット国王の命を受けてティファとレイラは出撃した。
反乱軍の攻撃に対応するため、ティファとレイラはブラウゼンから移動させた兵士二千五百人を事前にポルタに集結させていた。
シャローラがブラウゼンに出向いてレオニードに国王の書簡を持ち首都オルジュへ移動させた兵士たちであった。
「ティファ、私たちも一緒に行くぞ。我が国の艦隊の動きなら私が一番よく知っているからな」
「フロリアーナ様。ありがとうございます。助かります」
フロリアーナもマリアと共にティファたちに帯同していった。
⭐︎⭐︎⭐︎
話しはこの数日前に遡る。
シャローラは兵を借り受ける事と、ブラウゼンを守りつつレオニードを粛清するためにオルジュからブラウゼンへと向かっていた。
その途中にベンタインに立ち寄り、ロビー、ソフィアの二人と前回のレオニードの無謀な戦いの時以来、二度目の対面を果たした。
ロビーとソフィアも久しぶりの再会に和やかな雰囲気であった。
とは言っても前回はティファが常に間に入っていたので、こうしてシャローラとロビー、ソフィアがお互いに話しをするのは初めてと言って良かった。
「あなたたち二人の事はティファから聞いています。とても頼りになる将と言う事で私も心強いです」
「オレたちはシャローラさんはティファに勝るとも劣らないほど凄い人だって聞いていますよ。そんな人と一緒に仕事が出来て光栄です」
「それに美人さんですね。学生時代からモテるというのがよくわかります」
「ティファったら。そんな事まで言ってたのね。私は自分がそんな容姿が良いとは思ってないんですよ。そんな風に言ってくれるのは嬉しいけど。それに私はリーダーの素質はなくて、リーダーを補佐する参謀役だと思っているんで、ティファには及びませんよ」
「そうなんですか?オレたちにはリーダー的とか参謀役とかわからないから、凄い人だって思う事にしますよ」
「ありがとう、ロビーさん」
しばらく談笑が続いたあと、シャローラが神妙な面持ちになって本題に入った。
「大きな声では言えないけど、二人に協力して欲しい事があるんだ」
「オレとソフィアで出来る事ならどんな事でも協力するよ」
「単刀直入に言うとレオニードを粛清する。ティファをブラウゼンの将にするにはあの男は邪魔だし、これまでも失敗を繰り返して数多くの犠牲者を出している。
おそらく近日中にロマリア帝国軍がブラウゼンに攻め込んでくると予想しているから、国王命令として出撃させて捨て石にする」
シャローラの言葉に二人は驚いたが、すぐに納得の表情に戻った。
「ついにやるのか。あの野郎を始末出来るなら何だってやってやる」
ロビーの声にも無意識のうちに怒気が含まれていて、よほど腹にすえかねていたようだ。
シャローラは二人に大まかな計画を話し、この日はペンタインで一夜を過ごして翌朝、ロビーとソフィアを連れてブラウゼンへと出発した。
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