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南プロシアン王国編
新たな刺客 後編
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「マリア、ここは私が戦う。お前はフロリアーナ様を」
「わかった」
レイラがその男と対峙している間にマリアはフロリアーナの側に駆け寄った。
「彼奴はカルドザルス騎士団でもトップクラスの騎士だ。レイラは大丈夫か?」
「フロリアーナ様。レイラはこの国でナンバーワンの騎士です。レイラで勝てないなら私でも無理です」
「前にも申したが、タスタニアにはいい騎士が揃っているな」
二人がそう話している間に、男とレイラの戦いは始まっていた。
双方素早い動きから剣を繰り出し、数合打ち合ったが、レイラが相手の力を読み切ったのか余裕の表情になってきた。
レイラは一瞬で相手との間合いを詰めると、両手の剣で左右から連撃し、男は斬り倒された。
「カルドザルス騎士団。確かに洗練された騎士の集まりのようだが、私たちから見ればまだ未熟だな」
レイラがそう言って剣を鞘に収めようとした時、再び殺気を感じた。
「まだ伝わってくる殺気の度合いが減っていない」
「もしやヴィンセントか?」
レイラの言葉にフロリアーナが窓に向かってそう言い、マリアとレイラが窓から下を確認すると、これまでとは格の違う殺気を放つ大男が迎賓館の庭に立っていた。
「フロリアーナ様、あの男は?」
「カルドザルス騎士団の団長、ヴィンセント・ドルフィーだ。我が国最強の騎士と言っていいだろう」
マリアの問いにフロリアーナが答える。
「なるほど。たしかにあの者から伝わってくる殺気は今までの刺客たちとは比較にならぬ」
マリアもレイラもヴィンセントが強敵だと直感していた。
同じ迎賓館の別室でシャローラと打ち合わせをしていたティファたちにも刺客が迫っていた。
話しの最中に突如ガラスが打ち破られる音がして、二人は驚いて部屋を出ようとした時、ティファたちの部屋の窓も打ち破られた。
「何なの?」
ティファが驚いて声をあげたところに窓から二人の刺客が侵入してきた。
「フロリアーナはどこだ?」
左右からじわりと詰め寄ってくる刺客にシャローラは後ろに下がりつつティファをかばいながら剣を抜いた。
「ティファ、私から離れないで」
シャローラは右手で剣を構え、左手でティファをかばいながら攻撃に備えていた。
(同時にかかられたらまずいな。。)
シャローラはそう思いながらもティファも守るために相手を牽制していた。
刺客はシャローラの左右からほとんど同時に斬りかかってきた。
僅かだが左側の刺客が早いように見えたシャローラは、円を描くように身体を反転させ、まるで蝶が舞うようにしなやかで華麗な動きで剣を振るい、左側の刺客から斬ると同時に右側の刺客の剣をかわし、返す刀で右の刺客も斬り、刺客二人を斬り倒した。
彼女は同僚であったレジーナには及ばないものの、自分の身を守るための武力は身につけていた。
滅多に剣を抜く事のないシャローラの剣技を初めて見たティファは驚きの目でそれを見ていた。
士官学校時代に剣の授業に参加しなかったティファは、シャローラがここまで強いとは知らなかったのだ。
「シャローラがこんなに強いなんて。。私一人だけ何にも出来ない。。」
「そんな事言わないで。人にはそれぞれ役割があるんだから」
刺客二人をあっという間に倒したシャローラの武力にティファはため息しか出なかった。
自分は守られてばかりで何にも出来ないと悔やんでも、武力だけはティファには向いていないとミュラー将軍に指摘された通り、どうにもならなかった。
「それにしても、ここは首都オルジュの宮殿内なのに、こんなところにまで刺客が侵入してくるなんて。。」
シャローラとティファもマリアたち同様に、海側の防御の甘さに唖然とせざるを得なかった。
「フロリアーナ様はご無事だろうか?」
ティファの言葉にシャローラもひと息つく間もなく、二人は急ぎフロリアーナとマリアたちのいる部屋へ向かった。
「わかった」
レイラがその男と対峙している間にマリアはフロリアーナの側に駆け寄った。
「彼奴はカルドザルス騎士団でもトップクラスの騎士だ。レイラは大丈夫か?」
「フロリアーナ様。レイラはこの国でナンバーワンの騎士です。レイラで勝てないなら私でも無理です」
「前にも申したが、タスタニアにはいい騎士が揃っているな」
二人がそう話している間に、男とレイラの戦いは始まっていた。
双方素早い動きから剣を繰り出し、数合打ち合ったが、レイラが相手の力を読み切ったのか余裕の表情になってきた。
レイラは一瞬で相手との間合いを詰めると、両手の剣で左右から連撃し、男は斬り倒された。
「カルドザルス騎士団。確かに洗練された騎士の集まりのようだが、私たちから見ればまだ未熟だな」
レイラがそう言って剣を鞘に収めようとした時、再び殺気を感じた。
「まだ伝わってくる殺気の度合いが減っていない」
「もしやヴィンセントか?」
レイラの言葉にフロリアーナが窓に向かってそう言い、マリアとレイラが窓から下を確認すると、これまでとは格の違う殺気を放つ大男が迎賓館の庭に立っていた。
「フロリアーナ様、あの男は?」
「カルドザルス騎士団の団長、ヴィンセント・ドルフィーだ。我が国最強の騎士と言っていいだろう」
マリアの問いにフロリアーナが答える。
「なるほど。たしかにあの者から伝わってくる殺気は今までの刺客たちとは比較にならぬ」
マリアもレイラもヴィンセントが強敵だと直感していた。
同じ迎賓館の別室でシャローラと打ち合わせをしていたティファたちにも刺客が迫っていた。
話しの最中に突如ガラスが打ち破られる音がして、二人は驚いて部屋を出ようとした時、ティファたちの部屋の窓も打ち破られた。
「何なの?」
ティファが驚いて声をあげたところに窓から二人の刺客が侵入してきた。
「フロリアーナはどこだ?」
左右からじわりと詰め寄ってくる刺客にシャローラは後ろに下がりつつティファをかばいながら剣を抜いた。
「ティファ、私から離れないで」
シャローラは右手で剣を構え、左手でティファをかばいながら攻撃に備えていた。
(同時にかかられたらまずいな。。)
シャローラはそう思いながらもティファも守るために相手を牽制していた。
刺客はシャローラの左右からほとんど同時に斬りかかってきた。
僅かだが左側の刺客が早いように見えたシャローラは、円を描くように身体を反転させ、まるで蝶が舞うようにしなやかで華麗な動きで剣を振るい、左側の刺客から斬ると同時に右側の刺客の剣をかわし、返す刀で右の刺客も斬り、刺客二人を斬り倒した。
彼女は同僚であったレジーナには及ばないものの、自分の身を守るための武力は身につけていた。
滅多に剣を抜く事のないシャローラの剣技を初めて見たティファは驚きの目でそれを見ていた。
士官学校時代に剣の授業に参加しなかったティファは、シャローラがここまで強いとは知らなかったのだ。
「シャローラがこんなに強いなんて。。私一人だけ何にも出来ない。。」
「そんな事言わないで。人にはそれぞれ役割があるんだから」
刺客二人をあっという間に倒したシャローラの武力にティファはため息しか出なかった。
自分は守られてばかりで何にも出来ないと悔やんでも、武力だけはティファには向いていないとミュラー将軍に指摘された通り、どうにもならなかった。
「それにしても、ここは首都オルジュの宮殿内なのに、こんなところにまで刺客が侵入してくるなんて。。」
シャローラとティファもマリアたち同様に、海側の防御の甘さに唖然とせざるを得なかった。
「フロリアーナ様はご無事だろうか?」
ティファの言葉にシャローラもひと息つく間もなく、二人は急ぎフロリアーナとマリアたちのいる部屋へ向かった。
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